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2008年10月31日 (金)

vol.38 元禄繚乱

◆舞台の時代

[平安][鎌倉][室町][戦国][江戸初期][江戸中期][幕末][近代][昭和]

延宝6(1678)年〜元禄16(1703)年


◆放送データ

  • 放送期間:平成11年1月10日〜12月12日(全49回)
  • 毎週日曜 午後8時〜8時45分
    (1) 家老見習い は午後8時〜9時
    (14) 大名火消し は午後7時15分〜8時
  • 初回視聴率:25.0%
  • 最高視聴率:28.5%
  • 平均視聴率:20.2%


◆番組放送日と各回サブタイトル

  1. 1/10 家老見習い
  2. 1/17 五代将軍 綱吉
  3. 1/24 お取り潰し
  4. 1/31 赤穂お国入り
  5. 2/-7 お世継ぎ祈願
  6. 2/14 殿中刃傷
  7. 2/21 華燭の典
  8. 2/28 内蔵助の縁談
  9. 3/-7 野望
  10. 3/14 三人阿久利
  11. 3/21 養子縁組
  12. 3/28 城請け取り
  13. 4/-4 誘拐
  14. 4/11 大名火消し
  15. 4/18 赤子騒動
  16. 4/25 蝮と毒虫
  17. 5/-2 将軍暗殺
  18. 5/-9 勅使饗応役
  19. 5/16 刃傷 松の廊下
  20. 5/23 内匠頭切腹
  21. 5/30 大評定
  22. 6/-6 神文血判
  23. 6/13 赤穂開城
  24. 6/20 鎮魂歌
  25. 6/27 山科閉居
  26. 7/-4 江戸急進派
  27. 7/11 内蔵助 江戸へ
  28. 7/18 再会
  29. 7/25 脱落者
  30. 8/-1 辞世の句
  31. 8/-8 浮さま
  32. 8/15 お軽
  33. 8/22 一位さま
  34. 8/29 内蔵助外し
  35. 9/-5 跡目相続
  36. 9/12 決断
  37. 9/19 幕府への反逆
  38. 9/26 神文返し
  39. 10/-3 訣別の朝
  40. 10/10 内蔵助 東下り
  41. 10/17 吉良邸絵図
  42. 10/24 帰らぬ人々
  43. 10/31 吉良の茶会
  44. 11/-7 いざ討入り
  45. 11/14 討入り危うし
  46. 11/21 討入りの日
  47. 11/28 四十七士討入り
  48. 12/-5 四家お預け
  49. 12/12 忠義の士

12/27 総集編第一回 時は元禄 (午後9時10分〜10時10分) →(1)〜(18)
12/28 総集編第二回 刃傷 松の廊下 (午後9時10分〜10時10分) →(19)〜(23)
12/29 総集編第三回 討入りへの道 (午後9時10分〜10時10分) →(24)〜(40)
12/30 総集編第四回 内蔵助切腹 (午後9時10分〜10時10分) →(41)〜(49)


◆あらすじ

 元禄14年(1603)、浅野内匠頭は殿中で吉良上野介に斬りつけ即日切腹、吉良はおかまいなしとなった。赤穂藩家老・大石内蔵助はこの処分を不当とし、吉良討ちを図る。密偵によってそれを知った側用人・柳沢吉保は、吉良の嫡男・上杉と浅野本家を戦わせ、両家を共に取りつぶそうと謀る。
 浅野藩赤穂浪士の吉良屋敷討入りはなぜ成功したのか。側用人柳沢吉保の大名取りつぶし策、上杉、朝の本家のお家防衛など、新解釈を織り込んで、松の廊下の刃傷の25年前から物語は始まり、討入りまでの経過をたどる。


◆トピック

  1. 江戸時代前期が舞台の大河は、平成5年「琉球の風」以来6年ぶり8作目。
  2. 舟橋聖一原作の作品は、昭和38年「花の生涯」以来37年ぶり2作目。
  3. 中島丈博脚本の作品は、平成5〜6年「炎 立つ」以来5年ぶり4作目。脚本部門では最多の執筆回数である。
  4. 池辺晋一郎音楽の作品は、平成7年「八代将軍吉宗」以来4年ぶり5作目。音楽部門では最多である。今回も「八代将軍吉宗」同様、出演者の多さに合わせて、通常バージョンと、それよりも10秒程度短いショートバージョンの2パターンが作られたが、ほとんどがショートバージョンだった。サウンドトラック版で収録されているのは、通常バージョンの方である。
  5. 主演俳優が二役を演じるのは、平成6年「花の乱」以来5年ぶり3作目。
  6. タイトルバックは、舞台となる元禄時代を絵巻風にCGで表現したもの。「八代将軍吉宗」と同じ手法で作られているが、ストーリー性を持たせたものというよりは、湯上がり美人を見て頬を赤らめる獅子舞や花の中で舞う天女など、より娯楽性の高い作品となっている。元禄文化をベースにした遊び心たっぷりのタイトルバックであり、画像の細かいところでも人物たちが生き生きと描かれ、工夫されていることはどちらの作品にも共通して言えることであろう。


