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2011年8月12日 (金)

プレイバック功名が辻・(26)功名の旗

天正11(1583)年1月。

柴田勝豊を味方に引き入れ
織田信孝を調略した羽柴秀吉の次なる目標は、
伊勢の滝川一益であります。
その伊勢攻めへの出立が近づいています。

せっかく千代がお膳立てをしたのに
五藤吉兵衛は引きこもって動きません。

伊勢攻めへ参加するつもりの祖父江新右衛門までやってきて
吉兵衛にたきと夫婦になれと後押ししますが、
それでも理屈を並べて動こうとしません。

“たきは、自ら身を引いた”と吉兵衛は思っていますが、
実は千代の策略で、吉兵衛にとって
たきがどれだけ大事な存在かを気づかせるために
わざわざ宇治へ離したのだそうです。

新右衛門はもう一度、吉兵衛を後押しします。


宇治──。

吉兵衛はたきが住んでいる家にやってきます。

野菜を洗うたきが、たまに見せる色っぽいしぐさに
ついついドキリとして見とれる吉兵衛は
犬に吠えられて小川に落ちてしまいます。

ひとまず父の形見の着物を吉兵衛に着させ、
濡れてしまった吉兵衛の着物を干すたきは
吉兵衛に食事を出すなど、細やかな気遣いを見せます。

そんなたきに、ますます惹かれていった吉兵衛は
思いを抑えられず、たきに全てを告げます。

──たき殿、待っていてほしい。
戦が終われば、必ず迎えにくるで──

「あの陰気な女」から「たき」、そして「たき殿」へ
呼び方一つで、人の気持ちが分かるって不思議です。


2月9日、
秀吉軍75,000は滝川一益を討つべく伊勢路へ。

ただ、長い行軍で疲れたか
陣中で飯炊きの煙を上げてしまい
滝川軍はそのスキをついて攻撃を仕掛けます。

これが秀吉のひんしゅくを買ってしまいます。

吉兵衛は、たきのことで心にスキが生じ
陣中に乱れを呼んでしまったと己を責めます。
一豊も秀吉からの叱責を受け、少々ヘコんでおります。

でも、主君のために命を捨てて働く家臣たちには
こういう言葉がほしいもの、と吉兵衛は進言します。

「吉兵衛、よう申した。
わしこそそちに死に遅れはせぬわ。
わしとそちは主従ではあるが、しかし幼き頃からの親代わり。
ようここまで育ててくれた。
明日の合戦は我が武門興るか興らぬかの瀬戸際、
いわば……『功名が辻』である。

わしが死ねば、供養を頼む。
が、そちが死ねば供養し子々孫々重用し、
そちの働きに報いようぞ」


城壁の足場が出来上がり、よじ登っていこうとしますが
敵方に見つかり、矢や石を降らせて進むことができません。
吉兵衛は「ここが功名が辻じゃ!」と味方を鼓舞し
気合いで石垣を登っていきます。

陣中に乱れを呼び、
秀吉にひんしゅくを買った汚名をそそごうと
功名を焦っていたのかもしれません。

登りきった吉兵衛は、砦の屋根に槍を突き刺し、
その槍に巻き付けておいた山内の紋を下ろすことで
一番乗りの声を上げます。

山内軍は次々に石垣を登ってきますが、
すでに敵と斬り結ぶ吉兵衛の身が危ないです。
一豊も新右衛門も吉兵衛救出に向かいますが
何ぶん敵兵が多すぎて思うように動けません。

振りかざす刀が折れ、それでも応戦していましたが
ついに敵兵に囲まれた吉兵衛は串刺しにされます。

一豊は、前日に吉兵衛に教わった通りに
「天晴れ!」と吉兵衛の忠義を褒め讃えますが、

一国一城の主に……。

吉兵衛はつぶやき、にっこり微笑んで
一豊の胸で絶命します。


山内家に戻っていたたきは、
吉兵衛が戦死したことを知ります。

吉兵衛の亡きがらの懐から、たき宛の文が出てきて
千代はだまってそれをたきに手渡します。

千代は吉兵衛の名を連呼し、たきは泣き崩れます。

──────────

天正11(1583)年3月3日、
五藤吉兵衛が伊勢亀山城の戦いで城内一番乗りをし、討死。

慶長5(1600)年11月、
山内一豊が土佐20万石を有する大名になるまで

あと17年8ヶ月──。


原作:司馬 遼太郎「功名が辻」
脚本:大石 静
音楽:小六 禮次郎
題字:だん きょうこ
語り:三宅 民夫 アナウンサー
──────────
[出演]
仲間 由紀恵 (千代)
上川 隆也 (山内一豊)

武田 鉄矢 (五藤吉兵衛)
前田 吟 (祖父江新右衛門)
生瀬 勝久 (堀尾吉晴)
三原 じゅん子 (いと)
田村 淳 (中村一氏)
乙  葉 (とし)
浜田 学 (祖父江新一郎)

細川 ふみえ (たき)

斎藤 洋介 (黒田官兵衛)
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柄本 明 (羽柴秀吉)
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制作統括:大加 章雅
演出:加藤 拓

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