いざない 〜音楽編〜
毎度ご乗車いただきまして、誠にありがとうございまーす。
Kassyは、ご存知の通り、
NHK大河ドラマ
好きな男なのであります。
大河ドラマデビューは、
Kassyが小学5年生の時の2月。
昭和62年放送『独眼竜政宗』からです。
このドラマは、時代劇物の大河ドラマとしては
4年ぶりに制作されたもので、
全話平均視聴率39.7%
という、現在に至るまで、
未だかつて破られたことのない
驚異的な数字を誇る最強番組であります。
(データは、株式会社ビデオリサーチの視聴率データから引用)
一般的に、大河ドラマは
「年表ドラマ」
「キャスティングが気に入らない」
などと、揶揄されるところでありますが、
見方をほんのちょっとズラしてあげたら、
これがまた面白いんよー。
( ̄-+ ̄) ふっ
というわけで、
「大河へのいざない」というタイトルで、
Kassy独自の視点のズラし方を書いて行こうと思います。
──────────
記念すべき第一回は「音楽編」。
一部の例外を除き、
基本的には、1作品につき1人の音楽家が
テーマ音楽および劇中音楽を作曲しています。
1作品あたり、どれぐらいの曲を作曲するのでしょう?
前述の『独眼竜政宗』をはじめ、
計5作の大河ドラマ音楽を担当した
池辺晋一郎さん (東京音楽大学) は、
「(朝ドラの)『君の名は』のときは1年間の番組でしたから、
どれだけ作ったのか数えてみたら1,010曲」
と、『八代将軍吉宗』インタビューで述べていました。
池辺さん自身、どれぐらい作曲しているか
知りたくなったんでしょう。
『八代将軍吉宗』で作曲した曲にナンバーをつけていくと、
「600いくつでした」
とのこと。
曲数は作曲家によって、
多少のばらつきはあるかと思いますが、
600曲前後というのは、およそ平均的な数字のようです。
ともかく、膨大な量になることはまちがいありません。
それにしても……なぜこんな量に?
『毛利元就』『利家とまつ』の音楽を担当した
渡辺俊幸さん (さだまさし音楽プロデューサー) は、
「ふつう連続ドラマは3ヶ月クールなら3ヶ月分を、
悲しみや喜びといったおおまかな括り(くくり)で、
何十曲かまとめて最初に作ってしまう。
そこから選曲の専門家が場面に合わせて
適当な曲を選び、はめこんでいくのが一般的です。
このやり方では
曲は大雑把(おおざっぱ)にしか映像に合わないし、
細かな音楽的演出をするのは不可能です」
と語っていました。
つまり、
大河ドラマの場合は「最初に曲ありき」ではなく、
「この悲しいシーンは1分32秒」
「最初は闘志をメラメラ燃やし、46秒目から急転、
主人公が駆け出して、最終的に58秒で終わらせて」
など、
収録進行や編集作業に合わせて、
演出(=監督)からの半ば無理な注文を聞きながら
作り上げていくようです。
だから、出だしや曲調など、似ている部分はあるにせよ、
ほとんどの曲は、
その時限り (使い回ししない) なのではないでしょうか。
ドラマ音楽とは、
意識されれば大失敗。
あくまでも“隠し味”として、シーンを演出できれば成功。
と言われています。
音楽家の方々も、さまざまいらっしゃって、
大河ドラマの収録の様子を見に行って、
現場のあまりの熱気に「ウカウカしておられん!!」と、
急いで自宅へ戻って、一気に書き上げる方。
街に買い物に出かけている時に、
ふとメロディが浮かんだ。
でも今は、楽譜もペンも手元にないから、
忘れないように大声で歌いながら自宅に戻り、
思い出しながら書き上げた方。
演出家が出した条件に沿って数パターン作曲し、
その中からじっくり選んでいく方。
音楽家ゆえの、
大河ドラマブランドに対する“悩み”を知ると、
けっこう面白いでしょー?
日本を代表する音楽家(&歌手)の方々が、
これまでの大河ドラマに登場する──。
これぞまさしく、
大河ドラマの“紅白歌合戦”
のようではありませんか。
ところで、
大河ドラマのテーマ音楽に多いパターンは、
A→B→A'
急→緩→急
という、
スタートは躍動感あふれる部分、
中間は穏やかな、なめらかな流れになり、
ラストは冒頭の再来で、
「ジャン!!」と終わるパターンが多いんです。
そのパターンを、
上手い具合にスッと外したのが、
三枝成彰さん (東京音楽大学教授) が作曲した
『太平記』。
スローテンポの厳かな感じで音楽が始まり、
途中からアップテンポに変わって、
最後まで駆け抜けていく音楽です。
また、三枝さんは『花の乱』でも、
ピアノの独奏からおとなしく始まり、
他楽器の音が少しずつ後をついてくるにつれて
アップテンポに変わり、
ラストは壮大なスケールで終わる、といった
パターン崩しのテーマ音楽も作曲されました。
Kassyは、とても衝撃を受けました。
また、
放送当時は大して記憶が残らないような作品も、
後から聴き、味わってみると、
意外といいんじゃなーい♪ \(^_^)/
というものも。
何というのでしょう、
“噛めば噛むほど旨くなる”音楽…っていうのかな?
