大河ドラマ八重の桜・(20)開戦 ! 鳥羽伏見
慶応3(1867)年12月──。
薩摩藩の西郷吉之助らの策謀により会津藩は御所を追われ、
王政復古の宣言がなされた後の朝議では
徳川家の領地200万石召し上げが決まりました。
徳川慶喜は二条城を出て、大坂へ下ることを決意。
佐川官兵衛、林 権助、山川大蔵らは
慶喜から殿(=松平容保)を守るべし! と
まだ慶喜がいる、容保の元に向かいます。
一戦も交えず、薩摩を討つ前に敵前逃亡して
京から大坂へ退く真意を問いつめるわけですが、
相手は元将軍というのに、激昂しているからか
「得心が参りませぬ!」「いかなる策にござりましょうや!」と
燃え上がった炎は想像以上に大きいです。
容保が「控えよ!」と大声出して制しても
それでももはや留まりません。
今ここで早まっては長州の二の舞になり
容保に朝敵の汚名を着せてしまうことになる、と
神保修理が諭すと、彼らの口がようやく閉じます。
慶喜が兵を率いて、二条城を裏門から出ました。
裏門から出ることこそ、まさに都落ちそのものなのですが
表門から出たら、それこそ薩摩が騒ぎ出すわけで、
このタイミングとすれば仕方ないことなのかもしれません。
それよりも、慶喜が言った「ワシに秘策がある」の言葉は
山本覚馬や秋月悌次郎、広沢富次郎らには
残念ながら疑われてしまっていますけど(^ ^;;)
会津にも、都の政変の知らせが届きます。
会津に残る藩士たちに向けて、鶴ヶ城に招集がかかります。
「分がんね。なじょして会津が都を追われねばなんねえんだ?」
めまぐるしく変わる状況に、山本権八も困惑気味です。
女たちは諏方神社に集まり、
男たちの無事を守る幟(のぼり)を縫って
戦勝祈願として奉納することにします。
容保の義姉・照姫も自ら手縫いで幟を作り
直々に神社にまで届けに来ます。
……とそこへ、薙刀の稽古をしていた中野竹子が
あろうことか遅参であります。
女たちの批難をさんざんに浴びるわけですが、
照姫は、その思いを歌に詠んでみよと
竹子の歌の腕を知りつつ助け舟を出すわけです。
竹子は少し考えて、幟に筆を滑らせます。
もののふの
猛き心に くらぶれば
数にも入らぬ 我が身ながらも
さすがです!
……ていうか、Kassyには歌はよく分かりませんけど(笑)。
照姫は、みんなで歌を詠んで
幟とともに奉納しましょうと提案。
女たちは、ああでもないこうでもないと頭を悩ませます。
こんな時、歌の教養は受けていなければならないのでしょうが、
習っても、歌がてんでダメ! という人の場合
心中は穏やかではないのでしょうね。
まるで、不得意科目の授業の時に
先生に当てられるかも……という不安のような?
歴史として、いろんな時代から歌はいくつも残されていますが
残らないような凡作もたくさんあったわけで、
当然、歌を不得意としている人もいたでしょうから、
みんながみんな歌が上手だったとは限らないわけです。
ちなみに我らが八重サンは
父兄の
をしへたまひし 筒弓に
会津心の 弾や込めなん
という、鉄砲を撃ついかにも八重サンらしい歌でした。
そのころ、大坂に下った慶喜は
着々と形勢を挽回しつつありました。
諸外国との交易は、
これまで通り徳川が行うと宣言。
つまり、朝廷のみを掌握すれば天下が握れるというわけではなく
朝廷を含め諸外国に至るまで、手中に収めなければなりません。
しかも、こういう時は人間は保守的になってしまうので
革新的な考えにはあまり乗って来ないものです。
「よほどのことをば、せんなならん」
京の薩摩藩邸では、西郷吉之助がため息まじりです。
よほどのこと──つまり、戦です。
梶原平馬の妻・二葉は江戸に入ります。
しかし江戸の町は人があまり出歩かず
鉄砲持った浪人たちが「軍資金出せ!」とわめき散らし
脅迫にパンパンと乱発している、
ちょっと灰色がかった町に変貌しています。
これもそれも、全ては西郷の意向であり
それに従って不逞浪士たちが暴れ回っているのです。
二葉たちは、追い越されざまに浪士とぶつかり
思わず「お待ちなさい!」と叫んでしまいます。
鉄砲を構える浪人たち……。
そこを、危ない! と救ってくれたのは水野テイです。
二葉は己の身分を明かしますが、
テイは、梶原と聞けば「あぁ!」とすぐに分かります。
会津藩邸に出入りする能楽師の娘だそうで、
利発なので、子どもたちに算用を教えているのだとか。
ちなみに彼らを追う江戸の武士たちですが、
浪士たちが三田の薩摩藩邸に駆け込んで行くのを
目撃します。
「くそっ。また薩摩か」
海舟 勝 安房守は、江戸のお偉方のところを
薩摩の挑発には乗らないように説いて回ります。
挑発に乗って戦にでもなれば、
大政奉還をして徳川を守る道を作ったことが
無駄になってしまう、と。
そして、梶原平馬のところにも訪問に来るわけですが
梶原から1枚の紙を見せられます。
幕府 再び政権を盗まんと欲する処
天兵を挙げ 江戸城を焼き市中放火をもって
幕府を誅するものなり
挙兵して江戸を焼き払うという予告文です。
平馬は、薩摩がけしかけているのは
もはや強盗打ち壊しの類いではなく、戦だと考えています。
海舟は、だからこそ頼むと折れません。
