大河ドラマ八重の桜・(08)ままならぬ思い
文久3(1863)年3月、
14代将軍徳川家茂は上洛し、孝明天皇に拝謁します。
征夷将軍の儀はこれまで通り関東に委任する
攘夷の挙はなお出精せよ──。
孝明天皇からのお言葉に、ははっ と平伏する家茂。
その脇には、将軍後見職の一橋慶喜も控えており
同様に神妙な面持ちで頭を下げます。
国事御用掛の三条実美からも、
攘夷決行の日取りを早急に奏上せよとの催促です。
ただし、慶喜には前もって伝えられていたらしく
慶喜は特に驚きもしません。
将軍が上洛しているいま、京にうろつく不逞浪士たちから
将軍を守らなければならない役目の京都守護職・松平容保は、
また人斬りがあったらしいと聞いて
不逞浪士たちの逮捕が思うように進んでいないことに苛立ちます。
実態は、見回り要員の藩士数を増やしたものの
肝心の町奉行所の者たちが不逞浪士に脅える有様で、
だからといって会津藩の者たちで
不逞浪士たちを勝手に逮捕できるような単純な話でもないため、
思うような成果が上げられていないようです。
そこで、おっ! と田中土佐がひらめきます。
幕府が集めた浪士の一党が、
守護職たる容保の差配を受けたいと
願い出てきていたわけです。
その集団を視察した秋月悌次郎と山本覚馬は
その技量については申し分ないという判断ですが、
200人以上で入京した割には、
わずかしかいないのが気になります。
応対した土方歳三が言うには、
御公儀への忠心が薄い者は無用だと追い返したので
約240名が1割ほどに減ったのだとか。
「尽忠報国の士、総勢24名!」
横に座る斎藤 一の視線が
覚馬には痛すぎてちと気になるところですが、
気迫で相手を圧倒するのは、ともかく利点かもしれません(^ ^;;)
黒河内伝五郎道場では、
いつものように女たちが薙刀の稽古に汗を流しています。
ただ、上洛中の夫を追って京へ向かう予定の梶原二葉が
稽古に出るのは今日が最後です。
姉としては、弟の山川大蔵の祝言を
見られないことが残念だそうですが、
大蔵に片思い中の高木時尾は、彼の嫁取りの話を聞いて
稽古中だというのに放心状態。。。
薙刀をぶつけ、腫れた足を看ながら
山本八重は、熱ある? 腹痛か? と
時尾の思いに全く気づいていませんが(笑)。
「わたす(=私)、一生嫁に行かねえ」
私も嫁に行かねえよ! と八重は時尾を励ましますが、
そりゃあンたには鉄砲があるからでしょがw
さらに驚いたことに、八重は
“そもそも私に縁談が来んべか?”と
自分でツッコミを入れちゃいましたよ(^ ^;;)
会津本陣 黒谷金戒光明寺──。
神保修理が容保に、先ごろ会津藩お預かりとなった
『壬生浪士』を引き合わせます。
そう、彼らが後の『新選組』であります。
あ、現在同時並行で「プレイバック」シリーズにて
9年前の大河ドラマ『新選組!』視聴録をお届けしておりますが、
ココと同じシーン……つまり、容保と壬生浪士組が対面するシーンは
今週金曜日、3月1日公開予定の「(16)一筆啓上、つね様」で出てきます。
合わせてご覧くださいね!
5月10日、長州が下関海峡でアメリカ商船を砲撃します。
続いて20日、姉小路公知が刺客に襲われ落命。
この事件への関与を疑われた薩摩藩は、御所から遠ざけられます。
結果、朝廷では長州派が実権を握ったわけです。
それはつまり、近衛忠煕が容保に気をつけろと忠告をした
三条実美が力をもつということです。
長州藩士・桂 小五郎や久坂玄瑞は、
容赦なく襲撃してくる壬生浪士組を鬱陶しく思っていますが
剣士としてはそれなりに高評価のようです。
ただ、自分たちの思惑をことごとく邪魔立てするので
まずは会津藩を天皇から切り離す必要があると考えています。
大蔵の京行きが近づいてきました。
挨拶回りの大蔵は、八重と川崎尚之助にも別れの挨拶をします。
以前借りた本を返します、と尚之助が取りに言っている間
二人きりになって、大蔵に言われた一言……
“あなたは、会津そのものだから──”
だから、京でも真っ先に八重のことを思い出す、と。
恋ごころに鈍感な八重は、木の上に登って
その言葉の意味を考えてみますが、
よく分かりません(笑)。
ともかく、大蔵は嫁取りをしました。
江戸へ戻った慶喜が攘夷をする気配もないことに業を煮やした三条は
容保を江戸へ派遣して攘夷させようとしますが、
孝明天皇は、容保が江戸へ行ってしまったら
京都守護職がいなくなってしまうと反対を唱えます。
しかし、それは誰か別の者に任命すれば済む話、と
三条は孝明天皇の名を勝手に使って
容保に江戸行きの勅命を出してしまいます。
「勅命とは何や?」
望みもしないことを自分の名を使って
好き勝手に出されていることに、
天皇はひどく胸を痛めます。
何事かひらめいた天皇は、
三条にバレないように近衛を呼び
容保に対する直々の文書を託します。
京都守護職という役目にありながら
江戸へ行けという命令は、どうも腑に落ちないと
容保らは勅命を前にいろいろ思案しますが、
結局のところ、天皇の命令とあれば
江戸へ行くしかないと重い腰を上げます。
しかし、そこへ近衛経由で容保に文書が届くわけです。
『守護職を関東に帰すことは、朕の望むところではない。
なれど、堂上(=公家)たち申し条を言い張る上は
愚昧の朕が何を申すも詮なきこと』
──江戸へ下れとのご下命はご叡慮ではない!
