大河ドラマ八重の桜・(24)二本松少年隊の悲劇
奥羽鎮撫使一行は東北に入ります。
「容保は天下に入れざる大罪人、賊徒の首を取って参れ!」
会津藩の恭順は認められず、
奥羽諸藩は会津救済を願って連携を深めますが
世良修蔵の暗殺を契機に、慶応4(1868)年5月6日
ついに31藩からなる奥羽越列藩同盟が成立。
しかし、白河城が新政府軍の手に落ちると
戦火は東北一帯へと広がって行きました。
山本覚馬は、共に牢に入っている弟子の野沢鶏一に
自らの言葉を口述して紙に書き留めさせます。
新政府軍の狙いが会津に絞られる中、完成したら
新国家への意見書として提出するつもりでいますが、
牢番に見つかって何度も何度も破られてしまいます。
心が折れそうになっている野沢を励まし
覚馬は何度も何度も書き直しさせます。
山本家の角場に集まった山川健次郎(大蔵の弟)、
伊東悌次郎、高木盛之輔(時尾の弟)の3人。
うち悌次郎は、八重に教えてもらった鉄砲の腕が認められて
彼の父がかけあい、白虎隊に加わることになりました。
猪苗代湖を視察する藩主・松平喜徳に同行もします。
「しっかり勤めてきなんしょ」
八重は悌次郎を激励します。
さらには、盛之輔は
大殿・松平容保の護衛兵に加わることになったそうで、
悌次郎と盛之輔の二人に先を越されたと
健次郎はガッカリしています。
薩摩藩の大山弥助と伊地知正治は白河城を落とし、
そこに板垣退助が合流します。
会津を落とすためには、列藩同盟を組む周辺諸国から
一つ一つ潰していかなければならない。
潰していければ、あとは自然に散ってしまうでしょう。
「棚倉、守山、三春、二本松まで進んだら会津は目の前じゃき」
板垣は大山らを見据えて言います。
ただ、戦の巧者である板垣軍相手に
日光口に陣取る山川大蔵の隊は踏ん張り、
越後口では佐川官兵衛が奮戦奮闘を続けています。
猪苗代湖の南にある福良の陣に入った喜徳は
新選組の演習を見ていかにも満足げです。
同行していた悌次郎らも、演習を見学し
新選組の土方歳三や斎藤 一の話を聞いて目を輝かせます。
悌次郎たちは新選組の活躍を祈りつつ宿所へ引き揚げ、
翌朝新選組は、白河城の奪還を目標に出陣。
しかし、新選組の加勢があっても、
列藩同盟軍が何度挑んでも、白河城の奪還は果たせません。
白河口の列藩同盟軍の陣にいた西郷頼母は、
棚倉城が敵に奪われてしまったとの報告を受け
愕然とします。
奥州街道を押さえられたら、
会津は孤立無援になってしまいます。
鶴ヶ城に戻った頼母は、そうなる前に
容保へ停戦を提案します。
しかし、重臣たちは主戦論ばかり口にして
頼母の提案には全く聞こうとしません。
新政府軍の新式銃に対して、会津藩が使うのは旧式銃でして、
願わくば反射炉を建設し、新式銃の製造に取りかかりたいのですが
そんな金と暇があればすでにやっているわけです。
「んだから! もっと早ぐ都を引き揚げていれば!」
守護職として京都にある間の、受けて来た侮辱を考えれば
矛を収めるという選択肢は、重臣たちの中にはなかったわけです。
しかも、その時期に蟄居謹慎していた頼母ですので、
その頼母がああだこうだ言えば言うほど
「黙れ!」という気持ちになってしまいます。
容保は、頼母に任せていた
白河総督の職を解きます。
日新館には、この戦いで壊れた旧式銃が
次々に運び込まれてきます。
よくよく調べてみると、火薬の調合が
古い割合のままで作られていました。
「火薬を作り直すだけでも銃や大砲の威力が変わりやす!」
まずはそこから始めて見ることにしました。
そうして、覚馬が長崎でカール・レーマンに発注した
最新銃のツェントナーデル銃が届きさえすれば、
新政府軍が使っている銃よりも
精度の高い、優れた武器を使用することになり
優位に立つことができそうです。
しかし、使用する武器云々より
内面から崩れ去るような報告が舞い込みます。
列藩同盟を組んでいた秋田藩が
新政府軍にくだったというのです。
秋田藩が敵にくだったら、会津は
正面と背後にそれぞれ敵を抱えることになり、
守りの兵がそれで分散されてしまいます。
もし分散することで手薄になったところを
新政府軍に攻め込まれたら、危機に陥るのは二本松です。
二本松──。
そこで銃術を教える道場を覗いてみると、
12、13ほどの少年たちが懸命に学んでいました。
お手本として八重が撃ってみた姿を見て
女だとバカにしていた少年たちの目が、
みるみるうちに尊敬の眼差しに。
あの子どもたちです。
八重は、子どもたちの運命を案じます。
新政府の運営ですが、
みんなが話し合いによって政策を決定し
それをつつがなく遂行していくはずでしたが、
いざふたを開けてみれば……、
岩倉具視・三条実美ら公家、西郷吉之助・大久保一蔵ら薩摩藩、
木戸孝允ら長州藩、板垣退助ら土佐藩という、
反幕府のメンバーで動かされているのが実情であり、
「内国事務総督」の松平春嶽(越前藩)は置いてけぼりを食らいます。
それでも会津救済を求めますが、
会津は朝敵だとの考えにのっとる新政府にとっては
全く聞く耳を持ってくれません。
会津討伐は、数年前の長州討伐にどこか似ています。
そう、会津討伐は長州討伐の裏返しなわけです。
つまり、官軍と賊軍は
そっくりそのまま入れ替わることだってあるんです。
春嶽はそこを皮肉を込めて主張しますが、
木戸は木戸で反論します。
「二度とそげなことが起きんよう、災いの根は断たんにゃならん」
春嶽は、今の新政府の国作りが
真っ当に進んでいるように思えません。
全ての職を辞し、越前へ帰ってゆきます。
