2024年2月27日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(17)曠野(こうや)の蝶

物語の舞台は、再び坂東──。平 小次郎将門は、都を去って坂東へ戻りつつあった。

坂東とは、律令制によって定められた相模国より東八か国、現在の関東地方の総称である。すなわち相模、武蔵、上野、下野、常陸、下総、上総、安房、以上の八か国を坂東と称した。将門の家の館は、下総国豊田、現在の茨城県結城郡石下町にあったとされているが、この時代の豊田は東は小貝川から西は鬼怒川を越えて広がっている一郡の名であった。

筑波の山が見えればふるさとの豊田は近い。風のにおいも大空の雲も、そして木々や台地の香りも、すべてが小次郎にとって懐かしかった。将門は、畑に人影がなく活気がないとつぶやきますが、物陰に隠れていた民人たちは、将門の帰還に大喜びですが、将門には民人の怯える様子が気にかかります。「申し訳ねえことに……盗賊と思うたで」

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2024年2月25日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(08)招かれざる者 ~因縁の相手とまひろ対面~

寛和元(985)年。藤原道長は打球を見に来ていたまひろの姿が頭から離れず、ため息交じりで月夜を見上げます。一方まひろも、文机に向かいながら道長のことを考えていましたが、こちらは同じ月を見上げながら、「あの人への思いは断ち切れたのだから」と自分を納得させようとしていました。

左大臣家の集いですが、話はもっぱら打球のことです。まひろは小麻呂を探しに雨に打たれていたので風邪気味ですが、茅子は藤原公任に心を奪われ、しをりは道長だと譲りません。源 倫子は、公任は少しおとなしかったと微笑みます。赤染衛門は道長と息がぴったりの公達(きんだち)がお気に入りですが、倫子から人妻なのにとからかわれます。「人妻であろうとも、心の中は己だけのものにございますもの」

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2024年2月23日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(16)恋の訣(わか)れ

宇和の板島で海賊が新たな行動を起こしたという知らせに、小次郎将門は純友と共に伊予の道をさらに西に向かっていた。純友はこの夜、愛する武蔵の身の上に何が起こっているか知らない。

武蔵が植木のところに忍ばせた仕掛けに引っかかり、あちこちで鳴子が鳴ってしまいます。その知らせで警護の武士が駆けつけ、手下2人で相対します。仕掛けを取り外そうと必死の武蔵ですが、ふと振り返ると刀を突き付けられています。その主は子高でした。子高は手下に刀を捨てなければ女の鼻をそぎ落とす! と言って刀を当てます。手下は抗(あらが)えず刀を捨て、捕縛されます。

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2024年2月20日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(15)伊予の海霧(うみぎり)

佐伯清辰(きよたつ)は海賊討伐のための追捕使として、一路伊予国へと船を進めていた。その武者たちの中に、小次郎将門の姿もあった。追捕使一行は沖で小舟に乗り換え、伊予の浜に上陸した。清辰が先に上陸し、将門も後を追ってきました。「また会えましたな」と藤原純友は将門を笑顔で迎え、手配した宿へ案内します。

民人たちは、戦が始まるのけ? と恐々としています。太政官より権限を与えられた清辰は、平 維久にひと月分の食料と船30艘、兵300人を求めます。浜辺から戻ったくらげ丸は、追捕使か到着したことを大浦秀成に知らせます。螻蛄婆(けらばあ)は武者たちが出世を遂げようと目を血走らせていると報告すると、秀成はニヤリとします。

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2024年2月18日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(07)おかしきことこそ ~まひろ・散楽を披露~

この夜、花山天皇がただ一人心から愛した忯子(よしこ)が、おなかの子とともに世を去った。死は穢(けが)れと考えられていたこの時代、天皇はじめ家族たちが遺体に近づくことは許されなかった。帝は気が狂いそうになりながら、忯子の元へ駆けつけようとしますが、従者たちに止められます。せめて忯子がいた証をと思ったのか、忯子が身に着けていた装束を抱きしめ涙に明け暮れます。

寛和元(985)年、その夜に屋敷に忍び込んで盗みを働いた直秀たちは、盗んできたものを草むらに広げて姿を消します。やがて口笛を合図に民たちが集まって、「お天道さまのお恵みだ!」と大喜びで品々を物色します。その盗賊を射た藤原道長は、その鈍い感触が手に残っています。同僚武官の宗近は、獲物の狩りと同じで盗賊はそれらより下だと慰めます。

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2024年2月16日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(14)再会

誇り高き坂東の男・小次郎将門が平安の都へ来て、三度目の夏が終わりに近づこうとしている。まっすぐな小次郎の心は、都の公という名の曲がりくねってひねこびた迷路の中で、行く先を見失おうとしていた。川のほとりで鹿島玄明の笛の音色に耳を傾ける平 将門は、盗賊たちを討ったあの夜のこと、そして藤原子高、平 貞盛、貴子姫の乳母に投げかけられた言葉を思い出していました。

笛を吹いている間、玄明は無心です。しかし強いて考えていることを挙げるとすれば、生まれ育った武蔵国の山々、それと海を思い浮かべていたかもしれません。螻蛄婆(けらばあ)たちはいま藤原純友について伊予の海へ行っていて、玄明も行きたいような気がしてきたわけです。「純友の殿……しかし私には」

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2024年2月13日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(13)酷(むご)い季節

小次郎将門が、左京の市の蔵で舞楽の面をつけた盗賊たちを誅罰していたころ、伊予にある純友と螻蛄婆(けらばあ)は、越智半島のここ・宮崎の浜に海賊の頭たちを集合させていた。海賊たちが平伏する中、登場した藤原純友は、ニッコリ笑って黄金の入った袋をそれぞれの前に置いていきます。「招きに応じてよく参ってくだされた。ささやかながら土産だ」

無礼講だ、と純友は海賊たちの空いた器に酒を注いで回ります。ここに集まった海賊は、大浦秀成、くらげ丸、紀 秋成、鯒麻呂(こちまろ)、小野氏彦、鮫(さめ)の6人。純友は、豪族名家上がりから漁師船人までいる中で、隔たりを認めないと言い置きます。この国の腐った権力から逃れ、国を敵とする賊として、賊の仲間である自分を国府に送り込んでいると考えてもらいたいと、力の結集を求めます。

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