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2012年1月20日 (金)

プレイバック源 義経・総集編第二部

『源 義経』総集編第二部


先般の腰越状に対する頼朝の返事はありませんでした。
この悲劇の兄弟を隔てる溝は更に深く、大きくなっていきます。

「わしは翼が欲しい」

そうつぶやく失意の義経に
弁慶はかける言葉も見つかりません。
人に思うように指図されない、
煩わしくない場所へ行きたいと強く願っているようです。

一方、頼朝の妻・政子(大塚道子)は少しだけ義経の肩を持ちます。
義経の身の上を心から案じ、
仮にも義経が謀反を企てると思うか!? と頼朝に問いつめますが、

頼朝としては、義経自身よりも
義経をおだて担ごうとするその後ろ側の人物に
気をつけたいところです。


頼朝との直接対決を避けた義経は
京から離れることにしました。
その一糸乱れぬ行軍は、これまた賞賛の因となりますが、

これから義経の運命は、
悲劇の一途をたどることになります。

荒れ狂う波の間から平家の亡霊が見え、
弁慶が念仏を唱えるも消えず、
仲間の舟はつぎつぎに沈んでいきます。

義経はなんとか岸にたどり着き、
山伏の格好をして必死の逃避行を続けます。


同行していた静に危険にさらすわけにはいかないと
義経は雪積もる吉野山で別れることにします。
手を合わせ、義経一行を見送る静。

この涙の別れは感動を呼びますが、
私生活では、
義経役の尾上菊之助(現・菊五郎)さんと
静御前役の藤 純子(現・富司純子)さんは
めでたくご結婚!

……というのは、
大河ファンの中では有名なお話であります。

北陸街道沿いの山道を苦労して奥州へ向かう義経主従。

恩賞目当てで義経一行を狙う者が後を絶ちません。
周囲はみんな、敵であります。


捕われた静は鎌倉に送られ、
鶴岡八幡宮で舞うことを頼朝に命じられます。

しずやしず
 しずのおだまき くりかえし
  むかしをいまに なすよしもがな──

義経を恋い慕う歌なぞ聞きたくもない頼朝は
苦虫を潰したような表情で見守っておりますが、

石橋山の合戦後行方知れずとなった頼朝を心配し、
毎日泣いていた政子のことです。
政子には静の気持ちが痛いほどわかります。


そのころ、安宅の関にかかった一行は
関守富樫に正体を見破られて呼び戻されるという
重大な危機に陥っていました。

弁慶は「間違えられたのはこれで二度目だ!」と
豪快にガハハと笑っていますが、
富樫が義経のみを留め置くことにした途端、
義経をひざまずかせ、杖でバシバシと殴りつけます。

これが結果的に関を通ることにつながるわけですから
弁慶のとっさの演技力には脱帽です。

とはいえ、後に弁慶が
涙ながらに謝罪したのは言うまでもないのですが、
ここは、まぁ……言葉はいらないですよね(^ ^)


義経一行はついに奥州平泉に到着しました。

藤原秀衡(滝沢 修)は、
昔 預かっていたころと同じように温かく出迎えます。
しかし息子の泰衡(片山明彦)は
義経を“招かざる客”としてしか思っていません。

しかし義経が平泉に戻って1年経つ前に
秀衡が臨終の床につき、旅立ってしまいます。
義経にとっては大きな打撃です。

秀衡の死後、義経寄りだった忠衡を不意討ちされ
泰衡が裏切ったことを知った義経は
「これが生涯最後の戦い」と位置づけます。

義経がずっと引き連れてきた家来たちの
最後の戦い。

華々しく散っていきます。

弁慶は、たくさんの矢をいかけられようとも
あまたの敵兵から串刺しにされようとも
歯を食いしばって立ち上がり、
敵の行く手を遮ります。

死んでもなお、我を守るか──。

持仏堂に入った義経は、堂に火をかけ
自害して果てました。


義経の死後、頼朝はチャンス到来と
大軍を率いて奥州に進軍します。

迎える泰衡は平泉の街に火をかけて
少数の家臣たちとともに逃げますが、
その家臣たちにも裏切られてしまいます。

平泉に入った頼朝は
義経の31年の短い生涯を悼みます。


──31歳で死んだ義経が
華やかな光を浴びて天下にその存在を示したのは、
実に2年に足りぬ短い期間であった。

花火のように短い命だったから
人々はかえってよく記憶しようとし、
語り伝えようとしたのだろうか。

その、命短かった武将の生涯を
人は未知の部分まで空想し、
限りない愛情を込めて語り合った。

義経主従が平泉を逃れ出たという説は
いわゆる「判官びいき」から出た
ただの伝説だろうか。

すでに800年を経たこの物語は
霧を隔てた夢のように多くの謎を残しながら
また、次の世に語り継がれていくことであろう──

【完】


作:村上 元三
音楽:武満 徹
語り:小沢 寅三
──────────
[出演]
尾上 菊之助 (源 義経)
緒形 拳 (武蔵坊弁慶)
藤 純子 (静)
滝沢 修 (藤原秀衡)
河津 清三郎 (横川の覚範)
──────────
大友 柳太朗 (富樫左衛門尉)
坂東 好太郎 (源 十郎行家)
渡辺 美佐子 (あかね)
加東 大介 (金売り吉次)
芥川 比呂志 (源 頼朝)
──────────
制作:合川 明
演出:吉田 直哉

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