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2013年8月31日 (土)

プレイバック獅子の時代・(18)光と影

津軽海峡・青森──。

半ば強引に北海道を脱出した平沼銑次と4人の漁師たち。
彼らが乗った小舟が津軽海峡を渡って青森に入りました。

沖につくとすぐに散り散りになります。

銑次は、途中で捕まえた政府軍兵士の軍服を奪い、変装して
会津兵の後を東京へ追いかけますが、
身なりは政府軍なので、
政府に不満を持つ者たちの標的になってしまうわけです。

それらを何とか避けながら、銑次は郡山までやってきました。

ある宿屋に入って所持金の計算をしておりますと、
「もしー」と女中が入ってきました。
なんと、おもんです。

おもんから、弟・小此木恭平の一連の話を聞いた銑次は
おもんに次いでもらった酒をくいっと飲み干すと
「そいつぁ悪い弟だ」と穏やかに言いますが、
苅谷嘉顕とは違って、弟のことは忘れろとも言います。

弟に裏切られたと言ったところで、弟の立場にしてみれば
学問好きだからやってはみたけれども結局それがダメで、
金作りのために芸者になった姉の過度の期待を
重荷に感じているのかもしれません。

それよりも、おもん自体が
こんなところで女中をやっていることこそが
銑次に言わせればダメなことです。
「オレと一緒に、江戸へ行っぺ!」

しかし、翌朝早く
おもんは吐血して倒れてしまいました。
「病気なんか……何ともねえ!」
おもんを励ましつつ、銑次は江戸へ急ぎます。


越後の高田藩謹慎所に、
江戸を出発した会津の女たちが到着しました。
日ごろは厳しいことを言う平沼助右衛門も
千代のまぶしい笑顔の前では表情も緩みます。

江戸から越後への道中、会津の女だと知って
石を投げられることもあったそうですが、
会津は賊軍じゃないと、千代は石を投げ返してやったそうです。

それだけに、千代も玲も
かなり辛酸をなめた旅となりましたが、
会津の女の強さを知ることにもなりました。


江戸に着いた銑次は、嘉顕の借宿に向かいます。

銑次は、自分が
箱館五稜郭の敗残兵であることを明かした上で
新政府に対する恨み辛みの声が
あまりに多いことを嘉顕に伝えます。

しかし嘉顕も負けてはいません。
「(恨む声は)聞こえちょるが、徳川がマシとは言わさん」

銑次は、戊辰の戦いで祖母と母、そして兄を亡くしました。
それだけに人の命の重さを知っているつもりです。
「何千、何万死んだと思う。
それを引き換えに世の中ひっくり返したことを忘れるな」

しかし嘉顕も、箱館五稜郭の戦いで兄を亡くしています。
箱館病院で、負傷兵の一人が銃で撃って、です。
銑次の脳裏に、その時の情景が濃く映ります。
銑次は「そうか」という言葉しか言えませんでした。


越後から斗南へは、苦難の旅でした。

しかし、囚われの身から解放されて
家族とともに新天地に向かう喜びが人々を励まし、
一歩一歩、胸を膨らませるのでした。


銑次から、おもんが郡山の宿屋にいることを知らされた嘉顕は
植村信吾を使いとしておもんの元へ赴かせ
おもんを療養のために東京まで運ばせることにします。

嘉顕は、畳屋平蔵とさく夫妻に
おもんのために2階を貸してほしいと願い出ます。
その代わり、嘉顕は引き払うのだそうです。


下北半島・田名部。
そこに南部藩を分割した斗南藩の役所が設けられ
到着した会津の者は藩の計らいで、
心のこもった馳走を受けます。

しかし、斗南藩の参与・山下虎雄は
このようなもてなしは今回限り、と
斗南での暮らしの過酷さを伝えます。

分散したとはいえ、17,000人という大人数を
3万石はおろかせいぜい7,000石で賄わなければなりません。
藩としても、米と銭を支給した上で
各自が原野に出て野を開き、
家を立てて畑を作り、生き抜かなければなりません。

平沼家の面々は、鍬とのこぎりを1つずつようやく入手し
家作りから始めていきます。


江戸を出発した銑次は、
嘉顕に金を借りて薬売りに化け
ようやく一戸に入る頃でした。

途中で出会った息も絶え絶えの武士が発した
「斗南は地獄じゃ……」という言葉だけが
頭の中を何度も何度も繰り返されています。

もう、斗南は目の前です。


作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大原 麗子 (もん)
大竹 しのぶ (平沼千代)
藤 真利子 (苅谷菊子)
永島 敏行 (平沼鉱造)
──────────
横内 正 (平沼 亨)
内藤 武敏 (山下虎雄)
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加藤 嘉 (平沼助右衛門)
佐野 浅夫 (畳屋平蔵)

加藤 剛 (苅谷嘉顕)
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制作:近藤 晋
演出:中村 克史

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