プレイバック新選組!・(36)対決見廻組!
元号が元治から『慶応』と名を変える西暦1865年、
攘夷運動はひとつの転機を迎えていました。
前年、外国と戦って脆くも敗れた長州藩は
攘夷から開国へと考えを一変させたわけです。
一方薩摩では
薩英戦争の結果 イギリスとの結びつきを強め、
表向きは攘夷と言いつつも
イギリスの助けを借りながら軍備増強に勤しみ、
着実に力を貯えていきました。
幕府も長州との戦いに備えて軍備補強を進め
フランスの協力の下で製鉄所や造船所を建設。
軍の近代化が図られました。
長州、薩摩、幕府。
それぞれが内なる思いを秘めながら
諸外国との結びつきを強めていったのです。
桂のためにいろいろとお手伝いしていた滝本捨助は
桂が長州に帰ったためにお役御免となり、
浪士たちの集まりに顔を出しては
「仕事くれよォ!」と甘えた声を出しています。
しかしその集まりも、
沖田総司率いる新選組御用改めの前には逃亡するしかなく、
捨助は身元がバレないように口元を手ぬぐいで隠し
なぜか上手い具合に逃亡していくわけですが、
京の町では、そんな捨助を「天狗」とウワサし
ヒーロー化されてしまっています。
なので余計に狙われる結果に(笑)。
新選組が追う途中で
京都見廻組が割って入り捨助を追いつめますが、
捨助を追いつめたのは新選組か見廻組かでひと悶着。
その間にも逃亡を図ろうとする捨助に、
総司が刀を振り下ろすと手ぬぐいがヒラリと落ちます。
「……捨助さんッ!!」
元治2(1865)年3月26日・京──。
捨助情報は、夜が明けた時には
近藤 勇や土方歳三の耳に達していました。
浪士組として京に出発する際、
入隊を志願した捨助を歳三が気絶させて置いてきて以来の
捨助情報でありまして、ふたりとも捨助はてっきり
多摩に帰っているものだと思い込んでいたわけです。
そんな捨助が
長州の面々と尊王攘夷に動いていると言われても
勇は歳三にとっては何が何だか分からないわけです。
でも実際のところ、これまでの間に
佐久間象山の小間使となり、桂小五郎に命の恩人と言われ
なぜか新選組以上に尊王攘夷運動に関わっています。
唯一のニアミスと言えば、壬生村で行った相撲興行で
3人分の切符を買って観覧しようとした捨助と
それを主催した勇でしょうか。
それはともかく、佐々木が西本願寺を訪れます。
最近、京都見廻組と新選組によるゴタゴタが続いているので
それを解決すべく、持ち場を決めたいと
草案をもってきたわけです。
五条通りから北が見廻組、南が新選組──。
しかし見廻組のエリアがはるかに広いです。
佐々木が調査したところ、新選組はせいぜい130人で
400人の精鋭をもつ見廻組の方がエリアが広くて当然だと主張。
しかも新選組は武士ではないものたちの集まりに過ぎず、
本来であれば京はすべて見廻組が受け持ってもいいが
それを“分け与えてやっている”というニュアンスです。
その上、御所や二条城など警護の要となるポイントは
全て見廻組のエリアに区分されてしまっておりまして、
伊東甲子太郎は「ゆめゆめ受け入れてはなりませぬぞ」と
勇に忠告します。
会議後、勇に対して伊東はこう評します。
高い志をもった一廉(ひとかど)の人物ながら、
人の話を聴きすぎるというところが弱さでもある。
勇に心酔する藤堂平助は、しゅーん……です。
稽古を終えた松原忠司は、長州藩士の給料について
同期の河合耆三郎に聞いてみます。
「大した額じゃないんじゃないですか。みんな粗末なもの着てるし」
私に聞かれても困りますが、と困惑しつつも河合は答えます。
つまり、松原が斬った長州藩士・仙波甲太郎の奥方(お初)が、
今後どうやって生きていくのかが気がかりなわけです。
少しずつでも包んでいった方がいいのかなぁ、なんて口走ると
無関心そうに剣を振っていた斎藤 一が松原に助言します。
「やめとけ」
ダンナを斬った男に金を恵まれる
カミさんの気持ちになってみろ、というのです。
長州征伐について、老中の中には
