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2013年4月16日 (火)

プレイバック新選組!・(29)長州を討て

護摩が焚かれ、僧が一心に祈祷しています。
天王山にある長州軍の陣です。


会津本陣である金戒光明寺では
京都守護職・松平容保をはじめとする会津藩の面々と
佐久間象山、近藤 勇を交えて軍議中。

おそらくは、長州が本気で戦を仕掛けるつもりで
まだ動こうとしないということは、
現在は朝廷とかけあっているのかもしれません。

長州の望みというのはただ一つで、
御所から会津藩・薩摩藩を追い出した上で
昨年8月18日以前の姿に戻すことです。

戦を仕掛け、京に攻め入り御所に火を放ち
帝を奪って萩へお連れするつもりである。
「決して帝を奪われてはなりませんぞ」
象山の言葉に、容保は笑って頷きます。

しかし、帝をお移し申すなら彦根です! と
象山の主張はそれにとどまらず。
それが過激攘夷派の怒りに火を注いでいるという忠告にも
小さいことじゃ、死ぬときは死ぬ! と相手にしません。

その帰り道、おぼつかない足取りの滝本捨助を従者に
細い路地をゆっくり進む象山ですが、
河上彦斎という男に襲撃されて落命してしまいます。

「“かわ”は三本川のかわか、さんずいの方か」
最期まで、人を小馬鹿にしたような
(本人は決してそう思っていないのですが)
物言いの男でありました。


元治元(1864)年7月18日──。

桂 小五郎は、暴進する久坂玄瑞を説得しに
天王山まで単身出向きますが、久坂は聞く耳を持ちません。
帝に直に会って嘆願書を受け取ってもらえると
本気で思っているようです。

「正気とは思えぬ」
桂は吐き捨てるように言います。


銭取橋・新選組の陣。
谷 昌武は、勇の養子に入って
「近藤周平」と名乗ることになりました。

勇の養父・近藤周斎の元の名だったらしく、
源三郎は「名に恥じぬよう、精進しないとな」と
周平を励ましています。

そのころ、池田屋事件の時に大量の吐血をした沖田総司は
医師孝庵に診てもらいますが、
孝庵は冷たく、労咳と診断を下します。
「何でもっと早う来んかった!」

でも、総司としても
そんな大きな病気だとは思いもしなかったでしょうし、
静養せよと言われても、今の新選組のことを考えれば
おちおち休んでもいられません。

それよりも、死への恐怖が
総司を少しずつ狂わせ始めます。

総司はそのまま新選組に戻りますが、
土方歳三は総司について少し気になっていることがあり
針医の子どもだった山崎 烝に聞いてみます。
「斬られた時に出る血と吐いた時に出る血ってのは、色は違うか」

違います、という返答を聞いて、
歳三の中で、疑念が確信に変わります。


その夜、ついに長州が動き出します。
御所周辺を大軍で固め始めたのです。

それを聞いて出陣する新選組ですが、
彼らが到着した時には、その軍勢は彦根藩などに攻められて
アッという間に倒されてしまった模様。

せっかくなので、長州の面々が懇意にしている宿屋に
行ってみることにします。

その宿屋「寺田屋」では、おかみのお登勢をはじめ
女中たちが傷ついた長州志士たちを介抱しています。
宿屋の近くに立てば、激しい咳も聞こえてきますし
血を拭った布切れも2階から落ちてきています。

その布切れを見て、鼻血どす、とお登勢はすっとぼけます。

鼻血など出している者なんていない、と総司が鋭く突っ込みますが、
勇らがしばらく目を離したスキに
横に座っていた佐吉を殴り、鼻血を無理矢理出させます。
「落花生の食べすぎや!」

お前の姉さんもこんな感じの人だったな──。
総司と笑って、勇は寺田屋を後にします。


長州の動きが活発化しています。
鉄砲や大砲で攻撃をし続けても、
なかなか御所内に立ち入ることができません。

新選組としては、そんな長州をいち早く潰すことが肝要ですが、
原田左之助は、片思いのおまさの甘味屋が気になります。
隊を離れ、ひとりおまさのもとへ駆けて行きます。

しかし、時すでに遅かったようで
おまさはボロボロの身なりでとぼとぼと歩いていました。
「お店燃えてしもた……」

何と言葉をかけていいか分からず、
原田はしっかりとおまさを抱きしめます。


久坂は、長州びいきの元関白・鷹司輔凞について行き
朝廷内に足を踏み入れることを画策しますが、
鷹司に無下に断られてしまいます。

敵はあくまで会津と薩摩、と主張する久坂ですが、
京の街に火を放ち、焼け野原にしておいて
そんな理屈が通用するわけもありません。

「帝もお嘆きであった」とため息まじりに言う鷹司の言葉を聞いて、
そこでようやく、久坂は自らやったことの罪を理解します。

象山暗殺後、無職となった捨助は鷹司邸に入っていたのですが、
御所行きを断られて失意の久坂と寺島忠三郎に
自分たちの遺髪を桂に届けるように言いつかります。


京の町を歩き通してようやく桂を見つけたわけですが、
桂は、前の池田屋事件の際に
膳をこぼされたことで命拾いしているわけで、
捨助を命の恩人だと“勘違い”しています。

桂の推理はこうです。

勇の婚礼の場に捨助がいたということは、捨助は勇の縁者である。
池田屋のことを勇に前もって聞いた捨助は
桂を助けるように指示を受け、
桂の膳をわざとこぼして彼を藩邸に帰らせた。

その間に新選組による襲撃を受けているので、
結果的には桂は捨助に助けられた──。

桂は、もうちょっと頭がいいと思っていましたけど(笑)。

ま、こんな縁があって
捨助は桂の下で、京の動静を
逐一報告するという役目を負うことになりました。


長州が起こした戦は、終わりました。

「これからはオレたちの時代がやってくる」
歳三の言葉に、天を見上げて決意を新たにする勇です。

──────────

元治元(1864)年7月19日、
京を追われた長州藩が、京都守護職松平容保らの排除を目指して
挙兵する「禁門の変」。「蛤御門の変」とも。


慶応3(1867)年11月18日、
新選組から分裂した御陵衛士を粛清する『油小路事件』まで

あと3年3ヶ月──。


作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:荻野 丹雪
版画:木田 安彦
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[出演]

香取 慎吾 (近藤 勇)

藤原 竜也 (沖田総司)
山本 耕史 (土方歳三)

中村 勘太郎 (藤堂平助)
山本 太郎 (原田左之助)
堺 雅人 (山南敬助)
山口 智充 (永倉新八)
小林 隆 (井上源三郎)
八嶋 智人 (武田観柳斎)
照英 (島田 魁)

中村 獅童 (滝本捨助)

吹石 一恵 (八木ひで)
笹野 高史 (孝庵)
──────────
石黒 賢 (桂 小五郎)
菊川 怜 (幾松)
池内 博之 (久坂玄瑞)
戸田 恵子 (お登勢)
宇梶 剛士 (大島吉之助(西郷隆盛))
筒井 道隆 (松平容保)
──────────
伊原 剛志 (佐々木只三郎)
中村 福助 (孝明帝)
石坂 浩二 (佐久間象山)
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制作統括:吉川 幸司
演出:山本 敏彦

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