大河ドラマ八重の桜・(23)会津を救え
「三郎の仇を討づには、なじょしたらよがんべ?
仇は……私が討づ!」
八重の脳裏を、若かりしころの覚馬と三郎の
生き生きとした姿が駆け巡ります。
そんな誇らしい兄と、愛らしい弟には、もう会えません。
旧幕府軍は、鳥羽・伏見の戦いに敗れて
三郎の戦死と覚馬の消息不明が伝えられます。
新政府軍は、白河口・日光口・越後口の三方から
会津に迫っていました。
仙台に到着した奥羽鎮撫総督の九条道孝は、
仙台藩主の伊達慶邦に会津討伐を命じます。
奥羽の賊徒は奥羽に討たせる、というのが
総督の考えのようです。
参謀の世良修蔵は、伊達に早く会津を討てとけしかけます。
慶応4(1868)年3月、仙台に本陣を置いた奥羽鎮撫使一行は
東北一円を戦乱に巻き込む、地獄の使者でもありました。
夫が消息不明と知り
一日中家の中にいてふさぎ込んでいるうらですが、
八重はそんなうらを黒河内道場に誘います。
道場では、相変わらず強い中野竹子と
その妹・中野優子が薙刀の稽古で立ち合い。
竹子も強ければ、優子もなかなか強いです。
そこへ、切腹した神保修理の妻・雪が稽古にやってきました。
「まだ喪が明げておらぬだろう」と案じる黒河内伝五郎に対し、
一日家にいては夫に申し訳がないと答える雪。
そこまで言うなら、と伝五郎は雪を稽古に参加させます。
愛娘が大きくなった時に薙刀を習わせることを考え
それよりも先に自分が腕を磨いておかねばと
うらも薙刀を思い切って振ってみることにしました。
「やってみんべ。みねは旦那様からの大事な預かりものだ」
いつかまた会えっから、と八重はうらを励まします。
4月11日・上野寛永寺──。
江戸城明け渡しの朝、
謹慎するために江戸を出て水戸へ向かう徳川慶喜は
これまでの己を振り返っていました。
都で将軍になり、都で将軍を辞めた。
江戸に帰ってみれば、これといった感慨もありません。
そして、その場に控える勝 海舟のように、
徳川幕府に仕える幕臣は多くいても、
松平容保のように、自分に仕える家臣は
果たしていたのだろうか?
ともかく、徳川宗家は残り、江戸も戦火を免れます。
会津藩の心配をしながら、慶喜は水戸へ出発します。
奥羽鎮撫総督の命により、会津国境まで出兵はしたものの
はなから会津と戦うつもりのない仙台藩と米沢藩。
会津としても恭順を示して戦を避けたい思惑ですが、
参謀の世良修蔵は、鶴ヶ城を明け渡して
容保の首を差し出す以外には降伏とみなしません。
これでは宗家たる徳川慶喜よりも重い処分となります。
仙台藩も米沢藩も、会津に罪がないことは承知しています。
ここは周辺の諸藩にも呼びかけて結束して総督に嘆願すれば、
もしかしたら会津の処遇について
聞き入れてくれるかもしれません。
閏4月4日、仙台・米沢の連名で
会津を救済せよとの奥羽諸藩に通達が回ります。
新政府軍の侵攻に備えて、会津軍は
主力部隊を国境にまで進出することにします。
白河方面に西郷頼母、
そして局長・近藤 勇亡き後の新選組。
越後口には佐川官兵衛、日光口へは山川大蔵──。
近藤 勇が斬首され、土方歳三は足にケガを負ったことで
代わって新選組をリードしていくことになった斎藤 一は
外で鈴の音が鳴ったのに気づき、その音の方へ行ってみます。
そこでは、高木時尾が手を合わせていました。
“友だちの弟”が鳥羽・伏見の戦いで討ち死に……、
ということは、八重の弟・三郎のことなのでしょう。
今日はその、月命日だったわけです。
「一緒に供養させてもらえぬか」
時尾に並んで、斎藤はともに手を合わせます。
白石で、奥羽25藩の重役が集まり、
会津救済の嘆願書に署名してくれました。
それを仙台の伊達慶邦と米沢の上杉斉憲が総督に届け、
和議に向けて話し合いが行われることに。
……のはずでしたが。
総督が目を通していたその嘆願書を
世良が奪い取り、伊達と上杉を叱りあげます。
「こげなものを持ってきよる暇に、賊徒の首を取ってまいれ!」
そして同じころ、江戸の総督府には
広沢富次郎が海舟の添え状を持って単身乗り込み
会津討伐を留まってもらうべく
参謀・西郷吉之助との対面を願い出ていましたが、
こちらもその願いは聞き入れられず、捕らえられます。
閏4月19日。
福島藩の城下町で芸者を呼んで酒をあおっていた世良。
悪い酒になっているらしく、やりたい放題です。
