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2007年2月24日 (土)

いざない 〜タイトルバック編〜

“大河ドラマへのいざない”の第2回目です。

前回は“音楽編”と銘打って、
大河ドラマの主題曲や挿入曲についてお話ししました。


大河ドラマの主題曲が流れるとき、
画面では、何が流れているか?

そう、タイトル映像が流れますね。
つまり“タイトルバック”です。

というわけで、
今回は“タイトルバック編”をお届けします。


Kassy自身、タイトルバックの定義として、

  • 長編ドラマの短縮版(物語への伏線)
であり、
  • 3分弱の映像芸術作品
であると(勝手に)考えております。


最初に掲げた“長編ドラマの短縮版”ですが、
大河ドラマの総放送時間って、どれくらいだか分かりますか?

ドラマによって差はありますが、
ここ数年の大河ドラマでいえば、

1話45分 × 1年49話 = 2,205分 = 36時間45分
延長15分 × 2話(第1話・最終話) = 30分 で、


37時間15分


となります。

当然、この時間数というものには、
「総集編」は入れていないのですが、

2時間映画で換算すると18本余できる時間であり、
“大河”たる所以と言っても過言ではないと思います。


その超・膨大なストーリーを、
ポイントを押さえながら、視聴者に分かりやすい形で
見せていく必要がある。

……と、思うのです。


昨年放送の『功名が辻』を例として出すと、

タイトルバック終盤に、
こういう部分があったのは覚えてらっしゃるでしょうか。

Gb2301


城のシルエットに、
一本の線が巡り巡っています。


まずは線。

『功名が辻』というドラマは、
千代という女性を主人公に、夫の山内一豊と手を携え、
夫婦二人三脚で戦国の荒波を乗り越え、

ついに土佐20万石を手にするまでの物語です。

『功名が辻』スタッフは、この線に、
“夫婦の絆”という伏線を込めました。


実はこの線は、
タイトルバック全編通して出てきます。

冒頭の、毛むくじゃらの太い線。
中盤の、荒波から飛び散った水滴。
などなど。

つまり、1本の線が、
太さを変えたり、数本に枝分かれしたりすることで、

戦国の世を生き抜くための知恵

といいますか、
その時々に応じて自在に形(考え)を変えて乗り越えていく、
千代の姿を表したのではないかと思うのです。


そして城。

これは、山内一豊が晩年過ごした
高知城のシルエットです。

二人三脚で歩んできた最後が、高知城だった。

これだけで、
もう1年間のストーリーに匹敵する
立派な“短縮版”ですよね。

総放送時間が37時間15分 = 134,100秒 で、
テーマ音楽が2分45秒 = 165秒 ですから、
165/134,100、つまり、

1/812.73

という圧縮率になります。

数字だけ見ればすごいですよね。
不可能に近いとお思いかもしれませんが、
できちゃうんですねー。


ま、これは別段大河ドラマに限った話ではなく、
民放ドラマでも同じなのですが、

分かりやすい例でいきますと、
TBS制作の『3年B組金八先生』。

今まで全7シリーズが制作された、長寿ドラマです。

シリーズによって、扱うテーマは違うものの、
共通しているのは、この“タイトルバック”。

端的に言えば、登校シーンですね。

──────────

2番目の“映像芸術作品”ですが、
パッと頭に思い浮かぶのはコンピュータ・グラフィックス(以下CG)。

その草分け的存在になったのが、
平成7年放送『八代将軍吉宗』です。


CGを使用する場合、
1秒間に30コマ必要だといわれます。

2分45秒のタイトルバックと仮定して、
単純計算で4,950コマ必要なのですが、

1コマを更に細かく分け、
そのそれぞれで1秒30コマずつ作られたものを
最終的に合わせる、という制作手法のため、

実際にはもっと多くの、膨大な数のコマ数に
なろうかと思います。

Gb2302


和歌山城の実写版。
(実際には、実写で撮った映像を
CGで画像処理しています)


この和歌山城が、
花びらのように舞い散ったドットによって

Gb2303


このように、あたかも絵巻に
描かれたように変貌します。
これから、江戸絵巻の始まり始まりぃ〜♪


このタイトルバックは、
和歌山城を出発した吉宗ご一行が、
陸路、そして船を使って江戸へ向かう、というストーリーです。

単純に見れば、
「吉宗の参勤交代」というテーマにも思えますが、

伏線として、紀州藩主・徳川吉宗が
将軍として江戸へ向かう、というストーリーの伏線にも思えます。

そのストーリーを、ドラマディレクターはCGで描いたのです。


その効果のすばらしさは、
口で説明するよりも実際に見ていただいた方が
いいと思うのですが、

CGは、実写の不可能な動きを可能なものにできる、ということで、
『元禄繚乱』(平成11年放送)や『功名が辻』でも、
その技術を活かしています。

また、部分的ではありますが、
同じくCGを活用したものもあります。


ただ、Kassyは“CGがすべて!!”と
言っているわけではありません。

実写版でも、CGに頼らなくても、
すばらしい芸術作品が生み出されているからです。


たとえば、昭和53年の『黄金の日日』。

カット割りすることなく、ただひたすらに、
落日の様子を見せた、というシンプルなものでした。


つまり、タイトルバックの芸術作品というのは、

技術だけに頼ることなく、
いつ見ても美しい映像を、如何に後世に残していくか、
というものになろうかと思います。

──────────

さてさて、今年の『風林火山』。

全体的に、馬が走るイメージなのですが、
Kassyが最も好きな部分は、
中盤〜終盤の、馬が両足を上げて仁王立ちになる?ようなシーン。

単純に、馬が走っているだけでは面白くない! と思うのですが、
このような、いわば“特殊”な動きを見せるところに、
Kassyは惹かれています。


そこで、みなさんに問題!!

大河ドラマ『風林火山』のタイトルバック・中盤で、
ムカデが一瞬だけ出てきますが、

あれは何の意味なんでしょうねぇ?


昭和38年に放送された、大河ドラマ第1作『花の生涯』から、
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コメント

確か武田軍には「ムカデ隊」っちゅうのがあって
忍びではないばってん情報を収集してくるごたぁ部署やったような…
今でいうならCIAのような組織かな?
きっと風林火山の「風」の部分なんやろうけど、
武田軍は敵の動きをいち早く察知し(情報収集)即座に解析し行動に移したんやろうね
その頃から情報合戦があったなんて信じられないよなぁ~

実際の「百足」は足の本数は多いけど動きはすごく遅いよね
動きより本数言わばアンテナをよーけ張ってたっちゅうことなんやろね…ようわからんけど!

──────────

やまさーん、こんにちはー♪


やまさん……恐れ入りました〜。

m(_ _)m はは〜っ

やまさんって、ジャンル問わず何でもご存知なんですねー。
“広く浅く”ではなく“広く深く”ですねー。
驚きでした……。

投稿: ★やま | 2007年2月24日 (土) 17:52

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