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2012年3月11日 (日)

大河ドラマ平 清盛・(10)義清散る

平清盛にとって頼りにしてきた同僚であり、
無二の親友でもある佐藤義清。

鳥羽上皇と待賢門院璋子、そして得子。
このねじれたトライアングルの関係の中に
義清は分け入ろうとしていました。

「お救いしとうございます」と禁断の恋の橋を渡った義清。
それをいち早く察知したのは、女房の堀河局でした。


鳥羽上皇の第九皇子・躰仁親王は、母の得子によって
生まれてわずかにして東宮として立てられます。
東宮……つまり皇太子でありまして、
崇徳天皇の次の天皇として画策されたわけです。

しかし、鳥羽上皇がその話をすんなりとは受け入れません。

躰仁親王の東宮にすることについて異を唱える公卿が少なからず、
すなわち東宮の母としての得子の出自が低すぎるというわけです。

ただ、得子は見抜いております。
躰仁親王を東宮にしたがらないのは鳥羽上皇自身であります。
「見苦しや……」と得子は怒ってしまいます。

ほんのこれしきで心折れる得子ではありません。
関白・藤原忠通(忠実の嫡男、頼長の兄)を呼び出しまして、
崇徳天皇の中宮・聖子の養子として躰仁親王を差し出すわけです。

ことは得子の思惑通りに進み、保延5(1139)年8月17日
生後3ヶ月にして次の帝と定まりました。

躰仁親王が天皇に即位されれば、言わば国母にあたる女性ゆえに
宮中における得子の権力がますます増大することは明らかであります。

……と、弓の稽古をしながら義清は清盛に教えるのですが、
どんな会話を交わしていても、怒り心頭であっても、
弓はキレイに的の中央を射抜きます。


内大臣・藤原頼長は、
宴以降露骨に振る舞う得子にも嫌悪感を感じていますが、
何よりも歌詠みの武士(義清)にも気分がよくありません。
「いけしゃあしゃあと、小賢しいことを」

その義清を、清盛は珍しく自邸に招きます。
いつも佐藤邸に招いてもらっている
義理を感じているのかもしれません。

侍女たちも、義清の流し目にウットリ……。

清盛の妻・明子に振られたという話をすると、
侍女のひとりが大失言。
「なにゆえ義清さまよりもウチの殿など!」

清盛は笑っていましたが、
内心ではけっこう傷ついていると思います(笑)。

自邸に戻った義清は、璋子からの文を受け取ります。
物音を立てず、璋子が待つ屋敷にするりと滑り込みますが、
門番に見つからないように身を潜めながら……
とイメージしていただけあって、
“通い”というのは、こんなに大胆だったのですか(驚)。

しかし屋敷内で待っていたのは堀河局であります。
義清は以前、堀河局とも関係持ってませんでしたっけ?(^ ^;;)
コイツはどこまでプレイボーイなんですかっ。

あの日からご様子がおかしくなっていらっしゃいます、
との堀河局の言葉に、義清は悪びれもなく言ってのけます。
「お分かりいただけたのではないか、人を愛しく思う気持ちが」

救おうと思うのがおこがましい、と
堀河局は二度と璋子に近づかないように厳しく言います。


12月27日。
鳥羽上皇第四皇子・雅仁親王は元服します。
しかし今様好きな親王は、こんな元服の儀式にも舞い出して
今までの奇行はさらにひどくなる一方です。

誰に何を言えば最も心が乱れるかを分かっている雅仁親王は、
「諸大夫の娘が、先の院の寵愛を受けた我が母を蹴落とし
国母になる日も近うござりまするな」と
すれ違った得子に毒つきます。

得子は、雅仁親王が鳥羽上皇の子ではなく
そのねじれ曲がった性格から
白河法皇の子ではないかとあらぬ疑いをかけますが、
それに噛みついたのは、遠くで聞いていた璋子でした。

「取り消してくださりませ!」と得子につかみかかります。


璋子が得子につかみかかったという話は
たちどころに北面の武士たちにも伝わりまして、
弓矢の稽古に勤しんでいる義清の耳にも入ります。

しかし、何がそうさせたのか?
あれだけ的の中央を射抜いていた義清の弓が、
途端に外れ出し、挙げ句には的にすら当たらずあらぬ方向へ。
気分が優れぬのか、義清は早退することにします。

清盛は、義清の様子を何となく気に掛けますが、
鳥羽上皇が水仙を見に行く警護に出かけなければなりません。

年始の挨拶に、忠実、忠通、頼長父子が宮中を訪れますが、
水仙を見に出かけた鳥羽上皇には会えません。
帰ろうとする忠実に、頼長は
天皇家の乱れの張本人に一言諌めねば気が済まぬと
ひとり宮中に残ることにします。

鳥羽上皇は、大好きな水仙に囲まれてとても満足そうです。


義清は早退したわけではなく、璋子の元を訪れていました。

あの日のことが忘れられない、と
義清が熱弁するにもかかわらずその話を一切聞こうとせず、
庭に咲く花の中に一輪だけ咲き残っていた水仙を見つけると
さも大事そうに手で囲います。

