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2013年2月10日 (日)

大河ドラマ八重の桜・(06)会津の決意

殿──。

登城停止の沙汰が下り
江戸城内一橋邸でおとなしく謹慎していた一橋慶喜は、
桜田門外の騒動で水戸藩の処分問題が話し合われた結果を
家臣から聞きます。

水戸討伐の件、会津様のとりなしにより
沙汰止みとなりましてございます──。

「会津の容保か。存外腹の据わった男のようだ」
慶喜の中に、松平容保の名が刻まれた瞬間でした。

それは、慶喜のように井伊大老との争いに敗れ
謹慎していた松平春嶽も同じでありますが、
こちらは少々違った感想を漏らします。
「一大名の進言で台虜が覆るとは幕府の屋台骨も緩んだものよ」

文久元(1861)年・初夏。
黒河内伝五郎道場では、薙刀合わせの稽古中です。
山本八重と山川二葉が、そして井上 雪と高木時尾が組んで
激しい稽古に汗を流しております。

やーッ! やっ! やっ!!
大きな声で踏み込んでくる二葉に
八重は押され気味かと思いきや、負けじと反撃に出ます。
二葉が持つ薙刀が八重の払いで落とされガッカリしますが
それでも「もう一本!」と食いついていきます。

稽古が終わると、相手の強さを認めて
お互いに励まし合う仲間同士ですが、
二葉は梶原平馬と、雪は神保修理と縁談が決まったそうで
お年頃の八重と時尾は、ちょっとだけ乙女の輝きに戻ります。

ただ、八重自身は自分の縁談については
特に真剣に考えたことはなく、
人のラブラブな話を聞いては
キャピキャピ♪といったところですか(笑)。

とはいえ、弘化2(1845)年生まれの八重は
この時すでに17歳ですので、
八重に縁談話があってもいい年頃です。

「高木様のおばん様からええ話があったげんじょ」
八重を呼び出した母の佐久は満面の笑みです。
どうやら針のお稽古で見てきた
八重の器用さと仕事の早さを買ったものと思われます。

下女のお吉が先ほどまで
“降るほどに縁談話が舞い込む”と言っていただけに、
ほらもう来た、とお吉に言われて八重は仰天。

針仕事が早いのは、さっさと片づけて
鉄砲の稽古をしたいからだと言う八重は
せっかくの縁談を断ってしまいます。
それで今度は逆に佐久が仰天するわけです。

兄嫁のうらは、
八重さんもじき嫁に行ぐんだし と八重の味方ですが
佐久は少し哀しそうな表情です。
「──鉄砲を撃つ娘をもらってくれる家があんべか?」

あ〜……、とうらも納得顔です(笑)。


疱瘡を患って病床に伏していた敏姫(容保の正室)が
この年の晩秋、亡くなりました。

夫婦らしいこともろくにしてやれなかったと
容保は悔やみ、手を合わせます。

生前、敏姫を見舞った照姫は
「姉として殿を支えてやってくだされ」という
敏姫の遺言を聞いて、
自分が離縁して帰ってきたことへの咎だと自分を責めます。


翌年、薩摩藩の島津久光が
1,000人の軍勢と大砲を率いて上洛したのです。
これに呼応するように、都は一気に
諸藩の浪士たちであふれ返ります。

さらに6月、京にいた薩摩は
朝廷の勅使とともに江戸入りを果たし
武力を背景に将軍の上洛を強く迫ります。

勢いに乗る薩摩は、幕政の中心に
春嶽と慶喜を復権させるわけです。

軍艦操練所頭取の勝 麟太郎は
外様大名たる薩摩が朝廷を使って幕府を動かすとは
前代未聞だと険しい顔です。


薩摩の力によって、
慶喜は将軍後見職に、春嶽は政事総裁職に就任。

ただ、いくら名誉職とは言っても
春嶽も慶喜もなりたくなかったというのが本音です。
余計なことをしてくれた……と
慶喜は唇を噛みますが後の祭りです。
「実に迷惑千万!」

ともかく、将軍上洛前に
京に残る不逞浪士たちを排除しなければなりません。

その役目を担う『京都守護職』を
血筋や家格ともに申し分なく兵力忠誠心を併せ持つ
会津中将・松平肥後守──つまり、容保です。


京を守る重要な役目と聞いて
八重は喜ばしいことだと胸を張りますが、
実はそう言うことでもないらしいです。

京都守護職として将軍を守るということは
幕府と存亡を共にするということであり、
もはや弱体化して倒れかかっている幕府に
会津の運命をかけるわけにはいかなかったのです。

山本覚馬は西郷頼母に
京都守護職の役目を断ってほしいと直訴しますが、
覚馬のような下っ端に言われなくても充分理解しています。

しかし、容保が何度断っても
京都守護職就任を執拗に迫る春嶽は
最後の最後に奥の手を繰り出します。

会津に代々伝わる「土津公御家訓」であります。

御家訓(ごかきん)とは、藩祖・保科正之が定めた
会津藩における絶対的な国是で、
その中から、徳川宗家に忠勤を尽くすべし、との
一条を持ち出したわけです。
「御下命に従わぬは、御家訓に背くことではございませぬか」


──守護職のお役目、お受けする。
容保の決定に、西郷や田中土佐らは驚愕します。

桜田門外の一件で井伊大老がそうであったように、
いざとなれば幕府はトカゲの尻尾のように会津を斬り捨てる。
会津に、彦根と同じ道をたどらせるつもりか。

西郷の厳しい反論も、理では就任を引き受けたものの
気持ちの上では充分すぎるほど理解できるだけに
重臣たちはみな、口をつぐんで平伏したままです。

「皆、覚悟を定め、ワシに力を貸してくれ」

そう言われても、なお西郷は涙ながらに受け入れません。
今回の話は、会津の命運を左右する二股道ですが、
会津を滅ぼす方向へ踏み出してしまったわけです。

文久2(1862)年閏8月1日、容保は京都守護職を拝命。
容保の上洛はその年の12月と決まり
これにより、覚馬も二葉の夫となった平馬も
上洛することになりました。

──────────

文久2(1862)年閏8月1日、
京都市中の治安維持と、御所・二条城の警備を担う京都守護職に
会津藩主・松平容保が就任する。

明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで


あと43年8ヶ月──。


作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
──────────
[出演]
綾瀬 はるか (山本八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
貫地谷 しほり (高木時尾)
市川 実日子 (山川二葉)
芦名 星 (井上 雪)
綾野 剛 (松平容保)
──────────
小泉 孝太郎 (一橋慶喜)
山口 馬木也 (榎本釜次郎)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
池内 博之 (梶原平馬)
山本 圭 (山川兵衛)
六平 直政 (黒河内伝五郎)
国広 富之 (横山主税)
佐藤 B作 (田中土佐)
中村 獅童 (佐川官兵衛)
──────────
生瀬 勝久 (勝 麟太郎)
秋吉 久美子 (山川 艶)
稲森 いずみ (照姫)
村上 弘明 (松平春嶽)
西田 敏行 (西郷頼母)
──────────
制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:一木 正恵


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『八重の桜』
第7回「将軍の首」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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