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2010年12月 8日 (水)

大河家の格(後)

地上・BSデジタル放送完全移行 2011年7月24日まで あと228日
地上およびBSのアナログテレビ放送は終了し、デジタル放送へ移行します。


((つづき))

NHK大河ドラマ・総集編を
新聞や雑誌のテレビ欄の視点からお話ししております。


現在のテレビ欄は、20年ほど前に比べると
00分ちょうどに始まる番組が少なく、
52〜59分放送開始といった
“フライングスタート”がよく行われています。

番組の放送終了後、CMを挟まずにそのまま
次番組の放送開始につなげるという
“ステーション ブレイクレス”方式が
採られることも若干ありますが、

その“フライングスタート”のおかげで、
00分スタートを表す横線が少なくなっています。

結果、1時間枠の中にあって、
その枠をまたぐ2〜3時間番組という
“格”を見せるべき番組が、
時間ごとの区切りを意味する横線が少ないために

テレビ欄を一見しただけではそれとは判別できない!
という弊害(?)が起こっているのも事実なのです。
(↑お手持ちの新聞テレビ欄をご覧ください(笑))


実は、NHK大河ドラマの総集編の
“格”を落とすもう一つの理由があります。

それは……放送時間。
放送開始時間のことではなく、
総集編1回分の時間(開始〜終了)のことです。

最近、顕著に現れているのが、
総集編1回あたりの放送時間の短縮化であります。

順にさかのぼって見てみますと、

作品名 第1部 第2部 第3部 第4部 第5部 総時間 圧縮率
天地人 58 58 58 58 3:52 9.4
篤姫 75 75 60 75 55 5:40 6.7
風林火山 60 60 60 60 4:00 9.5
功名が辻 90 90 3:00 12.4
義経 75 75 75 3:45 9.9
新選組! 75 75 75 3:45 9.9
武蔵 85 85 2:50 13.1
利家とまつ 85 85 2:50 13.1
北条時宗 100 100 3:20 11.2
葵 徳川三代 58 58 58 58 3:52 9.7
元禄繚乱 60 60 60 60 4:00 9.3
徳川慶喜 60 60 60 60 4:00 9.3
毛利元就 60 60 60 60 4:00 9.5
秀吉 75 75 75 75 5:00 7.5
八代将軍吉宗 105 105 105 5:15 7.0
花の乱 (3) 90 90 3:00 9.4
炎立つ (3) 120 85 3:25 7.8
琉球の風 (2) 85 55 2:20 7.6
信長 115 90 90 4:55 7.7
太平記 80 120 70 70 5:40 6.7
翔ぶが如く 115 85 75 70 5:45 6.4
春日局 85 70 70 3:45 10.2
武田信玄 95 80 75 75 70 6:35 6.9
独眼竜政宗 75 75 75 75 75 6:15 7.2
いのち 85 90 85 90 5:50 6.5
春の波涛 90 90 3:00 12.7
山河燃ゆ 90 90 90 4:30 8.6
徳川家康 120 80 80 80 6:00 6.5
峠の群像 90 90 115 4:55 7.8
おんな太閤記 80 80 80 80 806:40 5.8
獅子の時代 80 80 80 80 80 6:40 5.8
草燃える 80 80 80 80 80 6:40 5.8
黄金の日日 80 80 80 80 80 6:40 5.7
花神 120 90 90 90 90 8:00 4.9
風と雲と虹と 95 90 3:05 12.6
元禄太平記 100 95 3:15 12.0
勝海舟 100 90 3:10 12.3
国盗り物語 100 90 3:10 12.1
新・平家物語 100 90 3:10 12.3
春の坂道 100 90 3:10 12.3
樅ノ木は残った 100 90 3:10 12.3
天と地と 100 90 3:10 12.3
竜馬がゆく 100 90 3:10 12.3
三姉妹 100 80 3:00 13.0
源義経 95 85 3:00 13.0
太閤記 90 80 2:50 13.7
赤穂浪士 総集編放送なし
花の生涯 (3) 総集編放送なし
(2)2クール放送 (3)3クール放送 その他は4クール放送

この表は、総集編ごとの放送時間(単位:分)を表したものです。

本編の総放送時間 を 総集編の総放送時間 で割ったものを
便宜上「圧縮率」で表しています(単位:倍)。

簡単に言うと、10分の内容を5分に圧縮すれば、
その圧縮率は 10÷5=2 で「2倍」という意味です。

表の最上列にある「天地人」の場合、
本編の総放送時間 36時間11分(=2,171分) を
総集編総放送時間 3時間52分(=232分) で割るので、
圧縮率は 9.3577586…… →9.4倍。
という風に算出しています。

