大河ドラマ江 ~姫たちの戦国~・(40)親の心
【アヴァン・タイトル】
──二代将軍となった秀忠は、戦のない世を目指す。
しかし、隠居してなお 天下への野望を燃やす父・家康が
その前に立ちふさがる。
そして江には、次男・国松が産まれる。
一方、長男・竹千代とは、思いを通わせられない。
親から子へ、子から親へ。
江たちは、その心を通わせることができるのか?──
慶長16(1611)年・夏。
江(39)は、竹千代(8)の乳母を務める福(33)を呼び出します。
竹千代が疱瘡にかかっていたことを母の江は知らず、
何故知らせなかったのか、という詰問です。
疱瘡……天然痘とも言いますが、
全身に膿疱ができ、あばたを残すために
悪魔の病気として恐れられてきた感染症であります。
対する福の言い分は、
江にうつしてはならないからという考えからなのですが、
疱瘡は感染力がとても強いので、その考えも一理ありです。
さらに5年前、竹千代が3歳のころにも大病を患っていますが、
それすらも知らなかった江。
知らされなかったというよりも、
知り得なかったと言った方が正確なのかもしれません。
これも、当時は弟の国松が誕生したばかりで、
さらに江のお腹には和(まさ)を身ごもっていたために
福は伝えなかったそうですが、
子の大事には側についていてあげたいというのは
母としての当然の思いであって、
病気がうつったら困るから、などといった福の気遣いも
江にとってはおせっかい以外の何者でもなく、
何をとっても腹立たしくしか感じません。
8歳の竹千代に施す、福によるスパルタ教育も
江は竹千代がかわいそうでなりません。
しかし、面白いというか残念でならないのは
そんな母としての当然の思いは
間違いなく竹千代に届いていないわけで、
竹千代の思いも、江には届きそうにありません。
竹千代も、母を前にして逃げ出す始末です。
江はとても困惑しています。
関係が上手く構築できない母と子がいれば、
同じように関係を構築できない父と子もいるわけで。
隠居したはずの徳川家康(71)は、
尾張名古屋城や伊勢津城、伊賀上野城など
修築普請を急がせます。
急がせる役目は息子の徳川秀忠(33)ですが、
家康の思惑が見通せるだけに
父の言いなりになることが面白くありません。
すなわち、後々起こりえる豊臣との戦に備えて
大坂城を囲むように城を築くのが目的であります。
秀忠には秀忠なりの豊臣に対する考えはあるのですが、
家康がそんな秀忠の考えに耳を貸すわけがありません。
秀忠は、自嘲するように吐き捨てます。
「話したくもない!」
親子の亀裂は決定的とも言えるでしょう。
大坂城では、豊臣秀頼(19)が
側室との間に産まれた子を肩車して遊んであげていますが、
淀(43)にとっては孫に当たります。
あの宮沢りえさんが“おばあちゃん役”ですぞー(^ ^;;)
とにかく(笑)、
秀頼の正妻として江戸城から嫁いできた千(15)は
子と戯れる秀頼の姿を陰ながら眺めていて、
とてもとても寂しそうな表情を浮かべていますが、
淀は千を「まだ妻とは言えぬ」ととても冷たいです。
常高院(42)は、江に頼まれた手前
千の居室に赴いて、いろいろと
悩みを聞いてあげたりもしています。
千の乳母の話では、千は初潮を迎えたそうで
常高院はそれを「めでたい」と喜びますが、
千がいくら秀頼の子を産みたいと望んでも
淀が千を秀頼の妻として評価していなければ、
それも無理な話なのかもしれません。
秀忠は、国松(6)と剣の太刀合わせ(木刀)をします。
江も大姥局(87)も「ああまでせずとも」と
ついため息を漏らすほどの稽古を施し、
国松も負けじと食らいついていきますが、
今度は竹千代に同じように稽古をつけても
ちょっと木刀を払われたぐらいで泣き出し、
福は「お怪我を……」と言って奥に引き下がらせます。
「竹千代はか弱いなぁ」
という、秀忠がつい漏らした一言が
竹千代の背中にグサリと刺さります。
そんなこともあって、江戸城内では
秀忠は竹千代よりもむしろ国松に
後を継がせたいのではというウワサ話が立ち、
それを漏れ聞いた福は、病弱な竹千代の健勝祈願に
伊勢参りを敢行することにします。
……というのは表向きの理由で、
本当は、駿府の家康に直訴するためでありました。
