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2007年7月31日 (火)

いざない 〜題字編〜

“大河ドラマへのいざない”の第9回目です。

このコーナーも、残すところあと2回となりました。
大河ドラマに興味のないみなさまも、
どうかあと2回だけはこらえてくださいませ(^ ^;;)

とはいえ。

あくまで終了予定なのは“大河ドラマへのいざない”でありまして、
このコーナーが次回終わっても、実は別の大河ネタの企画が控えているのです。

……あしからず(笑!)。


さて、前回は“エンディング編”と銘打って、
大河ドラマの各作品最終回のエンディングの迎え方についてお話ししました。

今まで、まぁホントにいろいろと、
大河ドラマの細部をほじくり出すような部分をお話ししてきました。
大河ドラマの“顔”ともいうべき存在は、
主演役者さんと並んで、ドラマのタイトル題字でもあります。

今回は、タイトル題字についてお話ししたいと思います。


大河のタイトル題字って、どなたが書いてらっしゃるのでしょうね?

ほとんどの場合、NHK内のアート部(だったかな?)に所属する
専属スタッフの方の書によるもののようです。

しかし、そうではない場合もあります。


例えば、有名な書家の方に依頼して、独特の表情にしたい場合。
今年の『風林火山』は、この場合に当てはまります。
ちなみに『風林火山』を担当されたのは、書家の柿沼康二氏。

題字の制作前は、アトリエの周りを毎日ランニングしたそうで、
「“風”になり“林”になり“火”になり“山”になった自分を
イメージしながら、酸欠になって手足がしびれてくるまで走」ったんだとか。
そこまで肉体を酷使することで、
体内の細胞がプチプチと音を立てて再生してくるような感じがして、
得体の知れないエネルギーが体中に満ちてくるんだそうです。
([出典]大河ドラマストーリー『風林火山』P97より)

こうして出来上がったタイトル題字がコチラ。
Furinkazan_1

一筆入魂する際にできた文字間の空白に飛び散らばった墨、
つまり「飛墨」が、エネルギッシュというか、
作品の生命力がひしひしと伝わってきますね。


NHKの専属スタッフや書家の方による部分が大部分を占める中、
以下のような方々も、実はタイトル題字を担当しておられます。

『炎(ほむら) 立つ』を担当されたのは、
元天台座主で天台宗253世の山田恵諦大僧正。
恐らくは、大河ドラマのタイトル題字を担当された数々の方のうちで、
最もご高齢(当時御年99〜100歳?)ではないかと思われます。

ドラマ関係者としては、
『翔ぶが如く』の原作者・司馬遼太郎氏、
『葵 徳川三代』の脚本担当・ジェームス三木氏、
『利家とまつ』の脚本担当・竹山 洋氏など。


また、演劇界からは、
『八代将軍吉宗』を仲代達矢氏が、『秀吉』を森繁久彌氏が
担当されました。

仲代氏は、数百枚にもわたって題字を書き続け、
その中の1枚を慎重に選び出してスタッフに渡したそうですが、
森繁氏は、スタッフによる直接の題字制作依頼に対し、
その場でスラスラと書き上げ、「ほれ」と手渡したとか。

タイトル題字、と一口に言っても、
人それぞれいろんな取り組み方があるんですね!


さらに、題字に関するサプライズ。

『花の乱』の題字は、切り絵作家・宮田雅之氏によるものですが、
実はスタッフが宮田氏のところに制作依頼をしたのではないそうです。

ある日、『花の乱』制作発表の報道が翌朝の新聞に掲載されたのですが、
その『花の乱』という独特の(?)響きに魅せられ、
思わず切ってしまったとかで、
その話が『花の乱』スタッフにまで及び、
結局は題字として採用したという経緯です。

こんな不思議なことっていうのもあるんですね〜。
Hananoran_1

しかも宮田氏、このことがきっかけで、
各回のサブタイトルの切り文字と、1話ごとにつけられる切り絵も
担当することになったというから驚きです。

(タイトル題字・サブタイトルと1話ごとの切り絵は
「宮田雅之切り絵画集・花の乱」(NHK出版) で見ることができます。
放送からすでに13年が経過しているので絶版の可能性が大ですから、
大きな図書館などで蔵書を探してみると、もしかしてあるかも?)


