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2011年5月 5日 (木)

3年B組金八先生・ファイナル〜“最後の贈る言葉”(5/8)

地上・BSデジタル放送完全移行 2011年7月24日まで あと80日
地上およびBSのアナログテレビ放送は終了し、デジタル放送へ移行します。


年が明け、桜中学に出勤した金八は
景浦を再度3Bの教室に受け入れたい旨を
鹿島田校長に交渉します。

ただ、校長も北副校長も、景浦が暴力行為で逮捕された以上
もう桜中学では面倒を見きれないという立場でありまして、
金八にも何度となく諦めるように説得していたわけですが、
金八は諦めたくないと、管理職2人に頭を下げます。

──────────

そんな金八の決意を、乾先生をはじめとした職員室の面々、
そして景浦事件の原因の片翼である香坂先生は
ただ黙って聞いています。

金八は言葉を続けます。

“一生徒のことよりも学校全体のことを考えたい”
校長がこう言うのであれば、むしろ景浦を桜中学に戻すべきだと。
景浦の問題は、もはや一生徒、一個人の問題ではなく
桜中学校全体の、全生徒の問題になっていると言うわけです。

生徒とともに生きていく技術を教えることが
いま桜中学がなすべきことであると金八は考えています。

苦しんで苦しんで苦しみ抜いて、もがいている景浦は
助けてほしいからこそ暴れている。
しかし残念ながら、
今の生徒たちは他人の苦しみには全く無関心です。

金八が本当に危惧するのは、景浦の暴力行為よりも
実は周囲の生徒たちの無関心なのであります。
そんな生徒たちに“間違っている”と教えるためにも
景浦はどうしても必要です。

再度、校長と副校長に頭を下げます。

乾先生は、もし景浦の再受け入れが失敗に終わったとき
一番に傷を負うのは金八だと心配しますが、
同志としての最大の助け舟を出します。
「私は、坂本先生と一緒に闘いますよ!」

北副校長は、景浦に対する生徒たちの冷徹さに
確かにゾッとするものを感じてはいましたが、
金八の熱弁と乾先生の援護射撃を受けてしまっては
「やりますよ私も」と言うしかありません。

本田先生も矢沢先生も木村先生も立花先生も、
金八に賛同してくれました。

在校生の保護者に対する説明会を開くこと。
校長は金八に、この1つだけ条件を出します。


学校として景浦を受け入れの方針を明らかにすると、
たちまち不安な声と反発の声が保護者たちから上がります。

カツアゲされた下級生がいるだの、繁華街で見かけただの
このあたりの話は まぁ確かなことかもしれませんが、
「この前の放火もその子じゃないかって」と言った保護者は
根も葉もない話を軽々に口にしすぎではあります(^ ^;;)

“桜中学には伝統的に問題児が多い”というのがあります。

中学校在学中に、15歳同士で子どもを作って
しかも桜中学はそれを認めて子どもを産ませたという話や、
よその学校の卒業式に乗り込んで逮捕される生徒がいたり
母親を刺したり、覚せい剤で逮捕されたり……。

ハイ、みーんな金八の教え子です(笑)。

“桜中学には伝統的に問題児が多い”というのは
つまり“3年B組には伝統的に問題児が多い”、
更には“金八先生のクラスには伝統的に問題児が多い”
と言い換えることもできまして、

保護者としては、金八の指導力に
問題があることを疑わざるを得ません。

そこで手を上げて立ち上がる保護者が2人、
宮沢 保・(浅井)雪乃夫妻(ともにシリーズ1)です。

半ばけなされるように、この説明会で保護者たちに批判された
“15歳同士で子どもを作った”お2人であります。
そんな批判をびくともせず、雪乃はあっさりと爆弾発言をします。
「私たちの孫が、来年この学校に入学することになっています」

えええぇぇぇヾ(.;.;゚Д゚)ノ

“来年(の春)入学”ということは、この日時点では
小学5年生・11歳(の学年)ということになりますよね。
雪乃・保夫妻はいま46歳(の学年)で、
子どもの宮沢 歩は30歳(の学年)ということになるので、
雪乃・保の孫は、歩が19歳の時の子ども、なんですね。

「15歳の母と父」は、『35歳の祖母と祖父』になりました(^ ^;;)
……脱線失礼。

雪乃は、15歳で子どもを産んだのは
自分のことだと正直に明かします。

これからいっぱい苦労しなきゃいけないことが
あるかもしれないけど、一緒に乗り越えていこう。
先生、いつもそばにいてやるから大丈夫だ。

金八が当時の雪乃と保に教えてくれたことです。


 非行であれば、非行少年を収容する場所があるでしょう。
 しかしあの2人には、その行き場すらない。
 なぜならば、これは非行ではなくて、純愛だからです。
 にもかかわらず、あの2人は
 身を削るような苦しい思いをしているんです。

