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2013年9月27日 (金)

プレイバック獅子の時代・(26)敗れし者の道

瑞穂屋の裏で、平沼千代が洗濯物を干しています。
しかし、かなり時間がかかってしまっているようで
先輩下女から「まったくのろまなんだから!」と怒られます。

そこへ平沼銑次が登場です。

千代は、わざわざ見に来なくても
ちゃんとやっていると口をとがらせますが、
兄から意外な言葉を聞きます。
「今日からオレは、商人だ」

は!? と聞き返す間もなく先輩下女が千代を大声で呼び、
銑次を置いて千代は行ってしまいます。

もっと話したいことがあったのでしょうが、
千代はとても忙しいようです。
銑次は寂しさを覚えながら、
千代が干そうとしていた洗濯物を代わって干してあげます。

(タイトルバック中)
瑞穂屋卯三郎に呼ばれた銑次は
瑞穂屋のマーク(?)が入った羽織を渡されます。
銑次は卯三郎に深々と一礼。

その羽織を来て、忙しなく動き回る千代に披露します。
千代も笑顔で、似合うと言ってくれました。

卯三郎は、手代銑次とともに
横浜の料亭に向かいます。

「瑞穂屋! こいはどげんこっちゃ!」
先ほどまでご機嫌だった男が、銑次を見るなり
やおら立ち上がって卯三郎を怒鳴りつけます。

そう、卯三郎が接待するという薩摩出身の政府役人というのは
片や会津、片や薩摩で因縁の対決をした尾関平吉であります。
数年経過していたとはいえ、一度見たら忘れない顔です。

しかし今は瑞穂屋の手代。
手をつく銑次に、少し落ち着きを取り戻しつつあります。
妙な商人が出てきた、と尾関は銑次を指さして大笑いです。


明治4(1871)年5月10日、明治新政府は貨幣単位を
これまでの両から円・銭・厘に変更しています。

しかしそれに基づいて造られたのは、
大坂造幣寮鋳造の金貨・銀貨・銅貨であり、
紙幣ではありません。

尾関が卯三郎に持ちかけたのは、
紙幣印刷機械の輸入話であります。

銑次は、尾関は信用できないと思っています。
卯三郎も、傲慢無礼な尾関を好きというわけではありませんが
商人がそれではいけないと言うわけです。

卯三郎は、しばらく返事を先延ばしにしておいて
新政府などに手を回し、出方をうかがうことにします。

その間、銑次には横浜に残り、
返事を先延ばししていることで尾関が機嫌を損ねないように
その相手をしてもらいます。

横浜の街を眺めていると、
諸外国から人や物が次々と入ってきています。

異人の手を使って商いをするよりも
尾関が考えているのは、
日本のために日本人同士で手を組んで
商いをすることにあるようで、

そのために卯三郎に、
卯三郎自身の目で善し悪しを見極めてもらうために
印刷機械輸入の話を持ちかけたようです。

銑次も、尾関が考えていることが何となく分かってきました。


大久保利通は、執務中の苅谷嘉顕を呼び出します。

雲井龍雄の処刑について、未だに不当だと考えている嘉顕です。
反政府の人物ではありましたが、
そののろしが上がったわけではありません。
しかし、雲井処刑によって
反政府の人物たちがおとなしくなったのもこれまた事実です。

大久保としては、反政府たちの動きを封じ込めた上で
廃藩置県を成し遂げなければならないと考えていたようで、
嘉顕はようやく、強引にも物事を進めていた
大久保の考えが理解できたわけです。

そんな自分(=大久保)についていけるなら太政官庁へ来い、
なければ、去るがよか。
そう言った大久保は、伏し目がちに嘉顕に伝えます。
「おはんの力を、買うとる」

深々と一礼する嘉顕です。


太政官庁の大久保の元を訪れた嘉顕は
日本の国家が西洋に引けを取らないものであるために
西洋国家がどういうものかを視察したいと言い出します。

大久保を始め、岩倉具視や木戸孝允、伊藤博文らも一緒です。

そのメンバーが視察に出かけてしまうと
政府高官がほとんどいなくなってしまうわけですが、
それでも視察したいという思いがあるようです。

留守政府は、薩摩の西郷隆盛や
嘉顕ら若手に任せることにします。


7月14日。
父・平沼助右衛門の初盆ということで
鉱造と千代が小屋に戻ってきました。

ただ、思わぬ日になってしまいました。
廃藩置県です。

今日から会津藩も斗南藩もなくなるということで、
会津藩、斗南藩と、藩一筋に懸命に生きた助右衛門には
運命の日といえるのかもしれません。


嘉顕と大槻信春は、
法律整備を担当する江藤新平の元を訪れます。
江藤も留守政府のメンバーの一人です。

ただ、視察団が出発する前は表立って動くことはあまりなく、
完全に留守政府主体になってから法整備に動くと言う江藤に
「大久保さんがいてはできんとですか」と怪訝な嘉顕ですが、

法の整備については、江藤もいろいろ考えがあるようですが
どうやら木戸の横やりが入って
なかなか前に進めない現状があるようです。

よって、欧米視察として大久保が木戸を連れ出している間に
江藤には思う存分、法整備に動いてもらうというわけです。

人類はみな平等でなければならない。
そのために、すぐには無理だろうが
身分の差もなくしていかなければならない。

そして職業選択も自由、宗教も自由。
ただし、人身売買は厳しく取り締まる。

これこそ嘉顕が想い描いてきた国家でありまして、
急に目の前が開けてきたような気がしました。

一方で、偶然鉢合わせした尾関からの情報で
大久保の旅行は条約改正のためだとも聞いて、
大久保に対してますます畏怖の念を抱くようになります。


作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大原 麗子 (もん)
大竹 しのぶ (平沼千代)
永島 敏行 (平沼鉱造)
金田 賢一 (弥太郎)
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鶴田 浩二 (大久保利通)

細川 俊之 (江藤新平)
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児玉 清 (瑞穂屋卯三郎)

加藤 剛 (苅谷嘉顕)
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制作:近藤 晋
演出:重光 亨彦

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