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2013年3月31日 (日)

大河ドラマ八重の桜・(13)鉄砲と花嫁

蛤御門の変から1ヶ月後の元治元(1864)年8月──。
会津から佐川官兵衛ら後発隊が京に到着しました。

藩主で京都守護職の松平容保とは、
かつて官兵衛が不興を買って謹慎処分となって以来
7年ぶりの対面となります。

神保内蔵助や田中土佐、神保修理ら会津藩重臣たちは
顔色を変えずに佐川を迎え入れていますが、
容保と対面が叶ったということもあって
もしかしたら過去のことは水に流しているのかもしれません。

佐川たちの活躍を期待して、容保は
彼らの集団に“別撰隊”という名を授けます。

バーン!

けたたましく鳴く蝉の声や
風鈴が風邪に揺られてチリリン♪と鳴っても
心を乱されることなく、
小さな的に向かって鉄砲を放つ山本八重。

謹慎処分を食らって京から会津に戻された秋月悌次郎は
八重の腕前を間近で見て、声を上げて驚いています。
八重の腕前もそうですが、
正確に放てる鉄砲を作り上げた川崎尚之助にも感心しています。

実は秋月が京を離れる際、もしも尚之助が他所で働きたがっているのなら
その斡旋をしてやってほしいということを山本覚馬に頼まれたそうで、
秋月は包み隠さずそう打ち明けるわけですが、
尚之助にはそういう気持ちはさらさらありません。

まあ確かに覚馬でなくとも悩むでしょうなぁ。
尚之助ほどの人材を会津に止めていいものかと。

秋月は、佐久間象山の例をとります。
象山が刺客に襲われて落命したのは先月7月のことですが、
彼がいた松前藩は象山の功績をたたえるどころか
煙たがる向きさえあり、

彼の活躍に何一つ報いようともせず、
佐久間家はお取り潰しとなりました。

会津藩は薄情ではないと信じたいところですが、
頑固者が集まる藩だけに
鉄砲の素晴らしさを知ることなく否定するかもしれず、

尚之助がどれだけ鉄砲に力を尽くしても、
それに見合うだけの地位を得ることは難しいわけです。

己を生かす道は、己の考えで決めてもらいたい──。
遠慮は要らないから、と、それが覚馬の何よりの願いです。

しかし今の尚之助は、自分の身の振り方よりも
象山が亡くなったことの方がショックで
彼の生前の言葉を思い出しては涙を流しています。


「遅い! 戦はいつ始まるンだ!?」
会津本陣で訓練を怠らない佐川ですが、
長州攻めが御公儀でもなかなか決まらないことに
イライラを募らせています。

そこへ「戦にございます!」と広沢富次郎が飛び込んできますが、
その相手は長州ではなく、夷狄(いてき=外国)なのだそうです。

なんでも、前年の攘夷の報復としてイギリス・フランス・
オランダ・アメリカの艦隊が長州藩を襲ったとかで、
馬関戦争(下関戦争)は日本側の惨敗となりました。

この戦を経験した長州藩内部では
無謀な攘夷から開国勤王へと大きく舵を切っていきます。


鉄砲についての新しい工夫が、やっと形になって出来上がりました。
銃の筒の内側にらせんの溝を掘ったことで、
これまでよりもなお一層命中しやすくなった……はずです(笑)。

パーン!

「八重さん、夫婦になりましょう」
──えっ?

「私の妻になってください」
──えっ?

己を生かす道は、己の考えで決めてもらいたい──。
覚馬の言葉どおり、尚之助は
八重と一緒になりたいと自分で決めたわけです。

今までは、八重の相手には相応しくないと自分で感じて
一度は縁談をお断りしたのだそうですが、
日本で最も進んだ鉄砲(と自負する)を作り上げた今、
その腕さえあれば、たとえ浪人であっても生きていける。

ようやく相応しい男になれたと思って
八重にプロポーズしたというわけです。
すでに父・山本権八の許可ももらったのだとか。

「八重さん、一緒になりましょう」
──ダメです。それはできねぇす。

八重は、どこでも生きていけるほどの
鉄砲の技術を持った尚之助だからこそ
自分と一緒になることで
会津に縛りつけてはならないと考えています。

尚之助がやりたいことを、やってもらいたい。
八重は心からそう望んでいます。

「私はここで生きたい。
八重さんとともに会津で生きたいんです」
その一途な想いを聞き、八重は涙をポロポロとこぼします。

「妻になってください」
──はい。

山本家では、尚之助のプロポーズを
八重がようやく承服したと
それはそれで家中大騒ぎです(^ ^;;)

日取りはいつにすんべ? と佐久が聞けば
まずは殿様のお許しを受けねばと権八はウロチョロするし、
早く覚馬にも知らせねえと! と佐久が言えば
文を書くぞ! と権八がウロチョロ。

今回のようなパターンでは
八重は嫁に“行く”というわけではありませんし、
かと言って婿を迎えるというわけでもありません。
でも、嫁入り道具だけは人並みに揃えてやろうとは
山本家家族の総意です。


9月11日。
大坂の専称寺に西郷吉之助の姿がありました。
庭で薪を割るのは軍艦奉行・勝 海舟。
ふたりの出会いは、
後に歴史を大きく動かしていくことになります。

長州征伐の参謀となった吉之助が勝を訪ねた形なのですが、

長州征伐の命が下ってはや2ヶ月、
幕府はぐずぐずして無駄に時が過ぎていきます。
はてどうすればいいものか、と考えたとき、亡き島津斉彬に
“国事に迷った時は勝先生に訊け”と言われていたそうです。

