プレイバック義経・(35)決戦・壇ノ浦
いよいよ決戦・壇ノ浦!
物語最大のヤマ場だからか、アヴァンタイトルなしで
いきなりオープニングタイトルに行きましたね(^ ^)
銀河系の映像の下部に水面があり、そこから
タイトル『義経』の文字が上がる仕掛けなのですが、
いきなりのオープニングタイトルだと、
タイトル題字を浮かび上がらせるためだけの水面が
出てくる前が見れて、ちょっとだけ感動です。
ただ、言ってみれば
ここまでは上昇気流に載った義経の活躍記ではあるのですが、
ここから先、義経の運命は下降線を辿っていきます。
そう考えると、少しだけ寂しい気もします。
元暦2(1185)年3月23日。
土砂降りの中、源 義経の陣に駆け込むのは駿河次郎。
関門海峡の潮の流れについて、重要な情報を持ち込んだわけです。
朝、潮の流れは彦島から義経の陣方向へ。
昼ごろにはその潮の流れは一旦止まり、
昼過ぎには逆に、義経の陣側から彦島方向へ。
ただ、こんな土砂降りであれば
豊前で戦う源 範頼軍の様子をうかがうことはできず、
仮に狼煙が上がっていたとしても、
それを確認できない可能性は充分にあります。
そこで、梶原景時は先陣志願をします。
これまでこれといって表立った働きもなく、
そのまま鎌倉に帰るというのも申し訳が立たないらしいです。
しかし、総大将たる義経としては
自分たちよりも長門に長く滞在して海の諸事情を掴んでいる
三浦水軍の三浦義澄に任せる意向です。
新参者の三浦党に先陣を奪われて
プライドをズタズタに切り裂かれた景時は、
義経の説得も聞かずに陣を飛び出してゆきます。
納屋に閉じ込められていた能子は、明子に助け出されました。
養母の領子は「能子は義経の妹」と言って
突然の裏切りにも備えていますが、
能子自身はそういう気持ちは一切なく、
平氏の方々と運命を共にする覚悟はできています。
平氏の人々に自分が疑われていたのは
うすうす知っていた、という能子が
少しかわいそうな気もしますけどね。
合戦を前に、平氏の女性たちは舟に乗り込みます。
建礼門院徳子は、息子の安徳天皇に
「心は一つですぞ」と声をかけて天皇を励まし、
守貞親王が乗る舟へ移ります。
能子は安徳天皇や領子、明子らとともに
別の舟へ移ることになりました。
3月24日──。
「押し出せ!」という義経の号令で、
両者の戦いの火蓋が切って落とされました。
はじめこそ、お互いに弓矢を射て
嵐のように降り注ぐ矢、矢、矢……でしたが、
舟が近づくと、お互いが乗り移って剣を交える戦いに。
武蔵坊弁慶は、どこにかくしていたのか
大岩を敵の小船に次々と投げ落として
敵兵を舟から落としていますが、
大岩の割に、舟への影響がことのほか小さく見え
何だか妙にリアリティがない映像だなぁと思ってしまいました(笑)。
(ふつう人がはね飛ばされるほどの大岩であれば、
小船に落とされれば大きく揺れたり舟底に穴があいたりするでしょう?)