今まで虚ろな、空っぽな目をしていた璋子を救おうと
義清がいざ愛情を掛けてみると、
その中に、鳥羽上皇への気持ちが残っていた。

その現実を目の当たりにして、
自分の気持ちをなぜ理解してくれぬのかと義清は逆上します。

そこへ清盛が駆けつけ、二人を引き離します。

堀河局も駆けつけますが、璋子と義清の二人を見れば
何が起こったのかはおおよそ理解ができます。
義清には、いますぐ逃げるように命じます。

水仙見物から戻った鳥羽上皇でしたが、
頼長が苦言を言い出す前に、璋子に狼藉に及んだ話を聞き
対面は中断、慌てて璋子の見舞いに行きます。

出直して参れ! と言われた頼長でしたが、
立ち上がったその時、逃げる義清と清盛を目撃します。

璋子の元に駆けつけた鳥羽上皇でしたが、
大事ござりませぬ、と堀河局は頑として口を割りません。
璋子の空っぽな目から逃げ出した鳥羽上皇ですので、
今更の口出しは無用にしてもらいたいわけです。

義清としては、璋子の心の奥底に眠っている
人を愛おしく思う気持ちを引き出したかったのですが、
引き出されたのはむしろ、自分の方であったわけです。


翌朝、気になって義清の屋敷を訪れてみると
義清の妻・春子と娘・花子しかおりません。
聞けば、内大臣から院御所へ参れとのことで、
事情を察知した清盛は、ひとまず璋子の元へ。

鳥羽上皇の目の前では、璋子への狼藉事件について
頼長による追跡が始まっておりました。

事件当日、義清は北面の務めを早退し
水仙見物のお供をせずに帰宅した。
しかし義清の馬は夕方まで御所に残されていた。(厩番の証言)
あの日の夜、上皇と対面するために御所にいた頼長は
御所の庭を駆け抜ける姿を目撃している──。

一歩一歩、追いつめられていきます。

璋子の元を訪れた清盛は、狼藉を働いた曲者は
義清ではなく自分(=清盛)であったということにして
それを上皇に伝えてくれるように懇願します。

義清は、確かに許されないことをしでかしたのは確かですが
彼には彼なりに璋子を救い出したいと考え抜いての結果です。
その清盛の意をくんで、璋子は上皇の元へ向かいます。


「して、内大臣」
突然、上皇からの声がかかります。

上皇は、入ってくる璋子の姿を見て席を立ちますが、
咎めない上皇の姿勢に、頼長の語気も荒くなります。

上皇としては、仮に義清が曲者であったとしても
咎めなければならないことは何一つないわけです。
璋子が誰と何をしようと、
上皇自身の心にはさざ波一つ立たないからです。

その捨て台詞を聞いた璋子は、あまりのショックに茫然自失。
発言した上皇も、璋子が受けたであろうショックを慮っています。

これが、以前上皇が言っていた
“愛おしく思うがゆえに傷つけたくなる”ということですか?
いや、義清を処罰することで
璋子を傷つけたくないからとも受け取れます。

それだけ、心のどこかでは相手を思いやっていながらも
二人の間に溝ができて時間が経ちすぎていたということでしょうか。
修復するには遅すぎるということでしょうか。

愛おしく思う罪深さ。
現在にも通じることだけに、なかなか難しい問題です。

ともかく、義清は不問に付されます。


佐藤邸では、無数に舞い散る桜の花びらを
花子が無心に取っています。

義清は、花子が拾ってくれた花びらを受け取り
「美しい」と見つめたまま……この時、義清の中に
この世との別れを悟ったのかもしれません。

突如として夜叉の顔になり、娘を蹴飛ばします。

「いとしいゆえ、突き放すのだ」
「手に入れたい。手に入らぬなら奪いたい。奪えぬなら殺したい」

身を捨つる
 人はまことに 捨つるかは
  捨てぬ人こそ 捨つるなりけれ

23歳の若さで義清は出家します。

──────────

保延5(1139)年12月27日、
鳥羽上皇の第四皇子・雅仁親王が12歳で元服する。

治承4(1180)年8月17日、
源 頼朝が挙兵して平氏に反旗を翻すまで


あと40年8ヶ月──。


作:藤本 有紀
音楽:吉松 隆
題字:金澤 翔子
──────────
松山 ケンイチ (平 清盛)
玉木 宏 (源 義朝)
松田 翔太 (雅仁親王)
藤木 直人 (佐藤義清)
三上 博史 (鳥羽上皇)
加藤 あい (明子)
豊原 功補 (平 忠正)
金田 明夫 (鎌田通清)
──────────
檀 れい (待賢門院 璋子)
りょう (堀河局)
山本 耕史 (藤原頼長)
阿部 サダヲ (高階通憲)
加藤 浩次 (兎丸)
岡田 将生 (源 頼朝・語り)
──────────
小日向 文世 (源 為義)
上川 隆也 (平 盛国)
松雪 泰子 (得子)
國村 隼 (藤原忠実)
中村 梅雀 (平 家貞)
中井 貴一 (平 忠盛)
──────────
制作統括:磯 智明
    :落合 将
プロデューサー:櫻井 壮一
演出:中島 由貴


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『平 清盛』
第11回「もののけの涙」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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