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2012年8月26日 (日)

大河ドラマ平 清盛・(33)清盛、五十の宴

後白河上皇は、白拍子の乙前(祇園女御)から
今様の稽古をつけてもらっています。

♪遊ぶ子どもの 声聞けば 我が身さへこそ 動かるれ
という一節を聞けば、またかという感じさえも受けるのですが、

「上達なさいましたな」と言われても
この今様を知ってから数十年が経過しているはずなのに
上達も何もあるのだろうか……??(^ ^;;)


さて、百日で太政大臣を辞した平 清盛ですが
妻の時子が「50歳になる祝賀の宴を催したい」と言っても
誰の誕生祝いか分からないほど忙しそうです。

というより、50歳だったの?w

恐らくは、清盛本人よりも
お茶の間桟敷の視聴者の方が驚いたかもしれません。


清盛義妹で上皇の后・滋子は
子の憲仁親王が東宮(次の天皇となる人物)になったことで
権力を持ちつつあります。

そこへ現れたのが以仁(もちひと)であります。

以仁は上皇の子なので憲仁親王の異母兄にあたり、
彼の養母である八条院暲子(はちじょういんあきこ)は
鳥羽法皇と美福門院得子の姫なので
鳥羽法皇の子である上皇の異母妹にあたります。

どうやら以仁は、親王宣下を得ていないので
“以仁親王”とは呼ばないようです。

ともかく、17歳になった今でも親王宣下の沙汰なく
後白河上皇の子としては冷遇されていると言っても
過言ではなさそうです。

つまり、彼らの主張は
わずか6歳で東宮となった憲仁親王よりも
自分(=以仁)の方が次の天皇に相応しいと言いたいわけです。

「まぁ……いずれな」と
上皇はその気もないのに先延ばしです。

以仁に親王宣下の沙汰が下ってはひとたまりもないと
滋子は兄の平 時忠を呼び出し、平家のその財力をもって
宣下の邪魔立てをしようと画策。
以仁の思うようには事が運びません。

そう、賢い方はご推察の通り!

後の世に事件をもたらす“以仁王”とは
彼の後の姿であります。
以仁王が打倒平家に動くのも分かる気がしますなぁ。

一方で、「近頃の平家の振る舞いは目に余る」と
摂政の藤原基房が嘆き、
「武士が国造りに口を出すなど前例なきこと」と
右大臣・藤原兼実はあきれ果てています。

政というものは、有職故実に通じ
雅を解することができる者のみが執り行えるものであって、
武力財力でものを言わせる武士風情なんかに
政はできないことを思い知らせてやろうと鼻息荒いです。


五十の宴・当日──。

六波羅の館には、源 頼政・仲綱父子が祝いに駆けつけていました。
もともと務めで出席できなかったわけですが、
一言だけでもお祝いを、と訪問したそうです。

ただ、仲綱は少々腑に落ちません。
かの平治の乱の時、父・頼政が
なぜ源 義朝を裏切り平家方に味方したのか。
なぜ清盛ら平家方に媚びへつらうのか。

「それ以上……言うでない」
頼政にたしなめられます。

さて、宴が始まり。

常盤御前の子・牛若も宴にやって来ます。
牛若は義朝の遺児ですが
5歳の時まで清盛の元で育ったこともあり、
清盛を実父と信じているようです。

源氏の遺児なので、本来であれば
平家に囲まれたこの場から排除されるべき人物でしょうが
時子は「今日は無礼講ですゆえ」と清盛に会わせます。

そこへ、基房・兼実兄弟がやってきます。
平家の権勢をチクリチクリと刺すのですが、
さすがは清盛、そこはスルリとすり抜けて
彼らを言いくるめてしまいます。

それでも引かない兄弟は、
手土産ひとつもたずに来館した無礼をわざとらしく恥じ、
舞を献上したいと言い出します。

彼らの思惑はココです。
ここで、貴族ならではの
“雅を解する心”を見せつけたいのです。
その勝負に打って出たわけです。

しかし、その返礼として
経盛の笛で重盛・宗盛が舞います。

いずれも見事なもので、互角です。

次は和歌、となりますが
右大臣兼実は歌の名手でありまして、かなりの強敵。
清盛は、やってきたばかりの末の弟・
忠度(ただのり)を指名します。

お題:恋

帰りつる
 名残の空を ながむれば
  なぐさめがたき 有明の月

(あの方がお帰りになったあとの名残り尽きない空を眺めていると
私の心を慰めてはくれない有明の月が見えるだけ)

たのめつつ
 来ぬ夜つもりの うらみても
  まつより外の なぐさめぞなき

(おいで下さると期待をしつつ、おいでにならない夜が
積もり積もった津守の浦ならずともどれほど恨んでも
松ならぬ待つよりほかのなぐさめなど私にはない)

これまたいずれも女の立場でもの悲しく歌い上げており
秀逸なものです。

基房にとっては、ここまで平家の面々が
“できる”とは予想しておりませんでした。
しかし、たかが真似事と笑う基房に
清盛は厳島神社修復後の完成予想図を披露します。

引き潮の時は、大鳥居まで歩いて行け
満ち潮の時は、社が海の浮かんでいるかのような仕掛け。
その絢爛な姿に、基房・兼実兄弟は
すごすごと帰るしかありませんでした。


そんなゆかいな宴を堪能した清盛でしたが、
翌1168年、清盛は突然の熱病に冒され意識不明に陥ります。

──────────

作:藤本 有紀
音楽:吉松 隆
題字:金澤 翔子
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松山 ケンイチ (平 清盛)
松田 翔太 (後白河上皇)
深田 恭子 (時子)
森田 剛 (平 時忠)
成海 璃子 (滋子)
藤本 隆宏 (伊藤忠清)
田口 浩正 (平 貞能)
窪田 正孝 (平 重盛) ※ ピンクレジットなし
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岡田 将生 (源 頼朝)
塚本 高史 (藤九郎)
加藤 浩次 (兎丸)
吉沢 悠 (藤原成親)
細川 茂樹 (藤原基房)
温水 洋一 (佐伯義弘)
武井 咲 (常盤御前)
──────────
松田 聖子 (乙前)
宇梶 剛士 (源 頼政)
遠藤 憲一 (北条時政)
上川 隆也 (平 盛国)
──────────
制作統括:磯 智明
    :落合 将
プロデューサー:櫻井 壮一
演出:中島 由貴


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『平 清盛』
第34回「白河院の伝言」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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