舟戦に長じた平氏勢は、
潮の流れを味方につけて源氏勢を圧倒します。
窮地に陥った義経は、佐藤忠信に命じて
平氏方の舟を操る舵取りを射倒していきます。
おかげで舟の方向が定まらず、
中に乗る平 宗盛や平 時忠は舟内で転げ回っていますけど(^ ^;;)
実はこの時代では、舵取りは非戦闘員であり
彼らを射ることは戦の作法に反する行為ではありますが、
それを義経は敢えて実行していきます。
これには敵の平 知盛のみならず、
梶原景時ですら「何ゆえ戦の掟破りを!」と驚愕する有様です。
昼近くになり、潮の流れはにわかに止まりました。
無数に並ぶ舟の中で、1雙のみは
周りを小舟に囲ませて守らせているのを見つけた義経は
その中央の舟こそ“御座舟”と、舟を近づけていきます。
「敵の舟が……すぐそこに!」
能子の声に、囲まれたか、と観念する領子です。
後々のことを考えて、別々の舟に乗っているのは心細いと
時子の発案で、天皇の舟と親王の舟とで合流することにします。
その上で、三種の神器は
時子と領子、輔子が分けて守ることにしました。
昼を過ぎて、潮の流れは東から西へ。
「九郎義経殿とお見受け致す」
「いかにも義経! そこもとは!」
「はっはっはっ……中納言、平 知盛!」
義経と知盛の一騎打ちが始まります。
知盛は義経を討とうとしますが、
身軽な義経は飛び跳ねるように別の船に移り、
知盛の攻撃をかわし続けます。
知盛の脳裏をよぎったのは、若かりし頃。
相撲を取って投げられた牛若が
「今一度!」と果敢にも挑む姿です。
そのコワッパが今の義経であります。
必死に戦う平 資盛も、無数の矢を浴びて
自ら首をかききって亡くなります。
知盛も、天皇や時子らの元に参上し、手をつきます。
「お覚悟召されますよう」
時子は、何としても天皇の命は助けなければならないと
能子を天皇のそばに付けます。
源氏総大将の妹であれば、
天皇を丁重に扱ってくれるであろうという時子の願いです。
そして、従ってきた女性たちは次々と海へ身を投げていきます。
宗盛は、形ばかり手を合わせてはおりますが
恐れているのか、ブルブルと身体を震わせています。
なかなか海に身を投げないのを見て
呆れた家臣が思いきり押し出すのですが、
すぐに浮かび上がり、あっぷあっぷと助けを求めています(^ ^;;)
さて、最後の戦いに挑む知盛は
幾本もの弓矢を受けながら、
最後の力を振り絞って戦い抜きます。
「見るべきほどのことはすべて見た!」
追いつめられた知盛は、碇の綱を身体に巻き付け
自ら海中に沈んでゆきます。
ただ切なく、空しさだけが残った激闘壇ノ浦。
平 清盛が一代で築き上げた天下は、
この日、ついに潰えたのであります。
──────────
元暦2(1185)年3月24日、
長門国壇ノ浦(現・山口県下関市)で行われた戦いで、
栄華を誇る平家が滅亡した。
元暦2(1185)年5月24日、
源 義経が兄・源 頼朝に弁明の腰越状を送るまで
あと2ヶ月──。
原作:宮尾 登美子
「宮尾本平家物語」「義経」より
脚本:金子 成人
音楽:岩代 太郎
脚本協力:川上 英幸
:眞鍋 由起子
題字:陳 燮君
タイトル画:宮田 雅之
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[出演]
滝沢 秀明 (源 義経)
松平 健 (武蔵坊弁慶)
南原 清隆 (伊勢三郎)
うじき つよし (駿河次郎)
伊藤 淳史 (喜三太)
海東 健 (佐藤忠信)
長谷川 朝晴 (鷲尾三郎)
小栗 旬 (梶原景季)
石原 良純 (源 範頼)
白石 加代子 (お徳(語り))
中越 典子 (建礼門院徳子)
戸田 菜穂 (輔子)
大橋 吾郎 (平 時忠)
小泉 孝太郎 (平 資盛)
後藤 真希 (能子)
神木 隆之介 (牛若(回想)) ※ ピンクレジットなし
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阿部 寛 (平 知盛)
夏川 結衣 (明子)
かとう かずこ (領子)
鶴見 辰吾 (平 宗盛)
中尾 彬 (梶原景時)
松坂 慶子 (時子)
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制作統括:諏訪部 章夫
演出:黛 りんたろう
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