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2013年5月26日 (日)

大河ドラマ八重の桜・(21)敗戦の責任

慶応4(1868)年1月3日、
薩摩藩討伐を掲げて大坂から京へと向かった旧幕府軍は
鳥羽と伏見で薩摩・長州軍と激突。
激しい銃撃戦となりました。

開戦第一日目は、徳川方の惨憺たる敗北で終わり──。

翌、開戦第二日目。
鳥羽の富ノ森で、敵軍と遭遇した佐川官兵衛隊は
敵が進んでくるのを充分に引きつけ、
佐川の「進め!」の号令で敵を蹴散らしますが、

佐川隊に加わっていた八重の弟・山本三郎は
周囲で敵味方が次々に倒されて行く様子を見て
怖じ気づき、座り込んでしまいます。

敵の銃からロックオン……!!

しかし、寸でのところで佐川に助けられます。
ぬしゃ会津の男だべ! そう叱咤された三郎は
気を取り直して敵を狙って銃を構えます。
「……命中!」

先日、和歌を沿えて奉納した幟旗が
無数に提げられている諏方神社へ、
山本覚馬とうらの娘・みねを連れて
お参りにやって来た川崎八重。

するとそこには、神保 雪が先に来ていて
手を合わせ、一心にお祈りしています。
雪の手がひどく冷たくなっているところを見ると
夫の無事を、ずっとずっと祈っていたのかもしれません。

八重も雪の隣で、覚馬や会津の人々の無事を祈ります。


どこの戦場も、
薩摩長州連合軍に押されっぱなしの会津軍です。
隠れて戦況を確認しに来た神保修理や秋月悌次郎らも
あまりの戦況の悪さに真っ青になりますが、

広沢富次郎が指さす方を見てみると、
赤地に黄色の紋が入った旗がはためいています。
「錦の御旗……あれは帝の軍勢の旗印だ」

薩摩方に錦の御旗が揚がったとの知らせは戦場を駆け巡り
旧幕府軍は、淀城を拠点とすべく撤退。
錦の御旗などあるはずがない、という徳川慶喜は
その旗に惑わされぬよう各藩の大名たちに激励を送ります。

大義は我らにあり! 薩摩をつぶせ! と盛り上がる大広間に
帰って来た修理や秋月らは愕然とします。
戦況はご存じないのだろうか……?

でもやっぱり、ニセの旗に惑わされて
譜代である淀藩が薩摩方に寝返りました。

錦の御旗に歯向かうことは、
つまり帝に歯向かうことを意味していて
その重大さに恐れをなしたものと思われます。


開戦第四日目。
橋本にある会津陣営では軍議が開かれています。
薩摩軍が川を渡ってくるところを、
味方である藤堂藩が山崎の関門から大砲を撃ち込む──。

ドカーン! という大砲の音が聞こえたのは
そのころでした。
「申し上げます! 藤堂藩が
 我が軍の陣地に大砲を撃ち込んでおりまする!」

急の裏切りで、前線にいた三郎は
敵の銃撃を全身で受けて帰らぬ人に。
目を患った覚馬のことを聞き、兄に代わって
山本家の男として戦い抜いた最期でした。


戦況が思わしくない現状では、戦力は敵よりも大きいとはいえ
しっかりとした戦略がなかったり指揮官がいなかったりすると
これ以上戦い続けても無駄に兵たちを失っていくばかりです。

修理は慶喜に、いったん江戸に引き揚げて
態勢を立て直すべきと進言。
京で戦う兵たちは、撤退することになりました。

松平容保は、慶喜から
江戸に戻るからついてこい、と
信じられない言葉を慶喜から聞きます。
「兵は置いていく。我らが城を出ること、口外無用!」

停泊中の榎本武揚の軍艦に乗り込み、
江戸に向かうというわけです。

容保は、江戸に戻るなら
全軍を率いて戻るべきと食い下がりますが、
それでは江戸に戻るまでにまた戦となります。

ここまでついてきた兵たちを裏切るような真似はしたくないと
容保はココに残ると宣言しますが、
容保がココに残っては、会津兵は
いつまで経っても戦をやめないでしょう。

ともかく、頑として江戸帰りを拒否する容保に
この策は神保修理が進言したものと慶喜に言われ
あまりのショックで呆然としています。


容保が、消えました。

容保の居室には、御衣の陣羽織も
御宸翰(ごしんかん:天皇の直筆による書)も置いたままで
この場を離れることはないと考えた修理は、
慶喜に急かされて……と推測した途端に目の色が変わります。
「しまった! 開陽丸だ!」

しかし、修理が馬で湾岸までたどり着いた時には
慶喜と容保を乗せた開陽丸は
既に江戸に向かって出航していました。

慶喜は、容保を道連れにしたわけです。

「総大将が……兵を捨てで逃げた!」
田中土佐らは、もぬけの殻となっていた部屋で
言葉なく立ち尽くします。

慶喜や容保だけではなく、修理もこの場からいなくなり
御宸翰もなくなっていたとなれば……、
修理は容保を止めに行ったはずですが
この状況では、修理が容保をけしかけて
江戸へ連れ出したと思われても仕方ありません。

