プレイバック獅子の時代・(07)暗い影
苅谷嘉顕が、4年ぶりに故郷鹿児島に帰ってきました。
庭では、父の苅谷宗行が庭の花に止まった蝶をとろうと
そろりそろりと歩いている時でして、
大声を出して「ただいま!」なんて
言える場面ではなさそうです。
でも、結局は取り逃がすのですけどw
「父上!」という声に振り返ると、我が息子の姿です。
あまりに突然のことで、思うように言葉が出ず
「……あがれぃ!」と言うだけです。
それぐらい嬉しいことであります。
汚れた足を井戸で流そうとする嘉顕に
母の和哥は、すすぎを兄嫁の菊子に準備させようとしますが、
菊子はもじもじして表に出てきません。
なぜなら、言葉には出していませんが、
嘉顕と菊子はお互いに想い人だからです(^ ^)
心優しい嘉顕は、父と母に土産の品を渡します。
でも、菊子の分もちゃっかり用意しています。
しかし、それを握りしめたまま、本人を前に
渡すタイミングを失っています。
とはいえ、内心とても複雑です。
菊子への想いは強くなりつつも
「いつでもお前さぁを待って……」と菊子に打ち明けられて
思わず拒否してしまいます。
その言葉を振り切るかのように
数日後、嘉顕は京に向かって出発します。
一度は恭順の意を評した松平容保は
激しい闘志を燃やして新政府軍に対抗すべく
その準備を進めています。
ただ、フランス式軍隊の調練を行うにしても
例えば両手を振って歩くというだけでも困難を極める始末。
訓練する兵隊はぎこちなく歩いていますw
帰国を急ぐ徳川昭武一行は、
南シナ海に入り香港まで戻ってきました。
しかし、徳川幕府が崩壊し
将軍慶喜が捕らえられて処刑されたという情報が入り
一行は一旦香港で待機することになりました。
水戸藩士・伊河泉太郎の主張するように、
民部様(=昭武)を全力で守り抜くとしても
薩摩長州が待ちかまえる日本の港に考えなく入港して
自分たちの命が助かる保証があるとは思えません。
同行して来た者たちは紛糾しますが、
高松凌雲は、ひとまずここにしばらく滞在して
情報収集にあたるように渋沢栄一に提案。
──情報収集の結果、
慶喜は水戸で無事と分かり、ひとまず安堵します。
西の淡路島あたりか、北の松島あたりに船を着けて
上陸する案もあるなかで、
少年昭武のためにも、正々堂々と
横浜から上陸するのがよろしいと決定しました。
しかし、横浜港で出迎えてくれたのは、
尾関平吉ら新政府軍でした。
上座に座る昭武の前に尾関が立ちはだかり
同行者に向き合った途端、伊河や平沼銑次は
民部様に尻を向けるなと激しく反発しますが、
渋沢や凌雲になだめられ、しぶしぶ抑えます。
謹慎の意を表させるため、
武器の一切を預かるとの沙汰に一行は怒り心頭ですが、
ここは承服せざるを得ません。
厳しい警固兵に囲まれて、半ば犯罪者のような扱いです。
京都御所に入った嘉顕は、
大久保利通に呼び出されて奥州行きを打診されます。
大久保は、今から向かおうとする奥州が
官軍に味方するかどうかを
嘉顕に見極めさせようとしているようです。
夜、昭武一行が寝静まった頃を見計らって
尾関は彼らの荷物を改めます。
荷物といっても、大半はヨーロッパ土産なのですが、
銑次が買ってきたバケツ、スコップ、やかん、
それに妹の千代に買ってきたドレスなどは
さんざんに馬鹿にされ、散らかされます。
それに怒った銑次は猛抗議し、さんざん暴れますが
逆に、不埒な振る舞いだと蔵に押し込まれます。
翌朝、昭武と水戸藩士7人は
京都御所に向けて出発せよと命じられます。
なんでも、ヨーロッパ巡行の話を
昭武から直接聞きたいと天皇が言っているそうです。
凌雲は、銑次を蔵から助け出し
そのまま出奔することにします。
そのころ、会津・仙台・米沢などの連合軍は
白河から須賀川を北に逃げ、
それを追う新政府軍は二本松から
会津若松へ攻め上ってきています。
江戸に向かう凌雲と別れた銑次は
ひとりで逃げながらも、
ヨーロッパ土産を喜んでいる千代ら家族の
嬉しそうな表情を思い浮かべていますが、
「千代は嫁に行っちまったんだったなぁ……」
木枯らしの吹く中、百姓のなりをして
とぼとぼと会津に向けて歩いています。
途中、官兵に怪しまれた銑次は
抵抗するあまりに兵隊をひとり刺し殺してしまいますが、
銑次自身はなんとかケガひとつなく、助かりました。
しかし、それを許さないひとりの男がいました。
嘉顕です。
懐かしさのあまり、親しげに近づく銑次でしたが
嘉顕は無表情のまま刀を抜き、対峙します。
作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大竹 しのぶ (平沼千代)
藤 真利子 (苅谷菊子)
永島 敏行 (平沼鉱造)
香野 百合子 (平沼 玲)
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鶴田 浩二 (大久保利通)
尾上 菊五郎 (高松凌雲)
横内 正 (平沼 亨)
加藤 嘉 (平沼助右衛門)
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千秋 実 (苅谷宗行)
沢村 貞子 (苅谷和哥)
加藤 剛 (苅谷嘉顕)
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制作:近藤 晋
演出:清水 満
あ、ちなみにオープニングのタイトルバックで
「テーマ音楽演奏」・「(挿入曲)演奏」の2つで
“ダウン・タウン・ブキウギ・バンド”が、今回から
“ダウン・タウン・ファイティング・ブキウギ・バンド”に
変わっていました。
語り手の和田 篤さんに“アナウンサー”と付いたのも
この回からです。
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