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2012年4月13日 (金)

プレイバック義経・(13)源氏の決起

奥州・平泉──。

「鹿ヶ谷の陰謀」に後白河法皇が加担した疑いにより
平 清盛は法皇の側近39名を流罪にする処断をし、更には
法皇を鳥羽殿に閉じ込め、院生を停止させてしまいます。

その知らせを知った源 義経はひどく驚きますが、
藤原秀衡は「平家は朝廷を掌握したな」と冷静に分析。

京は、動いています。


その京はいささか不穏でありまして、
源 三位頼政の子・源 仲綱が所有する名馬「木下(このした)」を
その評判を聞いた平 宗盛がご所望らしく、
権力にものを言わせて、何でも取り上げてしまう平氏に
「なにゆえむざむざと」と仲綱は悔しがります。

是非もあるまい、と諦め顔の頼政ですが
自ら出家することで平氏に警鐘を鳴らした頼政の行動も
ほとんど無意味に近かったと言えそうです。

当事者・宗盛は、せっかく手に入れた名馬を憎々しげに一瞥して
仲綱に顔が似ているからと「仲綱」と改めさせ、
馬の尻に「仲綱」の焼印までしてしまいます。

そして、気に入らないことがあると
ことあるごとにムチで打ち据えるという行動に。
馬の寂しげな、悲鳴に近いいななきが響き渡ります。

名馬を入手した宗盛の元には、
その姿を一目見てみたいという人たちが
ひっきりなしに来訪していますが、
逆に仲綱は、京の中では笑い者となっています。

70歳を超えた頼政にとっては、息子の悔しさは分かります。
真剣に生きた証が欲しいと考えているようで、
平氏に対して決起する決意を固めます。
「もう一花、咲かせてみしょうか!」


「鹿ヶ谷の陰謀」に加担したといわれる以仁王は
後白河法皇の第三皇子でありながら、
生母の身分が低すぎて政治の表舞台に出ることもなく
日影の道を歩んできました。

頼政は その以仁王を訪れ、事の次第を打ち明けます。

頼政の言い分に納得した以仁王は平家追討の令旨を出し、
新宮十郎義家改め 蔵人 源 行家には、
諸国に分散する源氏に その令旨を届けて決起を促す
重要な役割を任せます。

喜び勇んだ行家は、まずは熊野に戻って前祝い。
「まさに好機到来」と飲めや歌えやの大騒ぎです。

さっそく伊豆に入り源 頼朝の元を訪れ、
応えてくれるものと説得工作に当たりますが、
意外や意外、頼朝は即答を避けておきます。

つまり、流人の立場である頼朝は平氏の監視下にあり、
行家の来訪のことすらも、
平氏に知れたらそれこそ一大事であります。

源氏なら喜んで決起に賛同してくれると思ったのに
ポーカーフェイスの頼朝の真意が分かりません。
失意のまま、行家は伊豆を後にします。


「源氏の嫡流たる私を、忘れてはいなかった……」と
頼朝は以仁王の令旨を手にして目に涙をいっぱいにします。
庭に出て見上げた青空が、とてもまぶしいです。

ただ、あの令旨が本物かどうか?
頼朝としては、まずそこから考えなければなりません。

もともと頼政は、嫡流の源 義朝(頼朝の父)を裏切って
平氏に加担した人物であります。
その人物がいまさら平氏に反旗を翻すとあっては
令旨も決起もウソである可能性も否定できないわけです。

忸怩たる思いの北条時政ですが、
行家に返答しなかった頼朝の判断を、妻の北条政子は評価。
下手に動けば、周りから潰されることもあります。

挙兵にはじっくりと時間をかけ、
天下の動静を見極める方に力を入れることにします。


もし仮に、源氏と平氏の間で戦になったら
「源氏として戦います」と秀衡に答える義経ですが、
それは一方で、義経が尊敬してやまない清盛に対して
刃を向け、弓矢を向けるということでもあります。

それを秀衡にズバリ指摘された義経は言葉を失いますが、
「ま、仮の話だが」と逃げ道だけは作っておく秀衡です。


伊豆を出た行家が次に向かったのは、
源 義仲のところ、信濃木曾です。

義仲は頼朝とは違って、平氏追討の話に大張り切りです。
ただ、追討も確かに魅力的なのですが、
かつて見た都の艶やかさに相当な執着があるようで
それに爛々と目を輝かせています。