会津の強さこそ、戦の火種を大きくしてしまう。
そういう危険性を持っているからこそ、
会津には挑発には乗らないでほしい──。
しかし、恐れていた事態に陥りました。
庄内藩邸を浪士たちが襲撃、死者も出ているというのです。
もちろん、庄内藩士らが
薩摩藩邸に討伐に向かっているという報を聞き
平馬は慌てて立ち上がります。
「しまった! 火種は江戸にあったか」
大坂でのんびりと座していた慶喜は
机を叩き地団駄を踏みますが、時すでに遅く。
大坂に詰める兵たちは、薩摩討つべしという声を多数挙げ
それを聞いた慶喜は、もう戦うしかないと覚悟を定めました。
もはや“挑発に乗ってはなりませぬ”という容保の声は
慶喜には届きません。
慶応4(1868)年1月1日、
慶喜はついに薩摩討伐を宣言します。
翌日2日には、幕府方の兵1万が
鳥羽伏見の街道を都に進むことになりました。
3日、鳥羽と伏見の両街道で
薩摩軍が関を設けて幕府方の進軍を阻み
通せ通さぬの押し問答が続きます。
1,000丁のツェントナーデル銃を発注した覚馬は
戦が始まってしまったいま、カール・レーマンに
100丁でも200丁でもいいから準備できるだけを
早急に送ってもらいたいと手紙をしたためていますが、
伏見の方角から砲撃の音を聞き
時栄が必死に止めるのも聞かず、
大坂へ停戦に向かいます。
すぐに薩摩の陣に出くわしますが、
薩摩兵たちにさんざんに足蹴にされ
気を失って倒れてしまいます。
陣頭指揮を執っていた林 権助は
他藩の指揮官が戦を躊躇する中、果敢に指揮して戦っていますが
それだけに敵に狙われやすく、鉄砲玉を浴びて討ち死にします。
林隊は壊滅です。
「勝ったな」
今こそ錦の御旗を掲げよう、と吉之助は言います。
戊辰戦争の開始を告げる『鳥羽・伏見の戦い』の緒戦で
幕府方は惨憺たる敗北を喫します。
──────────
慶応4(1868)年1月3日、
戊辰戦争の緒戦となった「鳥羽・伏見の戦い」が始まる。
明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで
あと38年2ヶ月──。
作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
──────────
[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
松重 豊 (山本権八)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
貫地谷 しほり (高木時尾)
市川 実日子 (梶原二葉)
剛力 彩芽 (日向ユキ)
斎藤 工 (神保修理)
池内 博之 (梶原平馬)
綾野 剛 (松平容保)
──────────
黒木 メイサ (中野竹子)
宮崎 美子 (西郷千恵)
中村 獅童 (佐川官兵衛)
降谷 建志 (斎藤 一)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
篠井 英介 (三条実美)
──────────
徳重 聡 (大久保一蔵)
小堺 一機 (岩倉具視)
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山本 圭 (山川兵衛)
柳沢 慎吾 (萱野権兵衛)
佐藤 B作 (田中土佐)
風間 杜夫 (林 権助)
──────────
小泉 孝太郎 (徳川慶喜)
生瀬 勝久 (勝 海舟)
秋吉 久美子 (山川 艶)
吉川 晃司 (西郷吉之助)
稲森 いずみ (松平 照)
──────────
制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:加藤 拓
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『八重の桜』
第21回「敗戦の責任」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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コメント
記事を拝読しましたが、柳沢慎吾さんがNHKの時代劇で出演しているのは知りませんでした。
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落合紘史さーん。初めまして!
Kassyです。よろしくお願いします!
>柳沢慎吾さんがNHKの時代劇で出演している
そうなんですよ(^ ^)
ちなみに大河ドラマに限れば、
昭和55年『獅子の時代』の瑞穂屋の丁稚役、
平成11年『元禄繚乱』の猿橋無差之介役、
そして今回ということで
3度目の出演ということになります。
ピンクレジットでの登場ですが、
本編ではあまりセリフがないんです……(^ ^;;)
でも、日ごろはバラエティ番組で
しゃべりまくる慎吾サンが、
こういうドラマで真面目に演技なさるのを見るのも
なかなか面白くていいですよ(笑)。
投稿: ★落合紘史 | 2013年6月 6日 (木) 15:20