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2013年11月10日 (日)

大河ドラマ八重の桜・(45)不義の噂(うわさ)

明治18(1885)年5月。

琵琶湖疏水工事を来月に控え、山本覚馬・時栄、大垣屋清八らは
京都と琵琶湖が運河でつながったら水運の大連絡路ができ、
戦で焼け野原になり、東京遷都で廃れた京都は
ますます繁盛するのだろうと期待を寄せています。

人間のやり直す力、回復力に改めて感嘆の声を上げる覚馬です。

そんな覚馬は、かつては
京都府顧問、府議会議長と歴任していますが
現在は商工会議所の会長です。
不自由な身体を押して働き詰めですね(^ ^;;)

「うち、あの人嫌いや」
新島 襄の留守を預かる新島八重の元を
姪の山本久栄が訪れたのはそんなころ。

あの人がいはったら母様が変わってしまう、と
いつもの明るい久栄が、今日は少々様子がおかしいです。
あの人……広沢安任の紹介で
山本家に居候している青木栄二郎のことです。

詳しく話を聞こうと、家に上げようとする八重ですが
「また……来るわ」と飛び出していってしまいました。


同志社女学校の外国人宣教師たちは女学校から手を引くと、
ついにスタークウェザー先生に言い渡したそうです。

ジャパン・ミッション(日本宣教団体)が
女学校を廃校にすることを満場一致で決定したとのことで、
“廃校”との言葉に、八重も言葉を失います。

宣教師がいなくたって学校はやれる! と八重は言いますが、
学校を続けていくには莫大な金が必要であり、
大学設立のために資金集めをしている現状では
なかなか難しい問題であります。

というわけで、困った時には兄ンつぁまにご相談♪
当座の運営資金と、経営を任せられる人が要る、とのご回答です。

ただ、商工会議所の人たちは現在、
琵琶湖疏水工事に莫大な金銭を負担しているので
寄付を募ると言ったところで、時期が悪いわけですが、
八重は、襄の留守中に負けるわけにはいかないと
覚馬から商工会名簿を借りて動き出すことにします。


栄二郎は時栄と縁日にお出かけしています。

覚馬曰く、書生としてやってきて1年、
たまには息抜きも必要だということらしいのですが、
久栄の思い詰めた表情を見ている八重は
思い切って覚馬に報告しようとします。

そんな時、二人が帰ってきたわけですが、
久栄は、栄二郎が母の手を握っているのを目ざとく見つけ
「何してんのや!」と発狂に似た声を上げます。

とっさに弁明に回る母にも
不道徳やわ! と厳しい言葉を突きつける久栄。
プイッと横を向いていなくなってしまいます。

すると栄二郎は、この際だから話しておきたいと
時栄が止めるのも聞かずに覚馬の元へ。
「時栄さんを何と思っておいでだべか?」

14歳のときに大垣屋に言われて覚馬のお世話を始めて以来
(栄二郎に言わせれば)ずっと女中のような暮らしをしている。
縁日に言ったぐらいでも子どもみたいに喜んでいた……。

「時栄さんは先生の手足ではねえ! 一人のおんなだ!」
八重が止める手を振りほどいて、覚馬に迫ります。

覚馬は、こんなことでは学問も物にならないと
栄二郎を国に帰そうとしますが、
学問の機会を奪ってはならないとの時栄の懇願で
大阪の私塾に転校させることにしました。


始めは商工会会員の家を一軒一軒当たって寄付を募りますが
ウチには関係ない、の一言で玉砕する有り様。
八重は、商工会会員を集めて授業参観させます。

そうすれば、同志社女学校に異なるイメージを抱いていた会員も
実際の校舎や授業を見聞きして
本当の姿を見てもらえると思ったわけです。

そうして、どうにかこうにか寄付も集まり出し
経営に関しては大垣屋の養子・大沢に
見てもらうことにしました。

同じく授業参観に参加した大垣屋清八ですが
時栄から今回の一件について相談があったらしいです。
今回のことは付け入られる隙があって時栄が悪いですが
許してやってほしい、と八重に頭を下げます。

