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2012年2月26日 (日)

(08)宋銭と内大臣

今回から、この『平 清盛』に新キャラが登場します。

物事のみならず、本の積み重ねられ方も杯の位置も
とにかく曲がったことが大嫌いという──藤原頼長。

今で言うなら、スーツをビシッと決めて
枠の細いメガネをかけたような
藤原摂関家の超エリートとでも言いましょうか。

その頼長が、世を乱す悪者にたいして宣戦布告。
「徹底して……粛清いたします」
平清盛の前に立ちはだかります。


博多・神崎荘商業地──。
宋と行われている商いの場です。
あまりの活気に清盛は、おぉ! と声を上げます。

アリガトーゴザイマス、アリガトーゴザイマス。
オウムがしゃべって、目を丸くする清盛です。
この珍鳥、馬をも買える10貫だそうです。

家来の平 家貞は、商人に宋銭を手渡し
残りはツケ、つまり館で支払う約束をします。
清盛にとっては、貿易、取引を目の前で見せられて
すべてのものに興味津々です。

しかし、宋との交易は
太宰府政庁を通さなければできないことで、
それを知る兎丸や平 盛国は
どうして交易できるのか不思議がります。

3年前、太宰府が交易に関わってはならないという
上皇発の院宣(沙汰書)があったからなのですが、
実はこれが真っ赤なウソ、でっちあげなわけです。


京・六波羅の竹やぶの中を、
馬に乗ってゆったりと歩を進めるのは
清盛の弟・平 家盛です。

被衣をかぶった正体不明の女と
どうやら密会しているようです。

その家盛が密会を終えて屋敷に戻ると、
王家献上用としての
宋の珍しい品物が納められていました。

それを献上して天皇家からいい国を与えてもらい
その国でできた米で宋と商いができる。
そのくり返しで財を貯えてきたわけです。

とはいえ、所詮はいけないことですので、
その役割として清盛は持ってこいの人物といえそうです。

漁師や海賊を郎党とし、身分が低い女を妻とする。
平 忠正は、そんな清盛では期待ができないので
平氏の行く末は家盛にかかっていると叱咤します。

複雑そうな表情を浮かべる家盛。
その瞳の奥は……?


鳥羽院御所──。

満開の菊花を咲かせた庭が望める御殿で
鳥羽上皇はいかにも満足げです。

不老長寿の仙薬・菊酒を皆で飲んで
あやかりたいところですが、
不老長寿など望まぬ、と
杯に浮いた菊の花をどけて酒をあおる御仁がひとり。

大納言・藤原頼長です。

父の藤原忠実、兄の藤原忠通は
内裏に赴いていたためにこの宴に参加しておらず、
頼長がふたりの代理として参加しているようです。

菊の花は、どうやら得子の趣味らしく
得子を寵愛してやまない上皇は、
ありとあらゆるところに菊の花を敷き詰めて
得子を喜ばそうとするわけです。

しかし、そんな上皇の心遣いも
頼長に言わせれば「情けない」の一言に尽きます。

上皇の心遣いも、佐藤義清が詠んだ歌も
頼長にはすべてが面白くないわけですが、
その目は、酒が注がれた青白磁の酒器に行きます。

平清盛の献上の品らしく、宋の逸品だとか。

清盛の名をぽつりとつぶやいた頼長は、
その胸に清盛の名をしっかりと刻み付けます。

ついでに頼長は、庭の木の枝が
1本だけ切り残されていたのを目ざとく見つけ、
キレイに切っておくように近臣に命じます。
しかも庭師には、たったそれだけの失敗なのに
暇を出します(←クビ)。

それぐらい、曲がったことが大嫌い、
神経質ということが言えましょう。

その頼長は、大納言から内大臣へ
昇進することが内々に決まったそうで、
忠実としては、それをきっかけに
藤原摂関家としての地位向上に努めたいところです。

しかし頼長本人は、この乱れきった世で
それを正すべき院が若い側女に入れ込まれて
政治に力が入らない現実を嘆いており、
自分が内大臣になった暁には徹底して粛清すると誓います。


