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2013年7月14日 (日)

大河ドラマ八重の桜・(28)自慢の娘

慶応4(1868)年8月26日、会津方の軍議の席で。

彼岸獅子に扮して入城した山川大蔵は
その手腕を買われてか、
本丸で軍事総督として任務に当たることになりました。

大蔵は、まずは小田山を取り返すことが先決と主張。
これは家老の梶原平馬らも同じ考えでありますので
松平容保ともども、異論はありません。

ただ、大蔵は軍議の席に
西郷頼母の姿がないことに気づきます。

「弱腰の家老がいて、兵たちが命がけで戦えるか!」
そう言う佐川官兵衛に、恐らく頼母は恭順を説いて
主戦派と対立したのだろうなと大蔵は理解します。

残る銃弾を数えて、もし弾が尽きたらと考えると
何だか恐ろしいことになると青ざめた顔の川崎八重ですが、
同じく青ざめた顔の秋月悌次郎が
頼母が鶴ヶ城を追われて城を出る(=追放される)ことを伝えると
さらに青ざめて絶句してしまいます。

頼母が、子どもの吉十郎を伴って
容保の下命を伝えに
越後街道の萱野権兵衛の元へ向かいます。

「お逃げになんのがし!? ご家老さまは、お城を捨てんのがし!?」
八重は、今の頼母に言ってはならないことを言ってしまい
秋月にたしなめられますが、八重の気持ちは収まりません。
その怒りの矛先は、
城を出ようとする頼母から、頼母を城から追い出した容保へ。

人にはそれぞれ道というものがある。
どうしても譲れない道がある。
たとえ臆病者と誹られようとも、
まっすぐにしか進めない自分の道があるんだ──。

頼母は、ふたたび八重に背中を向けて
とぼとぼと歩いて城から出て行きます。

後から聞けば、頼母はこの期に及んで
一日でも早く降伏すべきだと主張していたということで
それに目を剥いて頼母に反発する八重ですが、
秋月は、恭順を唱えることのほうが
今はむしろ勇気が要ることだと八重を諭します。

その翌日、萱野に容保の下命を伝えると
頼母は会津を離れます。

「頼母……生きよ」
容保は、頼母が憎くて追放したというよりも
会津にやって来たときから何かと世話になり
戦争においては恭順降伏を唱え続けた頼母が、

主戦派から命を狙われることを畏れて
そうならないために城から脱出させたと
見ることも出来ます。


薙刀隊が戻ってきました。

照姫の前で手をついて戦の報告をする女たちですが、
しかしそこには、中野竹子や神保 雪の姿はありません。

照姫も、そして駆けつけた八重や山本佐久も
ついさっきまで共に生き、共に戦って来た人が
急にいなくなってしまうことの
怖さ、悔しさをかみしめています。

そんな時、敵から砲撃が始まります。
小田山方向からの攻撃というのは容易に見当がついたのですが
しかし今回の砲撃は、大砲の音がちょっと違うようです。

「上野の戦争で使われたアームストロング砲でしょう」
川崎尚之助は苦虫を潰したような厳しい表情。

こちらにある四斤砲では、
小田山に届くかどうか微妙なところです。
何にもしないよりはいい、と尚之助と八重は
火薬の量をギリギリまで増やしてみることにします。

装薬13匁増、距離14町、斜角10度4分──。

尚之助の「撃て!」の号令と同時に発砲した四斤砲は
あまりの衝撃にもんどり打ってひっくり返ってしまいます。
でも、すごいことに何とか命中できたようです(笑)。

一発、大砲を仕掛けたことで、
今度はココが敵に狙われることでしょう。
ココに山本権八が走って来て、あとは自分たちに任せ
八重は気が動転する同志たちを静めてまわれと命じます。


容保は、戦況を確認すべく前線に出てきます。
そして戦う民たちに「ひるむな」と言葉をかけて回ります。
一通り見て回った容保が城内に戻ろうとした時、
大砲の弾がすぐ近くに着弾!

八重のとっさの機転で、近くにいるみねらを避難させ
煙の上がる砲弾を水で濡らした布で包み
破裂を抑えます。

……ほんの数秒が、
何十秒にも、何分にも感じられます。

そっと布をはぐってみると、
とりあえず弾からの煙は消えているようです。
「もう大丈夫、この弾は爆発しねえから」

どうやら単に包むだけではなく
包み込みながら押さえるポイントがあるようです。
ただ、いつ爆発するか分からない弾を
濡れた布で包み込むのは命がけの仕事でもあります。

くれぐれも無茶はしないように、との八重の言葉に
「お城を守るために上がったんだし」と
梶原二葉や山川登勢らは力強く答えます。


その一部始終を見ていた容保は、彼女が
川崎尚之助の妻で山本覚馬の妹であると知り、
八重を呼び寄せます。

「覚馬の妹か……よく似ている」
八重の顔をまじまじと眺め、容保はポツリとつぶやきます。

力を尽くせよ、と言葉をかけられて歓喜する八重です。

八重は、城内の皆の力を借りて鉄砲の砲弾作りを始めます。
八重の指導で次々と砲弾が出来上がっていくわけですが、
女たちは、恐れていた砲弾が意外に簡単に作れることに驚き、
子どもたちはいかにも興味津々です。