それから、
『毛利元就』の題字は、なんとご本人(!!)。
そう、戦国大名・毛利元就直筆の書状から抜き取ったものでして、
テーマ音楽とともに流れるタイトルバック(出演者・スタッフ紹介)にも
 >タイトル題字:毛利元就(自筆書状より)
とありましたね(^ ^)


そしてこれは、正式なタイトル題字ではないようなので、
ご覧になった方はもしかしたら少ないのかもしれませんが、

『徳川慶喜』の主演・本木雅弘氏が書いた“裏題字”であります。
Tokugawayoshinobu

番組用のタイトル題字は、隷書体という字体で書かれたものなのですが、
それとは別に作られたようでして、Kassyが確認した中では、
今のところNHK大河ドラマ・ストーリーに使われているのみです。
(もしかしたら、番宣ポスターやテレカなどに使われているかも)

ちょっと貴重なものですね。


題字、といっても、
『徳川慶喜』(正式版)のように人の手によらないものもあるのですが、
代表的なものは『北条時宗』でしょうか。
Hojotokimune

どうしてこういう題字になったか、その詳細は不明なのですが、
タイトルバック制作の延長上に題字の制作があったように思われます。

タイトルバック冒頭の「石盤のなかを動いている文字は、
クビライ・カァンの生涯の中で戦ってきたライバルたちの名前」だそうで、
([出典]Wikipedia「北条時宗(NHK大河ドラマ)」)
その中にも、ドラマの主人公となる北条時宗の名が入っているわけです。
だから恐らくは、その時宗の名前もモンゴル文字ふうにしたのではないか?
……と思うのですが、正確なところはわかりません(^ ^;;)


ここまで、作品ごとにタイトル題字について追ってみましたが、
やはり共通して言えるのは、
男性が主役の場合は、太くて力強い書が多いですし、
女性が主役の場合は、流れるようなあたりのいい書が多いですね。

来年の大河ドラマは『篤姫』、2年ぶりの女性主役のドラマです。
どういう感じのタイトル題字が出来上がるか、
ぜひぜひチェックしてみてくださいね!

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コメント

アカイさんのノートにもこれらの題字について詳しく書かれています。なお、現代劇として放送された『山河燃ゆ』の題字も活字風のものです。特設ページに歴代大河作品の題字が載っているので、ぜひご覧ください。

個人的に興味を持った題字の担当者の一人に、『炎立つ』の題字を担当された山田恵諦大僧正がいます。作風については評価の割れた作品ですが、この題字はなかなかのものです。放送終了直前に亡くなられたわけですが、もし存命で、中島氏脚本の『元禄繚乱』や高橋氏原作の『北条時宗』を視聴されていれば、どう思われたか気になるところです。

──────────

旭川の自称美女さーん。初めまして!
Kassyです。コメントありがとうございます!


>アカイさんのノートにも
「アカイさんのノート」で検索して
初めてそういった記事があることを知りました。
NHKのスタッフさんが綴られているのですね。

個人的に資料を集めているKassyよりは
資料数は豊富で、かなり詳細に書かれてあるので
時間をかけてじっくりと拝見したいと思います。
ありがとうございます!


>特設ページに歴代大河作品の題字が載っている
ありがとうございます。

大河のタイトル題字も50作品揃ったら
なかなか壮観ですよね〜。

あ、大河の題字もそうですけど
朝ドラ(連続テレビ小説)のタイトル題字も
なかなか魅力的でおもしろいですよ!


>『元禄繚乱』や『北条時宗』を視聴されていれば
確かにそうですよねぇ。
ちと気になるところです(^ ^)

Kassyが興味を持った題字は、
『炎立つ』の次作の『花の乱』ですかね。
偶然が偶然を呼び……という成り立ちにも驚きですが、
やはり切り文字で表現する難しさというのもあります。

あとは、恐らくはNHKの美術スタッフさんの
手によるものだと思うので お名前は分かりませんが、
『花の生涯』『国盗り物語』『春日局』などを
担当された方の字はとても好きで、

『春日局』当時、中学2年生だった私が
自らの字の雑さをその題字&キャストテロップで
矯正した(笑)という思い入れの強いものでした(^ ^;;)

投稿: ★旭川の自称美女 | 2011年2月14日 (月) 09:21

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