プレイバック獅子の時代・(10)鶴ヶ城攻防
実家に戻った平沼千代と平沼 玲ですが、
すでに平沼家は焼け落ちていました。
母と祖母の亡きがらのことも気になりますが、
行く当てもない二人は、城を目指すことにします。
一方、銑次たちもどうにかして城に入りたいところですが
城の周りは新政府軍で蟻の出るすき間もないほどに囲まれていて
どうあがいても入城は困難です。
また、味方だと主張して城に迫ったところで、
城内にいる味方が城門を開いてくれる保証もありません。
そこで考え出した案……。
威風堂々と行軍してきた兵が、通り囃子を演奏し始めます。
見るからに堂々としているので
新政府軍は彼らがまさか会津兵だと気づかず、
圧倒されて声も掛けられない有様。
いとも容易く新政府軍の壁を突破します。
途中、城にのぼろうとしていた千代と玲も合流。
一方、城内の者には、演奏者が会津の人だとピーンときます。
そう、その通り囃子は
会津の長男でしか演奏することが許されていないものなのです。
ギギギ……と城門が開くと、
銑次の号令で一目散に城内へ駆け込みます。
新政府軍は、彼らが会津兵だと気づいて
鉄砲隊に射撃をさせたときには
銑次らはすでに城内に入り、城門が閉まった時でした。
こうして、鶴ヶ城城内には
助右衛門をはじめ、亨、玲、銑次、鉱造、千代と
自刃したもえと松子を除く家族6人が集まりました。
助右衛門は「他の者の身にもなってみろ」と大激怒しますが(^ ^;;)
銑次たちが襲撃したアームストロング砲ですが、
数日かけて修復し、鶴ヶ城に向けて火を噴き始めました。
その警固兵で襲撃を受けた苅谷巳代治は
未だに出血が酷く、顔の左側が真っ赤ですが
弟の苅谷嘉顕が兄に代わって戦に加わることになりました。
戦の合間合間で、かいがいしく介護する嘉顕は
早う元気になってもらわにゃなりもはん! と
兄を懸命に励まします。
しかし兄の口から出たのは、意外な言葉でした。
「菊子には、男が……おるとじゃ」
結婚以来、心を開いてくれません。
会話の時も目を見てくれません。
だからこそ、そういう結論に至ったわけですが、
嘉顕は、そんなわけはないと励ましつつ
菊子の好きな相手が自分だとは
まさか言うこともできようはずもなく
「相手の男が憎か……これで死ぬとは無念じゃ」
託された書状は、美濃郡上藩から参戦した
朝比奈茂吉本人に渡りました。
しかしその文面を読むや否や
彼は書状をくしゃくしゃに丸めてしまい、
銑次は声を荒げますが、
書状の内容はいずれ……と
朝比奈は低姿勢にわびるのみです。
夜、会津兵1,000で出撃することになりました。
出撃に際して
藩主の松平容保は自ら鉄門(くろがねもん)に来て、
会津の活路をこの出撃の成功に託すと叱咤激励します。
しかし、その出撃は失敗に終わります。
戦いは翌日の昼まで続いたというのに
新政府軍の損害はほとんどなく、
会津軍の被害はとても大きかったわけです。
重篤なけが人が次々と運び込まれているのに
平沼家の男は誰一人として死にません。
それが助右衛門には歯がゆくて仕方ないらしく
銑次や鉱造に強く当たります。
母と祖母は、後顧の憂いがないようにと
自害して果てましたが、
父を含めて男4人のこのこと戦に出かけて行って
負け戦で傷を負わずに帰ってきたら
世間体がないというわけです。
死ねばいいのか、ケガすればいいのか、
それはおかしいと銑次は言いますが、
亨や鉱造は、父の気持ちも少しは分かります。
そんな話をしていたとき、千代が力なく現れます。
「石岡様が……戦死なされました」
石岡虎之助という婚約者の死に、
千代はへなへなと崩れ落ちます。
平沼家のあまりの不甲斐なさに
助右衛門は狂ったように、城門のカンヌキを外して
城外に出撃しようとして止められます。
しかし、それに続いた鉱造と亨は敵の射撃に遭い、
その場に倒れ込みます。
それでもなお敵軍に突っ込もうとする二人を
銑次は止め、助けようとします。
「馬鹿たれッ!」
作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大竹 しのぶ (平沼千代)
藤 真利子 (苅谷菊子)
永島 敏行 (平沼鉱造)
香野 百合子 (平沼 玲)
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横内 正 (平沼 亨)
目黒 祐樹 (朝比奈茂吉)
倉石 功 (山川大蔵)
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近藤 洋介 (苅谷巳代治)
片岡 秀太郎 (松平容保)
加藤 嘉 (平沼助右衛門)
加藤 剛 (苅谷嘉顕)
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制作:近藤 晋
演出:清水 満
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