プレイバック新選組!・(31)江戸へ帰る
「江戸へ行ってもらいたい」
松平容保の突然の命令に、驚きを隠せない近藤 勇です。
長州の息の根を止めるため、将軍に上洛していただく必要があり
老中への談判のために勇が江戸へ下るというわけです。
池田屋事件以来、近藤や新選組の名は天下に轟いているわけで
それを利用してのことと思われます。
ついでながら、新選組の面倒を何かと見てくれた秋月悌次郎が
藩命により会津へ帰ることになりました。
元治元(1864)年9月9日──。
勇は、藤堂平助と謹慎中の永倉新八を連れて江戸へ下り
試衛館道場の門をくぐります。
浪士組として江戸を出立したのは文久3(1863)年2月でしたから
およそ19ヶ月ぶりの江戸であります。
可愛らしく成長したたまを見ると、
勇はついつい父親の顔になります。
養母のふでは、恐ろしいことを笑顔で言っていました。
「この間、げんこつくわえて寝てました」
……え?(^ ^;;)
江戸・松前藩江戸屋敷。
当主で老中格の松前伊豆守に将軍上洛の建白書を渡します。
日本国内が分裂してしまっている今、
長州藩を徹底的につぶして日本をまとめあげた上で
諸外国との交渉に進むのが筋である、と。
将軍上洛には莫大な金がかかる。
旗本の準備金にも金がかかる。
しかし今、将軍家にも旗本にも金がないと
伊豆守に断られてしまいます。
ここは地道に説得に当たるしかなさそうです。
余談ながら、勇の講武所講師拝命の際と
浪士組結成の際の世話役だった松平上総介が
松前藩江戸屋敷におりまして、
「いやぁ懐かしい!」と握手を求めてきますが、
勇や藤堂の中ではいい印象がありませんで、
一言も発しないままです(笑)。
その頃、京の新選組屯所では
土方歳三が、永倉新八らに対して切腹をさせようとするのを
山南敬助が止めていました。
体面的には終わった話ではありますが、
歳三の中では終わってはいないわけです。
「とにかく私は承服しかねる」
歳三の気持ちは分からなくもないですが、
最近の歳三は、勇を思うあまりに過激さを増しています。
山南としてはそこが心配なのです。
おまさの甘味屋がリニューアルオープンしました。
謹慎中の原田左之助は、
おまさのために八木ひでに暖簾を作らせ
それを沖田総司に届けさせます。
山南も総司とともに甘味屋に出向くのですが、
そこでしるこ7杯食べたおすずという女と出会います。
一銭も持たないという女の代わりに立替払いする山南ですが、
彼の中で、強烈な印象が残ります。
山南は本屋に立ち寄った帰り、坂本龍馬と出会います。
龍馬とは北辰一刀流の同門の士でありまして、
勇に出会う前から知った仲です。
龍馬の頭の中で、薩摩の大島吉之助や長州の桂小五郎ら
秀才を集めれば日本は劇的に変わると考えておりまして、
龍馬は山南にも声をかけます。
山南は、少し迷います。
歳三は、葛山武八郎を呼び出し切腹を命じます。
なぜ責めを負うのが自分かと食って掛かる葛山ですが、
松平容保に提出した、葛山が書いた建白書の下書きを
証拠として出されます。
その建白書の下書きも、山南に言われた通りに書いたまでで
結局のところ、なぜ自分が責めを負うのか理解できません。
「山南に会わせろ!」
何の信念もなく、局長への不満を言うという姿を見て
「生きるに値しない」と歳三は吐き捨てます。
葛山は、歳三や斎藤らにハメられたと思っていて、
裏切り者! の言葉を残し、果てます。
山南は、昼間会ったおすずが奉公する飲み屋に出向きます。
「難しい話、して」とおすずは言うのですが、
難しい話が好きなのではなく、
難しい話をしている人が好きらしいのです。
そんなの突然言われても、と山南は戸惑いますが
決して頭のいい、とは言えないこのおすずが
山南には可愛く思えます。
翌朝までに名前(源氏名?)を決めなければならないおすずは、
山南に名前をつけてもらうことにします。
いつかあなたの故郷に、明るい光が差し込みますように。
明里(あけさと)──。
心の落ち着ける場所から戻った山南は
葛山が切腹したという報告を聞きます。
「ヤツを殺したのは、オレとお前だ」
表情を変えずに言う歳三を、山南はグッと睨みつけます。
江戸・試衛館道場には訪問者がひとり。
伊東大蔵であります。
伊東は藤堂平助の元の師匠であり
藤堂を試衛館に譲り渡す代わりに総司をトレード要求するなど
物事を損得で考えて動こうとする
ちょっとズルいところが見られる男だったりしますが、
藤堂は京で新選組として活動している間でも
その情勢について逐一伊東に報告を入れていたらしいです。
その伊東が、門人たちを引き連れて
新選組に加わりたいと申し出たわけです。
勇は、力強い新メンバーを得て大喜び。
ただしその裏では、伊東は新選組を
自分が歴史の表舞台に立つための
踏み台程度にしか考えていません。
やはり……。
たまがすやすやと寝ています。
今まで我武者らに突っ走ってきた勇でしたが、
ようやく、家族で過ごせるひとときを手にすることができます。
勇はつねに、かんざしをプレゼント。
できるだけ長く続いてほしい、この安らぎの時間ですが、
時代が、そして新選組が
勇をそっとしておいてはくれませんでした。
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元治元(1864)年9月6日、
非行五ヶ条を松平容保に提出した責めを負い、
葛山武八郎が切腹。
慶応3(1867)年11月18日、
新選組から分裂した御陵衛士を粛清する『油小路事件』まで
あと3年2ヶ月──。
作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:荻野 丹雪
版画:木田 安彦
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[出演]
香取 慎吾 (近藤 勇)
藤原 竜也 (沖田総司)
山本 耕史 (土方歳三)
オダギリ ジョー (斎藤 一)
中村 勘太郎 (藤堂平助)
山本 太郎 (原田左之助)
堺 雅人 (山南敬助)
山口 智充 (永倉新八)
小林 隆 (井上源三郎)
八嶋 智人 (武田観柳斎)
照英 (島田 魁)
中村 獅童 (滝本捨助)
田畑 智子 (近藤つね)
吹石 一恵 (八木ひで)
小日向 文世 (佐藤彦五郎)
小野 武彦 (小島鹿之助)
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筒井 道隆 (松平容保)
谷原 章介 (伊東大蔵)
麻生 久美子 (おりょう)
鈴木 砂羽 (おすず(明里))
宇梶 剛士 (大島吉之助(西郷隆盛))
戸田 恵子 (お登勢)
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沢口 靖子 (沖田みつ)
野際 陽子 (近藤ふで)
江口 洋介 (坂本龍馬)
田中 邦衛 (近藤周斎)
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制作統括:吉川 幸司
演出:伊勢田 雅也
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