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2011年8月26日 (金)

プレイバック功名が辻・(28)出世脱落

京・山崎 山内一豊の屋敷──。

一豊の腹に貫禄がついてきました。
それを千代が指摘すると、一豊はポンポンと腹を叩き
「もうすぐ城持ちじゃ」と笑顔です。

今回の亀山城攻めでは
家臣の五藤吉兵衛が一命をかけて一番乗りを果たし、
賎ヶ岳の戦いでは市の娘たちを救出したのは一豊です。

今考えれば、城持ち大名は一豊だけではなく
吉兵衛の夢でもありましたので、
吉兵衛に見せてあげたかったというのが心残りです。

一豊はさほど期待はしていないそぶりを見せますが
「城は……どこかのう?」と千代に聞いたりして
心の底ではどういう恩賞を賜るか、今からワクワクです。

天正11(1583)年6月5日。
近江坂本城で、賎ヶ岳合戦の論功行賞が行われました。

加藤清正・福島正則・片桐且元・脇坂安治ら
いわゆる“賎ヶ岳七本槍”のメンバーと、石田三成は
そろって3,000石に加増。

その中でも正則には働きがあったということで5,000石に加増。
これには一豊のみならず、七本槍メンバーも仰天です。

中村一氏には20,000石に加増、岸和田城を与えられます。
堀尾吉晴には17,000石に加増、若狭高浜城主となります。

そして、一豊には──。

わずか300石を加増、3,800石取りとなります。
これで、正則よりも格下ということになりました。
あまりの仕打ちに、固まってしまう一豊です。

「猪右衛門?」と吉晴は一豊を励まそうとしますが、
かつて一豊が出世頭だった時の自分たちの不甲斐なさを
イヤというほど味わっていただけに、
今日のところはそっとしておいてやれ、と言い置きます。


山内家へ戻った一豊の、意外にも苛ついた様子を見て
城持ち大名になれなかったのだな、と千代は推し量ります。

「徳川様に仕えるか」「浪人がよいか」と口走る一豊を
千代は豪快にガハハと笑い飛ばして
「お酒でしたわね」とわざと明るく振る舞います。

こういうとき、男は妻に
どういう言葉をかけてもらいたいのでしょうね。
とにかく、今の一豊には、どんな言葉をかけても
苛つきは取れそうにありません。

浪人になるなら、いっそ武士をやめて
草花をとり、商いをし、一豊とふたりで
ほそぼそと暮らしていきたいなどと千代は語ります。

ただ、一豊の夢が一国一城の主であることを結婚初夜に聞いて
妻である自分も同じ夢を追わなければと考えた千代は、
ことあるごとに“一国一城”“一国一城”と
一豊にプレッシャーをかけ続けてきた、その結末が
今の一豊の姿を生んだのだ、と千代は涙ながらに詫びます。

翌日から、一豊は出社拒否……もとい、登城拒否をします。
家で縄を結い、般若心境を写してみたりしますが
性根が拗ねているからか、何事もうまくいかず
余計にイライラが募ります。

そんな一豊の姿を、千代のみならず
愛娘のよねも心配そうに見守っています。

千代は、拗ね続ける一豊をどうすればいいか分からず
法秀にお知恵を拝借しようと、近江国の法秀尼の庵に出向きます。

一部始終を聞いた法秀は「いい歳をして」と息子にあきれ顔です。
若いながら、千代は出家まで考えているようで、
法秀は、自ら山崎に行って一豊に真意を聞き出すことにします。


今回の論功行賞で、不満の声がポツリポツリと出始めています。
特に清正は、七本槍のメンバーの中では
一番先に敵陣に突っ込んでいったはずだと主張していますが、
秀吉は黒田官兵衛に「棄て置け」と命じます。

それよりも、気になるのは一豊です。
特に不平不満の声が上がってきてはいませんが、
同期の一氏や吉晴と比較して300石のみの加増というのは
とてもとても少なすぎると、官兵衛から見ても思います。

秀吉は、家臣たちを試しているのだそうです。

恩賞の大きさだけでついてくる者、
秀吉を主君として仰ぎ 働く者。
これから先の大きな戦を前にして、
本当の家臣は誰かを見極めたいという気持ちがあるようです。


山崎の屋敷でのんびりと脚の爪を切る一豊に
千代は突然「出家したい」と言い出します。
よねは、かわいそうですが尼寺へ送るつもりです。
そして、当然ながら一豊とは離別します。

そんな時、法秀が訪ねてきました。

今までの戦場で、多くの命を手にかけてきた一豊が
出家するというのはいい心がけであります。
法秀は千代に、剃髪の準備として
湯を持って来るように言いつけます。

途端に慌て出す一豊。

法秀が剃髪前の説法は必要ないと言うので
代わりに一豊が「それがしの話を聞いてくだされ」と頼みます。

一豊は、今まで秀吉の手足となって懸命に働いたからこそ
今の立派な秀吉の姿があるわけで、その自負があります。
しかし、新参者はいきなり3,000石で、
23年に渡って勤め上げてきた一豊が
わずかに3,800石というのは解せないし、あんまりです。

ただ、そういうことを秀吉には言っていません。
自分の恩賞が手薄である理由は、御法度ゆえに
直談判して聞いてはいないわけです。

今まで うんうん と話を黙って聞いていた法秀は
「何か訳があるかと思えば……ただの愚痴か?」と
プリプリと腹を立てる一豊にあっさりと言ってのけます。

まさか愚痴の一言で済まされるとは思っていなかったためか
一豊にはさらに火に油を注ぐような結果になってしまいますが、

かつて、一豊の父(法秀の夫)である山内盛豊が
岩倉城で自害して果てた時の刀を取り出し、
一豊にこれで解脱するように言います。

母として、引導を渡そうとするのですが
千代がそれを強引に止めさせようとします。
ただ、そんなことでは決して止めない法秀。

千代は、もし一豊があの世へ逝くのなら
自分が先に逝ってお迎えする、と言って
カミソリを首に当てます。

親と子でもみ合いになりますが
千代の気持ちも法秀の教えもよく分かった、と
一豊が止めさせます。

「前を向いて、己の心と闘っていくしかないのです」
法秀は、一豊と千代の手を重ね合わせます。

──────────

天正11(1583)年6月5日、
賎ヶ岳の戦いの論功行賞が近江坂本城で行われる。

慶長5(1600)年11月、
山内一豊が土佐20万石を有する大名になるまで

あと17年6ヶ月──。


原作:司馬 遼太郎「功名が辻」
脚本:大石 静
音楽:小六 禮次郎
題字:だん きょうこ
語り:三宅 民夫 アナウンサー
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[出演]
仲間 由紀恵 (千代)
上川 隆也 (山内一豊)

前田 吟 (祖父江新右衛門)
永作 博美 (茶々)
生瀬 勝久 (堀尾吉晴)
田村 淳 (中村一氏)
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菅井 きん (なか)

田中 健 (本多作左衛門)
斎藤 洋介 (黒田官兵衛)

嵐 広也 (福島正則)
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中村 橋之助 (石田三成)
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浅野 ゆう子 (寧々)

柄本 明 (羽柴秀吉)

佐久間 良子 (法秀尼)

西田 敏行 (徳川家康)
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制作統括:大加 章雅
演出:梶原 登城

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