大河家の格(後)
地上・BSデジタル放送完全移行 2011年7月24日まで あと228日
地上およびBSのアナログテレビ放送は終了し、デジタル放送へ移行します。
((つづき))
NHK大河ドラマ・総集編を
新聞や雑誌のテレビ欄の視点からお話ししております。
現在のテレビ欄は、20年ほど前に比べると
00分ちょうどに始まる番組が少なく、
52〜59分放送開始といった
“フライングスタート”がよく行われています。
番組の放送終了後、CMを挟まずにそのまま
次番組の放送開始につなげるという
“ステーション ブレイクレス”方式が
採られることも若干ありますが、
その“フライングスタート”のおかげで、
00分スタートを表す横線が少なくなっています。
結果、1時間枠の中にあって、
その枠をまたぐ2〜3時間番組という
“格”を見せるべき番組が、
時間ごとの区切りを意味する横線が少ないために
テレビ欄を一見しただけではそれとは判別できない!
という弊害(?)が起こっているのも事実なのです。
(↑お手持ちの新聞テレビ欄をご覧ください(笑))
実は、NHK大河ドラマの総集編の
“格”を落とすもう一つの理由があります。
それは……放送時間。
放送開始時間のことではなく、
総集編1回分の時間(開始〜終了)のことです。
最近、顕著に現れているのが、
総集編1回あたりの放送時間の短縮化であります。
順にさかのぼって見てみますと、
作品名 | 第1部 | 第2部 | 第3部 | 第4部 | 第5部 | 総時間 | 圧縮率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
天地人 | 58 | 58 | 58 | 58 | ─ | 3:52 | 9.4 |
篤姫 | 75 | 75 | 60 | 75 | 55 | 5:40 | 6.7 |
風林火山 | 60 | 60 | 60 | 60 | ─ | 4:00 | 9.5 |
功名が辻 | 90 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:00 | 12.4 |
義経 | 75 | 75 | 75 | ─ | ─ | 3:45 | 9.9 |
新選組! | 75 | 75 | 75 | ─ | ─ | 3:45 | 9.9 |
武蔵 | 85 | 85 | ─ | ─ | ─ | 2:50 | 13.1 |
利家とまつ | 85 | 85 | ─ | ─ | ─ | 2:50 | 13.1 |
北条時宗 | 100 | 100 | ─ | ─ | ─ | 3:20 | 11.2 |
葵 徳川三代 | 58 | 58 | 58 | 58 | ─ | 3:52 | 9.7 |
元禄繚乱 | 60 | 60 | 60 | 60 | ─ | 4:00 | 9.3 |
徳川慶喜 | 60 | 60 | 60 | 60 | ─ | 4:00 | 9.3 |
毛利元就 | 60 | 60 | 60 | 60 | ─ | 4:00 | 9.5 |
秀吉 | 75 | 75 | 75 | 75 | ─ | 5:00 | 7.5 |
八代将軍吉宗 | 105 | 105 | 105 | ─ | ─ | 5:15 | 7.0 |
花の乱 (3) | 90 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:00 | 9.4 |
炎立つ (3) | 120 | 85 | ─ | ─ | ─ | 3:25 | 7.8 |
琉球の風 (2) | 85 | 55 | ─ | ─ | ─ | 2:20 | 7.6 |
信長 | 115 | 90 | 90 | ─ | ─ | 4:55 | 7.7 |
太平記 | 80 | 120 | 70 | 70 | ─ | 5:40 | 6.7 |
翔ぶが如く | 115 | 85 | 75 | 70 | ─ | 5:45 | 6.4 |
春日局 | 85 | 70 | 70 | ─ | ─ | 3:45 | 10.2 |
武田信玄 | 95 | 80 | 75 | 75 | 70 | 6:35 | 6.9 |
独眼竜政宗 | 75 | 75 | 75 | 75 | 75 | 6:15 | 7.2 |
いのち | 85 | 90 | 85 | 90 | ─ | 5:50 | 6.5 |
春の波涛 | 90 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:00 | 12.7 |
山河燃ゆ | 90 | 90 | 90 | ─ | ─ | 4:30 | 8.6 |
徳川家康 | 120 | 80 | 80 | 80 | ─ | 6:00 | 6.5 |
峠の群像 | 90 | 90 | 115 | ─ | ─ | 4:55 | 7.8 |
おんな太閤記 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 6:40 | 5.8 |
獅子の時代 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 6:40 | 5.8 |
草燃える | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 6:40 | 5.8 |
黄金の日日 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 6:40 | 5.7 |
花神 | 120 | 90 | 90 | 90 | 90 | 8:00 | 4.9 |
風と雲と虹と | 95 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:05 | 12.6 |
元禄太平記 | 100 | 95 | ─ | ─ | ─ | 3:15 | 12.0 |
勝海舟 | 100 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:10 | 12.3 |
国盗り物語 | 100 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:10 | 12.1 |
