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2013年9月29日 (日)

大河ドラマ八重の桜・(39)私たちの子ども

明治10(1877)年9月。

西郷隆盛の死によって、1万人を超える犠牲者を出した
内乱「西南戦争」を終えた日本は、
しばしの平安の時を取り戻していました。

平安のとき……というのはあくまで一般論でして、
新島 襄が設立した同志社女学校ではあてはまらないようです。
徳富猪一郎の姉・徳富初子と伊勢みや子ら女生徒が、
講師のアリス先生と揉めているようです。

山本みねが山本八重を呼びに来て、
八重は、またか! と急いで女学校に向かいます。

女生徒たちは、寮で
太ももまで着物をまくり上げて洗濯物を足で踏んで洗っているし
布団をポンポンポンと叩きまくっています。

アリス先生は、マナーの観点からそれをやめさせようとするのですが、
「マナーの話はもうよか!」と聞く耳を持ちません。

でもまぁ、彼女たちの言い分も分かります。
マナーを学んで素晴らしいレディになるために
京都までやってきたわけではなく、
男子に負けず学問をしにやって来たのです。

八重は、アリス先生に代わってマナーの授業をすることにします。
それは、薙刀。
礼儀作法を身につけるには武道が一番、というわけです。

授業も進まず薙刀の稽古まで付き合わされたアリス先生は
八重に対して相当な怒りを持ち、
校長の襄が止めるのも聞かず、学校を出て行きます。

校長といっても、
学校を建てる土地を手に入れるだけの力がない襄は
アリス先生らからは校長と見なしてもらえず、
その立場は非常にもろく危ういものでした。

“学校を建てる土地を手に入れるだけの力がない”というのは
実は京都府知事・槙村正直が地主たちに、
襄に土地を提供するでない、と横やりを入れていたからでした。

山本覚馬は早速槙村に噛みつきますが、
槙村は覚馬に、同志社に専念してはどうかと
京都府顧問からの実質的引退を勧めます。


一方そのころ、薩摩出身の生徒・小松リツは体調を崩しています。
心配になった八重は、薬を持って病床に見舞いに行きますが、
会津者の情けは受けない、と頑に拒みます。

リツの父が、戊辰戦争で会津で命を落としたらしく
会津の者に対して激しい憎悪があるようです。
そんな会津出身者が作った学校だと知っていたら入学しなかったと
リツは学校を退学する意思を表明します。

八重は、国内で戦をしないように
女性を教育していかなければならないと意欲を持っていたのですが、
もしかしたら襄の学校作りの足手まといになっているのかもしれないと
珍しくしょげています。

「あなただからこそ、生徒たちに伝えられることがある」と
襄は八重の手を握って、優しく諭します。


女学校開校からしばらくして、襄と八重は
教会を兼ねた新居を完成させます。

新居を訪れた山本一家。
台所も板張りで、しかも中に井戸もあります。

八重が使いやすいようにと、
その身長に合わせ流し台の高さを調整して作られていて
そんな襄の細かな気遣いに、みねは八重を羨ましがります。

照れ隠しの意味もあったかもしれませんが、
そんなことはしてられない、と八重は食事の準備にかかります。
同志社英学校と女学校の生徒たちを食事に招待しているのです。

襄の邸宅でオルガンを弾く男子学生。
同志社女学校の同窓・伊勢みや子の兄に当たる伊勢時雄です。
時雄はもともと開成学校に通っていたのですが、
キリスト教を学びたくて同志社英学校に移ったようです。

そんな時雄を見て、みねはニッコリ(^ ^)
恋ごころに発展しそうな予感?


一方、同じく招待されたリツは、襄に退学の意思を伝えます。
やはり、会津者の教育は受けたくない、というのが理由です。

襄は親身になってリツの主張を聞き、
それが覆らないと分かると、せめて食事だけと食い下がります。
「私の顔を立てると思って。……ね!」

しかし、キリスト教の話から
男には男の、女には女の役割があるという話に至ったとき、
鵺先生(=八重)にはそれが当てはまらない、
だって男に交じって会津戦争で戦った方だからと
口走った男子生徒がいました。

「父は……女子の鉄砲撃ちに撃たれたち聞いちょいもす!」
憎しみを込めて、リツは八重を睨みつけます。

私だ……と認めた八重は
皆がいる前でリツに手をつき、頭を下げます。
途端、リツはひどく咳き込み、倒れてしまいます。
血を吐いているようです。


リツは結核を患っていました。
今すぐ実家に戻して療養させてください、という明石博高に
襄は、リツの実家が薩摩であることを伝えます。

明石の表情が途端に暗くなります。
今のリツの体力では、薩摩まで持つかどうか……。

襄の、ウチで引き取るという決意に、八重も賛同します。
結核は移るので命がけの看病となりますが、承知の上です。

それから、リツの 一家を上げての看病が始まります。
山本佐久は、リツのために栄養がつく食事を作り続け
八重は献身的に看病を続けます。

ただ、リツは意地を張って食事に一切手をつけようとしません。

「いい加減にしっせ!」
今まで微笑んで看病してきた八重も、言葉が厳しくなります。

私が憎いなら、元気になって私に報復したらいい。
そんな身体じゃ父親の恨みを晴らすことはできないよ!
つまらない意地を張って死んでしまったら意味がない。
生きねばならないんだから! と。

八重が病室を出て行った後、襄がフォローします。
八重さんもあの戦で、お父上と弟さんを亡くされているんです。
──リツにとっては、初めて聞く話です。

故郷や大切な人を失って、それでも何とか生きてきた。
リツと同じ痛みが分かるからこそ、
八重はリツと同じように苦しみながら生きている。

「あなたは、私たちの子どもですから」
どうして八重が私の看病をするのかと訪ねたリツに
当然です、と襄は笑って答えます。

目線を下に落とし、
自分のために作ってくれた食事にリツは頭を下げます。
「いただきもす」

八重はリツを看病しながら、
リツは八重に看病されながら、
お互いのこと、お互いの考えを話し合います。

会津言葉に薩摩言葉なので
ん? という部分はあろうとは思うのですが、
それでも相手を理解しようという気持ちと同じように
相手の故郷の言葉を理解しようと努力していたのかもしれません。

リツは、自分の看病をしてくれて
命を救ってくれたことに感謝しています。
「ありがとなし」

相手の故郷の言葉が出てくるのは、
相手を理解したことにつながるのかもしれません。

八重の目から涙があふれてきます。

廊下でそっと聞き耳を立てていた襄は、安心した様子で
早く良くなって学校に戻ってきてください、と励まします。


朝の礼拝が始まります。
そんな時、突然、佐久とみねが入ってきます。
なんと、洗礼を受けさせてほしいというのです。

自然と沸き上がる拍手。
その拍手の中で、八重は2人を抱きしめます。

その後、みねとともに洗礼を受けた佐久は
舎監として同志社で働くことになりました。

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作:山本 むつみ
脚本:三浦 有為子
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
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[出演]
綾瀬 はるか (新島八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
オダギリ ジョー (新島 襄)
玉山 鉄二 (山川 浩)
谷村 美月 (山本時栄)
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高嶋 政宏 (槙村正直)
風吹 ジュン (山本佐久)
反町 隆史 (大山 巌)
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制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:一木 正恵


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『八重の桜』
第40回「妻のはったり」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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