« こむら返り | トップページ | 人の顔色を見ていると »

2012年9月23日 (日)

大河ドラマ平 清盛・(37)殿下乗合事件 〜宋の使者〜

伊豆・蛭ヶ小島──。

流人という立場をわきまえているのか、
明日への希望が見いだせないのか、
家人の安達藤九郎が野駆けや魚取りなどに誘っても
源 頼朝は一向に動こうとしません。

これでは鬱々とした日日も変わりなく
気鬱になってしまう、と危惧した藤九郎が
よく面倒を見てくれている北条時政の館へ連れ出しました。

頼朝は、時政の館ならとようやく重い腰を上げたわけですが、
表情は暗く……というか無表情です(^ ^;;)

時政の館に酒盛りに集まった豪族たちは
時政の縁者の者と紹介された頼朝を
無理矢理酒盛りに参加させるわけですが、
おかげで頼朝は、聞きたくもない平 清盛の
うわさ話を耳にすることになります。

その、話題に上がった清盛は
福原で新しい都作りを着々と進めております。

これまで太宰府で行ってきた宋の国との交易も
今後は福原で行いたいため、
宋の要人とのつながりがほしいわけです。

要人を福原に招待する──。

そのためには、莫大な貢ぎ物が必要です。
“金”ですな。(「かね」ではなく「きん」)

金、といえば
奥州藤原氏の三代目棟梁・藤原秀衡でしょうか。
宋からの品も取引して儲けているらしいです。
都から遠いのをいいことに、好き勝手やっているのでしょう。

嘉応2(1170)年5月25日、
出羽国と陸奥国の押領使という官職から
秀衡を「鎮守府将軍」という要職につけさせます。

実は、朝廷内からみて奥州藤原氏も憶えめでたからずでして
要職につけさせるというのにも少々衝突があったのですが、
今や平家の提案ごとには、抵抗する者があっても
結局は押し切られてしまいます。

ともかく、清盛は
秀衡を要職につけた見返りに奥州特産の金を入手。
それらを貢ぎ物として宋の朝廷に贈ることにします。

つづいて、宋の要人を招待するためには
取引が国 対 国でなければなりません。
そうなると、後白河法皇にお出まし願うしかないわけですが、
前の強訴の一件で、法皇とは関係が悪くなっているままです。

官職を解かれて今や無位無官の平 時忠に
アイデアがあるそうです。

彼のアイデアは、アイデアであってアイデアではなく
時として窮地に陥らせる危険性を孕んでおりますが、
清盛は彼に任せてみることにします。

時忠は、宋から奥州にわたった
赤い鳥の羽根を首からぶら下げて法皇に謁見。
当然、珍し物好きな法皇は、その羽根に食いつきます。

「さように赤い鳥がおるものか」と言ってみたところで
時忠に、赤い鳥について
宋人にじかに聞いてみては? と言われては
宋人に会わないわけにはいきますまい。

前例がない、と西光や藤原成親の大反対を食らいますが、
自分がその先駆けとなる! と言って聞きません。
時忠は、法皇の好奇心を煽って面会の約束を取り付けます。

ちなみにこれ以降、時忠の家来たちは
オシャレだと思っているのか
胸に赤い鳥の羽根をつけるようになったようです。


そんな最中の7月3日、事件発生──。

鷹狩りから帰る途中の平 資盛(平 重盛の嫡男、清盛の孫)は
橋の真ん中で藤原基房の行列と鉢合わせします。

摂政の前では輿を降りるように従者は資盛を諭しますが
資盛から出た言葉は、ちと意外な言葉でした。
「構わぬ。進め。わしは相国入道の孫ぞ」

平家の振る舞いをいまいましく思っていた基房は
ここぞとばかりに、従者たちに資盛の輿を襲わせるわけです。

基房の弟・藤原兼実でさえうろたえておりますが、
清盛の孫の輿を襲ったことを基房は気にも止めておりません。
資盛の父・重盛は礼節を重んじる人物なので、
礼節を欠いた我が子・資盛を叱ることがあっても
基房には復讐しないと考えた上でのことです。

