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2010年3月 7日 (日)

大河ドラマ龍馬伝・(10)引きさかれた愛

安政5(1858)年、江戸への剣術再修行により
千葉定吉から北辰一刀流目録を与えられます。

2度に渡る江戸修行で、
懸命に学んで来た道場を見渡し感傷にふける龍馬に
佐那は「お慕い申しておりました」と、ついに愛の告白。

しかし龍馬は「土佐には大事なものがあるがです」と
佐那への愛をありがたく感じつつも断ります。
佐那はそれ以上何も言わず、
「さよなら」と龍馬を見送ります。

龍馬が江戸での剣術修行を終えたこの年、
日本はアメリカと修好通商の条約を締結します。
この条約はアメリカに得がある不平等条約ですが、
周囲の反対を押し切って無理矢理締結したのは、
幕府大老・井伊直弼であります。

9月、江戸から土佐へ戻った龍馬は、
定吉から授けられた北辰一刀流目録を家族にお披露目します。
岡上樹庵(医師)に見初められ、彼の妻となっている乙女は
旦那のいないところで、龍馬に
「窮屈ぞねぇ、岡上の家は」と愚痴っています。

早速、平井加尾に会いに行った龍馬。
江戸で平井収二郎に「加尾に近づくな」と言われましたが、
加尾の前では関係ありません。
江戸土産のかんざしを見せ、頭につけてあげます。

いつか黒船を作って「おまんを乗せて」進みたい。
わしの女房になってくれんかえ──。
加尾は心の底から喜び、大粒の涙を流します。
そんな加尾を愛おしく感じる龍馬です。


謹慎を解かれた吉田東洋は 甥・後藤象二郎に
安藝奉行所で捕らえられたままの岩崎弥太郎を牢から出させます。
獄中から投書した弥太郎の意見書に目を通した東洋が
「こいつには商売の才能がある」と見抜き、
長崎へ商売の勉強をさせるために派遣するためです。

さらに東洋は、藩政に返り咲いて改革に着手します。
藩主・山内豊信が井伊執政を批判したことにより
幕府から隠居を命じられたからで、
贅沢を禁じるために山内家家臣の禄高を半減させ、
側用人の役目を「無用だ」と廃止してしまいます。

その側用人であった柴田備後は
東洋の一声で職を失い、狂乱していますが、
過去に東洋に恥をかかされた武市半平太は
東洋を土佐から追い出すために 柴田に接近します。

“三条実美に近づいたらどう?”と柴田からアイデアを授かり、
半平太は攘夷派で公家の三条実美に近づこうと画策します。
豊信の妹・恒姫(ひさひめ)が、実美の兄に嫁いでいて
そのお世話係として隠密を送り込もうとするわけです。

その隠密役として、加尾に白羽の矢が立ちます。

「いやです! どうして私ながですか?」
加尾としては土佐でお嫁入りし、幸せになりたいと願うのみです。
そう言う加尾に龍馬の影を感じた収二郎は加尾を平手打ちし、
加尾は裸足のままたちまち飛び出して行きます。

向かった先は坂本家。
乙女が気付き、龍馬も加尾のただならぬ様子に
ひとまず家の中へ入れます。

事情を聞いた龍馬は、真っ先に半平太の元へ。


「変わってしもうたのは……武市さんの方じゃ」
「世の中がどうなろうが大事なものは命を懸けても守る!」
龍馬の一言一言が半平太の胸を貫きます。

前回の山本琢磨といい、今回の加尾といい、
攘夷を達成するためには人を人とも思わない
半平太の考えに、龍馬は納得ができません。

龍馬が帰った後も、迷える半平太の周囲を
悪魔の半平太が取り囲み、責め立てます。
その悪魔のささやきを振り切るように、
空を切り裂きます。

家に戻った龍馬は、明日 いつもの場所で待つと言って
今日のところは加尾を家へ帰します。
龍馬と加尾が恋仲であり、
かつプロポーズまで済ませていたと初めて知った乙女は、
精一杯二人にエールを送ります。

半平太は翌朝、柴田の元へ赴き
加尾に代わる女性を捜すことを約束しますが、
柴田はすでに加尾を推挙してしまった後であり、
それを代えるとなると、
誰かが腹を切らなければ収まらないと半平太を脅します。

一方、お土産のかんざしを髪に挿し
龍馬との待ち合わせ場所に向かおうとしている加尾を
待ち受けていたのは収二郎と半平太。

収二郎は加尾の前で、切腹しようとします。
加尾は半平太に助けを求めますが、
半平太はそっぽを向いたままです。

賢い加尾は、それで全てを理解します。


いつもの約束場所に加尾が来ないことで
何かあったのかと心配した龍馬は
それとなく平井家の中を探っていますが、
たまたま通りかかった饅頭屋のせがれ・近藤長次郎に
「加尾様はどこか遠くへ行かれるのでしょう?」と言われ、
顔色を変えて加尾を探します。

そのころ、加尾は柴田の面前で手をついております。
京行きの話を加尾が承諾した瞬間でした。

屋敷の表では、龍馬が門番らに袋たたきに遭いながらも
「加尾ォ〜! 行くなァ〜!!」と目一杯叫んでいます。
どれだけ叩きのめされても這い上がり、
ついには刀を抜こうとする龍馬を 半平太はたまらず止めます。

加尾は自分で決めたがぜよ! 自分で……。

半平太と龍馬のやり取りも
屋敷内の加尾には全て届いているはずですが、
加尾は微動だにせず、何も言いません。
頬には一筋の涙が。


龍馬の悲恋を知った乙女は、
「お加尾ちゃんが決めたことなら仕方がないがね……」と
悔しさをにじませつつ、
しかし弟にかけてあげる言葉が見つかりません。

今日へ出立する前夜、加尾に呼び出された龍馬は
夢中でいつもの神社へ急行します。
再会した加尾と龍馬はお互いを固く抱きしめ合います。
「さよなら……龍馬さん」

奇しくも、
2人の女性から言われた「さよなら」という言葉。
この言葉がきっかけで、
龍馬は変身していくことになります。

──────────

安政5(1858)年9月3日、
剣術修行を終え、龍馬が土佐へ帰国。

慶応3(1867)年10月14日、
15代将軍・徳川慶喜による明治天皇への大政奉還まで

あと9年1ヶ月──。

(『篤姫』では「(21)妻の戦」〜「(31)さらば幾島」付近)


作:福田 靖
音楽:佐藤 直紀
題字:紫  舟
──────────
福山 雅治 (坂本龍馬)

香川 照之 (岩崎弥太郎・語り)

大森 南朋 (武市半平太)

広末 涼子 (平井加尾)

寺島 しのぶ (岡上乙女)

貫地谷 しほり (千葉佐那)
──────────
杉本 哲太 (坂本権平)
宮迫 博之 (平井収二郎)
大泉 洋 (饅頭屋長次郎)
奥貫 薫 (武市 冨)
渡辺 いっけい (千葉重太郎)
──────────
田中 泯 (吉田東洋)

松原 智恵子 (坂本伊與)

近藤 正臣 (山内豊信(容堂))

里見 浩太朗 (千葉定吉)
──────────
制作統括:鈴木 圭・岩谷 可奈子
プロデューサー:土屋 勝裕
演出:真鍋 斎


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『龍馬伝』
第11回「土佐沸騰」

アナログ総合・デジタル総合:午後8時〜
デジタルハイビジョン:午後6時〜
衛星第二テレビ:午後10時〜

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