プレイパック獅子の時代・(42)大脱走
もんが、樺戸集治監のある村を離れたのは10月末。
平沼銑次を慕って東京からここまで来ましたが、
痛くもない腹を探られて
銑次を苦しめることにもなるためです。
また、ここに居続けても銑次に会える確証はなく
もんはここを離れる他なかったわけです。
「諸君、寒さはますます厳しくなる!」
「諸君、本当に寒くなるぞ!」
入浴時も行進時も、住田の主張は続き
そのたびに看守たちの折檻が入ります。
どういうわけか、銑次の元にやすりがあるわけですが(^ ^;;)
恐らく、甚助の尽力で岡浦看守経由で
銑次の元に行ったものと推察しますが、
銑次のいる部屋の囚人たちで、代わりばんこに
房の木をやすりで削っていきます。
その最中にも、住田の主張は続いています。
周辺を流れる石狩川が凍り付いてしまっては
物品は届きません。
「じゃあいつやるの? 今でしょ!」(笑)
銑次は、どれだけ要求をしても
看守たちがその要求を呑むとは思えず、
これ以上殴られれば死んでしまうと
住田に止めろと説得しますが、
住田は諦めません。
別房に入れられても、住田は叫び続けます。
「綿入れ、足袋、もう一枚の布団を支給せよ!」
房に戻された銑次は、
自分のためではなくみんなのために叫び続ける住田の姿を見て
一度だけみんなで主張してみようじゃないかと提案します。
獄の柱という柱をみんなで叩きまくって看守を呼びますが、
そこに現れたのは内山看守長です。
「三十一番が死んだ」
住田が主張する前から、政府は囚人たちに
布団を1枚ずつ支給することを決定していて、
住田がやったことは全くの無駄だったと内山看守長は言いますが、
その実は、住田が死んで初めて発注したのかもしれません。
ともかく、布団はその冬には間にあいませんでした。
発注したのが遅すぎて、石狩川はついに凍ったわけです。
もんは、樺戸から石狩に戻っていました。
石狩時代に働いていた飲み屋で
また働くことになったらしいのですが、
そこへ甚助が様子を見にやってきます。
「春になって、行きたきゃまた行くさ」
飲み屋にやって来た甚助は、もんを励まします。
樺戸の冬は、誰の予想をも上回るもので
凍傷、肺炎、消化不良などが囚人たちの身体を絶えず脅かし
1人死に、2人死に、8人9人10人……と
命を落とすものが続きます。
明治15(1882)年の札幌は、
14年間続いた開拓使庁の廃止から始まりました。
北海道を、函館県・札幌県・根室県に
分けることになったのです。
内務卿・伊藤博文は、
北海道が薩摩の勢力で占められていることを嫌い
3県に分断することでその勢力を弱めようとしましたが、
薩摩は薩摩で、3県知事の椅子を独占したわけです。
苅谷嘉顕は、薩摩の勢力で固められていることを良しとしません。
薩摩以外から人材を登用することがなければ
外部からの批判に耳を貸さなくなり、
ますます批判は大きくなるばかりです。
開拓使庁の送別会後、県庁に行った嘉顕は
樺戸集治監に銑次がいることを偶然知ります。
てっきり東京小菅の監獄だと思っていたのですが、
いつの間にか樺戸へ移されていたようです。
それはともかく、樺戸の囚人たちが
夏衣のままこの冬を越そうとしているという実状に
妻の千代とも絶句します。
嘉顕としては、もう遅いかもしれませんが
何とかして樺戸へ物資を運ぼうとしますが、
千代には、身内に犯罪者(←濡れ衣ですが)がいると分かって
嘉顕が後ろ指を指されてしまう方が気がかりです。
零下10数度の極寒の監獄で
囚人たちは足踏みをし、身体を擦って寒さ対策をし
この厳しい冬を乗り越えようとしています。
相変わらず、ヤスリで柱を切り続ける日が続きます。
こればかりは、小さく細いヤスリでは一気に切れないので
気長に待つしかありません。
五郎は、外の雪をつかんでみたいと
外に出られたときのことに思いを馳せます。
そしてようやく春が来て
房の中から手を伸ばし、雪を掴むことができましたよ(^ ^)
いよいよです。
内山看守長からは「余計なことは考えるでねえ!」と
威圧されますけど(^ ^;;)
去年、脱走を企てて殺された者、
この厳しい冬で落命した者が14名おりまして、
入所時の40人に比べると、26名と
半分近くまで人数は減ってしまいました。
夜10時夜勤看守交代、朝までその2人が警備を担当します。
そして迎えた早朝、いよいよ計画実行です。
慎重に1枚1枚板を剥がし、1本1本柱を外して
人間が通れるだけの空間を開けます。
そこから銑次と五郎が外に出て、
一旦柱と板は元に戻され穴は塞がれます。
看守たちは将棋に夢中になって全く気づきません。
ゴソゴソとしていた音で他の房の者も気づきますが
とりあえずは黙っていてくれそうです。
銑次と五郎はまず看守詰所に行き、看守たちを襲撃。
通常なら囚人たちを苦しめる足につけた鉄の玉で
看守たちを殴りつけたわけですから、皮肉なものです。
鉄の玉を鍵で外し、囚人服を脱ぎ捨てて看守服を着ます。
「ご苦労さんです」
交代の岡浦看守らが詰所にやって来ました。
しかしそこで将棋をするのは囚人2人(笑)。
岡浦看守たちはたちまち襲われます。
牢獄に“看守のなりをして”戻ってきた銑次と五郎は
獄の鍵を全て外して囚人たちを整列させ
その先頭に立って作業に行くふりをして
集治監の門を出ようとします。
「待て! そんな話は聞いとらん!」
他の看守がおかしいと気づいたのでしょう。
銑次たちは看守たちを倒し、それを合図にみんなで脱走します。
獄舎には身ぐるみ剥がされふんどし姿の看守たちが入れられ、
火がかけられます。
内山看守長も、寝起きなのかふんどし姿です。
「見つけ次第殺せぇーッ!」
走る。
走る。
夢中で走る。
道なき道を急ぐ囚人たちです。
作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大原 麗子 (もん)
大竹 しのぶ (苅谷千代)
高岡 健二 (五郎)
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日下 武史 (住田)
東野 英心 (岡浦看守)
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大滝 秀治 (甚助)
小松 方正 (内山看守長)
加藤 剛 (苅谷嘉顕)
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制作:近藤 晋
演出:中村 克史
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