 こんなとき、普通の母親であるならば
 しっかりとわが子を抱きしめてかばうでしょう。
 しかし浅井にはそれすらない。
 あの父親の前で、確かにあの母親は被害者です。
 しかし父親の前で何も言えないということに関して
 あれは加害者も同様なんです。
 幼い浅井は、ちゃんとそのことを告発してますよ。
 それを一生懸命勇気づけたのが宮沢です。
 多少方法論が間違っているからといって、
 我々はそれを難しすぎるといって、落ちこぼしていいんですかね?

 いや、いま逃げ出したらいかんのです。
 いま教師は、逃げ出したらいかんのですよ。
 何がわるかか、なんば大事にせないかんか。
 それば今、教えてやらな つまらんとですよ!
 ボクは不器用やけん、ちゃんとできんかもしれんけど
 ボクは真っ正面から子どもたちと話し合ってみるつもりです。


 確かにお前たちは精神的に迷惑を被ったかもしれん。
 しかしな、一番つらい思いをしてるのは、浅井だぞ?

 宮沢という男は、みんなよりもほんのわずか先に
 愛というものを知り、それを胸にしっかりと抱きしめて
 そして背負った男だと……先生思うんです。


 (電話で)男の子、体重3,050、身長50.5。
 それで浅井の方は……母子ともに健全!


──自分とは一切関係ないからと、
逃げることもできたであろうに、金八は逃げませんでした。
いや、逃げるどころか まるで自分のことのように
とことん向き合ってくれました。

人は、人に対してこんなにも優しくなれる。
そんな先生、他にいますか?

この2人の発言が、
「金八の指導力に問題がある」ということに対する
何よりの明快な答えだと思われます。

あの時の自分たちと同じように、
その子(=景浦)も金八が必要なのではないか。
だからこそ、金八に
すべてを任せてみようではないか、と雪乃は提案します。

実際に金八の教えを受けた人間からの生の言葉に、
保護者たちには金八批判どころか
景浦の受け入れ反対の言葉をあげることすらできません。


保護者説明会の終了後、金八は
久々に再開した雪乃・保夫婦と一緒に帰ります。
2人の子ども・歩はアメリカに留学し、
異国の地で学生結婚して父親になったんだそうです。

この中学校でたくさんの教え子を輩出し、
アンテナを多数張り巡らしているはずの金八でさえ
さすがに知りませんでした。

そのままアメリカで就職した歩は
来年から日本支社に転勤となるそうで、
歩の子ども、つまり雪乃と保の孫が
来年から桜中学に入学する、というわけなんですな。

ただ、残念ながら今春で定年退職する
金八の受け持ちにはなれませんね。


後日、家庭裁判所から出てくる景浦と母親。

校長室で挨拶を済ませた景浦に、
桜中学に戻るために 金八は2つ条件を出します。
“卒業式まで親元を離れて金八の家で一緒に暮らすこと”
“ここから一生懸命勉強して都立高校受験を目指すこと”

景浦は「あり得ない」と鼻で笑いますが、
金八はいたって真面目です。
「それがイヤだったら、桜中学から今すぐ出ていけッ!」

3Bの教室に景浦を招き入れますが、
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」と純一はつい言葉に出してしまい
景浦は純一を睨みつけます。

しかしそんな行為も「さっさと授業始めてください」
「私立入試まであと1ヶ月しかないんです」という
香坂先生チックな言葉からは、景浦受け入れを
冷ややかにしか受け取っていないことが分かります。

心の何かをどこかに置き忘れて来たような気がして、
金八は3Bの面々に少し不安に感じます。


放課後、金八とともに家に帰宅する景浦ですが
家事全般は金八との当番制になっています。

坂本家のルール

月 水 木 土食事・買い物
火 金 日ごみ出し・掃除・風呂掃除

月 水 木 土ごみ出し・掃除・風呂掃除
火 金 日食事・買い物

「マジかよォ……」
景浦のプチ悲鳴が聞こえて来たような気が(笑)。

真夜中、景浦がこっそり外出しようものなら
作務衣姿の金八はいちいち呼び止めて、
とことんまで景浦に構い続けます。


数学の時間、乾先生は
プリントを配って生徒に問題を解かせます。

そして机に突っ伏している景浦には
別メニューのプリントを用意しているのが心憎いですが、
「今日の放課後 一緒に答え合わせしよう」という言葉に
景浦はしぶしぶですが、従うしかなさそうです。

