大河ドラマ八重の桜・(14)新しい日々へ
元治2(1865)年・春。
山本八重を花嫁として迎える山本家の面々。
父の権八は神妙な面持ちですし、
母の佐久や兄嫁のうらは微笑んでいます。
弟の三郎は、お転婆な姉が綺麗なもんだから
ちょっとドギマギ?(^ ^;;)
仲人の秋月悌次郎が謡います。
♪高砂や この浦舟に帆を上げて この浦舟に帆を上げて
月もろともに入り潮の 波の淡路の島影や──
祝言の参列者にご馳走がどんどん振る舞われる中で
八重のお腹はグーグー鳴っています。
「朝から何も食べてなくて」
八重や、夫となる尚之助の前にも膳は用意されているのですが
それは形ばかりで、嫁御は特に箸をつけてはならないのだそうです。
でも、参列者はみな酒と話に夢中になっているので
今のうちなら箸をつけても咎められなさそうです。
それなら、と箸を持とうとした瞬間
誰この人? と思わず言ってしまう男どもが
「おい八重!」と怒鳴りつけます。
(どうやら叔父さん1・叔父さん2のようです)
酒が進んでか、ちと傷つくようなことを言う叔父さんたちですが、
そこは権八が気を利かせて八重から叔父さんたちを遠ざけます。
「おい、あっちゃ行って呑むべし! ガハハ!」
それに「御加勢仕る!」と
杯片手に尚之助が参戦するものだから
祝言とは何と恐ろしい場なのだ(^ ^;;)
──宴のあと。
酒に酔って起きない尚之助を、よっこいしょ と
八重は米俵を担ぐように抱えて2階の部屋へ“運び”ます。
スゴイ力持ちだ(笑)。
そして尚之助も、まだ起きませんw
兄の山本覚馬から、京都の紅とともに祝福の手紙が届いています。
“これよりは夫婦力合わせ、紅の如く赤々と生きること肝要に候”
ほほう、粋な計らいをするものだ。。
そんな時、尚之助がムクッと起き出します。
酔い覚めは喉が渇くから、と八重は
尚之助のために水をくんでこようとしますが、
尚之助は、覚馬にもらった紅を八重にさしてみます。
美しいですね。
覚馬は、目がハッキリと見えなくなっているのに気づき
目の医者にかかります。
診断は……“白そこひ”。
現代で言うところの白内障だそうです。
長州との戦の折、目を痛めているので
それが元かもしれませんが、
そこひには間違いないようです。
完治は難しく、数年のうちかもっと後かは分からないものの
いずれは失明するためにその覚悟を、と言われて
覚馬はひどく落胆します。
銃を撃つことはおろか、書を読むことも
できなくなる可能性があります。
この年、アメリカでは
4年にわたって続いた南北戦争が北軍の勝利で集結。
国を二分した戦いの戦死者は62万人にも及びます。
そして、終戦を迎えたことで不要になった武器は
この後海を渡り、日本にもたらされることになります。
国内で内戦が続いた日本ですが、
長州はそれに敗れて都を追われまして
幕府を脅かす芽は摘まれたかに見えました。
しかし、
敗戦から多くを学んだ長州によって、幕府は
やがた屋台骨を揺るがす存在になっていきます。
幕府の命で、京都に詰める京都守護の
会津藩に支払われてきたお役料(役職料)が
突如、支給中止となりました。
それを指揮したのは将軍後見職の一橋慶喜のようで、
桑名藩にも下賜金を止めたという話です。
このような仕打ちを受けてまで京都に残る必要性はありません。
家老の神保内蔵助は
守護職を返上して会津に戻りましょうと容保に迫りますが、
世が平穏にならないうちは、帝を残して去るわけにはいかず
「まだ戻ることはできぬ」とつぶやきます。
再び長州征伐の軍が組まれることになり
容保は今度こそ将軍家に上洛を働きかけようとします。
それは今までも何度もやり、何度も断られてきたことですが
それでも、やらなければならないと言うわけです。
「これを成し遂げたら、磐梯山の見える故郷へ帰ろう」
そこに居並ぶものは皆、頭を下げるしかありませんでした。
その会津では、結婚してもなお
今までと同じ関係の尚之助と八重のふたりが
今までと同じ山本家の角場で鉄砲の試し撃ちです。
妻は、夫を立てるべく“旦那さま”と言うもんですが
八重は未だに“尚之助さま”と呼んでいて、
権八は、婿殿のためにも、しばらくは角場に入って鉄砲を撃たず
夫を立てろと厳しく言ってきかせます。
それを知らない尚之助は
自分の留守中に鉄砲の点検を八重に頼みますが、
八重は権八の見ている手前、それとなく断るしかありません。
鉄砲に触れられないものだから、気分がモヤモヤして
薙刀の試合でも、筋が通っていないと
黒河内伝五郎に怒られっぱなしです。
「ばかなことはよしなさい!」
稽古から帰宅すると、
あの温和な尚之助が、珍しく大激怒です。
何日にもわたって、八重が鉄砲に触らないなんて
いくら尚之助でも妙だなと思ったそうで、
権八にも余計な口出しは無用と釘を刺しておきました。
鉄砲に触れないという方が考えられません。
