プレイバック新選組!・(37)薩長同盟締結!
慶応元(1865)年閏5月。
上洛を果たした第14代将軍・徳川家茂に随行するために
京に入った西洋医学所頭取・松本良順は、
近藤 勇の依頼で新選組屯所の西本願寺を訪れ
新選組隊士たちの健康診断を行います。
日ごろから鍛錬を怠らず、京の町で活躍している新選組であっても
第一に風邪、第二に食あたり……と
およそ隊士の3割は何らかの病気を持っていたそうです。
良順は、名簿に「沖田総司」の名を見つけ
あぁこいつか、という表情をします。
恐らくは、勇に何事か言われていたのでしょう。
「とにかく養生することです」
労咳であると診た良順は、ありのままを勇に報告します。
今度血を吐いたら、先は長くないと──。
一方、坂本龍馬は長州と薩摩の手を結ばせるために
長州藩からは桂 小五郎、薩摩藩から西郷吉之助を下関に呼びます。
しかしその中に西郷の姿はなく。
急いで京に行ってしまったのだそうです。
「なぜ私が西郷に会いに行かねばならぬのだ!」
立腹した桂は、萩へ帰っていきます。
先日の火事で焼け出されたお初。
その夫を斬ったことで何かしら援助したい松原忠司は
同期の河合耆三郎を連れて彼女の世話を焼いています。
実はそのことは、すでに土方歳三の耳には届いています。
松原としては、そもそもは自分が斬った長州藩士に頼まれて
お初に金を届けたことがきっかけだったわけですが、
暮らしに困っていることを知って情にほだされたわけです。
法度、士道ニ背キ間敷事──。
ただ、どういう事情であれ後家の家に通っていることが
武士道に背くと歳三は考えています。
「いいじゃねえかよォ! “手は出してない”って言ってんだから」
その場に偶然居合わせた原田左之助や永倉新八は
早まって切腹しようとする松原を止めます。
二人とも歳三のそんな強引さを見ていられません。
慶応元(1865)年9月1日・京──。
長州と薩摩の動きが怪しい、と
勇は会津藩から
それに関わる人物の動きを報告するように指示を受けます。
西郷吉之助、大久保一蔵、黒田了介、
桂 小五郎、高杉晋作、
中岡慎太郎、坂本龍馬、土方楠左衛門、上杉宗次郎、早川養敬。
特に龍馬が長州と薩摩を結びつけようとしているらしいと知って
勇は目を閉じます。
あの男ならやりかねない、とでも思ったのでしょうか(^ ^;;)
お世話になった御礼にご馳走したい、と
お初から松原に宛てた手紙が届きます。
歳三に疑われているこの時に
「いい機会だからよく話してくる」と言って出かけた松原を
河合は心配していますが、
話を聞いた斎藤 一は、別の意味で表情を曇らせます。
「本気で敵を取ろうと思いました。けど、今は違います」
お初は、始めこそだんなの命を奪った松原を恨み
殺してやりたいとまで思っていたそうです。
でも、何かと世話を焼いてくれる松原に対して
少しずつ融解し始めたのかもしれません。
しかし、これ以上会うのは止めた方がよさそうです。
松原が切り出すと、お初は松原に身を預けます。
直後、松原の表情は苦々しいものに変わり……。
心配になって様子を見にきた斎藤は
胸を刺されて瀕死の松原を見、その状況を把握。
心配事が現実になってしまったわけです。
斎藤はお初に斬り掛かりますが、それを松原が止めます。
松原は、言葉には出しませんが
斎藤にとどめを刺してくれと言いたげです。
斎藤も無言のまま承知します。
口から大量吐血し、松原は絶命します。
無表情のまま、松原の亡きがらを見下ろしているお初。
それをチラッと見た斎藤は、
そのままお初に刀を振り下ろします。
結局、二人の仲を歳三に咎められて思い詰めた松原が
お初を斬り、自らも命を絶ったという結末に仕立てられます。
勇にもそのように歳三から報告が上げられますが、
勇は斎藤に本当の流れを聞いているので、全てお見通しです。
最後までお初を救おうとした松原、
松原の仇を討った斎藤、
そして、すべて自分のせいにした歳三。
それぞれの想いを、勇はしっかりと受け止めます。
慶応2(1866)年1月21日・伏見──。
坂本龍馬捕縛のために寺田屋へ踏み込む勇と総司、原田ですが