そしてその放課後、今度は矢沢先生による
英語の個人レッスンが待っています。
強引に帰ろうとする景浦に、矢沢先生お得意の
柔道の“三角締め”という技をかけます。

「さあ、あと少しだ。やっちゃおうぜ」
ハイ、完全に白旗上げてます(笑)。

しかし、社会の補習の前に景浦は帰宅したようで、
金八は そんな景浦に“ルールを守れ”と説教しますが、
嫌気が差して殴り掛かろうとした景浦は、
寸でのところでその手を止めます。

力というのは、自分を守る時に使うもの。
人を傷つけるために使うものではない。
矢沢先生の教えが、ふと頭をよぎったのかもしれません。

金八は軽く息切れしながら、胸を押さえています。
真剣勝負は、今まさに始まったばかりです。


<つづく>

(次回は5月14日にお届けの予定です)

──────────

【金八先生のふるさと】

前回の【金八先生のふるさと】で、
“ドラマでは有名すぎるあの撮影ポイント”と書きましたが、
今回はそのポイントをご紹介いたします。

Kc2901
(写真は平成8年3月のものです)

1.7mガード」です。

全シリーズを通して登場したので、
ご覧になったことのある方も多いでしょう。

ドラマ初期の頃では、
桜中学のマドンナ先生と並んで帰るシーンだったり、
大森巡査(鈴木正幸さん)と派手にやりあったりする
シーンが印象的です。

金八御用達のおでん屋は、このガード付近に出店しています。

ちなみに前回ご紹介の「吉田医院」は
このガードをくぐったすぐ先という位置関係。
さらに「吉田医院」の脇をまっすぐ進めば
比較的すぐに、あの「金八通り」にたどり着きます。


今回のファイナルでも、
景浦受け入れに関する保護者説明会の後に
宮沢雪乃(杉田かおるさん)・保(鶴見辰吾さん)夫婦と金八が
語らいながら一緒に帰るシーンで登場しました。

この写真、夫妻+金八は写真奥から手前に歩いてくるという
ファイナルでのシーンと、偶然にもほぼ同じ撮影構図です。

ガード左脇には、1.7mの「高さ制限標識」の他に
平日の8〜9時は「歩行者自転車専用」となることを示す標識があり、
もう一つの看板には「柳原千草園 180m→」とあります。

柳原千草園とは、製糸工場の跡地を足立区が買収し
平成元年6月に開園した地域住民たちの憩いの場で、
園内には四季折々の草花 約380種類が植えられていることから
“千草園”という名がつけられたようです。

ちなみにこの「1.7mガード」の前には、撮影時に
スタッフさんや演者さんがよく利用した食堂があります。

目の前がロケ現場であることから
いわば控え室のような利用のされ方だったようですが、
“こういう場面に適したロケ地を知りませんか?”と
食堂のご主人はスタッフからよく質問されたそうです。

とても柔らかそうな食堂のご主人は、
2011年3月25日付けで発行された広報紙に
次のようなコメントをお寄せでした。

「番組が放映された後、この辺りの人通りが増えるんだよね。
それでまちが活気づくというか。
北海道とか九州とか、日本全国からファンが集まってくるんですよ」
(広報紙「あだち広報」より原文ママ)

番組スタッフにとって、現地ガイドのような役割だったご主人は
金八シリーズの“縁の下の力もち”と言えましょう(^ ^)


Kc2902
(写真は平成8年3月のものです)

この写真は、その反対側から撮ったもの。
つまり吉田医院側から見たものです。
夫妻+金八は、このガードの先から
奥に向かって歩いていった形になります。

金八の娘・坂本乙女(星野真里さん)によく思われようとした
杉山修一(佐々木卓馬さん)と坂田拓也(渡辺卓さん)が
殴り合っての大げんかをしたのが、
2枚目の写真右手に少し進んだところであります。


シーンで映っていたこのガードの注意喚起看板には
確かに「注意桁下高さ1.7メートル」とあります。

この写真を撮影した平成8年当時も「1.7メートル」でしたが、
5年後(←テレビ東京『出没!アド街ック天国』HPより参照)
に約10cm掘り下げられて「1.8メートル」へ表記が変わり、
現在は、桁下高さの表記が再び「1.7メートル」に戻されています。

行ったり来たり、なんですね(^ ^;;)

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コメント

がんばれ がんばれ 頼むから がんばれ

難しい言葉です、
本当に、歯を食いしばり、頑張ってる人に
なかなか、言えないですよね!

