大河ドラマ平 清盛・(50)遊びをせんとや 生まれけむ [終] 〜壇ノ浦へ! 平家最期のとき〜
今日は『平 清盛』最終回!
なので、『その時歴史が動いた』風にお届けします(^ ^)
人間のドラマ。
それを人は歴史と呼びます。
決断の時、
決行の時、
人は何を考え、
どのようにして動いたか。
その歴史の決定的瞬間を取り上げます。
そしてみなさん、いよいよ「その時」がやってまいります。
壇ノ浦合戦の前日・鎌倉──。
源 頼朝の屋敷に平 頼盛がいて、
もの悲しそうな琵琶の音色が包む中
写経をしております。
平家は、一の谷の戦い・屋島の戦いに敗れた後
追う源氏から逃れるように西へ西へと流れております。
頼盛は、そんな平家一門から離れて鎌倉に下ったわけですが、
後悔はしないのか、との頼朝の問いに、見据えて答えます。
「平家は常に一蓮托生──」
さかのぼって4年前、治承5(1181)年1月21日。
平 清盛は、突然の熱病に倒れております。
春に入ったばかりだというのに暑い暑いとうなされる清盛を
一門総出で看病をし、扇で風を送っていますが、
清盛の身体からは湯気が立ち、氷もまたたく間に溶かすほどで
あまり効果はなさそうです。
身体ごと水につけるという方法も提案されますが、
身体を着けた水がたちまち沸き上がってしまうというのですから
相当な体温なのでしょうね(^ ^;;)
ともかく、手の施しようがありません。
生き霊となって、伊勢二見が浦にある西行の庵に現れた清盛に
西行は、清盛に間もなく死が訪れることを悟り、
「嬉しいとき、楽しいときも、辛いとき、苦しい時さえも、
いついかなるときも、子供が遊ぶようにお手前は生きた。
生き尽くした──」
生へ執着する清盛の生き霊に、西行は優しく語りかけ
霊を鎮めます。
床の清盛は目を覚まし、力強く立ち上がると
居並ぶ一門に厳命します。
「きっと我が墓前に、頼朝が首を供えよ!」
遠く鎌倉を睨みつけていたのでしょうか、
清盛はそのまま真後ろに昏倒。
絶命します。
閏2月4日、清盛は64年の生涯を駆け抜けました。
清盛亡き後、源氏は勢いを増し
平家は都落ちを余儀なくされ、凋落の一途をたどります。
父上と母上の平家の血を守ってくれ、と遺言された頼盛は
その遺言を守るべく、頼朝を頼ることにします。
敵方へ下ることになりますが、
頼朝の命を救ったのは、母・池禅尼ですので
その子・頼盛を粗略には扱わないでしょう。
その結果が、冒頭のシーンになるわけですな。
そして、壇ノ浦の戦いの1年後に
ひっそりとその生涯を終えました。
ちなみに彼の股肱の家臣・平 宗清は、
頼盛の命により最後まで平家に付き従います。
平 貞能は、亡き主君・平 重盛の遺骨を掘り起こして
鎮西(九州)へ落ちて行きます。
伊藤忠清は、彼独自で平家を守ろうと伊勢平氏の乱を起こしますが
捕縛されて斬首されます。
和歌のうまい平 忠度は一の谷の合戦で落命、
平 重衡は、大仏焼き討ちを恨む南都に送られ斬首。
平 維盛は、一の谷合戦の陣中から逃亡し出家。
後に那智海岸で入水する運命を辿ります。
清盛が世を去って4年後の元暦2(1185)年3月24日、
源氏と平家は、長門国にて激突します。
世に言う「壇ノ浦の戦い」であります。
安徳天皇を擁して御座舟に乗る時子ら平家一門。
平 時忠は、何としても三種の神器を守ろうと
姉の時子には草薙剣を託します。
勇猛果敢に戦う総大将の平 知盛ですが、
形勢はいよいよ芳しからず。
「もはや、これまで!」
その言葉に時子は覚悟を決め、
安徳天皇を海の底へ誘(いざな)います。
天皇を抱きかかえた時子は、壇ノ浦の海に身を投げました。
知盛は、激戦の果てに
イカリを身体に巻き付け、海に沈みます。
平 資盛は、壇ノ浦合戦で善戦し、西海に散ります。
平 経盛・平 教盛は壇ノ浦にて入水。
最期まで2人行動を共にしました。
棟梁・平 宗盛は、その嫡男清宗と共に入水しますが
沈めずに泳ぎ回っていたところを捕らえられ、
親子ともども斬首。
重盛の妻・経子は、壇ノ浦まで一門と運命を共にしました。
建礼門院徳子は、壇ノ浦の後に出家し、
一門の菩提を弔う日日を送ることになります。
時忠は、壇ノ浦でご神鏡を守った功績で死罪を免れ
能登国でしぶとく生き抜きます。
捕縛された平 盛国は、一言も発せず食を断ち、
餓死による自害を選びました。
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす──
平家の御霊を弔う琵琶法師は、
かつて平家のために働いた禿(かむろ)のリーダーだった
少年・羅刹です。
平家を滅ぼした頼朝が次にしなければならなかったのは、
弟・源 義経の処分でした。
頼朝の命で平家一門を海に沈め、滅亡に追いやり、
その功績が認められて後白河法皇から
五位という褒美をもらったわけですが、
それもすべては源氏のためであります。
「兄上、何ゆえ分かってくださらぬのですか」