そこに、世良から都の総督府に当てた密書を
奪い取って入手した仙台藩士・姉歯や遠藤ら。
そこには、奥羽諸藩も会津と同じく敵と見て討つべしとあります。
「仙台米沢など恐るるに足らず……成り上がりの下郎が!」
宴の後、世良を襲撃。
事態は急転回します。
参謀が斬殺されたとあっては和議は無意味となり、
戦は避けられない状況に陥ってしまいました。
もともと会津を攻める口実がなかったのですが、
この参謀暗殺により、総督府が奥羽を攻める口実を
みすみす与えてしまったというわけです。
5月1日、ついに白河城攻撃が始まりました。
大山弥助率いる部隊が次々に砲撃を始めますが、
一方で会津側の砲撃部隊からは
弾が敵陣にまで届かないというありさま。
さらに奥羽諸藩は陣を引き始め、
会津は窮地に立たされます。
会津藩の戦死者は300にも及び、
白河城は新政府軍の手に落ちました。
長岡藩の河井継之助に会いに行った佐川は
河井から、奥羽同盟に加わりたい旨の言葉を引き出します。
そして5月6日、31藩からなる奥羽越列藩同盟が成立。
八重と日向ユキは、戦で負傷した兵たちの
手当てのために日新館へ赴きますが、そこで見たのは
彼女らの想像以上にケガに苦しむ兵たちの姿でした。
「これも戦だ。ひるんではなんねえ」
これまで、佐久間象山塾で、都で、長崎で世界を見ようとし
10年後、100年後に続く豊かな道を探すはずだったのですが、
いま会津は滅亡の道をまっしぐらに進んでいます。
「どこで間違ったんだ、会津は……!!」
そんなことを考えて悲観する覚馬に
今は亡き松陰 吉田寅次郎の言葉が聞こえてきます。
天朝も! 幕府も! 藩も要らぬ!
ただ身一つで立ち上がればよい!
立ち上がれ!
まだ自分にできることが一つだけある──。
覚馬に希望がわいてきました。
──────────
慶応4(1868)年閏4月20日、
未明、仙台藩士・福島藩士ら十余名に襲われた世良修蔵が捕縛され
阿武隈川河原で斬首される。
明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで
あと37年11ヶ月──。
作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
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[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
貫地谷 しほり (高木時尾)
芦名 星 (神保 雪)
剛力 彩芽 (日向ユキ)
綾野 剛 (松平容保)
──────────
中村 獅童 (佐川官兵衛)
降谷 建志 (斎藤 一)
池内 博之 (梶原平馬)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
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黒木 メイサ (中野竹子)
六平 直政 (黒河内伝五郎)
小沢 仁志 (世良修蔵)
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津嘉山 正種 (神保内蔵助)
佐藤 B作 (田中土佐)
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小泉 孝太郎 (徳川慶喜)
生瀬 勝久 (勝 海舟)
宮崎 美子 (西郷千恵)
反町 隆史 (大山弥助)
西田 敏行 (西郷頼母)
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制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:加藤 拓
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『八重の桜』
第24回「二本松少年隊の悲劇」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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