プレイバック八代将軍吉宗・[新] (01)母の肖像
たくさんの町人が鑑賞する芝居小屋で上演されるのは、人形浄瑠璃『冥途の飛脚』。観客に交じって作品を鑑賞していた、作者・近松門左衛門がドラマの案内役を務めます。
それがし、大坂に住まいいたし、浄瑠璃本の作者としていささか世に知られておりまするが、昨今は心中物を多く手掛けたせいか、幕府のお役人衆に睨まれ、難儀をいたしておりまする。ご安心くだされ。これしきの難儀にへこたれる近松ではござらぬ。天下定まり太平の御代とは申せ、人の心に棲みつく煩悩は如何ともしがたし、これは幕府も下々もご同様。さればでござる。今度は将軍家にまつわる内々の話を筆の走るがままに書き連ね、頭の固いお役人衆に一泡吹かせようと、かように存じておりまする。おっと、これは口が滑りましたかな?
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