尚之助にとっては、自分の呼び方もどうでもいいのです。
しかし、それはどうでもいいことという尚之助に
八重は食って掛かります。
「世間並みにならずともよい!」
「私では、世間並みになれねぇと言うのですか」
「えぇそうです!」
「……んまあ!」
つまり、八重は八重であればいいのです。
自分の妻は、鉄砲の名人・八重なのですから──。
八重は、心の底から暖かい何かが溢れてくるのを感じます。
慶応元(1865)年 閏5月。
幕府から、長州藩主親子に
再三にわたって出頭命令を出しましたが
それにはなかなか応じようとしません。
長州に謀反の兆しあり……!?
上洛した第14代将軍・徳川家茂の前で
その長州処分についての方針が話し合われます。
藩主の毛利親子には切腹を命じ
領土の長門と周防は減らして厳罰に処すべし
との声が大勢を占める中で、
容保は、あまり厳しく出ると反発を買うため
藩主親子を押し込めた上での領地減封を提案。
吉之助は、将軍が上洛した以上
長州との戦は避けられないと考えますが、
同郷の大久保一蔵は、
岩倉具視からの意見書を吉之助に手渡します。
田舎者の薩摩にとっては、
岩倉ほどの知恵を借りなければ何もできない。
一方で、強い朝廷を作るという岩倉にとっては、
薩摩ほどの武力を借りなければ何もできない。
その双方が手を携えたとき、大きな力になりそうです。
「大久保、この戦、どっちを勝たせてもあかん」
幕府が勝ったら、幕府の一人天下が続きます。
長州が勝ったら、朝廷は長州の言いなりになります。
武力では圧倒的に幕府側が強いのですが、
現在の長州は、風向きが変わってしまっているので
ひょっとしたらひょっとするかもしれません。
なんでも、先祖代々の鎧兜を売り払い
西洋の新式銃を買うように命じた知恵者が
長州藩内にいるそうです。
それは、桂 小五郎その人であります。
長州では、桂が兵隊に鉄砲を撃たせてみますが
命中度は……高いとは言えません。
それを何とか、薩摩が持つ新式銃ほどに高めたいところです。
謹慎処分の秋月に、蝦夷地へ出向との命が下ります。
東蝦夷斜里郡の代官になったわけです。
会津にない海があり、開けていない土地も豊富にあります。
新しい場所で新しい物産を作る機会です。
ただ、現在は長州との戦を控えている時で
そこから外されるというのは、少しばかり不本意です。
「いずれまた、戻って働ける日も来んべ!」
今は己を鼓舞するしかなさそうです。
秋月は、雨上がりの虹に見送られて会津を後にします。
──────────
慶応元(1865)年 閏5月22日、
第2次長州征伐のため、将軍徳川家茂が3度目の上洛を果たす。
明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで
あと40年10ヶ月──。
作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
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[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
芦名 星 (神保 雪)
剛力 彩芽 (日向ユキ)
綾野 剛 (松平容保)
──────────
小泉 孝太郎 (一橋慶喜)
斎藤 工 (神保修理)
池内 博之 (梶原平馬)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
六平 直政 (黒河内伝五郎)
徳重 聡 (大久保一蔵)
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国広 富之 (横山主税)
津嘉山 正種 (神保内蔵助)
佐藤 B作 (田中土佐)
風間 杜夫 (林 権助)
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及川 光博 (桂 小五郎)
小堺 一機 (岩倉具視)
吉川 晃司 (西郷吉之助)
村上 弘明 (松平春嶽)
西田 敏行 (西郷頼母)
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制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:加藤 拓
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『八重の桜』
第15回「薩長の密約」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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