大河ドラマ風林火山・(30)天下への道
今日は、武田家のお話はいったんお休み。
越後の長尾家(後の上杉家)を中心に物語は進みました。
塩尻峠の戦いで晴信が小笠原軍を打ち破ったころ、
越後に新たな動きが出ていました。
長尾家の家督争いが一旦決着し、
晴景から弟の景虎へ──。
当主の座がいよいよ移ったのであります。
この長尾景虎の登場シーンには琵琶の音が当てられていて、
景虎の妖艶さが際立って表現されております。
さらに、景虎といえば「毘沙門天」ですね。
19年前の『武田信玄』でも、柴田恭兵さん扮する上杉謙信が
毘沙門天像の前に座し、一心不乱に祈るシーンが多かったですね。
景虎は、それだけ信心深い人物だったのでしょうね。
景虎のお世話をするために、直江実綱は娘・浪を差し出します。
ただ今回の景虎は、ただただ嫌気が差してしまいます。
「なにゆえみな欲を捨てぬ!」
と声を高らかに言い放ちますが、
その言葉は当然ながら浪に向けられたものではありません。
恐縮する浪に対して
「そなたに言うたのではない」とのフォローつきであります。
でもまぁそうでしょうね。
権力者に何らかの形で取り入り、自分の立場を揺るぎないようにするのは
哀しいながら世の常であります。
直江演じる西岡徳馬さん(※「徳」の字は旧字体)は、
こういう裏工作が非常にお似合いでありまして、
ちなみに平成3年の大河『太平記』では、
鎌倉幕府の実権者・内管領の長崎円喜(フランキー堺さん)の息子役で、
賄賂を受け取って幕府内で大問題になるという長崎高資役でした。
そして浪ですが、景虎の侍女となり、
身の回りのお世話をする実在の人物なのですが、
後に景虎を心から愛するようになる、運命の女性であります。
越後は相変わらず群雄割拠が続いており、
景虎はなかなか越後国内の統一を果たせませんでした。
越後統一の鍵を握っていたのが宇佐美定満なのですが、
宇佐見の登場前から、直江は
「宇佐見にはお気をつけを」と景虎に忠告します。
軍師・宇佐見定満……演者はKassyの大好きな緒形 拳さん、
満を持しての登場であります!
拳さんの大河ドラマ出演履歴を見る限りでは、
ほとんどが大名役でありまして、家臣役というのは非常に珍しいです。
それだけに『風林火山』後半のトリにはもってこいの人物であります。
そんな宇佐美。
景虎が越後国主としてふさわしい男かどうかを見極めようと
模様眺めを悠長に続けていました。
実は今回、この宇佐見以外にも、
大河ドラマの初出演組が非常に多いのです。
柿崎景家役の金田賢一さん。
昨年の大河『功名が辻』の田中吉政役に続き、
先日紹介した高田延彦さん同様、2年連続出演であります。
金田さんを見ていると、
昭和55年大河『獅子の時代』での弥太郎役を思い出してしまうのですが、
あの時の、あか抜けない感じの若者という感じよりは、
非常に貫禄がついてきております。
桃役(綾?)の西田尚美さん。
景虎の実姉にあたる人物でありまして、
再来年の大河『天地人』の主役・直江兼続を
自身の次男・上杉景勝に推挙した人物であると伝えられます。
上杉定実役の鈴木瑞穂さんは御年80歳。
平成12年の大河『葵 徳川三代』での板倉勝重役以来、
7年ぶり13作目の出演であります。
上杉定実とは、越後国守護・上杉氏の当主でして、
長尾景虎の外叔父にあたる人物であります。
晴景と景虎の争いが起こると景虎の擁立に尽力したそうです。
さて。
ストーリーは一旦長尾家から離れ、武田家に戻ります。
信濃情勢が落ち着く中、勘助は鉄砲探しの旅に出ます。
勘助は、第23回「河越夜戦」のラストで
福島彦十郎が撃ち放った鉄砲玉にあたって重傷を負っていますが、
だからこそ、鉄砲が将来の合戦を左右すると見抜いた勘助は、
鉄砲の産地である根来寺に出向いて、買い付けに成功します。
ちなみに鉄砲伝来は、今回の時代(1548年)の5年前の話でして、
ニックネームは「種子島」(笑!)。
一緒についてきた伝兵衛は、
鉄砲を撃つように勘助に促され、初めて鉄砲を手にします。
勘助の「放て!」との声に合わせて銃声を響かせますが、
初めてにしては、非常に度胸がある男であります。
ただ、的に当たったかどうかは……ナゾ(^ ^)。
場面は更に変わり、上田原で武田を蹴散らした村上家。
矢崎十吾郎に仕える平蔵が、弓矢の腕を披露しています。
平蔵が矢崎家に戻ると、ヒサをめぐって大問題が発生しています。
どうやら十吾郎がヒサを嫁に出すように言われたのでしょう。
ヒサの立場としては「到底お受けできませぬ」と断りますが、
平蔵の立場としては、十吾郎やヒサの立場を考え、
涙をのんで送り出すしか方法はありません。
そう、ヒサは平蔵にぞっこんでありまして、
その気持ちを知っている平蔵は、内心複雑なのであります。
しかし、十吾郎から飛び出した言葉は、非常に驚くべき言葉でした。
「平蔵はそれでいいのか?」と。
平蔵がヒサに助けられたころ(矢崎家にやってきたころ)は、
平蔵に惚れているヒサから平蔵を遠ざけようと画策をしていた父親ですが、
暗に、平蔵とヒサの関係を認めているわけです。
「そなた(←平蔵)に“父上”と呼ばれたいのじゃ!!」