考えてみれば、これまでの20年間
覚馬の目が見えなくなっても、足が立たなくなっても
自ら望んでずっとお世話をし続けた時栄です。

その前提で、斡旋した大垣屋に頭を下げられては
さすがの八重も、飲み込むしかありません。

今までの罪を悔い改め、
もう一度やり直してみたいという覚馬は
時栄とともに洗礼を受け、
二人揃ってキリスト教の信徒となりました。

洗礼を無事に終え、八重は時栄に
今までの苦労を労って頭を下げ礼を言います。

よくよく考えれば、覚馬が
不自由な身体になりつつも今まで生きて来られたのも
実母と別れたみねを立派に育ててくれたのも
時栄が献身的に尽くしてくれたお陰です。

時栄は時栄で、離別して会津に残ったうらを妬んでいたらしいです。
どれだけ尽くしても、覚馬の心の中にはうらがいるようで
しかも思い出だけが残っているものだから、
覚馬の心の中のうらは一切年も取らずに生きている。

「そんな気持ち、もう捨ててくなんしょ」
いたたまれなくなって、八重は
今日から新しく生き直すんだ、と時栄に語りかけます。


12月22日、太政官が廃止されて内閣制度が発足。
伊藤博文が初代内閣総理大臣に就任しました。

そしてクリスマスを迎えるころ、粉雪が降る中を
同志社英学校の彰栄館に
襄が1年8ヶ月ぶりに日本に戻ってきました。

アメリカンボードから5万ドルの寄付金を得てきたとかで
待ちわびた同志社教師、生徒たちは一様に驚いています。


青木は、時枝に会いたい一心で
大阪から山本家に来てしまいました。

どうしても未練が断ち切れねえ、と迫る青木から
後ずさりして避けようとする時栄ですが、
一緒に逃げましょう、とギュッと抱きしめられてしまいます。

「あほなこと言わんといて!」
もう会いたくない、とハッキリ断る時栄。
しかし青木は、今まで優しい素振りで
誘ってきたのはアンタだと言いがかりをつけます。

そして再びギュッと固く抱きしめられます。

しかし、それを
山本家に出入りする本屋に見られてしまいました。

この時栄と青木の一件が、うわさ話に尾ひれがついて
覚馬の妻の不始末として京都の町に広まっていきます。
同志社に勤める宣教師たちも、不道徳だと怒っています。

うわさ話はうわさ話で、ホントの話ではないんだし
青木にはこの家に近寄らせないと安心させる八重ですが

時栄は、自分の罪深さを感じているようで、
言いよられ、抱きしめられ、手を握られたら
断りきれない生身のおんなだと言い出します。
夫婦で洗礼を受けても、自身の罪を清められない、と。

「……出てってくなんしょ」

兄と別れて、この家から出て行ってほしい。
そう願う八重ですが、その時帰宅した覚馬に
今度のことは己が始末を付けるから、と
騒がないように諭されます。

商工会議所を辞職してきたのです。

時栄は覚馬に、そして八重に手をついて
縁を切ってくれと大泣きして懇願します。

覚馬は時栄に、神戸に大垣屋の身内がいるからと
しばらくはそこに身を寄せているように言います。

早朝。
雪降る中を、時栄は忍んで出て行きます。

「母様が傷つけたんは、父様だけやない!
 うちのことも裏切ったんや!」
久栄の言葉が、胸に突き刺さります。

「何をぐずぐずしていんのです、早く出ていってくなんしょ!」
八重は時栄に厳しい言葉を浴びせます。
そして久栄には、時栄を“この人”呼ばわりし
もう母様ではねえ、と鬼の形相で大声を出します。

八重に粗略に扱われる時栄を見て、
久栄は時栄の元に駆け寄ります。
「やめて! 母様にひどいことせんといて!!」

さきほどはひどい言葉を浴びせた久栄でしたが、
本心は、やっぱり母親大事であるし
出て行ってほしくないと思っているわけです。

憎んだまま母親と別れては、久栄は一生救われません。
気持ちの表面を着飾っている久栄の本心を引き出すために
八重はわざと、時栄をぞんざいに扱ったのかもしれません。
時栄の胸で泣きじゃくる久栄です。

久栄……幸せにならんといかんよ──。

母親の背中は、手が届きそうですが
次第に遠くなっていきます。

──────────

明治18(1885)年12月、
新島 襄が2度目の海外渡航から帰国する。

明治39(1906)年4月1日、
篤志看護婦としての功績により
皇室以外の女性として初めて『勲六等宝冠章』を受章するまで


あと20年4ヶ月──。


作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
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[出演]
綾瀬 はるか (新島八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
オダギリ ジョー (新島 襄)
谷村 美月 (山本時栄)
──────────
清水 綋治 (新島民治)
風吹 ジュン (山本佐久)
松方 弘樹 (大垣屋清八)
──────────
制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:末永 創


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『八重の桜』
第46回「駆け落ち」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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