プレイバック義経・(30)忍び寄る魔の手
平氏を徹底的につぶすことが目的の鎌倉軍が
西国に下っていきましたが、
頼朝の命により義経は都でお留守番。
くさりもせず、検非違使として務めを果たしております。
駿河次郎は、義経が戦場で大活躍するのを望んでおりますが
検非違使として夜盗を相手にしている現状に不満タラタラ。
義経は「心得違いをしてはならぬ!」と一喝します。
前回、正室として迎えた萌は
検非違使の務めから戻った義経を丁重に出迎えます。
演者は尾野真千子さんなのですが、
朝ドラ『カーネーション』のキャラクターとは
180度違う性格の人物です(^ ^;;)
ちなみに、お年を召した『カーネーション』のヒロインは
丹後局の夏木マリさんです。
ま、それはそれとして──。
義経が萌という「わけのわからない奥方」を迎えたことに
一言ガツンと言っておかねば気が済まない女性がひとり。
うつぼです(笑)。
義経の妻が静なら、彼女がとてもいい人だから
うつぼも文句はないわけですが、
……って、もし萌が静以上にいい人だったら
どうするんだろう(^ ^)
長門彦島におります平 知盛は、山陽道を通って
源 範頼率いる鎌倉軍に何度も何度も攻めかけ
範頼は苦戦を強いられております。
その鎌倉軍に義経が加わっていないことを知った後白河法皇は
検非違使別当に、もっともっと
義経を働かせて活躍させるように命じます。
しかし、義経の思惑とは裏腹に盗賊たちの動きはますます活発化。
義経は朱雀の翁に頼み込んで、盗賊の頭たちを集めてもらいます。
盗賊の頭たちは、盗みをしなければ
生きていけないと主張しますが、義経には分かっています。
戦や病気などで親兄弟を失い、
孤児となって生きて行く必要がある彼らです。
もともと盗賊として生まれてきたわけではありません。
義経が、「牛」と呼ばれて五足ら孤児たちと
たむろしていた時の仲間が、彼ら盗賊の頭でありまして、
検非違使としてやって来た義経が「牛」であることを知った彼らは
一様に驚きの表情を見せます。
検非違使が力づくで盗賊たちを取り締まり、叩き潰せば
いつまでたっても孤児は減らず、
盗賊たちを無くすことがつまり未来の盗賊たちを作り出している
悪循環になっているわけです。
義経は、自らが恩賞として領地をもらえば
その土地を彼らに分け与えることにします。
それまでは、義経の手先として夜盗に走る盗賊たちを
取り締まってもらいたいと言うのです。
義経に説得を受け、力を貸す約束をします。
その後、少しずつ盗賊の数は減っていったとかどうとか。
その検非違使としての働きが認められた義経に
「従五位下」という位を与えると法皇が言い出します。
従五位下という位──。
正一位、従一位、正二位……
正四位上、正四位下、従四位上……
従七位上、従七位下とある位のひとつで、
兄・源 頼朝の「正四位上」よりも低いものながら
義経にとっては大抜擢。
義経は、無許可で受けるのは畏れ多いと
いったん頼朝の許可を得たいとしてその場から下がります。
鎌倉から送り込んだ嫁をすんなりと受け
今回は伺いを立てる──。
義経は、まんざら立場を忘れているわけではなさそうです。
とはいえ、末尾にある「九郎判官義経」の“判官”とは
検非違使尉のことでありまして、
その位に関しては頼朝の許可なく受けています。
義経をどう見ればいいのか、頼朝も頭を悩ませます。
北条政子の提案として、いったん返事は保留することで
鎌倉を抜きにしては事が進まないことを分からせ、
義経や法皇がどう分別するかを見極めることにします。
義経を寺に呼び出した法皇は
先頃母を失ったばかりの義経を労ります。
そんな法皇の気持ちを察した義経は
法皇のためにも働くことにするわけですが、
これこそが、“人たらし”法皇の術であります。
義経をいたく気に入った法皇は、
頼朝からの返事を待つことなく従五位下を義経に授けます。
「授ける」と言われては、義経は辞退することもできません。
自らの栄達は鎌倉殿(=頼朝)のため、とする義経に
武蔵坊弁慶や静は、頼朝との関係を心配します。
政子は、鎌倉に関して不吉なことが続いていると感じています。
義経は従五位下を許可無く受けてしまうし、
山陽道の範頼は平氏方に動きを封じられております。
娘の大姫は義高亡き後、目が虚ろでほうけてしまうし
頼朝が新設した「公文所」「問注所」の人事には偏りがあって
北条一族の登用がありませんでした。
おまけにそれを頼朝に談判すると、口出しは無用と怒られます。
大姫のことでは多いに狼狽え、政子の発言に腹を立てる。
政子は、頼朝が理だけの人ではなく
実は人一倍情を持った人物であると見抜いています。
しかしその反面、頼朝は悩みを大きくします。
北条を蔑(ないがし)ろにしているか?
自らのものの味方を狭くしてしまったか?
10月、義経は御所への昇殿を許されます。
「従五位下」と「昇殿」──。
これこそ、後白河法皇が源義経を抱き込む切り札です。
天皇の居所である清涼殿にある殿上の間に昇ることができる
「昇殿」が従五位下の人物に許されるのも異例のことです。
頼朝が法皇に、屋島にいる平氏を追討することを願い出たのは
ちょうどそのころのことです。
その大将には義経を指名します。
頼朝としては、義経の気持ちを考えてではなく
試練を与えるつもりで屋島に派遣するわけです。
ついに大役が巡って参りました。
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原作:宮尾 登美子
「宮尾本平家物語」「義経」より
脚本:金子 成人
音楽:岩代 太郎
脚本協力:川上 英幸
:眞鍋 由起子
題字:陳 燮君
タイトル画:宮田 雅之
語り:白石 加代子
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[出演]
滝沢 秀明 (源 義経)
松平 健 (武蔵坊弁慶)
上戸 彩 (うつぼ)
南原 清隆 (伊勢三郎)
うじき つよし (駿河次郎)
伊藤 淳史 (喜三太)
海東 健 (佐藤忠信)
宮内 敦士 (佐藤継信)
尾野 真千子 (萌)
石原 良純 (源 範頼)
石原 さとみ (静)
松尾 貴史 (大江広元)
五代 高之 (善信)
梅津 栄 (朱雀の翁)
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平 幹二朗 (後白河法皇)
財前 直見 (北条政子)
阿部 寛 (平 知盛)
市川 左團次 (金売り吉次)
草刈 正雄 (平 知康)
夏木 マリ (丹後局)
小林 稔侍 (北条時政)
中井 貴一 (源 頼朝)
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制作統括:諏訪部 章夫
演出:大関 正隆
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