「わざわざ駿府に出向いたは、ワシにそれを伝えるためか?」
と、福のフットワークの軽さに家康もあきれ顔ですが、
家康は家康なりに、秀忠の後継ぎのことは考えているようです。
10月。
久々に江戸城に家康が戻ってきました。
そして皆を集めた上で、宣言します。
「わが徳川家を継ぐは、そこなる竹千代とする」
大姥局は、福が駿府で家康に直訴に及んだ話を聞き
乳母としては行き過ぎである、と
乳母の役割をこんこんと説きます。
乳母とは、実母と子を結ぶ役割を果たす者である、と。
育てた子は実子ではなく、実母には叶うものではない、と。
しかし、大姥局自身も
その役割を果たしきれているわけではないと
自嘲気味に話し始めます。
つまり、家康と秀忠のことです。
胸を押さえて倒れ込んだ大姥局を見舞いに
家康がこっそりとやって来ますが、
そんな家康に大姥局は、秀忠と
一度ゆっくりと話し合ってほしいとお願いします。
家康は、秀忠が自分に心を開かないことを知っていて
あまり乗り気ではありませんが、
子が心を開かないのは、子のみのせいでもないわけです。
親に打ち消されることを分かった上で、
なおも心を開く子はおりません。
ふむ……と考えに耽る家康ですが、
そこに父がいることを知らない秀忠が入ってくると、
ついつい腰を上げて出て行ってしまいます。
大姥局は秀忠にも同様のお願いをしますが、
父と話をする、という約束をした上で
秀忠は大姥局に声をかけます。
「そなたは、産みの母よりも ずっと私の母であった」
そして、江にも母としての心構えを説きます。
江は国松の母であると同時に、竹千代の母でもある。
母に信じてもらえるからこそ、子は生きていられるもの。
竹千代の母であることを忘れないでほしい──。
病を得、乳母としての働きができないと
暇を申し出た大姥局は、
それから1年あまり後に息を引き取ります。
満月の下で、家康と秀忠は初めて酒を酌み交わします。
家康は71歳という高齢期ですが、
元気に動き回れるようにマムシドリンクも飲むんです(笑)。
ちなみに秀忠は思いっきり咽せていましたがね。
秀忠は徳川と豊臣が並び立つ平和な世にすると考えますが、
家康はそれは無理だと考えています。
豊臣が一大名に落ち着くのであれば
生き残る道は残されていましょうが、
それはプライドの高い淀が許さない所業でしょう。
腹を割って話し合う、といっても
いつまで経っても平行線のままです。
父上とは分かり合えませぬ、と秀忠は出て行きます。
ただ、家康は学者・林 羅山を秀忠に送り
その考えをまとめて駿府に届けるように命じます。
家康は秀忠の考えも高く評価しているわけです。
それを知った秀忠は、つい複雑な表情を見せています。
江も、竹千代と話し合う機会を設けようとしますが、
竹千代はいつもするりと身をかわして逃げていってしまいます。
江としては、もうどうしていいか分かりません。
──────────
慶長18(1613)年1月26日、
徳川秀忠の乳母・大姥局が逝去。89歳。
慶長20(1615)年5月8日、
大阪夏の陣で敗れ、豊臣家が滅亡するまで
あと2年3ヶ月──。
(『春日局』では「(27)舅から嫁への手紙」〜「(28)和平か決戦か」付近)
原作・脚本:田渕 久美子
脚本協力:田渕 高志
音楽:吉俣 良
題字:菊池 錦子
──────────
[出演]
上野 樹里 (江)
宮沢 りえ (淀)
水川 あさみ (常高院)
向井 理 (徳川秀忠)
鈴木 保奈美 (市・語り)
──────────
富田 靖子 (福)
忽那 汐里 (千)
太 賀 (豊臣秀頼)
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加賀 まりこ (大姥局)
草刈 正雄 (本多正信)
北大路 欣也 (徳川家康)
──────────
制作統括:屋敷 陽太郎・櫻井 賢
演出:伊勢田 雅也
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『江 〜姫たちの戦国〜』
第41回「姉妹激突!」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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