アリガトーゴザイマスッ!
アリガトーゴザイマスッ!
オウムが連呼するところへ、
清盛は平 盛国に連れられてきました。

そこでは、平氏がこっそり宋と密貿易した品々を
兎丸が勝手に持ち出して、
人目にさらそうとしていたわけです。

そしてなぜかその場にいた高階通憲も
中国の文化が日本に入って来ていることを
「天晴れじゃ!」と褒め讃えます。

最初こそ困惑気味の清盛も、通憲の力説に押され気味で
博多で得た品物を触ろうが売ろうが
しぶしぶ認めることにします。

兎丸はさっそく、町の者たちにそれを安価で分けます。
「ここで買うたことは内密にな!」と
口止めする徹底ぶりですが。


家盛に妻取りの話が舞い込んで来ました。
忠正の一存で、家盛に良縁を
藤原家成に頼み込んでいたようです。

家成の仲介であれば、それはもちろん相手に不足無く
出世も早まるかもしれないということで
悪い話ではないはずなのですが、

妻の宗子はまだ早いと考えているし、
何しろ家盛本人には恋人もおります。
なかなか返事しない家盛に忠盛は
よく考えるように優しく諭します。


頼長がついに内大臣に昇進しました。

源 為義は、藤原摂関家とのつながりを太く持ちたいと
珍しい逸品──オウム──を携えて頼長の元を訪れます。

「ココデコータコトハナイミツニナ!」

途端に眼光鋭くなる頼長です。

事態が急転回を迎えます。
博多で得た商品について目をつけた頼長は
清盛に出頭を命じたのです。

オウムを手に入れたのは──太宰府鴻臚館(こうろかん)。
そして菊の宴の際の杯も──同じとき、同じ場所で入手。

清盛が太宰府へ赴くために
北面の武士という公務の休暇を届け出た期間は
8月13日から9月5日。

ということは、都からの往復を考えれば
清盛は8月21日から25日の5日間
太宰府に滞在していたと推測されます。

その間、鴻臚館で取引された品々のリストには
オウムも青白磁も出てきません。
しかし同時期、神崎荘倉敷で取引した品々の記録には
オウムも青白磁もしっかりと明記されています。

そこで神崎荘支配の者を正すと、
4年前に忠盛がでっちあげた上皇発の院宣を持っていた。
つまり4年前から、平氏は神崎にて
勝手に宋との商いをやってきたということになります。

ここまで調べあげ、逃げ道をなくして追及する頼長に
「よくもまあ……ちまちまと」と清盛は呆れます。

博多の商いがいかに豊かで生き生きとしているか、
豊かで美しい国・宋を
手本にするのがよいと清盛は頼長に説きますが、

商いを見たくらいで
海の向こうの国を見たつもりになっている清盛に
頼長が取り合うわけもありません。

清盛の退席後。

院宣がでっちあげたものかどうかは
そんな回りくどい調査などせずに
院に直接尋ねればいいだけのことなのに、
それを分かっていながら頼長はしなかった。

頼長と清盛の直接対決に同席していた通憲は
こう分析しています。

仮に院に直接確認したところで、平氏の財は
院の屋台骨を支えているほど強大であり
平氏が必要であるが故に、平氏に対してお咎めはない。
逆に言えば、それほどまでに世が乱れきっている。

それを頼長が見抜いている、と通憲は見抜いています。


京・六波羅の竹やぶの中を、いつものように
被衣をかぶった正体不明の女と待つ家盛。

しかし今回はどうも様子が異なり
女が現れても近づこうとせず、それどころか
馬を逆方向に歩かせ、背中を向けて離れていきます。
苦しいながらも、別れです。

忠盛には、嫁取りの件を
承服した返事をしていたのです。
家盛にとっては、
とても重い重い決断だったのかもしれません。

──────────

保延2(1136)年12月9日、
藤原頼長が17歳にして内大臣に任ぜられる。

治承4(1180)年8月17日、
源 頼朝が挙兵して平氏に反旗を翻すまで


あと43年8ヶ月──。


作:藤本 有紀
音楽:吉松 隆
題字:金澤 翔子
──────────
松山 ケンイチ (平 清盛)
玉木 宏 (源 義朝)
藤木 直人 (佐藤義清)
三上 博史 (鳥羽上皇)
加藤 あい (明子)
豊原 功補 (平 忠正)
金田 明夫 (鎌田通清)
伊東 四朗 (白河法皇(回想))
矢島 健一 (藤原教長) ※ ピンクレジットなし
──────────
檀 れい (待賢門院 璋子)
りょう (堀河局)
山本 耕史 (藤原頼長)
田中 麗奈 (由良姫)
阿部 サダヲ (高階通憲)
井浦 新 (崇徳天皇)
加藤 浩次 (兎丸)
岡田 将生 (源 頼朝・語り)
──────────
小日向 文世 (源 為義)
和久井 映見 (宗子)
上川 隆也 (平 盛国)
松雪 泰子 (得子)
國村 隼 (藤原忠実)
中村 梅雀 (平 家貞)
中井 貴一 (平 忠盛)
──────────
制作統括:磯 智明
    :落合 将
プロデューサー:櫻井 壮一
演出:渡辺 一貴


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『平 清盛』
第9回「ふたりのはみだし者」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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