新・平家物語 | 100 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:10 | 12.3 |
春の坂道 | 100 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:10 | 12.3 |
樅ノ木は残った | 100 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:10 | 12.3 |
天と地と | 100 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:10 | 12.3 |
竜馬がゆく | 100 | 90 | ─ | ─ | ─ | 3:10 | 12.3 |
三姉妹 | 100 | 80 | ─ | ─ | ─ | 3:00 | 13.0 |
源義経 | 95 | 85 | ─ | ─ | ─ | 3:00 | 13.0 |
太閤記 | 90 | 80 | ─ | ─ | ─ | 2:50 | 13.7 |
赤穂浪士 | 総集編放送なし | ||||||
花の生涯 (3) | 総集編放送なし |
この表は、総集編ごとの放送時間(単位:分)を表したものです。
本編の総放送時間 を 総集編の総放送時間 で割ったものを
便宜上「圧縮率」で表しています(単位:倍)。
簡単に言うと、10分の内容を5分に圧縮すれば、
その圧縮率は 10÷5=2 で「2倍」という意味です。
表の最上列にある「天地人」の場合、
本編の総放送時間 36時間11分(=2,171分) を
総集編総放送時間 3時間52分(=232分) で割るので、
圧縮率は 9.3577586…… →9.4倍。
という風に算出しています。
・総集編の平均時間が60分以内のもの
・圧縮率が非常に高いもの(10倍以上を目安)
のいずれかに該当する作品に赤で色を塗り、
逆に、圧縮率が低いもの(8倍未満を目安)には
圧縮優秀作! という意味で黄で色を塗っています。
こうして見た場合、赤く塗られた作品が
最近特に多くなっていることが
お分かりいただけると思います。
総集編として一つのストーリーをまとめた時に
圧縮率が高ければ高いほど
切り捨てる部分が多いことを意味します。
10倍の圧縮率というのは、つまり45分の内容から
4.5分だけ総集編で使うという意味ですからね。
切り捨てるということは、ストーリーとして見たときに
“不必要な部分である!”といっているのではなく、
どこのどのシーンも切り捨てられない
重要なシーンには間違いないのですが、
あまりにもズバズバと
切り捨てられていくと(圧縮率が高くなると)、
「ホントに必要だったのかなぁ? そのシーン」と
勘ぐりたくなるわけです。
特に連続ドラマのような場合では、
シーンをカットする時は、後々のことを考えて
エピソードごとカットする必要があるわけです。
でないと、後でおかしなことになってしまいますからね。
「花神」のような、
本編の総放送時間39時間15分(=2,355分)に対して
総集編総放送時間8時間(=480分)、
圧縮率4.9倍という驚異的数字を狙え! とは
さすがに申しませんが(^ ^;;)
せめて圧縮率を8倍以内、つまり45分の内容から
5分37秒だけ総集編で使うという程度に
抑えていただくのが理想かなぁという気がしています。
んで、今年の『龍馬伝』です。
総集編スケジュールはすでに公式発表されておりまして、
第1部:12月29日 21:00〜21:59
第2部:12月29日 22:00〜22:59
第3部:12月30日 21:00〜21:59
第4部:12月30日 22:00〜22:59 です。
表に合わせて記載するならば、
作品名 | 第1部 | 第2部 | 第3部 | 第4部 | 第5部 | 総時間 | 圧縮率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
龍馬伝 | 59 | 59 | 59 | 59 | ─ | 3:56 | 9.4 |
というふうになります。
──ムムム、短い短い! 短すぎ!!
ドラマ放送開始前から4部構成で描くと決まっていたので
総集編も第4部まで放送するのは動かせないとしても、
総集編1回あたりの放送時間が59分(総計3時間56分)って
……どないやねん(笑)。
本放送の翌日、月曜日の昼間に“ワンセグ2”チャンネルにて
1話を5分にまとめて放映するダイジェスト版がありましたが、
それよりも短い(1話5分×48回=240分=4時間)って
……どないやねん(笑)。
特に総集編では、
第1・2部では 後藤象二郎役の青木崇高さんが高知から、
第3・4部では 岩崎弥太郎役の香川照之さんが長崎から、
ナビゲーターとしての解説が入る分、
ドラマ部分は更に短くなってしまいます。
イメージとしては、大河ドラマ『功名が辻』で
五藤吉兵衛役の武田鉄矢さんをナビゲーターとして
番組解説に充てたようなものでしょうか。
繰り返しますと、本編をあまりにもズバズバと切り捨てられると、
「そのシーン、ホントに必要だった?」と勘ぐりたくなります。
Kassyが1時間の枠超えにこだわるのは、
前回説明したような、1時間枠に収まる番組の中で
それを超えるスペシャル番組であることが
“格”である! という考えに他ならないわけですが、
総集編のタイムスケジュールを見る限り、
テレビ欄としては21:00〜23:00の2時間ぶち抜きにして
注釈として21:59〜と22:59〜に番組予告がありまっせ!
という記載方法になろうかとは思います。
そんなのだったら、4部構成の垣根を取り払って
思い切って2部構成にした方がいいような気もします。
逆に、圧縮率を理想の7.5倍程度にするとしたら
総集編は何分あればいいのか??
これを考えますと、本編総時間2,220分÷7.5倍=296(分)。
つまり4部構成では、総集編1回あたり74分であります。
まぁ、数ヶ月前からの編成によって
放送時間や放送日時などが決まっていたことなので
今さら口にしても仕方がないことなのですが、
74分という数字、できない数字ではなかったでしょう?(^ ^;;)
短すぎる(まとめすぎる)総集編も
なかなか味気ないものですよ(笑)。
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