プレイバック新選組!・(40)平助の旅立ち
慶応2(1866)年7月20日、
長州攻めの最中に将軍・徳川家茂が急死し、
7月26日、一橋慶喜は徳川宗家相続を了承。
「余は決めた。出陣する。これは亡き家茂公の弔合戦である」
8月8日、参内した慶喜に対して孝明天皇は
“速やかに出陣するように”と勅命を与えます。
しかしその3日後、幕府軍の一部が戦線離脱すると
「出陣はやめだ。今は日本人同士が国内で戦っているときではない」
慶喜はたびたび前言を翻しながら
12月5日、ついに江戸幕府第15代将軍に就任します。
ところが、その20日後の12月25日、孝明天皇崩御。
幕府や松平容保の最大の理解者であった孝明天皇の突然の死は
幕府の崩壊へと一気に加速度を強めていくことになります。
妹・お孝の居場所が分かり、会うことになっていたお幸ですが
浅野 薫にそそのかされて一緒に隊から脱走しかけていた
近藤周平を助けるべく、新選組屯所に駆け込んだ際に
身体を酷使したせいか、発熱して倒れ込んでしまいました。
町医者・孝庵にお幸の診察を頼みますが、
近藤 勇が思っている以上に具合は悪そうです。
「今夜は、なるべく……そばにおってやんなさい」
帰りしな、孝庵は沖田総司の姿も見かけます。
そう、孝庵は総司の結核を看ている医者でもあったのです。
目配せして軽く首を振る総司に気を遣ってか
「たまには顔を見せい」と控えめに言い残します。
お幸は、妹のことを勇に頼みながら
静かに息を引き取りました。
「新選組を離れる」
伊東甲子太郎は宣言します。
尊皇とは言え、新選組はあまりに幕府寄りでありまして
伊東はあくまでも朝廷中心の新しい世を望んでいるのです。
皆のように「異存ありません!」とは同調できず、
同席していた藤堂平助は思い悩みます。
慶応3(1867)年1月4日・京──。
新年の集い、と言って伊東が仲間たちと酒を呑んでいる情報は
土方歳三の耳にはすでに入っていることですが、
それに永倉新八も呼ばれたとあっては、
単なるお祝いごととは思えません。
山崎 烝に探らせると、
永倉だけではなく斎藤 一も呼ばれていたようです。
永倉も斎藤も、それぞれ今日すべき仕事はあるのですが
「近藤先生に了解は得ております」という言葉を信じて
黙って休んでいます。
伊東はふたりにも、
隊を離れて新しい新選組を作る意欲を熱く語りますが、
ふたりとも隊を離れるつもりはありません。
伊東が座を離れた後、ふたりは
むしろ、逆に伊東を隊に引き止めておきたい立場と聞いて
同席していた藤堂も安堵しますが、
みんなを呼びにきた原田左之助によって
勇には話が通っていない、つまり
了承は得ていないということが分かります。
つまり、隊にはもう戻れない、隊を離れざるを得ないように
伊東が仕組んだことが分かったわけです。
国を思う気持ちは、勇も伊東も同じぐらいなのですが、
基本的に人を信じている勇は、伊東と違って策は用いません。
その点、伊東は他人も自分自身も信じていないのかもしれません。
ふたりが今、隊に戻れば
伊東の思惑は勇や歳三らにダダ漏れです。
そういうわけにはいかないので、先手を打って
伊東は勇に会いに行きます。
長州に探りを入れるべく、間者として長州に向かいたい。
帝の御陵を守る衛士になりたい。
したがって、形ばかり隊を離れることにしておきたい。
伊東の脱退の申し出をそのまま受け取った勇です。
伊東一派は御陵衛士を名目に薩摩長州と手を組み
幕府に楯突くつもりである、と読んだ歳三は
斎藤を個別に呼び出し、伊東一派に加わるように命じます。
あいつだけは死なせたくない、と
藤堂を助け出すように言うのも忘れない歳三でした。
「餞にひとつ教えておく。私はそう長くは生きられない」
総司を目標に頑張ってきた藤堂にとって
総司が藤堂を“羨ましい”と言った理由です。
そんな総司や、勇ら試衛館の面々に見送られて
藤堂は旅立っていきました。
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慶応3(1867)年3月10日、
伊東甲子太郎ら一派が思想の違いから新選組を離脱。
慶応3(1867)年11月18日、
新選組から分裂した御陵衛士を粛清する『油小路事件』まで
あと8ヶ月──。
作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:荻野 丹雪
版画:木田 安彦
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[出演]
香取 慎吾 (近藤 勇)
藤原 竜也 (沖田総司)
山本 耕史 (土方歳三)
優香 (お幸)
オダギリ ジョー (斎藤 一)
中村 勘太郎 (藤堂平助)
山本 太郎 (原田左之助)
山口 智充 (永倉新八)
小林 隆 (井上源三郎)
八嶋 智人 (武田観柳斎)
照英 (島田 魁)
中村 獅童 (滝本捨助)
笹野 高史 (孝庵)
はしの えみ (まさ)
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谷原 章介 (伊東甲子太郎)
今井 朋彦 (一橋慶喜)
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筒井 道隆 (松平容保)
中村 福助 (孝明帝)
伊原 剛志 (佐々木只三郎)
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制作統括:吉川 幸司
演出:清水 一彦
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