最初に届いた勅命は、邪魔な会津を京から追い出すために
天皇の名を騙った“偽勅”であったと判断した容保でしたが、
天皇直々の文書を読み進めるうちに、
腰を抜かすほどビックリし、感涙します。
『これ即ち、朕が最も……会津を頼みとするゆえ』
数日後、西郷頼母が黒谷本陣に到着します。
頼母は、容保が
素性の怪しい浪士組を抱えて
不逞の輩をことごとく処断する立場に変わったことを指摘。
それをあっさり認めた容保に、頼母は
京都守護職を退任するように勧めます。
でなければ、容保も会津も会津の名も
血にまみれてしまう、と訴えます。
会津には御家訓がある。
そう切り出した容保になおも頼母は食い下がります。
「会津を潰してもよいと思し召されまするか」
さすがにその言葉には、貴公子容保も
感情を剥き出しにして頼母を睨みつけます。
帝がたった一人で国を担う重責に耐えている中、
その帝に信頼されている会津としては、
藩を懸けてでも守り抜くことこそが会津の義だと言うわけです。
去れ、と容保は頼母に冷たく言い放ち
のち、頼母は蟄居を命じられます。
藩に仕え、藩の存続を第一に考えた頼母と
将軍家に忠誠を尽くすという御家訓に重きを置いた容保は
それぞれの考え・信念は交わることなく
頼母の蟄居という形で収まるのですが、
怒りに任せての蟄居命令ではなく
容保にとっても苦渋の決断だったようです。
7月、会津は御所で軍事調練を披露することになりました。
馬揃えを帝に披露するのは戦国時代の織田信長以来とあって
面々は張り切っていましたが、
予定されていた日は雨のために順延となりました。
しかし、急いで馬揃えを始めよという。
話の行き違いを疑っていた秋月は「謀られた!」と慌てます。
帝の信頼を削ぎ落とそうと、
容保に恥をかかせる企てのようです。
遅れて到着した容保は、
初めて内裏に上がった時に天皇にいただいた衣を
陣羽織に直して着用していました。
遠くからそれを見た天皇も、それに気づきます。
言葉は交わさずとも、会津と心では一つです。
恐らくは企ての張本人であろう三条は
少しシラケた表情で、馬揃えを眺めていました。
その頃、セミの声が鳴り響く会津では
職を解かれて謹慎の身である頼母は
よく八重が座って読書をしている桜の木に
ついたケムシを取り除いています。
政治の世界にいないせいか、頼母はのびのびとしています。
確かな腕はあっても、それを生かす場がない。
それは、今の頼母も八重も同じかもしれません。
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文久3(1863)年3月12日、
幕府が集めた浪士の一党を会津藩お預かりにし、壬生浪士組となる。
明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで
あと43年──。
作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
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[出演]
綾瀬 はるか (山本八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
貫地谷 しほり (高木時尾)
市川 実日子 (梶原二葉)
池内 博之 (梶原平馬)
斎藤 工 (神保修理)
綾野 剛 (松平容保)
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中村 獅童 (佐川官兵衛)
降谷 建志 (斎藤 一)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
篠井 英介 (三条実美)
及川 光博 (桂 小五郎)
六平 直政 (黒河内伝五郎)
国広 富之 (横山主税)
佐藤 B作 (田中土佐)
風間 杜夫 (林 権助)
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市川 染五郎 (孝明天皇)
小泉 孝太郎 (一橋慶喜)
生瀬 勝久 (勝 海舟)
西田 敏行 (西郷頼母)
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制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:加藤 拓
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『八重の桜』
第9回「八月の動乱」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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