◆主要スタッフと出演者

脚本:中島 丈博

原作:舟橋 聖一 (「新・忠臣蔵」より)

音楽:池辺 晋一郎

テーマ音楽演奏:NHK交響楽団
テーマ音楽指揮:秋山 和慶
演奏:東京コンサーツ
時代考証:竹内 誠
風俗考証:小澤 弘
建築考証:平井 聖
衣装考証:小泉 清子
振付・所作指導:猿若 清三郎
殺陣・武術指導:林 邦史朗
CG制作:小畑 正好・吉田 祐司・馬島 亮
題字:渡辺 裕英

語り:国井 雅比古 アナウンサー (本編)
   岸本 多万重 アナウンサー (元禄繚乱紀行)

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[5]中村 勘九郎[[18]中村 勘三郎] (大石内蔵助)([6]中村勘三郎)

大竹 しのぶ (りく)

[2]中村 七之助 (大石主税)(女形)
牟田 悌三 (堀部弥兵衛)
阿部 寛 (中山(堀部)安兵衛)
今井 翼 (矢頭右衛門七)
辰巳 琢郎 (大高源五)
橋爪 淳 (片岡源五右衛門)
井川 比佐志 (原 惣右衛門)
葛山 信吾 (岡野金右衛門)
杉本 哲太 (不破数右衛門)
三浦 浩一 (神崎与五郎)
山本 學 (吉田忠左衛門)
猿若 裕貴 (吉田沢右衛門)
六平 直政 (奥田孫太夫)
内田 滋啓[内田 滋] (礒貝十郎左衛門)
菅原 加織 (寺坂吉右衛門)
マギー (近松勘六)
碇 浩二 (武林唯七)
小倉 久寛 (前原伊助)
安達 祐実 (お軽)
愛川 欽也 (大石頼母助)
[4]中村 梅之助 (石束源五兵衛)
東山 紀之 (浅野内匠頭)
宮沢 りえ (阿久利(瑶泉院))
赤坂 晃 (浅野大学(長広))
山口 崇 (大野九郎兵衛)
東野 英心 (藤井又左衛門)
冷泉 公裕 (安井彦右衛門)
柄本 明 (進藤源四郎)
堤 真一 (高田郡兵衛)
寺田 農 (奥野将監)
加藤 久詞 (田中貞四郎)
井手 らっきょ (小山田庄左衛門)
松澤 一之 (多川九左衛門)
品川 徹 (矢頭長助)
宮崎 あおい (矢頭さよ)

堀内 正美 (徳川家綱)
涼風 真世 (鷹司信子)
鈴木 砂羽 (お伝)
京 マチ子 (桂昌院)
瑳川 哲朗 (酒井雅楽頭)
村井 国夫 (堀田備中守(筑前守))
村上 弘明 (柳沢吉保)
篠原 涼子 (定子)
鈴木 保奈美 (染子)
海野 けい子 (町子)
高橋 一生 (柳沢吉里)
浅利 陽介 (柳沢兵部(吉里の少年時代))
神山 寛 (大久保加賀守)
宗近 晴見 (小笠原佐渡守)
本田 博太郎 (稲葉石見守)
近藤 正臣 (牧野成貞)
渡辺 えり子 (阿久利)
椋木 美羽 (安子)
宅麻 伸 (上杉綱憲)
菅原 文太 (細川越中守)
北村 総一朗 (田村右京太夫)
磯部 勉 (戸田采女正)
阿部 サダヲ (真田信就)
斉木 しげる (本庄資俊)
藤堂 新二 (藤堂高久)
石塚 英彦 (鍋島摂津守)
滝田 栄 (仙石伯耆守)
西岡 徳馬 (荒木十左衛門)
萩原 流行 (土屋主税)
生瀬 勝久 (多門伝八郎)
升 毅 (荻原重秀)
梅野 泰靖 (萱野七郎左衛門)
デビット 伊東 (萱野重通)
篠井 英介 (隆光)
上杉 祥三 (荻生徂徠)
竜 雷太 (千坂兵部)
加藤 武 (進藤七郎右衛門)
石田 太郎 (堀内伝右衛門)
宮尾 すすむ (石井又右衛門)
石濱 朗 (近衛基煕)
頭師 孝雄 (鷹司兼煕)
伊藤 俊人 (正親町公通)
[3]中村 橋之助 (公弁法親王)