その読み通り、重盛は
摂政の前で輿を降りなかった我が子の失態を叱るだけでした。

時子は、この辱めは正々堂々と訴えなさいと言いますが、
5人の公卿を出した名門であればこそ
どんな時でも有職故実に則って行動しなければならないと
重盛は時子の言うことにも耳を貸しません。

福原に滞在中の清盛や平 盛国は
この重盛が出した裁断を公明正大だと高評価です。


9月20日。
清盛はついに宋国の使者を福原に招き
法皇と対面させることに成功。

しかし、それを朝廷内では「天魔の仕業」と恐れおののき
平家の土台をたたき壊せと基房は鼻息荒いです。


そして1ヶ月後の10月21日、
鼻歌歌って機嫌のいい基房の輿を襲うナゾの武装集団が……。
命を取る代わりに、
従者たちの髷(まげ)を次々に切り落としていきます。

その直後、何も知らない重盛は内裏に出仕し
今まで平家を蔑んできた基房をはじめとする貴族たちが
いやに従順に、いや重盛を畏れています。
何かあったな、と。

六波羅への帰り道、その事件現場を通ってみた重盛は
赤い鳥の羽根が残されているのに気づきます。
そう、すべては時忠の仕業だったわけです。

六波羅に戻った重盛は一門に褒め讃えられます。
重盛の復讐だと思っているようです。

重盛は微笑んで、一門の言葉を受け取りますが、
重盛の中で何かがプツンと音を立てて切れました。

一門の棟梁たる者、己の情だけで動いてしまうのは
かえって一門を危うくする。
そう思って、自身を律し身内に厳しく体面を保ってきたのに
今回の復讐事件は、それを全否定されたように感じたわけです。

「間違うておったと……申すか」
妻・経子と二人きりになった途端、泣き崩れます。

ただ、事はそれだけに収まらず
赤い羽根の装束を身にまとった少年たちが
町で平家のことを悪く言う者たちを
捕まえていくようになりました。

「禿(かむろ)」と言うのだそうです。


そんな話を、頼朝は酒の肴に聞かされております。

平家の天下になっているのも、
かつて平治の乱で源 義朝が浅慮すぎたのだと
東国武士たちは主張。

「源氏は滅びぬ」
悔しさをにじませながら、ポツリとつぶやく頼朝。
それを怪訝そうに見つめる北条政子でした。

──────────

嘉応2(1170)年7月3日、
藤原基房の車列が平 資盛の車と鉢合わせをし、
基房の従者達がその車の無礼を咎め、乱暴狼藉を働く。

治承4(1180)年8月17日、
源 頼朝が挙兵して平氏に反旗を翻すまで


あと10年1ヶ月──。


作:藤本 有紀
音楽:吉松 隆
題字:金澤 翔子
──────────
松山 ケンイチ (平 清盛)
松田 翔太 (後白河法皇)
深田 恭子 (時子)
森田 剛 (平 時忠)
藤本 隆宏 (伊藤忠清)
田口 浩正 (平 貞能)
窪田 正孝 (平 重盛) ※ ピンクレジットなし
──────────
岡田 将生 (源 頼朝)
杏 (政子)
塚本 高史 (藤九郎)
加藤 浩次 (兎丸)
吉沢 悠 (藤原成親)
細川 茂樹 (藤原基房)
──────────
遠藤 憲一 (北条時政)
京本 政樹 (藤原秀衡)
上川 隆也 (平 盛国)
──────────
制作統括:磯 智明
    :落合 将
プロデューサー:櫻井 壮一
演出:橋爪 紳一朗


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『平 清盛』
第38回「平家にあらずんば人にあらず」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

|

« こむら返り | トップページ | 人の顔色を見ていると »

NHK大河2012・平 清盛」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« こむら返り | トップページ | 人の顔色を見ていると »