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2013年8月11日 (日)

大河ドラマ八重の桜・(32)兄の見取り図

明治4(1871)年・秋。

台所で朝餉を作る音で目が覚めた川崎八重は
「いげねえ!」と飛び起きます。
枕元には、着替えの着物まで準備してあります。

山本覚馬の後妻となった山本時栄に
いいようにはさせまい、と気を張っていた八重ですが、
さっそく朝からお寝坊さんです(笑)。

慌てて台所に行き、何か作ろうとキョロキョロしてみますが
すでに出来上がっていて、手を出すすき間がありません。

久々の一家再会となった山本家。

覚馬は、父の権八と弟の三郎の位牌に手を合わせ
9年ぶりに一緒に暮らせるようになった吉事を報告します。

みんなで朝ご飯をたべよう、と覚馬が提案すると
みねは一人部屋を飛び出していきます。
「みんな揃ってなんかねえ!」

時栄が後を追いかけますが、
みねは母からもらった赤い櫛を見つめたまま
閉じこもった納戸から出て来ようとしません。

心配した八重が様子を見に行こうとしますが、
家のことは時栄に任せろ、と覚馬は厳しく注意します。
そして、八重にやってもらいたいことがある、と──。


覚馬の書斎に案内された(といっても、
もちろん八重が覚馬を支えて入室しているのですが)
八重は、「万国公法」という本を手渡されます。
世界の国同士、守らなければならない法が書いてある本です。

なんでワタシが? という、口には出さないけれど
八重の不満らしきものを察知したか
京都では小学生にも教えている内容、八重には難しいか? と
負けず嫌いな八重を知り尽くす覚馬はけしかけます。
「まさか、これぐれえ読めますッ」

しめしめ(笑)。

……と言いつつも、
“日耳曼”という言葉のところで詰まった八重。
何のことを言っているのかよく分かりません。

お茶を出しにきた時栄は、八重の手を取り
覚馬の手のひらに書いてごらんなさい、と無言で促します。
「ドイツ……ヨーロッパの国の名だ」

夕方になり、夜になっても八重の格闘は続きます。
興味を持って読み進めた砲術の本とは訳が違うのです。
ただ、小学生でも分かるのだから、と
その度にやる気を出して頑張って読み進めます。

そのうち、机に突っ伏して眠ってしまう八重。


翌朝、京都府庁に出仕する覚馬に同行する八重。
覚馬を軽々とおぶって出仕する八重に、覚馬は
万国公法についての直々の講義を行います。

府庁では、細い女子が大柄な男をおぶっているので
かなり珍しい光景に写るようですが、
覚馬が会津出身と知って、陰口を叩く者も少なからず。
イラッときて振り返る八重に、覚馬は先を急がせます。

槙村正直が長州出身と知って、八重は恨みで顔を強ばらせますが
それを知ってか知らずか、槙村は新しい京都の街作りを語ります。

そこへ、博覧会中止を嘆願する京都商人たちが押しかけます。
京都で行う博覧会を開催することで
ひな祭り中止を通達した槙村に、
ひな人形の売れ行きが落ちてしまうと涙ながらに訴えます。

しかし覚馬は、ひな人形の国内需要はたかが知れていますが
それを海外にまで広げた場合、
日本の素晴らしい技術でもあるひな人形は
海外需要は多く見込めそうです。

「日本の優れた品を世界に見せて、交易を盛んにするためだ」
なるほど、そうかもしれぬな、と納得した商人たちに
博覧会に力を貸してほしい、と覚馬は頭を下げます。

さらに、芸妓たちを呼んで舞を踊らすという槙村の希望には
覚馬は、英語による名所案内を作ることを提案します。

その草案は覚馬が作り、八重に手伝わせるというわけです。
八重は英語はできませんが、今度できる女紅場に入れて
これから学ばせるつもりです。

女紅場──京都府が作った女性のための学問所です。


家に帰った八重は、
女紅場で女学生たちに手仕事を教えながら
舎監として彼女らの世話をし、
かつ英語を学べと覚馬は命じます。

断腸の思いでみねと別れたうらとの約束で
みねを立派に育てねばならない八重は、
みねは時栄に任せてここを出ていけという覚馬に猛反発。

薩摩や長州らによって
会津に2,000発の砲弾を昼夜問わず撃ち込まれて
そんな環境の中で戦い抜いた八重にとって、
長州出身者らと談笑している覚馬が信じられません。