石坂 浩二 (吉良上野介)
夏木 マリ (富子)
滝沢 秀明 (吉良義周)
誠 直也 (小林平八郎)
大森 貴人[大森 匡太郎] (清水一学)
益富 信孝 (左右田孫兵衛)
高岡 早紀 (お順)
林 邦史朗 (奥村無我)
松村 達雄 (山田宗徧)〈ぎょうにんべん+扁〉
伊藤 孝雄 (山鹿素行)
片岡 鶴太郎 (英 一蝶)
笑福亭 鶴瓶 (並木千柳)
[12]市川 團十郎 (鎌倉権五郎:[1]市川 團十郎/劇中芝居)
国本 武春 (宝井其角)
ラサール 石井 (紀伊国屋文左衛門)
嶋田 久作 (奈良屋茂左衛門)
津村 鷹志 (綾瀬屋久兵衛)
根本 りつ子 (いく)
明石家 さんま (笹屋の主人)
[4]桂 三木助 (小山屋の主人)
杉本 彩 (浮橋)
吉田 栄作 (岡島忠嗣)
南 果歩 (おまさ)
柳沢 慎吾 (猿橋無差之助)
甲本 雅裕 (唐津縫之助)
ダンカン (豊松)
中山 エミリ (お艶)
山下 容莉枝 (おさよ)
広田 レオナ (浦里)
中山 仁 (岡島成忠)
高知 東生 (岡島忠宗)
岡本 綾 (岡島伊代)
阿知波 悟美 (越路)
古田 新太 (山村屋金兵衛)
山田 まりあ (染八)
安藤 一夫 (渡辺甚之丞)
小林 正寛 (青地進之丞)
近藤 芳正 (宮脇太郎次)
羽野 晶紀 (藤尾)
小沢 真珠 (玉路)
奥菜 恵 (浅路)
蔵野 孝洋[ほんこん] (小間物屋)
青野 武 (佐藤直方(声))
今井 耐介 (誓願寺僧侶)(護持院の僧)
新 実 (刺客)
田中 要次 (寺男)

松平 健 (色部又四郎)

萩原 健一 (徳川綱吉)

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制作統括:菅野 高至

美術:藤井 俊樹・岸 聡光・小林 史幸
技術:小林 稔・渡部 浩和
音響効果:山田 正幸・岩崎 進・太田 岳二・臼井 正明
撮影:川邨 亮・森本 祐二
照明:飯酒盃 真司・佐野 清隆
音声:松本 恒雄・鈴木 清人・冨沢 裕・山中 義弘
映像技術:中野 朗・牧島 清
美術進行:金田 有司・井上 博美・小林 大介
記録:井上 博美
編集:徳島 小夜子

演出:大原 誠・片岡 敬司・遠藤 理史・海辺 潔・本木 一博


◆この年の日本と世界

1月1日、EUの単一通貨ユーロを11ヶ国で導入。4月、光市母子殺害事件。9月、ダイエーホークス、南海時代の1973年以来となる26年ぶりパリーグ制覇、翌月には35年ぶりの日本一に。王 貞治監督はセ・リーグ(巨人)とパ・リーグ(ダイエー)の優勝監督に。

「元禄繚乱」クランクアップを迎えたばかりの、石坂浩二さん(吉良上野介役)と大原 誠さん(チーフディレクター)が対談をしています。

──────────
大原 いやァ、こんなスーツ姿で来るとは思わなかったよ。

石坂 だって、大原さんと語る、っていうんだから。

大原 前回、対談でお会いした時も、ボク、ネクタイしてなかったな。

石坂 ネクタイ、CGでできますよ(笑)。


Q.早速ですが、「元禄繚乱」を撮り終えたお二人の感想を伺いたいのですが。

大原 なぜ、浅野内匠頭が吉良に斬りつけたのか、イジメ説が言われていますが、浅野がチョンボしたら指導者である高家の自分が責任を問われる。イジメの数々は、全部嘘だと思っています。ただ、イライラしていた。一回、接待役をした浅野が二回目の接待役をやる。田舎大名の若造が何にも勉強しないでノホホンと過ごしている。それを吉良は非常に怒っている。礼儀作法ぐらい自分で学んでこいと。吉良はイジメではなく、厳しい指導者だったと思います。

石坂 内匠頭の乱心も、幕府は乱心でない方がよかった?