長州藩そのものを無くさせようと考える者がいる中で、
無益な血を流さないためにも、容保は
周防・長門の2藩のうち周防のみを取り上げ
藩主の命は救うという案を考えます。
その長州の処分について
態度をハッキリさせない薩摩藩へ探りを入れるわけです。
真っ先に長州征伐を買って出そうな感じはするのですが……。
伊東の推測では、薩摩藩にとっての驚異は長州藩ではなく
むしろ容保本人、あるいは会津藩ではなかろうか、と。
京では政を執り行っているのは会津藩であり、
政の中心に躍り出たい薩摩藩にとっては大きな壁であります。
ゆえに、長州藩のことで少しでも手こずらせ
会津藩の力を削ぎ落としたいという思惑が見えます。
勇は、会津藩主・松平容保の命で
薩摩の西郷吉之助と対面することになりました。
アッハッハッと大笑いの西郷は
「長州の息の根は、薩摩が止めもす」と宣言しますが、
長州征伐の機運が高まりつつある中でも
その準備をしようとしないなど、
いささか腑に落ちないところもあります。
祇園におりょうを誘い、
一緒に多摩に帰ろうという捨助でしたが、
ものの見事にフラレてしまいます。
ヤケになってジタバタ暴れ、座布団を投げたら
行灯に当たってそれが障子に倒れかかり
出火してしまいます。
これがまた意外に大きな火事に発展。
鴨川があることで逃げ場を失った民衆たちは
右に左にと逃げ惑います。
勇は現状把握のために山崎 烝に調べさせ
島田 魁には陣を張るように命じます。
出火場所がお初の家に近いことを知った松原は
隊を離れて救出に向かいます。
佐々木が遅れて到着しました。
ただ、新選組に遅れを取ったことは認めざるを得ない事実です。
今回は、勇の下知にしぶしぶ従うことにします。
犬猿の仲である長州藩と薩摩藩を結ばせたい坂本龍馬は
西郷を寺田屋に呼び出します。
龍馬は、薩摩が長州征伐を渋るのは
飢饉の直後だっただけに兵糧不足だからだと見ています。
その兵糧を長州藩から賄おうというのです。
長州攻めなのに長州から米をもらうというのは突拍子すぎますが
長州がくれそうもないものをくれるのだから、逆に薩摩は
長州が欲しくて、薩摩がくれそうもないものを差し出せばいいわけです。
──武器?
いわゆる“ビジネス”です。
この話は決まらないだろう、と西郷は乗り気ではありませんが、
龍馬はあくまでヤル気です。
「やる前に全て分かったら、人生面白うないきに!」
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作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:荻野 丹雪
版画:木田 安彦
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[出演]
香取 慎吾 (近藤 勇)
藤原 竜也 (沖田総司)
山本 耕史 (土方歳三)
優香 (お幸)
オダギリ ジョー (斎藤 一)
中村 勘太郎 (藤堂平助)
山本 太郎 (原田左之助)
山口 智充 (永倉新八)
小林 隆 (井上源三郎)
八嶋 智人 (武田観柳斎)
照英 (島田 魁)
中村 獅童 (滝本捨助)
小西 美帆 (おその)
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谷原 章介 (伊東甲子太郎)
麻生 久美子 (おりょう)
宇梶 剛士 (西郷吉之助)
戸田 恵子 (お登勢)
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筒井 道隆 (松平容保)
伊原 剛志 (佐々木只三郎)
江口 洋介 (坂本龍馬)
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制作統括:吉川 幸司
演出:伊勢田 雅也
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