大河ドラマ平 清盛・(41) 〜決別の時〜 賽(さい)の目の行方
安元2(1176)年・後白河院御所──。
後白河法皇は、白拍子の乙前の前で
“遊びをせんとや……”と歌っています。
しかし法皇の表情には楽しさは感じられません。
最愛の后・建春門院滋子を亡くしたばかりだからであります。
法皇と建春門院の間に生まれた子・高倉天皇は
冥福を祈って手を合わせていますが、
その後ろに控える中宮徳子は
「きっと皇子を産みまする」と決意表明します。
とはいえ、その気配は微塵にもなく。
福原の平 清盛は、厳島神社へ高価な品々を奉納し
徳子の懐妊祈願をさせることにします。
しかし、そこに舞い込んできたのは
仏門に入っていた“九の宮”“十の宮”が
高倉天皇の養子になったというニュースでした。
これはつまり、中宮徳子を蔑ろにし
更には高倉天皇にも早々と引退してもらうための布石と
清盛には感じられます。
清盛は、平 重盛を法皇のもとに派遣し
平家の忠誠心が厚いことを証明させます。
ついでに重盛は、四男・平 知盛を蔵人頭に推挙しますが
法皇はそれすらもシカトし、別の人物に蔵人頭を任命します。
大困りの清盛は、比叡山から明雲を呼び出し
いざという時には力を貸すように念押しします。
伊豆では、源氏から平家へ寝返った源 頼政の子で
代官たる源 仲綱が北条時政の館を訪問。
更なる税を要求してきます。
建春門院はじめ、宮中の女人方が相次いで亡くなられたことで
その菩提を弔うべく出費がかさむのだとか。
すでに税は払っている時政でしたが、
追加の税金に思わず閉口してしまいます。
伊豆の武士たちは、平家が今は
法皇とのつながりに躍起になっているために
自分たち関東武士のことは顧みられることはないと
多少投げやりになっています。
源氏に代々伝わる「髭切の太刀」(「友切」から改名)を
見せてもらった北条政子は、東国武士のために
「立ち上がれ!」とけしかけますが、
源 頼朝は、清盛の恐ろしさを語って立ち上がろうとはしません。
安元3(1177)年3月、
千僧供養のために法皇は福原を訪問。
しかし、法皇はぽつりとつぶやきます。
「もうここへ来ることはあるまい」
重盛と平 宗盛がそれぞれ左近衛大将、右近衛大将に出世し、
法皇とのわだかまりが解けたように思えましたが、
この一言で、法皇と絶対的決別が訪れたようです。
法皇一行は、供養をせぬまま帰京していきます。
やがて、明雲らのかけ声で山法師たちの強訴が始まります。
西光法師の子で加賀守目代たる藤原師経が比叡山の末寺ともめ
それが大きくなって師経が寺を焼き討ちにしたことに対する
流罪を求めた強訴であったのです。
法皇は重盛に、内裏を守り固めるように命じます。
しかし、清盛と明雲は仲良しであり
その子である重盛が比叡山と事を構えてしまっては
何もかもおかしくなってしまいます。
ゆえに、重盛は脅し程度に抑えることにします。
ただ、山法師たちと衝突する中で
重盛の郎党が誤って神輿に矢を射かけてしまいます。
強訴の阻止に失敗したばかりでなく
ご神体たる神輿を傷つけるという大失態を
重盛は演じてしまったわけです。
福原を訪れた重盛は、断罪を覚悟で清盛に手をつき謝罪しますが
清盛は表情を変えず「ようやった」とつぶやきます。
今回のことは、もともと清盛と明雲が仕組んだことであり
これで朝廷は比叡山の求めに応じざるを得ません。
そのウラの話を知ってか知らずか、
天罰を畏れる公卿たちは、比叡山の要求通り
師高は尾張国へ、師経は備後国へ流罪とする決定を下します。
2人を流罪にすれば、その父である西光は力を失い
引いては法皇も力を削がれていくに違いありません。
そう仕組んだのだと、法皇は読んでいます。
法皇に西光、それに重盛の義兄・藤原成親も
平家に対する憎悪心でいっぱいです。
京・鞍馬寺では、
遮那王が笛を吹いて気を紛らわせています。
僧都が出家を勧めても、
遮那王は僧になるのをためらっているわけです。
それはすべて、五条大橋で弁慶と会い
自らの出自を知ったからにほかなりません。
誰もが、清盛の力に屈するしかなかった。
そう思えたものの、
平家に憎悪を抱く者たちが密かに行動を始めました。
京の鹿ヶ谷山荘に、西光法師や成親、
それに後白河法皇の姿がありました。
思いもよらぬ陰謀が企てられていたわけです。
「機は熟した。これより我らは平家を討つ」
──────────
安元3(1177)年4月
延暦寺が加賀守・藤原師高と加賀守目代・藤原師経の
流罪を要求して強訴を起こす。
治承4(1180)年8月17日、
源 頼朝が挙兵して平氏に反旗を翻すまで
あと3年4ヶ月──。
作:藤本 有紀
音楽:吉松 隆
題字:金澤 翔子
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松山 ケンイチ (平 清盛)
松田 翔太 (後白河法皇)
田口 浩正 (平 貞能)
窪田 正孝 (平 重盛)
玉木 宏 (源 義朝(回想))
武井 咲 (常盤御前(回想))
成海 璃子 (建春門院 滋子(回想))
※ 玉木〜成海:ピンクレジットなし
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岡田 将生 (源 頼朝)
杏 (政子)
塚本 高史 (藤九郎)
神木 隆之介 (遮那王)
青木 崇高 (弁慶)
吉沢 悠 (藤原成親)
細川 茂樹 (藤原基房)
加藤 虎ノ介 (西光)
──────────
松田 聖子 (乙前)
遠藤 憲一 (北条時政)
上川 隆也 (平 盛国)
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制作統括:磯 智明
:落合 将
プロデューサー:櫻井 壮一
演出:佐々木 善春
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『平 清盛』
第42回「鹿ヶ谷の陰謀」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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