挫折しそうな人には、願うだけ!
親からは、言葉には出さなかったけど、
応援されていたんでしょうね。

──────────

うっちゃんさーん。


>難しい言葉です
確かにそうですよね。

言葉自体が重くのしかかって
しまうこともあるかもしれません。


>親からは、言葉には出さなかったけど、
心の中で何度も唱えてた、という感じでしょうか。

まるで自分のことのように感じて
声援を送っておられたのでしょうね。

投稿: ★うっちゃん | 2011年5月 6日 (金) 18:31

さきほどこのエントリ見直して思いました。
歩くん、紀実(つぐみ)ちゃんといい仲だったんじゃなかったのかよ!と超今更ながら思いました。
まあ第2シリーズの八重子さんが悟と優のどっちともくっつかなかったことをかんがえれば不思議なことじゃないのでしょうが・・・

──────────

atushikun2さーん。こんにちは!
今日もコメントありがとうございまーす。


>歩くん、紀実(つぐみ)ちゃんといい仲
ですよねぇ(笑)。

けっこういい関係だったのですが
結果的には破局してしまったのでしょうかね。


>不思議なことじゃない
人間関係はとても複雑ですが、その分面白いもので
ココとココがくっつくか!? と周りが驚くこともあり
その逆もあり、で興味深いものですね。

投稿: ★atushikun2 | 2013年9月13日 (金) 13:03

はじめまして。私も金八先生大好きな世代です。
印象的なのは第二シリーズの加藤優が校内暴力起こした時金八がいった「教師は生徒を愛してやることです。それができなきゃ教師は教師を辞めるべきです」、あとは卒業式にいった「悪い生徒だからこそ美しい魂がやどっていることを君達は先生に教えてくれました」 ここには涙です。
あと本田先生が女子生徒に対してsexとは何かを真剣に伝えている場面です。まずパートナーを決めること、火遊びはダメ、子宮は命の聖火ランナーという言葉には学ばされたし本田先生は一人一人に対して親切な養護教諭だなあと感じました。
長々と失礼しました。

──────────

花さーん。こんにちは!


最初に。

私がスパムメール防止のために独自に設定している
NGワードが投稿文中に入っていたので、図らずも
非公開コメントのボックスに入ってしまっていました。
公開が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。

あともうひとつ、ワタクシの人違いでなければ……
花さんから一度コメントいただいてますよ〜。
(2014/01/25 18:06)

どちらにしても、ようこそいらっしゃいました!
これからもどうぞよろしくお願いします!


>教師は生徒を愛してやることです。
それができなきゃ教師は教師を辞めるべきです

生徒を愛すること……教育に携わる人間には
必要最低条件のようにも思えますが、
これが簡単なように見えてどれだけ難しいことか。

事なかれ主義で、とりあえずその日を無事に
過ごせればいいと考えている先生が仮にいるならば、
生徒へ愛情を注ぐなんて絶対に出来ないでしょう。

愛すること、愛情を注ぐと、教師側も時には
傷つけられることもあり得るのでしょうが、
それを超えた先に、人間教育というものが
存在するのかもしれません。

金八先生は、真っ正面から生徒たちにぶつかっていき
たとえ自分が傷つけられても
生徒たちのことを第一に考え、守ってくれた。
それが理解できた生徒から金八先生は慕われていった。

慕う速度は人によって速い・遅いはあるわけですが
自分たちの強い味方を得た生徒たちは
自信を取り戻すんでしょう。

現実に起こる事件を見た時、金八先生なら
どう指導するんだろう? とふと考えたりもしています。


>本田先生は一人一人に対して親切な養護教諭

本田先生はじめ、このドラマの養護の先生は
いわゆる金八先生の別バージョンといいますか
もう一人の金八先生と言ってもいい存在ですよね。

特に、金八先生でもお手上げな生徒に対して
本田先生がそっとサポートするシーンは多いです。
金八先生が行き詰まった時にも
何気なく助け舟を出してあげたり、も。

何だか上手く言えないのですけど、
金八先生も本田先生も
どちらが欠けても物語は成り立たない。
自転車の前輪と後輪という感じはします。

ワタクシ、中学生の時分は身体が強かったので
保健室のお世話になることがまったくありませんで
こんな養護の先生がいらっしゃるのなら、
恋愛の相談の一つもしに行っていたかもしれません(笑)。

投稿: ★花 | 2015年2月23日 (月) 18:33

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