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2012年4月22日 (日)

大河ドラマ平 清盛・(16)さらば父上

平 忠盛は、生前の舞子の夢を見ています。

──いつか、分かるのではござりませぬか?
夢中で生きていれば。

なぜ、太刀を振るうのか。
何ゆえ武士が今の世を生きているのか。
ほら、この子もそう申しております──。

「この子」たる平 清盛もうたた寝をしていましたが、
忠盛にもらった宋剣がバタン! と倒れてしまった音で
目を覚まします。

しばらく振っておらぬゆえな、と
清盛は庭に出て、宋剣を片手にブンブンと振りまくります。

なぜ、太刀を振るうのか──
同じ頃に目覚めた忠盛の脳裏に、舞子の声が残っていました。

久安6(1150)年9月26日・京 東三条邸──。

摂政藤原忠通は、いかにも雅そうな舞を楽しんでいますが
屋敷の外から聞こえてきたのは、馬のいななきと兵士たちの雄叫びです。

源 為義が、藤原忠実の命令により
忠通が持つ藤原摂関家の家宝『朱器台盤』を
奪い取りに攻め入ったわけです。

略奪に成功した忠実は、笑いを堪えきれない様子で
それをそっくりそのまま左大臣藤原頼長に授けます。
一仕事終えた為義も、とても満足そうです。

とはいえ、戻った屋敷で為義を待ちかまえていたのは
息子の義朝でありまして、ちと厳しい言葉を浴びせます。
「父上のしたことは、ただの盗賊と同じにございます!」


鳥羽法皇は、美福門院得子の口添えもあって
忠盛を刑部卿に、清盛を安芸守に任ずることを内定します。

──源氏と平氏どちらが強いか?
その勝負は、武士が朝廷に対し
充分な力を得てからでもよいのではないか?──

頼長の警護のために出仕した為義とすれ違いますが、
為義は、いつか忠盛に言われた一言
それを決める日まで、何が何でも生き抜くつもりです。


さっそく安芸にやってきた清盛は
どどーんと広がる海を見て大はしゃぎです。

その清盛の姿は、「さぞはしゃいでおるのであろ」と
忠盛にはすでにお見通しではあるのですが、
仏のような表情だった忠盛の顔が急に歪み、咳き込みます。

安芸の海の幸に舌鼓を打っている清盛は
厳島社司・佐伯景弘に招待を受けますが、
“安芸一国の守り神”と聞いて喜び勇んでやって来た清盛は
そのあまりの寂れぶりにちと落胆気味です。

歓迎の舞でもてなしを受ける清盛ですが、
その舞女の中に、桃李という女性がいることに
同席していた兎丸が気づきます。

桃李というのは、
清盛がかつて兎丸率いる海賊船に乗り込んだ際に
船に乗っていた少女のことであります。
その桃李の兄・春夜もおります。

なつかしい再会です。

安芸から戻った清盛を待っていたのは、忠盛倒れる報でした。
慌てて忠盛屋敷にかけつける清盛でしたが、
「いつまでも寝ておられぬ」と忠盛は床上げをしていました。

忠盛はなるだけ明るく元気よく振る舞って
気遣う清盛を安心させようとしています。
清盛も「時子のヤツ、大げさに言いおって!」とひと安心。

5歳の子、清三郎に清盛は重すぎる宋剣を持たせ
かつての忠盛が清太(清盛)にしてくれたように
“体の軸”を作らせようとしています。


ならびおる ふたつの黒き
 蝶の舞
  いずれや高く のぼりけるらむ

宮中で持ち切りの噂を歌にしたものだと
義朝の妻・由良は、仕える統子内親王に教わります。

“ふたつの黒き蝶”摂政と左大臣のことであります。
どちらがより力を持つことになるのか、
公家衆は息を潜めて眺めているというのです。

その持ち切りの噂の元凶ですが、強引に藤原氏長者になった頼長は
兄・忠通に並ぶ権力を手中に収めたことで、
兄弟の対立は一層深く大きくなっていきます。

頼長の飛ぶ取りも落とすほどの勢いには
得子も忠通も危機感は持っていますが、
止めることを考えず、逆にもっと煽ってみることにします。

ちなみに義朝も為義も、いつもそれでもめているのが
由良御前の悩みの種ですが、内親王にアドバイスを受けます。
「家が丸う収まるよう、皆の仲を取り持つが妻のつとめじゃ」


出仕から戻った由良が、義朝屋敷に為義を招待し
父と子で仲良くさせようとさっそく行動に移したわけです。
源氏館では、鬼武者丸(のちの頼朝)に
為義が弓矢の稽古を手取り足取りでつけてやっています。

負けん気の強い鬼武者丸のことばで、
父子の仲がよくなりかけたところに
藤原家成屋敷を襲えという
左大臣頼長からの出陣命令が届いてしまいます。

なんでも、頼長邸の前を通りかかった家成の家来が
下馬せずにそのまま通り過ぎたかららしいのですが、
すぐに出陣の支度をしようとする為義にそれを止める義朝。
ふたたび父子は仲違いしてしまいます。

ふたりに心を痛め、泣き崩れる由良です。

結局、出陣した為義は
頼長が命じるまま家成屋敷を襲ったわけですが、
近臣が襲われた形となる鳥羽法皇は大激怒。

これらはすべて、頼長を陥れるための得子のはかりごとであり
つまり平氏に頼長を討たせるという大義名分を得たわけです。


得子は忠盛に、頼長を滅ぼした暁には
高野山金堂の落成を待たずして
公卿へ推挙するという口約束もしますが、
清盛は、それを断ることにします。

一瞬「えっ……!?」と驚く一同ですが、
忠盛としても、清盛の意見に賛成です。

今までは貴族のために働いてきた武士ですが、
これからは武士自身の世を作り上げていかなければなりません。
貴族のためではなく、武士のために
太刀を振るっていかなければなりません。

忠盛は一門全員を広間に集め、
万が一、自分が亡くなった後のことを言い置きます。

新しい棟梁は清盛です。
そして、忠正も家貞もこれまでどおり
平氏のことを口うるさく支えてもらうことにします。

強うなったな、清盛──。

仁平3(1153)年1月15日、忠盛はこの世を去りました。
忠盛が清盛ら武士に残した功績は、計り知れません。

──────────

仁平3(1153)年1月15日、
念願の公卿昇進を目前に、平 忠盛が死去。
享年58。

治承4(1180)年8月17日、
源 頼朝が挙兵して平氏に反旗を翻すまで


あと27年7ヶ月──。


作:藤本 有紀
音楽:吉松 隆
題字:金澤 翔子
──────────
松山 ケンイチ (平 清盛)
玉木 宏 (源 義朝)
深田 恭子 (時子)
三上 博史 (鳥羽法皇)
豊原 功補 (平 忠正)
金田 明夫 (鎌田通清)
伊東 四朗 (白河法皇)
吹石 一恵 (舞子)
※ 伊東・吹石:ピンクレジットなし
──────────
山本 耕史 (藤原頼長)
田中 麗奈 (由良御前)
加藤 浩次 (兎丸)
武井 咲 (常盤)
岡田 将生 (源 頼朝・語り)
──────────
小日向 文世 (源 為義)
和久井 映見 (宗子)
上川 隆也 (平 盛国)
松雪 泰子 (美福門院 得子)
國村 隼 (藤原忠実)
中村 梅雀 (平 家貞)
中井 貴一 (平 忠盛)
──────────
制作統括:磯 智明
    :落合 将
プロデューサー:櫻井 壮一
演出:渡辺 一貴


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『平 清盛』
第17回「平氏の棟梁」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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