「平家を討ち滅ぼせば、都と言わず東国西国までも」と
行家も義仲を煽りますが、
都を貰い受けたい! と言い放った義仲に
頼もしさを感じ、義仲を凝視します。

行家の父・源 為義は義仲の祖父にあたり
ふたりは叔父・甥の関係にあたりますが、
為義は実兄義朝に殺され、
義仲の父も義朝の操りで実弟に殺されているので、
義朝関連の人物にはそれなりの怨みを持っています。

義朝関連の人物と言えば、伊豆の頼朝と奥州の義経。

嫡流に構わず、平氏を滅ぼした暁には
行家と義仲が源氏の頭になって、ことに当たろうと固く誓います。


そしてついに、行家は奥州入り。

令旨を見せられた義経は「これは……!!」と驚きを隠せません。
秀衡と話していたことが、まさに真実味を帯びてきたわけです。

源氏として戦う、とは言っていたものの
いざ現実になったら、京にいる母のことや
幼い日日の清盛との交わりなどが思い出されて
義経は思い悩みます。


以仁王の令旨の一件が平氏に知れ渡ります。
行家が熊野で馬鹿騒ぎしたことから露呈したのですが、
清盛は以仁王の逮捕を命じます。

逮捕のために差し向けた検非違使の中に頼政の養子がおり、
そこで頼政も ことの露見を知ったわけです。
ここは戦支度を始めるしかない、と頼政は準備にかかります。

一方、平氏が検非違使を差し向けると以仁王の姿はすでになく。

ことが相手に筒抜けと気づいた平氏は、
以仁王逮捕に向かった検非違使の中に
頼政の養子がいることを知ります。

その事情聴取のために平 知盛が頼政屋敷へ赴くと、
屋敷には火がかけられ、頼政が出陣するところでした。
知盛にニヤリとし、頼政は出て行きます。

頼政謀反と分かって、その理由が
宗盛の馬の所望の一件であるのでは? と
ようやく気づくのですが、時はすでに遅いです。


秀衡は、頼朝が発てば自分もという義経に
「それはならぬ」と釘を刺しておきます。

法皇自身の院宣が下れば、
いくら法皇の皇子・以仁王の令旨とはいえ
いともたやすく白紙に戻るため、
今は情勢を見極めることが大事である、と。

秀衡は、後白河法皇の恐ろしさを
決して侮るな、決して見くびるなと教えます。

──────────

治承4(1180)年4月、
以仁王が、平家追討の令旨を全国の源氏に発す。

元暦2(1185)年5月24日、
源 義経が兄・源 頼朝に弁明の腰越状を送るまで

あと5年1ヶ月──。


原作:宮尾 登美子
   「宮尾本平家物語」「義経」より
脚本:金子 成人
音楽:岩代 太郎
脚本協力:川上 英幸
    :眞鍋 由起子
題字:陳 燮君
タイトル画:宮田 雅之
語り:白石 加代子
──────────
[出演]
滝沢 秀明 (源 義経)
松平 健 (武蔵坊弁慶)
南原 清隆 (伊勢三郎)
うじき つよし (駿河次郎)
伊藤 淳史 (喜三太)

小澤 征悦 (木曾義仲)
小池 栄子 (巴)
大杉 漣 (源 行家)
──────────
阿部 寛 (平 知盛)
鶴見 辰吾 (平 宗盛)
細川 茂樹 (平 重衡)
渡辺 いっけい (藤原泰衡)
稲森 いずみ (常磐(回想))
平野 忠彦 (平 盛国)
神木 隆之介 (牛若(回想))
※ 平野・神木:ピンクレジットなし
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高橋 英樹 (藤原秀衡)

平 幹二朗 (後白河法皇)

夏木 マリ (丹後局)
財前 直見 (北条政子)
小林 稔侍 (北条時政)

丹波 哲郎 (源 頼政)

中井 貴一 (源 頼朝)

渡 哲也 (平 清盛)
──────────
制作統括:諏訪部 章夫
演出:木村 隆文

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