覚馬が考える国作りの意見書がようやく完成しました。
これまで、書き取った内容を
目の見えない覚馬に確認してもらうために音読して聞かせていた時、
「うるさいのう!」とやじを飛ばしていた囚人たちですが、
完成した意見書の“基本方針”を読み上げると、
囚人たちはじっと耳を傾けて聞き入ります。
覚馬の理想の新国家は、三権分立にはじまり
学校制度、殖産興業、果ては平等な税にまで至り、
10年……いや、100年後にまで使えそうな濃い内容です。
「いづかとぎか来たら……しかるべき人に渡してくれ」
面会に訪れた小田時栄に、覚馬は
表紙に『管見』と記された提言書を手渡します。
牢番は、見て見ぬフリです。
板垣軍が奥州街道の諸藩を次々に攻略していき
7月29日、ついに二本松へ進みます。
攻められてもなお、二本松は会津への信義を貫き
砲術指南・木村銃太郎を先頭に
幼き少年たちも銃を手に果敢に戦っています。
しかし戦況は芳しからず。
木村は、補佐役の二階堂衛守に
少年たちを会津に逃がすように命じると
いきなり立ち上がり、両手を広げて
逃げる少年たちを守ろうとします。
木村は何発も銃弾を浴び、倒れます。
二階堂と少年たちが会津へ落ち延びる途中、
運悪く薩摩兵と遭遇してしまいますが、
子どもだと知った大山弥助に見逃されます。
しかし、篤治郎という少年は
二階堂が止めるのも聞かずに
若先生(=木村)の仇! と騒ぎ出します。
そこへ集まって来た長州兵。
彼らは弥助とのやり取りも何も知らないので無情にも発砲、
二階堂は命を落とし、篤治郎も重体です。
発砲して初めて、撃った相手が子どもだと気づきます。
放っておけ、とまたも見逃された少年たちですが
もう、頭より先に身体が動いてしまいます。
勇気を出せ……勇気を出せ……と、
才次郎という少年はダルマに願をかけ
長州の隊長に襲いかかり、刀で刺します。
そして少年たちは銃で撃たれ……。
二本松落城の日、長岡城も陥落。
こうなれば、会津城下に敵が迫ってくるのは時間の問題です。
その時は容保を守り、命を捨てる覚悟だとする頼母は、
母・律と千恵を前にして「家のこと、頼むぞ」と手をつきます。
「武士が戦場へ出ッ時は、家のことなど忘れるもンです」
「西郷頼母の名に恥じぬお働きをなされて下さいませ」
西郷家は女の子ばかりですが、
頼母の名を汚すようなことはしない、と千恵は誓います。
子どもたちが集まり、一時訪れた家族の安穏な時間。
子どもたちも頼母も、そして千恵も笑顔ですが
この至福な時は、ほんの一瞬で終わってしまいます。
二本松から子どもたちが逃げて来た、ということを聞いて
八重はとりあえず日新館へ急ぎます。
見覚えのある少年たちが数人。
瀕死の重傷を負った篤治郎は、虫の息になりながら
懐からダルマのかけらを八重に渡します。
「……!!」
八重はそのダルマをみて、思い出します。
二本松を見学したとき、
発砲する時に目をつぶってしまうと八重に相談した才次郎に
このダルマさんに願掛けてみらんしょ! と
ダルマを渡したのでした。
その、渡した少年──才次郎も、すでに命を散らしました。
そして篤治郎も、八重の胸の中で息を引き取ります。
「目を開けで! しっかりしっせえ! しっかりしっせえ!!」
八重の頬を伝う涙。
少年たちも、また消えた命の灯火に肩を揺らして悲しみます。
こんな子どもを……なんで子どもまで……。
──────────
慶応4(1868)年7月29日、
新政府軍が二本松城下に殺到し、二本松城が落城する。
明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで
あと37年8ヶ月──。
作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
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[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
谷村 美月 (小田時栄)
勝地 涼 (山川健次郎)
綾野 剛 (松平容保)
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降谷 建志 (斎藤 一)
池内 博之 (梶原平馬)
及川 光博 (木戸孝允)
小堺 一機 (岩倉具視)
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津嘉山 正種 (神保内蔵助)
柳沢 慎吾 (萱野権兵衛)
佐藤 B作 (田中土佐)
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加藤 雅也 (板垣退助)
宮崎 美子 (西郷千恵)
反町 隆史 (大山弥助)
村上 弘明 (松平春嶽)
西田 敏行 (西郷頼母)
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制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:一木 正恵
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『八重の桜』
第25回「白虎隊出陣」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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