義経の悲痛な叫びが、兄に宛てた手紙からも窺えますが、
そもそも頼朝の怒りの原点は、
棟梁に許可なく法皇から無断で褒美を授かったことであります。
義経は、そこを理解していないと言わざるを得ません。
頼朝は、無断任官をした義経を許しませんでした。
刺客を放ち、執拗に義経を追いつめます。
もはや孤軍となった義経は、弁慶も立往生で先立たれ
衣川でついに自害して果てました。
こうして頼朝は、
弟の屍の上に武士の世を作り上げました。
建久元(1190)年、頼朝は30年ぶりに上洛し
後白河法皇と対面しました。
法皇は頼朝に双六対決を求めますが、
清盛との対決ほどは心躍るものではなかったようで
この1年ほど後、“日本一の大天狗”たる法皇は崩御。
そして頼朝自身も9年後に亡くなります。
室町に幕府が設置され、足利家の世になって
清盛がその礎を築いた、国と国との交易が行われます。
(日明貿易)
海の底深く。
清盛が持っていたであろう宋剣が
水の流れに逆らいながら、ゆっくりと落ちていきます。
その剣に手を伸ばし、力強く引き抜いたのは
若かりしころの清盛です。
「清盛!」
兎丸の声に振り返ると、そこには
すでに亡い平家一門の面々が勢揃いです。
海の底にも、都はござりましょう……。
皆に出迎えられた清盛は、
子供のように無邪気に笑っていました。
こうして清盛も、海の星になったのかもしれません。
「平 清盛なくして、武士の世はなかった」
<完>
作:藤本 有紀
音楽:吉松 隆
──────────
[出演]
松山 ケンイチ (平 清盛)
─────
松田 翔太 (後白河法皇)
藤木 直人 (西行)
深田 恭子 (時子)
森田 剛 (平 時忠)
─────
藤本 隆宏 (伊藤忠清)
田口 浩正 (平 貞能)
梶原 善 (平 宗清)
西島 隆弘 (平 頼盛)
窪田 正孝 (平 重盛)
高橋 愛 (経子)
石黒 英雄 (平 宗盛)
小柳 友 (平 知盛)
辻本 祐樹 (平 重衡)
二階堂 ふみ (徳子)
─────
駿河 太郎 (平 経盛)
鈴之助 (平 教盛)
ムロ ツヨシ (平 忠度)
伊藤 修子 (生田)
井之脇 海 (平 維盛)
森永 悠希 (平 資盛)
八木 のぞみ (盛子)
松本 頼 (平 清宗)
中村 梅雀 (平 家貞(回想))
加藤 浩次 (兎丸(回想))
須田 邦裕 (源 仲綱(回想))
千葉 雄大 (高倉天皇(回想))
─────
岡田 将生 (源 頼朝)
杏 (政子)
塚本 高史 (藤九郎)
神木 隆之介 (源 義経)
青木 崇高 (弁慶)
柊 瑠美 (桃李)
高杉 真宙 (小兎丸)
永澤 俊矢 (武田信義)
吉武 怜朗 (羅刹)
関 貴昭 (佐々木定綱)
高村 晃平 (佐々木経高)
伊藤 昌一 (千葉常胤)
中山 卓也 (北条義時)
八田 浩司 (荒丹波)
累央 (豊藤太)
須加尾 由二 (麒麟太夫)
田中 悠太 (安徳天皇)
藤間 貴雅
松永 博史
田戸岡 和樹
若駒スタント部
劇団東俳
劇団ひまわり
テアトルアカデミー
キャンパスシネマ
真言法響会
─────
遠藤 憲一 (北条時政)
上川 隆也 (平 盛国)
──────────
時代考証:高橋 昌明
:本郷 和人
風俗考証:二木 謙一
儀式儀礼考証:佐多 芳彦
建築考証:平井 聖
衣裳考証:小泉 清子
殺陣武術指導:林 邦史朗
所作指導:花柳 寿楽
人物デザイン監修:柘植 伊佐夫
芸能指導:友吉 鶴心
書道指導:望月 暁雲
仏事指導:小峰 智行
馬術指導:田中 光法
:川村 英之
資料提供:兵庫県神戸市
撮影協力:新江ノ島水族館
テーマ音楽
演奏:NHK交響楽団
指揮:井上 道義
ピアノ演奏:舘野 泉
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
挿入曲「タルカス」より
作曲:キース・エマーソン
編曲:吉松 隆
題字:金澤 翔子
──────────
制作統括:磯 智明
:落合 将
プロデューサー:櫻井 壮一
美術:山口 類児
技術:小笠原 洋一
音響効果:島津 楽貴
記録:野田 茂子
編集:大庭 弘之
撮影:細野 和彦
照明:久慈 和好
音声:鈴木 恒次
映像技術:真弓 敬司
VFX:兼沢 将人
美術進行:日下 晶博
演出:柴田 岳志
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『平 清盛』
【BSプレミアム】
総集編第1回「武士の世」 12月30日(日)午後6時〜
総集編第2回「保元平治の乱」12月30日(日)午後7時〜
総集編第3回「海の都」 12月30日(日)午後8時〜
【デジタル総合】
総集編第1回「武士の世」 1月2日(水)午後5時〜
総集編第2回「保元平治の乱」1月3日(木)午後4時〜
総集編第3回「海の都」 1月3日(木)午後5時〜
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