プレイバック義経・(05)五条の大橋
鴨川にかかる五条の大橋──。
遮那王が奏でる もの悲しい笛の音が
辺り一帯に響き渡ります。
笛は、母・常盤が別れ際にくれた大事な品です。
これを奏でていると、そばに母がいるようで
遮那王は、どんなにささくれ立っていても
心休まるのかもしれません。
そこへ、下駄の音をカラコロと響かせて
対岸からひとりの僧が相対してきます。
薄暗くてよくは見えませんが、
ちょうどかかっていた雲が晴れて、
月夜で相手の姿を認めることができました。
対岸の僧は、武蔵坊弁慶です。
弁慶は、平氏公達から1,000本の太刀を奪う悲願を立て、
それにそって公達たちを襲って太刀を奪っていたわけです。
あと1本で、その悲願の1,000本到達です。
ただ、弁慶にとっては公達の太刀が欲しいわけで
女には用はありません。
遮那王は、お徳のアドバイスで
女のなりをして帰っているのでした。
何事もなくすれちがう二人ですが、
ん? と気づいた弁慶は、待て! と
遮那王のかぶる被衣をはぎ取り
前に立ちふさがります。
弁慶は、自分から逃げようとそんな格好をしていると
遮那王をさんざんにバカにしますが、
遮那王は構わず、スタスタと橋を渡ろうとします。
それに立腹した弁慶は
力づくで遮那王の腰刀を奪おうとしますが、
遮那王はヒラリと身を翻し、
弁慶の追跡を見事なまでにかわしていきます。
しかし、弁慶が払った長刀が笛に当たってしまい、
笛は無情にも川の中へ。
それに怒った遮那王は、スイッチが入ったようです。
二人の対決はさらに盛り上がり、
五条大橋に、桜の花びらが大きく舞い散る修羅場へ。
しかし、何度長刀を振り回しても遮那王にかすりもせず。
弁慶はさっきから「おのれーっ!!」と叫びっぱなしです(笑)。
遮那王は、むかし鬼一法眼に授けられた教えを生かして
弁慶を呪術(?)で惑わし、すねに一撃。
弁慶は顔を歪ませて、その場に倒れ込みます。
遮那王の、圧勝でした。
弁慶にとっては、初めて負けた相手です。
もはや、追いかけることも再度挑むこともできずに
ただ黙って遮那王の後ろ姿を見ているだけの弁慶です。
京・六波羅では、平 清盛が
娘・徳子をゆくゆく帝の中宮に送り込むことを宣言。
妻の時子に、そのつもりで働くように命じます。
その徳子は、のどかにも貝合わせに興じております。
時子は、平家一門の奥方たちを集めて
徳子の一件について相談。
この件に関して清盛が表立って動けないからこそ
妻たちが水面下で動くしかありません。
時子から妹・冷泉局へ、
冷泉局から建春門院滋子へ、
そして建春門院から後白河法皇へ。
伝言ゲームが如く、話が伝わっていきます。
後白河法皇としては、清盛の娘であれば異存はありませんが
帝の中宮は、摂関家から迎えるのが習わしでありまして
徳子はそれに外れるため、それを心配しているのです。
とりあえず、法皇は話を受けることにしますが
その遠くを見つめる眼差しは、未来の嵐を予感させるようで
ちと怖いです(^ ^;;)
大食漢であった弁慶が、
すでに3日も食事を口にしておりません。
それだけ、遮那王のことが気になってしかたなく
仲間の僧の声にも、うわの空です。
そして、悩める若人がもうひとり。
幼いころ、主の失った暴れ馬から
遮那王に助けてもらったうつぼです。
うつぼはもともと孤児で、
兄とともに子のない家にもらわれていきましたが、
寺に送られた兄・大日坊春慶は、寺を抜け出して京に戻り
悪さばかりする悪党になっておりました。
そんな兄のせいで、うつぼは遊女屋へ送られ
客もとらされていたとのこと……。
そんなうつぼを守るべく
遮那王は京の町までうつぼを送っていきますが、
京の町では、五足や烏丸らが襲われています。
思わず助けた遮那王ですが、
今度は遮那王が追われる立場に。
その一部始終を、
たまたま通りかかった時子が見ていました。
「遮那王……」
時子の胸に、遮那王の名がしっかりと刻まれた瞬間です。
鞍馬寺へ通じる石段の麓で、
ひとりの白拍子が舞の稽古中です。
そこへ駆けてくる遮那王ですが、
白拍子は、彼が追われていると察知したのでしょうか。
被衣を遮那王に投げ渡し──。
追っ手が及んだ時には、遮那王の姿はどこにもありません。
そこにいた白拍子に、不審な男について尋ねてみますが、
「何やら急ぎあちらに」と適当に答え、
それを信じた追っ手たちは、その方向へ去っていきます。
白拍子は、助けた相手が遮那王と知って
常盤の子であることを知るわけですが、
笛は鴨川に落としたと知って、白拍子は
笛と被衣を遮那王に預けます。
「お名を……」
後ろ姿に声をかけた遮那王に、白拍子は振り返り答えます。
──静、と申します。
遮那王の周辺が、にわかに騒がしくなってきました。
街道筋で遮那王を見かけた時子は
遮那王が京の町を徘徊していることを伝え、
平氏は遮那王を捕らえようと動き出したわけです。
平氏の家臣は春慶に遮那王逮捕をたきつけ
妹・うつぼが遮那王と知り合いであることを利用して
遊女宿から逃がしてやるかわりに
遮那王を連れてこいなどと言い出す始末。
しかも、大柄な僧(弁慶)が遮那王を探しているようです。
お徳は遮那王に、しばらくは
鞍馬山から京の町に下りて来ないように
五足に伝えさせます。
鞍馬山に入った五足は遮那王を探しますが、
覚日律師は、遮那王はすでにいないことを教えます。
母の常盤が危篤という知らせが入ったらしいです。
春慶たち一派が待ち伏せする場所へ、
遮那王は一目散に駆けてきます。
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原作:宮尾 登美子
「宮尾本平家物語」「義経」より
脚本:金子 成人
音楽:岩代 太郎
脚本協力:川上 英幸
:眞鍋 由起子
題字:陳 燮君
タイトル画:宮田 雅之
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[出演]
滝沢 秀明 (遮那王)
松平 健 (武蔵坊弁慶)
上戸 彩 (うつぼ)
伊藤 淳史 (喜三太)
塩見 三省 (覚日律師)
森口 瑶子 (経子)
中越 典子 (徳子)
戸田 菜穂 (輔子)
かとう かずこ (領子)
中江 有里 (建春門院滋子)
石原 さとみ (静)
勝村 政信 (平 重盛)
鶴見 辰吾 (平 宗盛)
細川 茂樹 (平 重衡)
梅津 栄 (朱雀の翁)
白石 加代子 (お徳(語り))
蛭子 能収 (一条長成) ※ ピンクレジットなし
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平 幹二朗 (後白河法皇)
阿部 寛 (平 知盛)
夏川 結衣 (明子)
稲森 いずみ (常磐)
松坂 慶子 (時子)
丹波 哲郎 (源 頼政)
渡 哲也 (平 清盛)
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制作統括:諏訪部 章夫
演出:黛 りんたろう
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