それは、覚馬が会津戦争の時に
会津にいなかったからかもしれません。
それをぶつけますが、覚馬は表情を全く変えません。
「本は読み終えだのか? 明日も出かけんぞ」

覚馬が変わってしまった、
会津のことなんか忘れてしまったのだ、と八重は嘆きますが、
佐久に言わせれば、そんなことはありません。

もともとうらのために買っておいた着物を
まだ少女のみねの丈に合わせて着させようと提案する辺り
昔も今も、まったく同じ優しい覚馬です。


佐久に教わって、時栄はこづゆを作ってみました。

ひとり縁側に座るみねに食べてもらおうと
こづゆを差し出しますが、
もともとこづゆはお祝いの時に食べるものです。

こづゆを見たみねは、会津での
うらとの楽しかった日日が思い出されて
泣き崩れてしまいます。

「みねさん……堪忍、堪忍え」
時栄はみねをしっかりと抱きしめます。
新たな命を産んだ身としては、
子どもと生き別れた母の気持ちも分かるつもりです。


黒谷・金戒光明寺──。

かつて、会津本陣があった場所です。
覚馬はそこへ八重を連れていきます。

徳川を守り、都を守り、帝をお守りする。
その一心で京都守護のお役目を続けていた松平容保でしたが、
もっと大きな力が世の中をひっくり返してしまい
容保も覚馬も、薩摩や長州が会津を滅ぼしに行くのを
止められなかったわけです。

「弱音は吐がなかった……会津は逆賊ではねえから!」
あの時のことが思い出されて、八重は涙ぐみます。

敵を許せないとつぶやいた八重に、
オレもだ、と覚馬も返します。
今、長州の、敵の下で働いているのは
自分自身の戦だ、というわけです。

覚馬は『管見』という新しい国の見取り図を八重に見せます。
覚馬の仲間たちが見ていた、未来の形です。

人が死んで死んで、国を焼き尽くして灰になっても
その中から新しい者たちがまた立ち上がる。
生き残った自分たちがやらなければならないことです。

国家を治むるは人材によるものなれば
今より以後 男子と同じく学ばすべし。
『管見』の中の“女学”のところにあった表現です。
知恵が、知識が一番の武器になること、
八重ほど身をもって知る女性はいないはずです。

武力に押しつぶされることのない強い街を
文明の街を、新政府が捨てたここに作る。
「学べ。新しい知識を、世界の文明を」


Washington──明治5(1872)年2月・ワシントン。

幕末から明治にかけて欧米諸国と結んだ条約は
日本側にとって不利なものでした。

右大臣・岩倉具視を全権大使、
大蔵卿・大久保利通、参議・木戸孝允を副使とする「岩倉使節団」は
条約改正に向けての親善訪問と西洋文明の視察のために渡米します。

その通訳を、新島 襄が務めていました。

使節団が持参した帝からの委任状に
条約改正の交渉と調印の権限が明記されておらず
よって条約改正の交渉は出来ないと
フィッシュ国務長官に突っぱねられます。

このままでは何も出来ないので、大久保は
急いで国に戻ってそれらを明記した委任状を取って来ると言いますが、
残されたものはその間、アメリカで足止めとなります。

廃藩置県政策で国が治まらない時、主要メンバーの大半が
政府を留守にすることに反対を唱えていた木戸は
ふん、と鼻で笑います。

襄は、黙って彼らの部屋を後にします。

部屋を出た襄は、アメリカの歌を覚えて歌う
山川捨松という洋装の女性と会います。
斗南藩大参事であった山川 浩の妹です。

どうやら彼女は、岩倉使節団とともに
アメリカに渡った女子留学生のひとりのようで、
使節団の評判は全く芳しからずですが
女子留学生には夢中なんだそうです(^ ^;;)


覚馬の屋敷を西郷吉之助が訪ね、
京都にある薩摩藩邸を引き払うので
覚馬に買わないかと言ってきます。

覚馬にとっては、2年ほど牢獄に留め置かれた
あの因縁の屋敷でもあります。

京都で何かしようという時には
なかなか使える土地かもしれず
覚馬は受けるつもりです。

戦で薩摩に滅ぼされた格好の会津ですが、
学問をせねば薩摩や長州に勝てないと
八重は旅立つ決心をします。

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作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
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[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
風吹 ジュン (山本佐久)
谷村 美月 (山本時栄)
水原 希子 (山川捨松)
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徳重 聡 (大久保利通)
小堺 一機 (岩倉具視)
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オダギリ ジョー (新島 襄)
及川 光博 (木戸孝允)
高嶋 政宏 (槇村正直)
吉川 晃司 (西郷隆盛)
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制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:一木 正恵


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『八重の桜』
第33回「尚之助との再会」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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