2025年1月14日 (火)

プレイバック八代将軍吉宗・[新] (01)母の肖像

たくさんの町人が鑑賞する芝居小屋で上演されるのは、人形浄瑠璃『冥途の飛脚』。観客に交じって作品を鑑賞していた、作者・近松門左衛門がドラマの案内役を務めます。

それがし、大坂に住まいいたし、浄瑠璃本の作者としていささか世に知られておりまするが、昨今は心中物を多く手掛けたせいか、幕府のお役人衆に睨まれ、難儀をいたしておりまする。ご安心くだされ。これしきの難儀にへこたれる近松ではござらぬ。天下定まり太平の御代とは申せ、人の心に棲みつく煩悩は如何ともしがたし、これは幕府も下々もご同様。さればでござる。今度は将軍家にまつわる内々の話を筆の走るがままに書き連ね、頭の固いお役人衆に一泡吹かせようと、かように存じておりまする。おっと、これは口が滑りましたかな?

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2025年1月12日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(02)吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』 ~平賀源内を探せ!~

蔦重こと蔦屋重三郎は、吉原の細見(ガイドブック)を使って客を呼びこもうと考えます。年に二度発行されている吉原細見には、吉原の絵図、引立茶屋一覧、女郎屋、女郎一覧が載っていますが、冒頭『序』の部分を使って何かできないか……。この冊子を作っている“鱗(うろこ)の旦那”鱗形屋孫兵衛とは付き合いがあるのです。そこに長谷川平蔵がいつもの供回りを連れて来店します。

蔦重が駿河屋に案内する間、今日は初回なので花魁は口を聞かないしきたりながら、一時でも笑みを見せれば落ちたも同然、と平蔵をけしかけます。いざ花の井を迎えて宴を楽しむ平蔵ですが、ちらりと花の井を見ると大あくびです。焦りに焦る平蔵は、蔦重が教えてくれた“落ちるツボ”、紙花(チップ=1枚2万円程度)を大バラマキします。振り返った花の井はニヤリとし、平蔵は歓喜します。

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2025年1月10日 (金)

プレイバック花へんろ -風の昭和日記- (連続七回)・第三回

──昭和とは どんな眺めぞ 花遍路──

──日本は 一等國ぞ 春おぼろ──

春。富屋勧商場は夜と言えども大賑わいです。1階では勝二が忙しく動き回る中、お得意様の女性客にはウメ自ら接客をし、その横で源太郎がお茶を客に差し出します。店内にはレコードがかかり、多数の買い物客の一方で、一部の女性客は3階にまで上がって勧商場から見える海に歓声を上げていました。フサ子はサザエを静子の部屋に持ち込み、ふたりで波の音を楽しみます。

そこに来たのは花井靴院長です。沖の相島遊郭で“おじょろ(女郎)”をしていたおこうを、ひょんなことで引き取ることができ、その挨拶に来たわけです。身請けの金はウメが支払ってくれたようで、月々少しずつ返済していくことになりました。世の中は不景気で、日本はまだまだ貧しかったのです。

──日本は 三等国ぞ 春さむし──

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2025年1月 7日 (火)

プレイバック花へんろ -風の昭和日記- (連続七回)・第二回

──昭和とは どんな眺めぞ 花遍路──

昭和2(1927)年3月3日、富井勝二と東山静子の結婚式が、劇場・大正座で行われます。晴天にして風強し。舞台で手をつき頭を下げている勝二と静子ですが、升屋に促されて勝二が頭を上げたところ、舞台が突然回り始めて大騒ぎになります。ウメは升屋にどうなっているのかと声を上げますが、升屋も何がどうなっているのか状況が分からず困惑しきりです。

大正座は風早町にあるたった一つの劇場で町の文化の中心、大正12(1923)年に建てられました。興行がある日は朝7時に触れ太鼓が鳴り響きます。叩くのは靴病院の花井院長で、芝居のある時は裏方を務め、本業?は富屋の向かいの靴屋で修理を担っていました。ある日、誰かに追われて逃げて来たおこうという女郎が、下駄が割れて駆けこんできます。

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2025年1月 5日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・[新] (01)ありがた山の寒がらす ~江戸のメディア王へ蔦屋重三郎、波乱万丈の生涯~

吉原の町が火に包まれています。明和9(1772)年、半鐘が鳴り響き、人々は逃げ惑います。火の見櫓に登って半鐘を鳴らす男は黒煙に包まれながらも、人々に「逃げろ!」と叫びます。お前もそろそろ逃げろ! と促され、火の見櫓から降りようとする男は、火の手の方向に歩いていく幼なじみの女郎を見つけ、後を追いかけます。

女郎は神社のお稲荷さんにしがみつくさくらとあやめを見つけ、避難するよう促しますが、願い事が叶わなくなると言ってなかなか離れません。「こんなのありんした!」とどこからか背負子(しょいこ)を持ってきた姐さん女郎もいて、姐さんまで大概にしておくんなんし! と叱られる始末です。そのうち男が追いつきました。燃えなきゃいいんだな、と男はお稲荷さんをドブに落とし、祠を背負子に固定して避難を始めます。

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2025年1月 3日 (金)

プレイバック花へんろ -風の昭和日記- (連続七回)・[新] 第一回

──昭和とは どんな眺めぞ 花遍路──

大正12(1923)年9月1日──。裏口から辺りを見回しながら家を出て、入り口で頭を下げる東山静子は、すれ違ったお遍路さんとは真逆の方向に自転車で走り抜けていきます。海沿いの道を抜け、松山にたどり着きます。商家富屋の前で乞食行をし、施しをいただくお遍路さんに自転車で突っ込み、女遍路は「女子が自転車に乗るやなんて」と驚かせます。

店に上がり込んだ静子は叔母で富屋の実質的主人の富井ウメの腕を掴んで部屋に入ります。東京上野の音楽学校に入り歌手になりたいので、旅費を貸してほしいと頭を下げます。静子が歌が好きだというのはウメの兄(静子の父)から聞かされていますが、それでも父は反対だったはずです。食い下がる静子に、ウメは日本の歌を歌ってほしいと告げます。

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2024年12月31日 (火)

プレイバック夢千代日記・最終回 [終]

──私の病気は白血病です。三十五年前、広島でピカドンの光を浴びたせいです。でも私はピカドンの光を見ていません。母の胎内にいたのです。市駒さんを追って行った山根刑事さんは胃潰瘍で血を吐き、市駒さんの護送も人に任せて湯里に寝ています──

具合が悪く横たわる夢千代の様子をスミが見に来てくれました。木原医師に来てもらうことを勧めるスミですが、白血病は木原先生ではどうにもできないのです。芸者たちが揃って食卓に集まり朝ごはんです。しかし体調がすぐれない千代春は、スミが用意した朝ごはんには手を付けずに自分の部屋に戻っていきます。アコちゃんの横に座る金魚は、自分に宛てられた便せんに目を通して「何だァこれ!?」と声を上げます。

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