・総集編の平均時間が60分以内のもの
・圧縮率が非常に高いもの(10倍以上を目安)
のいずれかに該当する作品に赤で色を塗り、

逆に、圧縮率が低いもの(8倍未満を目安)には
圧縮優秀作! という意味で黄で色を塗っています。


こうして見た場合、赤く塗られた作品が
最近特に多くなっていることが
お分かりいただけると思います。

総集編として一つのストーリーをまとめた時に
圧縮率が高ければ高いほど
切り捨てる部分が多いことを意味します。
10倍の圧縮率というのは、つまり45分の内容から
4.5分だけ総集編で使うという意味ですからね。

切り捨てるということは、ストーリーとして見たときに
“不必要な部分である!”といっているのではなく、
どこのどのシーンも切り捨てられない
重要なシーンには間違いないのですが、

あまりにもズバズバと
切り捨てられていくと(圧縮率が高くなると)、
「ホントに必要だったのかなぁ? そのシーン」と
勘ぐりたくなるわけです。

特に連続ドラマのような場合では、
シーンをカットする時は、後々のことを考えて
エピソードごとカットする必要があるわけです。
でないと、後でおかしなことになってしまいますからね。

「花神」のような、
本編の総放送時間39時間15分(=2,355分)に対して
総集編総放送時間8時間(=480分)、
圧縮率4.9倍という驚異的数字を狙え! とは
さすがに申しませんが(^ ^;;)

せめて圧縮率を8倍以内、つまり45分の内容から
5分37秒だけ総集編で使うという程度に
抑えていただくのが理想かなぁという気がしています。


んで、今年の『龍馬伝』です。

総集編スケジュールはすでに公式発表されておりまして、
第1部:12月29日 21:00〜21:59
第2部:12月29日 22:00〜22:59
第3部:12月30日 21:00〜21:59
第4部:12月30日 22:00〜22:59 です。

表に合わせて記載するならば、

  作品名  第1部 第2部 第3部 第4部 第5部 総時間 圧縮率
龍馬伝 59 59 59 59 3:56 9.4

というふうになります。

──ムムム、短い短い! 短すぎ!!

ドラマ放送開始前から4部構成で描くと決まっていたので
総集編も第4部まで放送するのは動かせないとしても、

総集編1回あたりの放送時間が59分(総計3時間56分)って
……どないやねん(笑)。

本放送の翌日、月曜日の昼間に“ワンセグ2”チャンネルにて
1話を5分にまとめて放映するダイジェスト版がありましたが、
それよりも短い(1話5分×48回=240分=4時間)って
……どないやねん(笑)。

特に総集編では、
第1・2部では 後藤象二郎役の青木崇高さんが高知から、
第3・4部では 岩崎弥太郎役の香川照之さんが長崎から、
ナビゲーターとしての解説が入る分、
ドラマ部分は更に短くなってしまいます。

イメージとしては、大河ドラマ『功名が辻』で
五藤吉兵衛役の武田鉄矢さんをナビゲーターとして
番組解説に充てたようなものでしょうか。

繰り返しますと、本編をあまりにもズバズバと切り捨てられると、
「そのシーン、ホントに必要だった?」と勘ぐりたくなります。

Kassyが1時間の枠超えにこだわるのは、
前回説明したような、1時間枠に収まる番組の中で
それを超えるスペシャル番組であることが
“格”である! という考えに他ならないわけですが、

総集編のタイムスケジュールを見る限り、
テレビ欄としては21:00〜23:00の2時間ぶち抜きにして
注釈として21:59〜と22:59〜に番組予告がありまっせ!
という記載方法になろうかとは思います。

そんなのだったら、4部構成の垣根を取り払って
思い切って2部構成にした方がいいような気もします。


逆に、圧縮率を理想の7.5倍程度にするとしたら
総集編は何分あればいいのか??
これを考えますと、本編総時間2,220分÷7.5倍=296(分)。
つまり4部構成では、総集編1回あたり74分であります。

まぁ、数ヶ月前からの編成によって
放送時間や放送日時などが決まっていたことなので
今さら口にしても仕方がないことなのですが、
74分という数字、できない数字ではなかったでしょう?(^ ^;;)

短すぎる(まとめすぎる)総集編も
なかなか味気ないものですよ(笑)。

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