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2012年11月12日 (月)

プレイバック義経・(46)しずやしず

静が鎌倉に送られるという話を耳にしました。

源 義経が真偽のほどを確かめさせると
どうやらホントのようです。

一度は静を奪い返すことも考えたのですが、
静の母・磯禅師の説得もあり、奪い返すことは断念。
義経主従は山伏に扮装して、せめて見送りだけしておきます。

お徳は、延暦寺の僧の手による書状を弁慶に託します。
義経主従が進む予定の北陸道は
源 頼朝に反抗的な延暦寺ゆかりの寺が無数にあり、
羽黒山に修行に向かうと見せかけて
その少し先の平泉を目指すという算段です。

この書状を見せれば、東国の寺は力になってくれるでしょう。

「ほんとにみんな行ってしまうんだね……」
うつぼは寂しさが募ります。

京の民には、「義経さまの思い人や」と
白拍子の静と言うだけで有名人でありまして
鎌倉への輿が通る道には、人だかりができています。

その中に、変装した義経主従が身を隠して見守っています。

思ったよりも警護兵が少ないと、
再び奪還の気持ちがむくむくと沸き上がってくるわけですが、
その願いも、朱雀の翁の一言でたちまちしぼみます。
「輿はカラや。カラやで」

今から鎌倉に送りますよ、と周知させ
スキだらけのところを見せておけば
義経は静を奪い返すに違いない。
そこを捕らえるように、との策略です。

義経をおびき出そうとするワナか!
そう気づいた瞬間、輿を狙って叫ぶ男がひとり。
佐藤忠信です。

忠信は警護の兵を次々に斬り倒して
カラの輿に近づきつつありますが、
それでもついには倒されます。

義経の家族が、またひとり亡くなります。


実はこの時、静はすでに鎌倉に送られて
源 頼朝と北条政子に対面しておりました。

「義経さまの評判への、妬みでしょうや」

弟であり、平氏追討に功があった義経を
なぜ討つ必要があるのか。
妬み、怨み。
どんなに厳しい詮議にも口を割らない静は
激しい言葉を頼朝に浴びせます。

「弟ゆえじゃ」
目を伏せて静の言葉を聞いていた頼朝は
表情を変えずに答えます。

その場にいる者たちの中で、ただひとり北条政子だけは
静に対して違った見方をしております。
「あの女子、身ごもっております」

見た感じ、2〜3ヶ月後には出産かと。

頼朝は、その出産に立ち会うように政子に命じます。
生まれてくるのが女子ならともかく
男子だったら……と政子に無言の圧力をかけます。


義経主従が近江と越前の国境をさまよっているころ
静は無事に出産。

男の子でした。

子がいないことを世話役の女に尋ねると、
ふたりとも口をつぐんで何も答えてくれません。

それを確かめようと、産んだばかりの身体で
よろめき這いつくばってもがいているところ、
通りかかった政子に食って掛かります。
表情ひとつ変えない政子を見た静。

まさか……!!

静の、狂うほどの叫び声が響き渡ります。


鶴岡八幡宮 落慶祝いの余興として
京の白拍子として名高い静の舞を奉納してはどうかと
善信は提案します。

あまたの御家人たちの強い要望でもあるわけですが、
このような状況で静が受けてくれるはずもありません。

政子は形ばかり静に意向を尋ねてみますが、
なんと受けるそうです(^ ^;;)

半月後、静の舞が始まります。

吉野山
 峰の白雪 ふみわけて
  入りにし人の 跡ぞ恋しき

(吉野山の峰の白雪を踏み分けて
姿を隠していったあの人のあとが恋しい)

しづやしづ
 しづのをだまき くり返し
  昔を今に なすよしもがな

(倭文(しず)の布を織る麻糸を丸くまいた苧(お)だまきから
糸が繰り出されるように、たえず繰り返しつつ
どうか昔を今にする方法があったなら)

※ 解釈はいずれも河出書房『義経記』より転載

「見事じゃ!」
静による義経への強い思いは、
政子に通じたようです。

言わば敵に囲まれたこの場所で
己の思い人を謡う度胸を考えると、
静とは、同性から見ても見上げた女性と言えそうです。


義経主従は、各地で追っ手と戦いながら
ようやく、越前から加賀に入ることができそうです。

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原作:宮尾 登美子
   「宮尾本平家物語」「義経」より
脚本:金子 成人
音楽:岩代 太郎
脚本協力:川上 英幸
    :眞鍋 由起子
題字:陳 燮君
タイトル画:宮田 雅之
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[出演]
滝沢 秀明 (源 義経)
松平 健 (武蔵坊弁慶)
上戸 彩 (うつぼ)
南原 清隆 (伊勢三郎)
うじき つよし (駿河次郎)
伊藤 淳史 (喜三太)
海東 健 (佐藤忠信)
長谷川 朝晴 (鷲尾義久)

石原 さとみ (静)
床嶋 佳子 (磯禅師)
松尾 貴史 (大江広元)
五代 高之 (善信)
梅津 栄 (朱雀の翁)
白石 加代子 (お徳(語り))
──────────
財前 直見 (北条政子)
市川 左團次 (金売り吉次)
萬田 久子 (あかね)
中尾 彬 (梶原景時)
小林 稔侍 (北条時政)

中井 貴一 (源 頼朝)
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制作統括:諏訪部 章夫
演出:黛 りんたろう

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