吉之助の考えでは、長州を征伐して
領地を半分は朝廷に献上し、半分は諸藩で分けるのですが、
「ま、およしなさい」と勝に言われてしまいます。
そもそも内乱にうつつを抜かす時ではないというのです。

ではどうするか。
共和政治を目指して、新しい政治の仕組みを作るわけです。

国内には、越前の松平春嶽や土佐の山内容堂など
優れた殿様が幾人もおります。
その諸侯諸藩がそろって会議を開き、国の舵取りをする。
それは、斉彬も目指していたことだと吉之助は目を丸くします。

「天下のために何をすべきか、はっきりと分かいもした!」
今まで険しかった吉之助の表情が、
パッと明るくなった瞬間です。


大坂城では、征長軍総督となった尾張藩主・徳川慶勝に
吉之助が長州に恭順を勧めるべきだと提案します。
戦わないのは幕府の体面に関わると異を唱える者も多く、
一同は一斉にざわめきます。

大軍を以て幕府の威光を示し、恭順を勧める。
「戦わずして勝つこそ、善の善なるもの」
孫子の兵法です。

この吉之助の和平交渉案は、征長軍の方針を一転。
これに対して長州は
3人の家老の首を斬って幕府に恭順の意を示し、
一戦も交えることなく征長軍は兵を引きます。


ただ、そんな結末になったことがおもしろくないのか
将軍後見職の一橋慶喜は、吉之助を“芋酒”と毒づきます。

それどころか、将軍・徳川家茂に上洛を促した容保に
「京都守護職ごときが将軍進退に口を挟むとは僭越至極」と
老中たちの笑い者になっていることを教えます。

良く思われていないのは慶喜も同様で、
容保とともに朝廷の権威を笠に着て
将軍家を脅かす存在だと言われているようです。

つまり、江戸城の面々は直接見聞きしないので
何も状況を知らないわけです。
慶喜は、そこが一番悔しいのかもしれません。

現に、会津藩江戸屋敷からも訴えが出ているそうで
修理は、容保の体調のこともあるので
今が潮時だと退陣することを提案しますが、
田中は、ポツリとつぶやきます。
「我らは一体、何と戦っているんであろうの?」


梶原平馬の屋敷にて。

平馬は若年寄、山川大蔵が奏者番、
それに覚馬が公用人にそれぞれ昇格したとのことで
ささやかな祝宴が開かれようとしています。

ついでに、八重の結婚話が出てきたわけですが、それは
いつもは冷静沈着な梶原二葉がかなり驚いて
手を徳利に当ててガシャンと音を出してしまうほどです。

代わりに徳利を受け取ろうとした覚馬ですが、
急に視点が定まらなくなり、徳利を持てません。
何かおかしい、と思う覚馬です。


山本家では、八重の婚儀に向けて準備が着々と進んでいます。

秋月は西郷頼母の家にお邪魔していますが、
八重の婚儀の仲人を秋月がすることになり
そこで頼母は八重が結婚することを知ります。

八重が幼い頃からいろいろありましたが、
なんだかんだ言って頼母は八重のことがお気に入りなのです。

その相手が居候の尚之助と知り、
藩士でないので屋敷もなく
花嫁行列も見られないと頼母の妻・千恵は残念がりますが、
頼母は「いい考えがある」とニッコリ。

婚儀当日。
秋月家にて、あまりに美しい白無垢姿の八重に
秋月も日向ユキも驚きます。

そう、頼母の考えとは
仲人役の秋月の家から山本家へ
花嫁行列を向かわせるということでした。

桜の花びらが舞い散る中を、出発するのでした。
実家に向けて(笑)。

──────────

元治元(1864)年8月5〜7日、
イギリスら4国が編成した艦隊が、馬関(現 下関市)と彦島の砲台を
徹底的に砲撃した「下関戦争」が勃発する。

明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで


あと41年7ヶ月──。


作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
──────────
[出演]
綾瀬 はるか (山本八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
市川 実日子 (梶原二葉)
剛力 彩芽 (日向ユキ)
綾野 剛 (松平容保)
──────────
小泉 孝太郎 (一橋慶喜)
中村 獅童 (佐川官兵衛)
池内 博之 (梶原平馬)
斎藤 工 (神保修理)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
──────────
津嘉山 正種 (神保内蔵助)
山本 圭 (山川兵衛)
佐藤 B作 (田中土佐)
奥田 瑛二 (佐久間象山(回想))
──────────
生瀬 勝久 (勝 海舟)
宮崎 美子 (西郷千恵)
秋吉 久美子 (山川 艶)
吉川 晃司 (西郷吉之助)
西田 敏行 (西郷頼母)
──────────
制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:末永 創


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『八重の桜』
第14回「新しい日々へ」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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コメント

昨日観ました。
八重の桜いいですよね~。
読みながら機能の内容を思い出しました。

──────────

starfieldさーん。こんにちは!
今日もコメントありがとうございまーす。


>八重の桜いいですよね~。
ちょうど、八重サンの結婚のお話でした。

男勝りな女性が
プロポーズを受けて乙女になるというのは、
一般的な女性以上に女の人っぽくて
見ていて新鮮味があります。
(↑ドラマ上でも、現実世界でも)

八重サンが超メジャーな人物でないだけに
これからの展開には目が離せませんが、
最後まで楽しく見ていきたいです。

毎週ストーリーを綴っているこのブログが
そういった、ドラマをご覧になった方々の
助けと言いますかサポートと言いますか
共感していただけることを期待して。。。(^ ^)

投稿: ★starfield | 2013年4月 1日 (月) 19:15

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