そんな様子を遠くから権八が複雑な思いで眺めていました。

女が鉄砲の腕を磨いても何一つ良いことはない。
それどころか、いつかは身を滅ぼすことにもなる。
だからこそ、八重を一度も認めては来ませんでした。

しかし、八重が鉄砲を学んだことは
もしかしたら間違いではなかったかもしれない。
戦という闇の中に一つの小さな風穴を開け
一筋の光を差し込ませるのは、八重の鉄砲かもしれません。


8月28日。
小田山から城へ、武器調達の道を開かなければならず
かつ米沢藩とのつながりを保持すべく
佐川は翌日未明、奇襲をして打って出ることにしました。

“勝って、まめで、来る身で待つ”
縁起物に囲まれて、出陣の祝いです。

佐川は、かつて江戸で殺傷事件を起こし
切腹を命じられるところ、
容保に命を助けてもらった恩義があります。

容保のために、そして会津のために
命を投げ打って働いてきたつもりでしたが、
結局のところは、情けないことではありますが
力及ばず何一つとして守れませんでした。

「そなたの力、頼みに思う」
それなのに、容保からのこの言葉は
佐川にとっては最上級でありまして、
容保に勧められるまま杯を傾けていきます。

そのうち、戦の疲れが出たのか
杯を手にしたまま眠ってしまった佐川。
容保は、そのまま休ませるように命じます。


朝。
日も高く登っております。

佐川は昨日の出陣祝いの場で横になっています。

高木盛之輔が佐川を起こしに来ます。
時は卯の下刻・午前7時。
出撃する兵はみな準備万端で、
佐川の出馬を待っている段階だとか。

確か“未明に奇襲をかける”はず……(^ ^;;)
「しまった! 寝過ごした!!」

朝駆けの時を逸した会津軍は、
これでさらに苦戦を強いられることになります。

外堀の西から長命寺にかけて、
会津軍は命がけの猛攻を仕掛けます。
しかし、新政府軍の圧倒的な兵力の前に
壊滅的な打撃を被り、長命寺の戦は幕を閉じました。


9月8日に「明治元年」と改元された京都では
覚馬が書いた書き付けを大垣屋清八が岩倉具視に届け、
岩倉がその書き付けを書いた男と話がしたいと
覚馬が療養しているところまで足を運びます。

三権分立、殖産興業、学校制度……。
新しい国の形がしたためられていて、
その全てが素晴らしいものばかりです。
「会津にも、人物はいてるのやな」


鶴ヶ城では、籠城が続いたことで食料も弾薬も底を尽き
明日をも知れぬ命の瀬戸際で生きてきた会津の民たちですが、
鬼の居ぬ間になんとか、の言葉のように
休戦中に気晴らしに凧揚げをします。

小さい子どもたちに凧揚げを教える八重ですが、
佐久や山本うらから見れば、
一番楽しそうに見えるのが八重本人であります。


明治元(1868)年9月14日、
ついに新政府軍による鶴ヶ城総攻撃が始まります。

以前のように、砲弾がすぐそこに落ち
登勢が勇気を出して濡れ布団で砲弾を包みます。

しばらく経って、布団をそっとめくってみる登勢ですが
途端に砲弾が爆発。
一番近くにいた登勢は吹き飛ばされ、意識をなくします。

さらに続く砲撃。

城内にいながらにして天守閣が見えるほど
雨のように降り注ぐ銃弾や砲弾によって
壁も天井も何もかも壊されていきます。

──────────

慶応4(1868)年8月29日、
佐川官兵衛は約1,000人の兵を率いて城外へ出撃する指揮官を任じられたが、
出陣前夜に酒に酔い、出撃が遅れて敗北を喫す。(長命寺の戦い)

明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで


あと37年7ヶ月──。


作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
──────────
[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
綾野 剛 (松平容保)
──────────
貫地谷 しほり (高木時尾)
市川 実日子 (梶原二葉)
剛力 彩芽 (日向ユキ)
谷村 美月 (小田時栄)
勝地 涼 (山川健次郎)
──────────
中村 獅童 (佐川官兵衛)
池内 博之 (梶原平馬)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
──────────
小堺 一機 (岩倉具視)
秋吉 久美子 (山川 艶)
稲森 いずみ (松平 照)
松方 弘樹 (大垣屋清八)
西田 敏行 (西郷頼母)
──────────
制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:加藤 拓


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『八重の桜』
第29回「鶴ヶ城開城」

デジタル総合:午後7時10分〜7時55分
↑参議院議員選挙速報のため放送時間が変更になります!
BSプレミアム:午後6時〜6時45分

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