すっとぼけるお登勢を睨みつけたまま、出直すことにします。
「これで借りは返した」
“借り”とは無論、お幸とつねの鉢合わせの時のものです(^ ^;;)
でも寺田屋には、しっかりと龍馬がおりまして
薩摩藩士・大久保一蔵や長州藩士・三吉慎蔵も集まっております。
桂は長州側の言い分ばかり並べ立てるし、
西郷は桂がいないと物事は進められないと言う始末。
龍馬は、薩摩藩邸に入ることにします。
しかし、龍馬が薩摩藩邸に入るところを目撃されては
長州と薩摩が手を結ぶどころの話ではありません。
寺田屋の周りには新選組がウロチョロしているので
滝本捨助をおとりに使うことにします。
桂は三条木屋町の幾松のところで潜伏しているので、文を届けてくれ。
もし手紙が無事に渡った暁には、薩摩藩から100両差し上げる──。
捨助は、蓑笠をかぶって猛ダッシュして行きます。
当然、新選組の面々は彼を龍馬だと勘違いして追うわけですが、
いくら逃げ足の速い捨助も、袋小路の京の町では役に立たず。
しかし新選組が追っていたのが龍馬ではなかったと知って
さんざんに殴る蹴るの暴行を受ける捨助です。
とはいえ、捨助が大事そうに抱えていた幾松への文には
一文字すら書かれていない紙切れのみでありまして、
そこで捨助は、自分がおとりに使われたと気づくわけです。
仮に新選組をうまく撒いて逃亡できたとしても
桂は長州藩邸にいるので幾松のところにはおりませんし、
そもそも幾松は三本木にいて木屋町にはいないので
手紙が無事に渡るわけがないのです。
本当の龍馬はその間を見計らってこっそりと薩摩藩邸へ。
そして桂も薩摩藩邸へ入ります。
ただ、桂……いや、この時には改名して木戸貫治は
長州の言い分だけを主張するし、
西郷も、長州とともに賊軍に成り下がるつもりはないので
両者の意見は平行線をたどります。
龍馬は、長州藩用の控え室と
西郷のいる部屋とを行ったり来たりして
お互いの本心を聞き出し、それを相手に認めさせた上で
ようやく合意に至ります。
薩長同盟、ついに締結です。
「今夜、桂 小五郎と西郷吉之助が極秘に会談を」
勇は松平容保に報告します。
仇敵同士であるはずの長州と薩摩が手を結ぶとは
全くもって信じられません。
それを成し遂げた人物として、坂本龍馬の名は
容保の脳裏にしっかりと焼き付けられたことでしょう。
「これからが正念場だ」
勇は、厳しい表情のままです。
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慶応2(1866)年1月21日、
小松帯刀邸で坂本龍馬を介し、
薩摩藩の西郷と長州藩の木戸貫治が6か条の同盟を締結。
慶応3(1867)年11月18日、
新選組から分裂した御陵衛士を粛清する『油小路事件』まで
あと1年9ヶ月──。
作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:荻野 丹雪
版画:木田 安彦
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[出演]
香取 慎吾 (近藤 勇)
藤原 竜也 (沖田総司)
山本 耕史 (土方歳三)
優香 (お幸)
オダギリ ジョー (斎藤 一)
中村 勘太郎 (藤堂平助)
山本 太郎 (原田左之助)
山口 智充 (永倉新八)
小林 隆 (井上源三郎)
照英 (島田 魁)
中村 獅童 (滝本捨助)
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麻生 久美子 (おりょう)
宇梶 剛士 (西郷吉之助)
戸田 恵子 (お登勢)
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筒井 道隆 (松平容保)
石黒 賢 (桂 小五郎(木戸貫治))
江口 洋介 (坂本龍馬)
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制作統括:吉川 幸司
演出:清水 一彦
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