大原 乱心というのは精神に異常をきたしているということで、そういう人間を勅使饗応役に使ったという責任を朝廷に問われる。だから乱心であっちゃ困る。しかし驚くほど、当時の記録は少ないんですよ。

石坂 箝口令が敷かれたんですよ。何しろ元禄の大事件だったのですから。ちょうど「元禄太平記」撮影の時(昭和50年)にエリザベス女王がNHKにいらしたんですよ。隠れる奴がいちゃいけないと、自動販売機はどけるわ、廊下はキレイになるわ。もしその時に、案内してきた人間が上司に斬りつけたら、それは大事件ですよ。

大原 ただ将軍は朝廷を気にしているだけで、大した問題にしていない。翌日桜見の会をやっていますからね。


Q.石坂さんは「元禄太平記」(昭和50年)では柳沢吉保を演じていますが、どんな吉保像を持っていますか。

石坂 「元禄──」をやるまでは柳沢は悪い奴だと思ってました。考えてみると忠臣蔵のトバッチリのようなところがあるんですよ。映画で裏話をしようとすると、たちまち登場するのが柳沢と吉良。柳沢は賄賂をとったといわれているけれどもよく分からない。お父さんは600石の勘定奉行でした。柳沢は成り上がり、大抜擢されたんです。

大原 柳沢は閣僚の第一号ですよ。格式も何もない者が幕府の中枢に行く、非常に能吏だった。

石坂 将軍綱吉がだんだんおかしくなっていくと、柳沢も巻き込まれる。それが下から上がってきた者の弱さだと、柳沢を演った時思ったんですよ。寝返りをうてない、サラリーマン的なものを感じました。吉良はそういうものから離れている。


Q.「八代将軍吉宗」(平成7年放送)で同じ側用人、間部詮房を演じましたが。

石坂 もしかすると、間部が柳沢より悪いんじゃないかと思ったのは、足跡を残さない、記録がないから見えないんですよ。ですから、役者として考えることは、畳を歩いて柳沢はある程度音がするだろう、ところが、間部は音がしないんじゃないかと。

大原 間部は六代将軍を後ろで支えた大ブレーンとして見事だったと思いますよ。

石坂 間部の方がズルいと思うのは、誰か一人に深入りしていない。ドラマでは七代目の子供に深入りするけれども、実際には、徳川家についている。将軍が替わろうが、徳川がキレイに続いていくことが大事。対する柳沢は綱吉への思い入れが深い。綱吉を立てていくこと自体が自分の仕事だと考えている。


Q.「太閤記」(昭和40年放送)の石田三成、あの頃の三成はカッコいい青年でしたね。

石坂 ガキでしたからね、どう演じたのか思い出せない。必死になって演っているうちに終わっちゃった。最初はお断りしたんです。「時代劇はとてもできません」と。ところが「いや時代劇ではありません。大河ドラマは現代劇でやっております。扮装はしますが時代劇ではありません」と説得されました。「太閤記」はずっと見てました。出演は6月からだったんです。高橋幸治さん、緒形 拳さんがいいしね。あんな面白いドラマには出られません(笑)。

大原 出演交渉の時に放送が始まっていた?

石坂 3ヶ月ぐらい経っていました。


Q.今後、大河ドラマでどういう役を演じてみたいですか。

石坂 大河ドラマでは珍しいというか、難しい役をやらせていただいたんですが、そういう意味では自分では思いつかない。まさか吉良上野介が来るとはね……。いつかはやるという役ではないですもんね。逆、逆、をやってみたいとはいつも思うんです。大石をやったことがないから大石を演じてみたい。その時は、吉良が主人公でね、ピカピカの吉良でね、大石はずっと待っててやることがなくなり、こうなったら全員で心中するしかない(笑)。


<TVガイド特別編集号「葵 〜徳川三代〜」156〜159頁より一部抜粋の上引用>


次回は「vol.39 葵 〜徳川三代〜」(平成12年放送)です。

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