« 梅雨明け | トップページ | バス停について本気出して考えてみた(41) »

2013年7月 9日 (火)

プレイバック獅子の時代・(03)セーヌのめぐり逢い

パリの町を、馬車を追いかけるふたりの男。
袴をはいた平沼銑次と、洋装の苅谷嘉顕であります。

「おぬし……何で走っとる!」
しかし、今はそんな問答を交わしている場合ではありません。

早朝のパリに、馬のひづめの音とふたりの足音が響きます。

長い距離を走った上、馬車にようやく追いついたふたりは
馬車の御者(馬を操る人)に操縦を止めさせます。

銑次が不意に言った“ストーップ!”に、
なぜパリについて間もない彼が
英語を知っているのかと吹き出してしまいましたがw
(フランス語では“Arrêt”?)

ともかく、馬車に乗っていた異人を引きずり降ろし
「手ェ出したら承知しねぇぞ!」と脅すわけですが、
異人は懐からピストルを出し、逃げて行きます。

そしてあろうことか、襲われていたはずのおもんも逃げます。
納得づくで馬車に乗ったと言っていましたが、
銑次は事情がうまく呑み込めません。


博覧会の薩摩ブースは、いつもどおりの賑わいでした。
まっ二つに切ったはずの立て看板は新しいものが付けられ
叩き割った壷や鎧は跡形もなく消えていました。

薩摩藩としては
こういったことが起こりえると予測しておりまして、
今回に限り事を荒立てずに済ませる意向です。

「二度とするなよ、バカなことは」
高松凌雲は、銑次にきつくお灸を据えています。


一方、嘉顕は国元の兄からの手紙で
自分が想いを寄せていた菊子が兄に嫁いだことを知ります。
これには相当ショックだったようで、
嘉顕に何を言っても上の空です。

早朝、おもんを追いかけるに至ったのは
おもんに会いに夜抜け出して行ったのですが、
そこで異人と馬車に乗り込む場面に遭遇したそうで。

瑞穂屋卯三郎に
おもんを助け出してもらったお礼を言われた嘉顕は
今夜、おもんを買う、と瑞穂屋におもんを手配させます。

どうやら「納得づくでね、馬車に乗ったんですよ」という
おもんの言葉がひっかかったようで、
異人には抱かれてはいけない、とおもんにお説教。

それは、銑次も同じだったようで
今朝の埋め合わせをしてやるつもりだったようです。

真向かいの部屋で銑次が待っていたのですが、
両者を引き合わせた後、おもんは怒って出て行ってしまいます。
「武士の相手をするほど落ちぶれちゃいないんですよ」


徳川昭武は幕府代表として博覧会に出席するだけではなく、
ヨーロッパの学問技術を習得するためにホテルに教師を招いて、
諸国の事情や、射撃や馬術、フェンシング、
フランス語など精力的に学習します。

凌雲は、昭武に随行するだけでは気が済まず
ヒマを見つけては銑次を連れて街中に繰り出します。

絵を見て、上水道下水道を見学し、
軽気球を見、市場を見、レストランの台所を覗き、
競馬場を見、書物を買いあさり、
神の家・慈善病院を見て大興奮です。

“LIBERTÉ”、“EGALITÉ”、“FRATERNITÉ”。
自由、平等、博愛というメッセージが
病院の入口に掲げられています。
凌雲としては、目からウロコの言葉だったようです。


薩摩出品の品々を荒らした犯人が伊河だと分かりました。
そして恐らく、伊河と長く話していた銑次が片割れで、
二人で荒し回ったものと推察。

もしかしたら、まもなく2回目の襲撃があるかもしれません。
尾関はその襲撃に備えて万全の体勢を整えますが、
嘉顕のみは、銑次の腕を知っているだけに
あまり乗り気ではありません。

薩摩方の予測通り、襲撃に向かう伊河と銑次のふたりですが
尾関たちが待ちかまえる地点よりも手前で、
嘉顕がふたりを引き止めます。

斬りつけた伊河をステッキで殴り倒しますが、
このまま進んでも、尾関たちに遭遇するだけです。
いくら剣が立つとはいえ、10人前後が相手では
銑次でも歯が立たないでしょう。

そうなると、薩摩の思惑通り
死体としてセーヌ川に浮かぶだけです。

銑次と、またもケガした伊河を尾関らから助け出すために
嘉顕は、ふたりと一緒におもんが泊まるホテルの部屋に向かい
ベッドでおもんと寝た“ふりをする”ことで
尾関からの追及をやりすごします。

ベッドの下には銑次と伊河が隠れているのですけどw


日本の薩摩藩は、武力による討幕へと傾いていました。
いくつかの討幕計画は失敗し、西郷隆盛や大久保利通らは
武力によって討幕させるしかないという気持ちになっていたわけです。

そんな時、遠く離れたパリのセーヌ川では
薩摩の男と、会津の男と、武士を嫌う女が再会を果たしていました。

銑次が、瑞穂屋に言って
釣り道具をおもんに持たせて来るように頼んでいたのです。
あれだけ侍が嫌いなら、とおもんが来ないと読んだ銑次と嘉顕でしたが
意外にもおもんは釣り道具を持ってやってきました。

銑次が釣り糸を投げて釣りをしている途中、
余計なことを言っちゃいますけどね、と
おもんが重い口を開きます。
「私と馬車に乗ってた男、どうやら駅でピストルを」

そうじゃないかと思うんです、と
推測も含めたことだと断っているわけですが、
銑次も嘉顕も、あの男が犯人だと思い込んでいます。


作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
語り:和田 篤
──────────
[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大原 麗子 (もん)
藤 真利子 (苅谷菊子)
岡本 信人 (尾関平吉)
──────────
尾上 菊五郎 (高松凌雲)
神山 繁 (岩下左次右衛門)
村井 国夫 (伊河泉太郎)
──────────
児玉 清 (瑞穂屋卯三郎)
沢村 貞子 (苅谷和哥)

加藤 剛 (苅谷嘉顕)
──────────
制作:近藤 晋
演出:中村 克史

|

« 梅雨明け | トップページ | バス停について本気出して考えてみた(41) »

NHK大河1980・獅子の時代」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 梅雨明け | トップページ | バス停について本気出して考えてみた(41) »