(^_^;;)
難解ではなく、いつまでも記憶に残るいいメロディ、
印象に残るメロディ、
そして、音楽を聴いてついついドラマを見てしまう、
そんなメロディ。
こうあってほしいなと思います。
──────────
さてさて。
その“紅白歌合戦”46番目に登場したのは
千住 明さん。
野島作品をはじめ、
数々のドラマや映画に曲を提供してきた
音楽プロデューサーです。
最近では、映画『涙そうそう』も担当されました。
ちなみに大河ドラマには初登場。
『風林火山』テーマ音楽を聴いて、
大河ドラマの王道をゆく音楽だなー、と感じました。
確かに、千住さんはインタビューで、
「これぞ大河という直球を投げたいと思っています。
ましてや今回は、大河の王道をいくような物語ですから、
音楽も本流でいきたい」
と、おっしゃっていました。
Kassyは、劇中音楽に対して、
千住音楽独特の繊細さ、とでも言いましょうか、
山本勘助という主人公の「内面」をどう描くんだろう?
戦国時代の背景とのギャップを音楽でどう表現するんだろう?
といった、物語の荒々しさと音楽の繊細さ、
この二面性を期待しています。
『風林火山』オリジナル・サウンドトラックが、
2007年2月28日発売予定!
(当初の予定より1ヶ月ほど遅れてるんですけどねー)
詳細はコチラ。
音楽だけを聴いて、シーンが頭に浮かんだら
“大成功!”という証です。
長らくのご乗車、ありがとうございましたー。
終点到着でーす。
どちら様も、Kassy号をお忘れになりませんよう、
充分ご注意くださーい。
| 固定リンク
「NHK大河ドラマ」カテゴリの記事
- 「麒麟がくる」までお待ちください キャスト・スタッフが明かす大河ドラマの舞台裏(2020.07.26)
- 「麒麟がくる」までお待ちください 戦国大河ドラマ名場面スペシャル「秀吉」(2020.07.12)
- 「麒麟がくる」までお待ちください 戦国大河ドラマ名場面スペシャル「利家とまつ」(2020.06.28)
- 「麒麟がくる」までお待ちください 戦国大河ドラマ名場面スペシャル「国盗り物語」(2020.06.21)
- 「麒麟がくる」までお待ちください 戦国大河ドラマ名場面スペシャル「独眼竜政宗」(2020.06.14)
コメント
『独眼竜政宗』ですかぁ~
確か「梵天丸はかくありたい!」ってセリフが流行ったような気がするよん♪
大河ドラマの音楽かぁ~
いままで気にしたことなかったけどやっぱいい感じがするよねぇ~
一流どこの作曲家にNHKフィルハーモニー交響楽団だよね
何かの折に過去の分も聞いてみたい気がしてきたよん♪
──────────
やまさん、いらっしゃいませ♪
です! です!!
「梵天丸も……」は、ホントに流行語になりましたね。
あれは確か、独眼竜政宗・第2回「不動明王」で、
天然痘によって片目を失った梵天丸が、
己の見にくさに愕然とし、現実を受け止めることができず、
鶏に乱暴するなどして荒れていた時。
傅役の喜多(竹下景子さん)が連れて行ったお堂で、
不動明王を見た梵天丸が
「仏様が、なぜこのような恐ろしい顔をしているのだ?」と聞くと、
「恐ろしい顔をしているのは悪を懲らしめるため。
不動明王は、優しい仏様じゃ」と
後に指南役となる虎哉宗乙(大滝秀治さん)に言われ、
不動明王と、恐ろしい顔をしている自分の姿とが重なったのでしょう。
その時に言ったセリフが、
「梵天丸も、かくありたい」
だったんですねー♪
言葉だけ聞いても“深いなぁ”って思えるけど、
ドラマ背景を知れば、なお“深い”って思っていただけますでしょ?
過去の大河ドラマ・テーマ音楽を聴いたら、
けっこう懐かしく感じられると思いますよ〜。
オススメです♪
投稿: ★やま | 2007年2月 7日 (水) 19:34