プレイバック獅子の時代・(04)追跡
「私と馬車に乗ってた男、どうやら駅でピストルを」
セーヌ川で釣り糸を垂らしていた平沼銑次に
重い口を開いたおもん。
あの男が……!!
銑次はあの日のことを思い出していました。
銑次は瑞穂屋卯三郎の元を訪れて
おもんに取り持った異人の男のことで激しく問いつめますが、
フランスの商人との約束を守り、何も語りません。
セーヌ川のほとりに残された苅谷嘉顕は
おもんに、その異人について詳しい状況を教えてもらいます。
最初こそ異人はイヤだと断っていたものの、
高額を提示されて渋々承諾したおもんは
異人に連れ回されてある部屋にたどり着きます。
しかし、そこまでは気持ちを殺してたどり着いたものの
やはりイヤだという気持ちになり、こっそり立ち上がると
ピストルをおもんに向けました。
「これは駅で日本人を撃ったピストルだ」
そして異人がシャワーに入ったスキを見て逃げ出したおもんは
暗い夜道を走って逃げ、明け方にようやく宿に戻ると
例の異人が待ち伏せしていて、おもんを略奪していった、
……とまぁ、こんな感じです。
銑次と合流した嘉顕は、瑞穂屋が口を割らないので
別角度から異人の追跡をかけてみます。
つまり、到着したばかりの幕府一行に挨拶に出向いた瑞穂屋に
「駅で狙撃したのは薩摩ではない」と弁明した際、
乗り込もうとしていた馬車におもんが乗っていたので、
瑞穂屋とおもんがその後、夜会でどこに向かったかが分かれば
少しは手がかりがつかめそうです。
行先は、カンブルメールの屋敷でした。
カンブルメールには、嘉顕が話すフランス語が全く通じません。
そりゃそうだ、と銑次は笑っていますが、嘉顕は納得しません。
馬車の御者に聞いた時にはしっかりと通じていたので、
カンブルメールがとぼけているだけなのです。
そんなおとぼけの彼はナゾの一言を言い残します。
「モンブラン伯爵には気をつけなさい」
薩摩藩の宿舎に戻った嘉顕は、駅で銑次を撃った異人について
モンブラン伯爵に率直に聞いてみますが、
見当つっきませーん、と笑って出て行きます。
追跡が行き詰まったところで、嘉顕はおもんに
その男からの会いたいという約束があったら
人を遣わしてでもいいので知らせてほしいと言いますが、
「異人とは会うなとおっしゃったじゃありませんか」
とおもんに言われてあっさり前言撤回。
でも、会わないと捕まえられないことは
おもんにだって分かります。
銑次が外を出歩いている間に、徳川昭武がひどい腹痛に襲われ
高松凌雲が処方した薬でも一向に効き目がなく、
昭武はフランスの病院に担ぎ込まれます。
そこでは適切な処置が施され、ようやく安静になりました。
昭武はもはや痛むことはないと医師は太鼓判。
お疲れの様子なので、しばし静養を、とのことでした。
先生のご処置は大変正しかった、と医師に励まされましたが、
自分の手で治せなかったことが凌雲にはショックです。
フランスの医学を目の前で見せつけられ、
それに引き換え日本の医学は100年遅れていると思った凌雲は
やるせなさだけが残っています。
そもそもなぜ、江戸幕府の代理人たる一行を狙撃したのか?
ピストルで幕府方を狙撃するというきっかけを与えて、
それに怒った幕府に薩摩を叩かせるという想定だったわけですが、
薩摩は与り知らぬことであり、幕府もある程度は納得できたので
結局のところは何も起こりませんでした。
この一件では実はカンブルメールが発案者のようですが、
カンブルメールは逆に狙撃者から
おもんとのことを取り持つように脅されたようです。
フランスとしては狙撃者の正体が突き止められては困るわけですが、
そんなことにはならない、とカンブルメールやモンブランは余裕顔。
銑次は、嫁に行くという
千代からの手紙を受け取っていました。
千代の嫁取りの話は
前々から話がついていたことらしいのですが、
先方の父親が病の床についたことで、
祝言も急いで執り行うことになったようです。
妹想いの銑次は、どうしたらいいか分かりません。
2ヶ月も前の話であり、
事は手紙以上に進んでいる可能性は高いです。
おもんが、またも例の男に
馬車に乗るように言われていたようです。
その知らせは、おもんと同じように
日本茶屋に務める女2人によって
銑次と嘉顕に知らされます。
「馬車にただ乗ってった、と」
嘉顕はフランスのポリスに駆け込んで人探しを依頼し、
銑次は瑞穂屋のところへ急行します。
さんざんに脅しますが、とうとう瑞穂屋は口を割らず。
瑞穂屋は瑞穂屋で、いろいろ手を尽くして
狙撃者を探していたらしいのですが、
幕府の役人に、これ以上の詮索は無用と言われたそうです。
何でも、日本では異人斬りが立て続けに起こり
フランス人もその犠牲になっておりますが、
今回の狙撃事件で日本が大げさにしてしまうと
今後、フランス人が日本で受難した際に
賠償金どころの話ではなくなる、というわけです。
ただ、瑞穂屋が独自に調査してきたことで
分かったことを銑次に伝えます。
「男の宿はサンマルタン運河に面したアパート」
サンマ……ルタンだな! と
銑次は馬車を飛ばしてそこへ向かいます。
正しくは「サン・マルタン」ですがねw
一方で、日本の女がサンマルタンに見つかったと
ポリスに連絡が入り、署長と嘉顕は現場に急行します。
そこにはその狙撃者はおらず、
おもんによると、狙撃者は二人の男に連れ去られたというのです。
翌朝、サン・マルタン運河に男の死体が浮かんでいました。
男は、狙撃者その人でした。
結局のところは誰が狙撃者を殺したのかは判然としませんが、
西洋諸国の思惑や商人たちの計算が、
日本の周囲に渦巻いていることだけは確かなようです。
それに対して、日本はほとんど無力であります。
強くならなければならない。
ヨーロッパに対抗しうる文明を身につけなければならない。
そんな気持ちを強くするパリにいる日本人たちに
徳川幕府崩壊の知らせが届いたのは、
それから間もなくのことでした。
作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
語り:和田 篤
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[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大原 麗子 (もん)
大竹 しのぶ (平沼千代)
藤 真利子 (苅谷菊子)
永島 敏行 (平沼鉱三)
香野 百合子 (平沼 玲)
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尾上 菊五郎 (高松凌雲)
神山 繁 (岩下左次右衛門)
横内 正 (平沼 亨)
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児玉 清 (瑞穂屋卯三郎)
加藤 嘉 (平沼助右衛門)
加藤 剛 (苅谷嘉顕)
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制作:近藤 晋
演出:清水 満
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