その言葉を聞き、平蔵は涙をポロポロ……。
心の中で、ヒサを守り抜く決心をする平蔵であります。
さらにストーリーは駿河の今川家へ移ります。
鉄砲の買い付けに成功した勘助は、鉄砲の運搬には舟と港が必要だと考え、
駿河に立ち寄って港の借用を今川義元に願い出ます。
勘助嫌いな義元は「甲斐の世話はもうたくさんだ」と
イヤミたっぷりなのですが、義元の母親である寿桂尼は
「港など貸してやればよい」と太っ腹な態度であります。
一度、勘助に生命の危機を救ってもらっている寿桂尼なので、
勘助には一目置いているようです。
そしてその席で、
北条氏康に追い詰められた関東管領・上杉憲政に
景虎が損得抜きで援軍を送ったと聞き、
勘助は景虎に興味を抱きます。
「ながおかげとら──」
このセリフ、勘助をはじめとする主要キャストが連発していましたね。
そこまで景虎の名前をお茶の間桟敷の視聴者に洗脳させなくても……と
一瞬だけ頭をよぎりましたKassyであります。
さっそく甲斐に戻った勘助。
上田原の戦いの失策から見事に立ち直った晴信に対し、
勘助独自の、今後の構想を打ち明けます。
そのために、将来の敵の内情を探るべく
越後に潜入したいと晴信に願い出ます。
──────────
タイトルバック・オープニングの
「疾きこと風の如く……」というナレーション部分。
相変わらず勘助役の内野聖陽さんが担当しておられますが、
今回から若干重々しいトーンに変更されましたね。
みなさん気づきましたか?
原作:井上 靖 (『風林火山』新潮社 刊)
脚本:大森 寿美男
音楽:千住 明
題字:柿沼 康二
語り:加賀美 幸子
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[出演]
内野 聖陽 (山本勘助)
市川 亀治郎 (武田晴信)
ガクト(Gackt) (長尾景虎)
金田 明夫 (飯富虎昌)
田辺 誠一 (小山田信有)
高橋 和也 (馬場信春)
金田 賢一 (柿崎景家)
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谷原 章介 (今川義元)
佐藤 隆太 (平蔵)
水川 あさみ (ヒサ)
西田 尚美 (桃)
横内 正 (清水吉政)
鹿内 孝 (須田新左衛門)
木村 元 (本庄実仍)
大橋 吾郎 (大熊朝秀)
吉田 鋼太郎 (津田監物)
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西岡 徳馬 (直江実綱)
市川 左團次 (上杉憲政)
永島 敏行 (村上義清)
伊武 雅刀 (太原崇孚雪斎)
松井 誠 (北条氏康)
鈴木 瑞穂 (上杉定実)
加藤 武 (諸角虎定)
藤村 志保 (寿桂尼)
緒形 拳 (宇佐美定満)
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制作統括:若泉 久朗
制作:中村 高志
演出:清水 一彦
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『風林火山』
第31回「裏切りの城」
アナログ総合・デジタル総合:午後8時〜
デジタルハイビジョン:午後6時〜
衛星第二テレビ:午後10時〜
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コメント
見たよ見たよ!
僕の好きな謙信をガクトでした、
──────────
うっちゃんさーん。
ご覧になりました?
そうです、上杉謙信はGacktさんでした!
番組放送前の出演者発表の時は
「なんでGacktやねん(-"-)」と反発のKassyでしたが、
実際にOn Airを見てみると、彼独自の妖艶さが出ていて、
「あれ? 意外といけるかも?」と安心してみていられますね。
投稿: ★うっちゃん | 2007年7月29日 (日) 21:53
あらっ!
さっきコメしたと思うたら更新されちょらん…(トホホ)
んと何を書いたんだっけぇ~
あっ!そうそう
昨日の謙信役のガクトくんやった!
妖艶な怪しげな雰囲気やったよなぁ~
昔の映画「魔界転生」の天草四郎役の沢田研二を思い出したぞえ(笑)
信長が最後に恐れた武将が謙信だす
彼がトイレで倒れて(脳溢血?脳卒中?)いなかったら
信長と謙信は対峙してその後の歴史は大きく変わっとったちゃたろうね
それだけ謙信軍は統率がとれて強かったらしいけん…
──────────
やまさーん。
連続コメントありがとうございまーす。
>さっきコメしたと思うたら更新されちょらん…(トホホ)
すいませんねぇ〜、何度も何度も。
ご迷惑をおかけいたしやす♪
>妖艶な怪しげな雰囲気やったよなぁ~
ですよねー。
ホントに「怪しげな」という言葉がお似合いな、
ナゾの雰囲気を醸し出していましたね。
>信長と謙信は対峙してその後の歴史は大きく変わっとったちゃたろうね
そうですねー。
歴史に「たら」「れば」は御法度でしょうけど、
やまさんがおっしゃるように考えると
歴史って面白いんですよね〜。
投稿: ★やま | 2007年7月30日 (月) 21:46