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2013年4月14日 (日)

大河ドラマ八重の桜・(15)薩長の密約

慶応元(1865)年 閏5月28日。
July 20th 1865──。

日本を飛び出した若者の1年に及ぶ長い旅が
終わろうとしていました。

「全員起床! 入港作業に入れ!」という水夫の言葉に
せっかく気持ちよく寝ていたのに
無理矢理起こされた新島七五三太は、
ハンモックから床にドスンと落下します。

痛みをこらえて急いで甲板に上がり、前方を見ると
そこにはボストンの町が見えます。
南北戦争終結から3ヶ月が経過し
国家再建真っ只中のアメリカです。

同じ時期、日本では
長州の処分を決めるとても大切な朝議に
二条関白が出席していません。

どうやら、二条邸に薩摩の大久保一蔵が居座り
長州を再び攻めることの無意味さを説いているわけですが、
朝議の刻限や、と立ち上がっても
足を掴んでまでも引き離さない工作です。

「あとは御勝手になされませ」
禁裏御守衛総督の一橋慶喜が
扇子で床をバン! と叩くほどカンカンです。

しかしその慶喜の脅しが功を奏したか
9月、第二次長州征伐の勅命が下ります。


明けて慶応2(1866)年の元旦。
山本家、川崎家ともども
無事に新年を迎えることができました。

ただ、山本覚馬は京都に行ったきりでありまして
いなくなって今回が4度目の正月であります。

そんな覚馬からのお年玉として、
愛娘のみねには京都の下駄が贈られますが、
赤ん坊の頃に別れたきりのみねは
父の顔を覚えてはいません。

長州との戦が終わったら、
今度こそ会津に帰って来るという見通しで
家族としてはそれを期待するしかありません。


その覚馬や、別撰組として京に詰める佐川官兵衛らは
京都の見回りをしていますが、
同じ目的の新選組と何かと火花を散らします。

「得体の知れぬ奴らをいつまでも抱えることはねえ」
シブい声でそういう佐川ですが、
演者の中村獅童氏は、9年前の大河ドラマ『新選組!』で
局長たる近藤 勇の幼なじみ・滝本捨助を演じておられまして、

「カッちゃん! カッちゃん!」
「呼ばれもせぬのに現れるのが捨助でござんすよ!」などと
高いトーンでのセリフがとても印象的で、
演者が同一人物とはとてもとても思えませんなぁ(笑)。

おっと、脱線失礼……。

昼間から酔って暴れる幕府歩兵たちに
刀を振り上げ歩兵の髷を斬って散切りにし、
歩兵の酔いを覚まさせた新選組の斎藤 一。
「味方は斬らぬ」

いい腕だ、と佐川はライバルながら評価を高めます。


その様子を遠くから見ていた
薩摩藩の西郷吉之助と大久保は、
坂本龍馬の仲介で極秘会談に向かいます。
相手は、長州藩の桂 小五郎です。

長州藩は、今や日本を敵に回していますが
これまでの、すでに責めを負ったことまで
謂れのない処分に甘んじていては面目を保てません。

そこで、今回の長州征伐に意義を感じない吉之助は
いっそ長州と手を組んで討幕に向かうことにします。

薩摩と会津は手を結んでいるはず、
なのに長州と手を組むことに疑念を抱く桂ですが
「もはや徳川だけに国を任せておられん」
吉之助は静かに、しかし燃える炎のように桂を説得します。

諸外国から武器の輸入を止められている長州藩のために
薩摩藩は大量に鉄砲を買い込み、それを長州藩に売る。
そうすることで、長州藩からの信頼を得ようと考えます。

この日、長州と薩摩が結んだ盟約は
会津藩にとって運命を大きく変えていくことになります。


6月7日、ついに第二次長州征伐が始まりますが、
薩摩藩との密約で勢いづく長州藩は、幕府軍を圧倒。
大島が奪われ、芸州口の彦根勢も敗れます。
広島や宇和島藩の出兵辞退が影響しているわけです。

そこに舞い込んできたのは、
大坂に出兵中の第14代将軍・徳川家茂の発病でした。

大きく差が出ているのは、銃の能力の差です。
火縄銃では敵地に届きもせず、
ゲベール銃でも今や古すぎます。
今は、長州藩が使うミニエー銃であります。

覚馬は、家老たちを前に銃を使ってみせようとしますが
やはり右目の病気が影響して撃てません。


うらは、みねが立派な娘に成長したと思ってもらえるようにか
厳しく厳しくしつけます。
今回は、どうやら立ち入り禁止の角場に入り込んだとかで
こっぴどく怒られました。
みねは叱られてばかりでいつも泣いています。