官兵衛たちの批判は、修理に集中します。
とんだ貧乏くじです。

そこへ、開陽丸を乗っ取られた榎本武揚が
鬼のような形相で怒鳴り込んでくるわけですが、
会津藩の面々は何も聞かされていなかったので
みな黙ったままです。

ココに取り残されてはたまったものではないので、
とりあえず会津勢は容保たちを追いかけて
江戸へ向かうことにします。

すぐに、容保は官位を剥奪されて
朝敵とされます。


会津・鶴ヶ城。
未曾有の危機に陥る中、
西郷頼母がようやく家老に復職します。

江戸に着いた容保は会津藩上屋敷に入り
大坂に残された会津兵も
江戸に向かっている最中との知らせが入りますが、
慶喜に追討令が出て、
会津・桑名両藩は第二等の朝敵という知らせも……。

愛する会津が朝敵になってしまったことに
頼母は顔を歪めます。
「猶予はなんねえ。この会津は朝敵の烙印を押されでんだ」


容保を始めとする会津藩は、
何年にも渡って京を守ってきました。
何も悪いことはしていません。

しかし、当初の敵であった薩摩と長州が
状況がひっくり返って今や官軍となり、
賊を討つ立場であった会津が今や賊軍であるとは
にわかには信じられないことなのです。

京、そして江戸での状況が会津に伝わるにつれ
八重をはじめとする会津の面々は
“会津が賊軍であるはずはねえ!”と言いながらも
現実とのギャップに戸惑いを隠し切れません。

「覚馬と三郎、今ごろ江戸で会っているかもしんねえな」
ひどく動揺するうらを佐久は落ち着かせますが、
覚馬は薩摩方に捕まっているし、
三郎はすでにこの世のものではありません。

川崎尚之助は、会津藩がやり直すために
恭順を示すべきだと主張しますが、
「ぬしゃ腰抜けか!」と山本権八に怒鳴られてしまいます。

まずは会津が無実であることを訴え
その一方で戦に備えて軍略を立てておく。
今こそ洋式調練、軍政改革の必要性を説くべき時だと
尚之助は城に上がることを決意します。


修理は江戸で幽閉されていました。

容保としては、責めは自分にあるので
それを止めようとした修理を解放してあげたいわけですが、
幽閉を解けば、今度は命を狙われる状況を生み出すだけなので
有能な修理のためにも、身柄を預かっておいたほうが得策です。

やはりやるせない容保は、江戸帰りに至った経緯を
藩士たちを集めて説き伏せようとしますが、
そもそもそれは、修理は望んでいません。

容保の姿が見えなくなった時、なぜ修理が
誰にも話さずにひとりで容保を止めに行ったのか?
それは、失態が明らかになる前に連れ戻すことで
容保の名誉を守ろうとしたためであります。

容保の説き伏せで修理への風当たりは弱まるでしょうが、
その反面、容保への名誉は崩れ落ちてしまうかもしれません。
何もできない容保は、唇を噛みしめます。

そこへ、慶喜から容保へ命令が下ります。
江戸城への登城を禁止、会津は即刻江戸から立ち退け──。

慶喜は、老中を解任し
会津をはじめとする、徳川とともに戦った諸藩に
江戸からの立ち退きを命じたわけです。

つまり、新政権に対する全面降伏であります。


容保は、幽閉中の修理のもとへ赴きます。

修理の身は自分が落としたものだと考える容保は
修理の名誉回復のためにあれこれと努力しますが、

都を追われ、今度は
江戸からも追われる立場の会津となっては、
どう努めても、どう努めても
修理の名誉を戻すことができません。

容保は、涙ながらに修理に切腹を命じます。
「ありがたく……承ります!」

本当は。

今夜だけ、この幽閉されている部屋を中心に
屋敷の警固を容保の命で緩めています。
切腹して命を落としたことにして、
身を隠して逃げてもらいたいというのが本音なのです。

その容保の思いを知り、自分の気持ちを含めて
全て分かってもらえていると感じた修理は
それで充分だと涙を流します。

修理はひとりで、見事に最期を遂げました。
享年31歳。

帰り来ん
 時よと親の おもふころ
  はかなき便り きくべかりけり

──────────

慶応4(1868)年2月22日、
会津藩三田下屋敷に移送された神保修理が
弁明の機会も与えられぬまま切腹を命じられる。

明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで


あと38年1ヶ月──。


作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
──────────
[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
芦名 星 (神保 雪)
斎藤 工 (神保修理)
池内 博之 (梶原平馬)
綾野 剛 (松平容保)
──────────
中村 獅童 (佐川官兵衛)
降谷 建志 (斎藤 一)
山口 馬木也 (榎本武揚)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
──────────
津嘉山 正種 (神保内蔵助)
柳沢 慎吾 (萱野権兵衛)
佐藤 B作 (田中土佐)
──────────
小泉 孝太郎 (徳川慶喜)
吉川 晃司 (西郷吉之助)
反町 隆史 (大山弥助)
西田 敏行 (西郷頼母)
──────────
制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:一木 正恵


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『八重の桜』
第22回「弟のかたき」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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コメント

記事を拝読しました。反町隆史さんが出演なさっているのですか。

──────────

落合紘史さーん。こんにちは!
今日もコメントありがとうございまーす。


>反町隆史さんが出演なさっているのですか
はい、大山 巌 役(今日時点では「大山弥助」)です。

反町さんは、大河ドラマでは
松嶋菜々子サンとの夫婦共演が話題になった
『利家とまつ 〜加賀百万石物語〜』の織田信長役以来、
11年ぶりの出演になります。

反町サンが出演されているドラマは、例えば
『GTO』だったり『ダブルスコア』だったり
『ホットマン』だったりいろいろ見てきましたが、

凶暴とかハチャメチャとかいう中に
まれにフッと見せる父性の表情がとても好きです。

投稿: ★落合紘史 | 2013年6月 9日 (日) 14:55

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