そろそろ武家の娘らしくしつける年頃だ、と
佐久は一定の理解を示しますが、
八重には、そこまで叱る必要性を感じません。

そうでなくとも、最近のうらは恐い顔ばかりで
あれではみねがかわいそうです。

他人が口を出すことではない、と言いつつも
「甘い顔して育てたら、こんな風になっちまうからぁ」
佐久はイジワルな表情で八重を見つめます。


早く戻ってきてもらいたい。
そう願う山本家の重いとは裏腹に
覚馬は銃の買い付けで長崎へ向かうことになりました。
出発は秋の予定です。

会津からさらに遠くなります。

しかし、銃の買い付けの他に覚馬には役目があります。
長崎に住む眼医者の古川春英の元へ出向き
看てもらえというのです。

家老たちには内緒にしていた話ですが、
覚馬の最近の様子がおかしいので
田中土佐は広沢富次郎を問いつめて知ったのだそうです。
「にしゃの目は、会津になくてはならん。
治すこともお役目と思え」


病気療養中だった家茂がついにみまかります。
総大将の死は、幕府軍に大きな影響を及ぼします。

松平容保は、出陣を迫ったばかりにと自分自身を責めます。
自分が戦場に赴くべきだったと悔やみます。
家老の神保修理は、それをいちいち否定して
容保をなぐさめます。


将軍の後継を立てることが急務となります。
越前藩主・松平春嶽は、もともと徳川宗家と将軍職は
慶喜が継ぐべきものと理解していることを伝えますが、
慶喜はこれを固辞します。

いや、朝廷からの要請もあるので
宗家継承は受けることにしますが、
将軍職は継ぎたくないとハッキリ断ります。

将軍の座に慌てて座っても、
それを勧めた春嶽が薩摩と密会していては
足を引っ張られるばかりです。
「余は、そなたたちに担がれる神輿ではない」

宗家を継いだ慶喜は8月8日参内し、自ら出陣することを奏上。
孝明天皇は節刀を与え、武運を祈る、と言葉をかけます。
京都に集まる各藩を前に、慶喜は
「朝敵長州を討つ!」と鼻息荒いです。

しかしそれが、覚馬には逆に空々しく思えます。


鐘の音が鳴り響きます。
会津の山本家の周辺で火災が発生した模様です。
八重は、尚之助と角場のものを移す作業に入ります。

佐久は、いつでも家から出られるように
みねに支度をさせておくようにうらに言いますが、
肝心のみねがいません。

また角場に入っていたので、きつく叱った直後だそうで
お気に入りの下駄もなくなっています。
外に出て行ったのは間違いなさそうです。

先日、近くの諏訪神社にお参りに行った時
みねが「おっ母さまが怒らねえように……」と
お願いしているのを見ていた八重は、
その諏訪神社にまた行っているかもしれない、と考えます。

しかし諏訪神社の辺りは、風にあおられて
もうすでに火が近くまで迫っているはずです。
八重は、銃に関する大事な書物を放り出して
諏訪神社に走ります。

「みね! みね! 姉さま!」
必死の形相の八重です。


都では、思いがけない事態に陥っていました。
「御宗家が出陣を取り消しただと──」
ばかな、と容保の顔から血の気が引いています。

──────────

慶応2(1866)年6月7日、
幕府艦隊の周防大島への砲撃が始まり
第二次長州征伐が始まる。

明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで


あと39年9ヶ月──。


作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
──────────
[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
剛力 彩芽 (日向ユキ)
綾野 剛 (松平容保)
──────────
小泉 孝太郎 (一橋慶喜)
降谷 建志 (斎藤 一)
中村 獅童 (佐川官兵衛)
斎藤 工 (神保修理)
池内 博之 (梶原平馬)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
徳重 聡 (大久保一蔵)
──────────
津嘉山 正種 (神保内蔵助)
佐藤 B作 (田中土佐)
風間 杜夫 (林 権助)
──────────
オダギリ ジョー (新島七五三太)
及川 光博 (桂 小五郎)
吉川 晃司 (西郷吉之助)
市川 染五郎 (孝明天皇)
村上 弘明 (松平春嶽)
──────────
制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:清水 拓哉


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『八重の桜』
第16回「遠ざかる背中」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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